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吉田豪『男気万字固め』畑正憲インタビュー文字起こし #ムツゴロウ

2001年1月頃に雑誌「TVチョップ」に掲載された吉田豪さんの『男気万字固め』のコーナーで書籍化できなかったムツゴロウ(畑正憲)さんへの激しくゆかいなインタビューの文字起こし

更新日: 2016年02月10日

kikuchigumiさん

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―― おそらく何度も聞かれてきたとは思うんですけど、指の方は大丈夫なんですか?
畑  もう何度も聞かれましたねえ(笑)。ボクの場合はちょっと違って、街を歩くたびに呼び止められて皆さんに聞かれるんですよ。トラックがいきなり止まって、「おい、ムツゴロウさん大丈夫か?」とかね(笑)。
―― 「おい、指はあんのか!」って(笑)。
畑  そのたびに指を見せながら一生懸命「大丈夫ですよぉ~!」ってやってて(笑)。

―― ある意味、かなりの宣伝効果というか。
畑  いや、こういうのホント嫌いだったんですよ。ボクはいままで病気も怪我もたくさんしましたけど、怪我や危険を売り物にするとかいうのは大っ嫌いなんですね。
―― だから確かに今回の件も、ムツさん自身は何事もなかったような感じでしたもんね。
畑  でもブラジルから帰って来たら、テレビ局が「これはロケ中の怪我ですから、いまどういう状況か、治ったらその証明とかがどうしても必要だから医者に行ってくれ」ってきかないわけですよ。私は、自分で抜糸しようと思ったぐらいだったんですけど。
―― 自分で抜糸ですか(笑)。
畑  ボクは盲腸で入院したときも3日で退院しまして。というか逃げ出したの(笑)。それで8日目に自分で抜糸したんですよ。
―― それって麻酔なしでですか?
畑  抜糸なんて麻酔いらないよぉ(キッパリ)!自分でパチパチッって糸切って。今回もそんな調子でやりたかったんですけど、テレビ局の人が「どうしてもダメだ」って言うんですよ。それで病院行ったら、ジャイアンツの選手なども来ているところでして、そこできっと話題になり、マスコミの人もちらほら知るようになったんだと思うんですよ。
―― 「ムツさんがライオンに噛まれたらしいぞ」と。それは話も一気に広がりますね(笑)。
畑  だから2~3社から「是非、話を聞かせてくれ」って電話かかってきたんですよ。会わないで書かれて誤解を生んだ場合、テレビ局のスタッフに迷惑かかると嫌だから記者会見になったわけです。あんなデカイことになるなんて夢にも思わなかった(笑)。とにかく最初っから「こんなの大したことじゃありません」「もう御内密に、御内密に」って感じで記事も2~3行で済めばいいなと思ったら、スポーツ新聞なんかもう活字がボクの目ン玉より大きいぐらいになっちゃってね!いや~っ、ボクも長いことマスコミで仕事してきましたけど、今回は男として一番恥ずかしい思いをしました。

―― これが人生で一番でしたか(笑)。
畑  はい!もうちょっと激しいことを何回も経験しても伏せておけたのに、今回漏れて大きく扱われちゃったっていうのがね。
―― ムツさんは、前にもライオンに首を噛まれたこともありましたよね。
畑  ありました!チンパンジーに噛まれたりゴリラに噛まれたり。いろんなもんに首を噛まれたんですよ。でもライオンの時は、30分ぐらい何もわかりませんでしたねえ。

―― 記憶を失っちゃったんですか?
畑  あとでビデオ見せてもらったら、噛まれてすぐに「よしよし、いい子だね~っ。なんで噛んだの?そんなことしないでいいよ」とか言ってんですよ、自分で(笑)。
―― 無意識で対処していたと(笑)。
畑  いやぁ、ビックリしました!(笑)。全く覚えてないんですよ。なんで噛まれて、どうして外してくれたか。ただ、すごい打撃力でビックリしましたよ。ライオンっていうのはパーフェクトな生き物ですね!

