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アマゾンの条件は、本当に出版社に酷なのか?

アマゾンが本格的に日本で電子書籍を始める。ユーザーとしては期待が高まる話ですが、出版社との契約をめぐり暗雲が立ちこめて来ました。。。。

更新日: 2011年11月02日

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アマゾンは電子書籍を開始出来るのか?

10月22日の報道よると、アマゾンが年内に電子書籍を開始することが伝えられています。
内容をみるとPHP研究所などのメジャー出版社とすでに合意したとされており、
スタートは秒読みに入っているという印象を持ちました。

▼“黒船”キンドル襲来に戦々恐々 アマゾン、電子書籍で日本参入
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/111022/its11102209320000-n1.htm


しかし、10月29日にBLOGSにリークされた情報によると、アマゾンと出版社の交渉進んでいないとされています。

▼「こんなの論外だ!」アマゾンの契約書に激怒する出版社員 国内130社に電子書籍化を迫る
http://news.livedoor.com/article/detail/5977004/


原因は、アマゾンの提示した取引条件が出版社には合意しがたいというモノだという事でした。

○小売り価格のうち55%がアマゾンの取り分

○出版社の新刊書籍をすべて電子書籍化

○欧米並みの著作権管理を求める

BLOGSの記事によると、以上のような条件のため、出版社とアマゾン側の交渉は停滞しているそうです。

しかし、果たしてアマゾンの条件はそんなに厳しいものなのでしょうか?
その辺が気になったので調べてみました。

出版社は構造不況により苦境に立っている

本の返本率は非常に高く40%です。

しかし、著者への著作権料や、印刷コストなどは
刷り部数で決められているため、返本率の高さは出版社の経営を大きく圧迫しています。

そんな訳で、出版社の平均経常利益率は2.6%です。(2007年)

売ったものの4割がゴミになるので、カンバン方式のトヨタの人とかが見ると卒倒しそうですね。。。

一般管理費がでるかでないかの土俵に立てるのであって、新刊のうちの半数を占める初版のみの本は、外注費による原価のレベルですでに赤字、というのが一般的だ。

ディスカヴァー21社長の干場さんが、出版界の惨状を語っています。

出版社の収益構造は、書籍の小売価格を100%だとすると、書店と取り次ぎで30%で残りの70%が出版社の取り分です。

出版社の取り分の内訳は以下となります。
・著作権料10%
・印刷20%
・デザイン10%
・販売費10%
・管理費10%
・出版社の利益10%

重版では製造原価が下がるため利益率が高くなります。
しかし、返本率が40%なので、このままだと赤字となります。

現在の出版社は、セカチュー(ちょっと古いかも)など返本率の低い一部のヒット作で
なんとか凌いでいるのが現状なのです。

←出典 編集者田中幸宏氏のブログ http://p.tl/0BHQ

じゃあ、どうやって出版社は回っているのか、と言ったら、ま、タレント業界と同じというか、ヒット作に助けられている、ということになる。

ディスカヴァー21社長の干場さんが、出版界がこの収益構造で成り立っているかを解説。しかし、ギリギリなんですね。

アマゾンの売上条件は法外なんだろうか?

アマゾンの条件は、アマゾン55%で出版社45%です。
一見出版社に不利に見えますが、電子書籍では、印刷費の20%がかかりません。
しかも、電子書籍には返本が無いので、利益として5%を確保出来ます。※

新刊ではなく、既存の本についてはさらに利益率が高くなり25%となります。
現在書店では新刊と既刊の割合は2:8と既刊中心です。

このように、返本ゼロを加味するとアマゾンの条件は
そんなに悪く無いのではないかと思えます。

※著者と初版1万部で著作権料10%などの契約がある場合は、一定の販売量が無いと赤字になります。 しかし、本の金融商品的な側面は複雑なため触れません。

いったんまとめ:売上的にはそんなに悪い条件ではなさそう。

新刊の利益率が低いことは紙と変わりませんが、既刊の利益率が高いのが出版社のメリットだといえそうです。さらに、書籍は新刊と既刊の割合が2:8と既刊が中心です。

そのため、既刊を多くもつ出版社には悪い話ではないと考えます。※

しかし、売上よりも著作権の処理問題がより深刻そうです。
以下、著作権の問題に触れて行きます。



※上の収益構造では、初期の著作権料やデザインや販促費などは固定費となる場合が多いと思われるので、かなり荒い想定であることはお断りして起きます。実際は部数ごとや、各社でかける販促費の違いにより、収益構造も変わると思います。しかし、こういう商慣習も電子書籍で変わるのかもしれませんね。

実は出版社の権利は弱い

アマゾンの出している条件で難しいのは、全書籍の電子書籍化と著作権の管理だと思います。
日本では、著作権を著作者がもっており、出版社にあるのは出版権だけです。
この出版権も強いものではなく数年で更新しなくてはいけません。
そして、著者が更新したくなければ破棄出来るので、書籍と文庫の出版社が異なることがよく起こります。

日本は、世界的にみても著作権者の権利が強すぎると言われています。しかし、米国では出版社が著作権を管理しているので、アマゾンは日本の出版社にも同じ事を求めている訳です。

全部の本を電子化するためには、全部の著者と著作権管理一任の契約を結び直す必要があります。

これは非常に時間のかかる事です。

アマゾンも著作権法は無視出来ないので、ここをどうクリアするかが
電子書籍をスタートするタイミングに大きく関わってきますね。

紀伊国屋書店もかなり時間がかかった

参考情報として、日本最大手の書店、紀伊国屋が電子書籍ストアを開設するときも1年ぐらいかけて5000冊そろえるのがやっとでした。

既に電子書籍化されている本でも、端末を制限していたり、出版日をリアルの本と電子書籍で分けていたり個別ケースを一つ一つ調整しているためです。

紀伊国屋は新しい本にこだわったので、コンテンツをそろえるのに非常に時間がかかりました。

既に電子化されていても著者や出版社によっては配信先の端末を制限することがある。

出典日経MJ2011.5.30

新刊は電子版を先に売るか紙と同時発行かなどを確認する必要がある

出典日経MJ2011.5.30

価格や売り方も決めなくては行けない。これを出版社ごとに著者ごとに処理する。

出典日経MJ2011.5.30

数値の参考

アマゾンの取り分が多い事に、ユーザーは反感を覚えているようです。

アマゾンの取り分55%って…しかも著作権を著作者から取り上げるとか確かに論外。 【「こんなの論外だ!」アマゾンの契約書に激怒する出版社員 国内130社に電子書籍化を迫る】 #blogos @ld_blogos news.livedoor.com/article/detail…

55%はとり過ぎな気が(; ̄ェ ̄) 「こんなの論外だ!」アマゾンの契約書に激怒する出版社員 国内130社に電子書籍化を迫る - BLOGOS編集部 - BLOGOS(ブロゴス) bit.ly/rwTSS7

アマゾンの取り分が55%ってのは強欲だなあ(´・ω・)  「こんなの論外だ!」アマゾンの契約書に激怒する出版社員 国内130社に電子書籍化を迫る news.livedoor.com/article/detail…

今度のAmazonは本気なんだろうな…現代の日米修好通商条約か… @myen / “「こんなの論外だ!」アマゾンの契約書に激怒する出版社員 国内130社に電子書籍化を迫る - BLOGOS” htn.to/KrPQdh

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アンジェス代表取締役

ブログ「デザインMBA」
http://anges.co.jp/design/

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