―― やられてみて初めてわかりますか(笑)。
畑  やられればわかりますよ(キッパリ)。だって熊に抱きすくめられても動けないことはないんです。でも、ライオンに抱きすくめられると1ミリたりとも動けない!すっごい力ですよ。さすがに「ちょっと間違ったら」と思わんでもなかったですけどね。ボクは熊にも襲われたことあるし、噛まれたこともあるんですけど、それよりも何よりもやっぱりライオンはすごかったですねえ。
―― ちょっと今回の件についても突っ込んで聞かせていただきますけど、まずブラジルの動物保護施設に行ったわけなんですよね。
畑  はい。それは主に交通事故に遭った犬猫の保護施設なんですけど、スタートしたばっかりで彼らはパブリシティが欲しいわけですよ。それでボクのことはもちろん知ってて、「どうか来て下さい」って向こうから依頼があって。だから、エサから何から片っ端からアドバイスをしてたら、サーカスで子供たちと写真を撮るのに使われたけど、大きくなって用なしになったライオンがいるって聞いて。ボクはそういうの好きなもんですから、檻の前に行って話しかけてたんですよ。なかなか人慣れしたいいライオンで、ボクの様々なテストを全部通過して。すぐにボクの言うこと聞いて、ちょっと力を入れるとゴロンしたりするようになって、「あ、これは遊べるな」と思ったの。ただし、ボクは檻越しに付き合うってことは滅多になくて、いつもはいきなり檻に入るんですよ。
―― いきなり入っちゃうんですか!
畑  それでなきゃ逆に危険なんですよ。だから檻越しに付き合うことは1000あって1か2ぐらいなんですね。ただ今回は檻越しにボクがテストするのを、近隣の人とか動物保護関係の人が後ろで見てたわけですよ。そしたら獣医さんが車でやって来て、全員が迎えに動いちゃったんです!それで、ライオンはボクも行くと思っちゃって引き止めようとしたんだろうね。指をガブッとくわえちゃって。

―― 嫌な引き止め方ですねえ(苦笑)。
畑  中に入ってたら放す方法はいくらでもあるんですけど、外からは放せませんから。それで下手すると全部持ってかれると思ったから、左手を檻に掛けてスパーンと指を引きちぎって、骨だけ残ったんですよ。だから救急病院行って、骨切って縫ってもらいました(キッパリ)。

―― 壮絶な話を淡々としますねぇ……。
畑  いやいや、そのぐらいの修羅場は覚悟してないとボクの仕事はできませんから(キッパリ)。仕事っていうより生活ですね。
―― だから今回も「大した問題じゃない」と、あっさり言い切ったわけですね(笑)。
畑  大した問題じゃないんだけど、でもいざ怪我すると後が大変ですね(しみじみ)。「指がないのはこんなに不便なのか」って、ビックリしました(笑)。特に、物書きの右腕っていうのは生命線だし、中指って物をかくときにすごい大切な部分なんだよね。「あ、すごいとこなくしたんだな」って、いまになってから気がついた。ザマア見やがれ(笑)。

―― ダハハハハハ!噛まれた直後もニコニコしてたって話を聞いたんですけど。
畑  そりゃそうですよ、カメラマンも気が付きませんでしたから。「ちょっと引っ掻き傷したかな」ぐらいには思ったみたいですけど、ボクは絶対そういうの見せないですから。サッと隠して、感染するから皮膚をギューッとつまんで物陰行って放血だけして。「大したことないから」って病院行っちゃったから、気がつかなかったんでしょうね。
―― 「500回以上噛まれてるから、これは傷のうちに入らない」とも言われてましたね。
畑  500回以上噛まれてますけど、傷のうちに入んないことはないですよ(笑)。でも、そう言わないと伝わんないじゃないですか。
―― ですよねえ(笑)。「あらゆる怪我が勉強の材料になる。こんな面白いことやめてたまるか!」って台詞も抜群でしたけど。
畑  ウフフフフ!面白かったんだろうね(笑)。ボクは怪我をしてから1日も休めなかったんですよ。翌日からロケ続けてるし。
―― いつもロケだと、たとえ骨折しようとも絶対に休まないらしいですね。
畑  はい!(キッパリ)。全く休まない。20年間ロケ行きましたけど、1年間で120日として2500~3000日はロケに出てますよね。その中で病気をしてリタイア、骨折してリタイアしたことは1回もありません!
―― それってすごいハードですよね(笑)。
畑  いや、これは普通だと思うんですよ!
―― 行く前にTV局の人から薬を貰っても、全部ゴミ箱に捨てるらしいじゃないですか。
畑  はい!たとえば、マラリアの猖獗地に行くときも、ちゃんと予防薬をくださるんですよ。でもね、荷物になるだけでしょ?だから、早めに始末するんですよねえ(笑)。

―― 空港のゴミ箱に捨てちゃって(笑)。
畑  ほとんどそうですね。これは私のような動きをしてますと、いかに免疫を持つかが大事なので、無茶苦茶な衛生環境に耐えられるかどうかが大切なことになるんですね。
―― 体を鍛えてるようなものなんですか?
畑  天性の部分もあると思いますけど、鍛えた部分もあります。たとえば、象と遊んだりしますでしょ。あの連中が遊ぶ所っていうのはドロドロでウンコとオシッコにビチョビチョだから、一緒に遊んで水の中に押し付けられると嫌でも飲みますよ!

―― 糞尿混じりの泥水をですね。
畑  でも、そういうときに毎回病気になってたんじゃ、体がいくつあっても足りないから。多少下痢しても翌日には治ってるようにならない限り、生き物とは本当の意味で遊べないんですね。そういう面で、「自分の体がどのぐらい耐えられるのかな?」「できたら全部耐えてほしいな」ということでもあるんです。時々、「よう持ってんな」と自分でも思いますよ。

―― 俺も大したもんだ、と(笑)。
畑  時々思います(笑)。たとえばインドなんか旅したとき、私はミネラルウォーターなんかひとつも持っていかないんです。特に向こうの人と付き合うとき、私は生身で飛び込んで行って。向こうのもん食って向こうのもん飲まなきゃいけないわけですよ。
―― ネズミ食べたり下水飲んだりですね。
畑  そうそう!そうすると、それに慣れない限り私のレポートは務まらないんですね。だから、当然のこととしてそれをやってるうちに強くなったというか、大丈夫になったというか。ビックリします、これは。
―― 自分でもビックリしますか(笑)。
畑  だからインドの旅っていうのは非常に制限が多くて、特にテレビ局で行く場合には政府に指定されたちゃんとしたガイドと一緒に行かなきゃいけないんですね。ボクが御一緒したのは世界中の高名な登山家とかと付き合ってる方なんですけどね、私と40日ぐらい付き合って別れるときの言葉が「お前さんほど楽なのいなかった」って(笑)。
―― いちいち手間いらずなんですね(笑)。
畑  アメリカの有名な登山家も、エベレストの上までミネラルウォーター持ってくんだって。でもボクはガイドに「おい、スタッフから外れよう」って、2人でトコトコ行くわけですよ。日が暮れて腹が減っても、そこらは貧民地で食うとこが全然ないんです。そうすると段ボールで出来た家に行って「ちょっと飯食わせろ!」「俺んとこには何もないよ」「ひとっ走りして、アヒルでもなんでも買ってこい」ってお金渡すでしょ。そしたら彼らが農家まで走ってアヒルを買ってきて。カマドもないから、部屋の隅に石を5個ぐらい並べてるんですよ。そこに鍋かけて、川の水をジャーッと入れて、アヒルカレー作ってもらって、手掴みで食ってね。

―― 川の水自体が、まず汚いわけですよね。
畑  だから「そういうとこ行って、平気でいるのは初めてだ」「こんなことできるのなんて、お前だけだよ」って言われて(笑)。でも、そういうのが大好きなんですよぉ。
―― スタップが引いちゃうぐらい、無茶な行動ばかりやっちゃうって話ですよね。

畑  はい(キッパリ)。も~う大好きです!だからね、南インドにイルーラっていう家を持たない人たちがいるんですよ。その人たちはネズミが頬袋(リスなどのほおの内側にある、食物を一時ためておく袋状の部分)に溜めた米を巣から取ってくるんですね。私も行きましたよ!そしたらひとつの巣からバケツ一杯ぐらい掘れるでしょ、ボクが行ったときは100匹以上ネズミ捕まえましてね、その米を炊いて。
―― じゃあ、おがずはネズミですか?
畑  ……ホント美味かったですよ!
―― ダハハハハハ!しかしタフですねぇ。

畑  それで、奥さんにこっそりお金を掴ませたんです。喜んだよねえ(しみじみと)。やっぱり現金収入がないから、500円でも彼らの1ヶ月分ぐらいなんですよ。本当に喜んでくれて「食え、食え」って言うんですよ。しょうがないから、ネズミを次から次に食わなきゃなんなかったけど(笑)。
―― 今回の件でもそうですけど、もともと撮影に行くとムツさんは「私が死にかけても、助けに来ないでいいから、カメラを回し続けてくれ」って言ってるらしいですね。
畑  あ、それ言います。しかし、ずーいぶん調べられましたねえ!これはね、実を言えば逆なんですよ。怖いから言うんです。助けに来られると、その足音とかで相手が驚いて余計噛む力が強くなったりするわけですよ。つまり、静かにしてくださることが私にとっては最高なんですよ。だから、ちょっとオーバーなんですけどね(笑)。カッコいいこと言ってますねえ(照れながら)。
―― 挙句の果てには「そうしないと無駄死になりますから」とまで言ってるし(笑)。
畑  ウフフフフ。それほどの決意でやってるわけじゃないんですよ。私も人間ですから。ボクは自分が俗人である部分をすごく愛してるんですね。ホントは震えが止まらなかったり、怖くて唇の色が変わったり、落ち込んだり、悲しんだり、感情の起伏が大好きなんです。ですから、そんな決意ができるわけないんですよ(笑)。それが、たまたまカッコよく聞こえちゃってね(笑)。たとえばボクは何回か象に襲われてるんですけど……。
―― 2~3メートルぐらい吹っ飛ばされたこともあるらしいですよね。
畑  そうそう!あるときなんか吹っ飛ばされたんじゃなくて川に叩き込まれて、上に乗っかられたんですよ、殺すために。

―― 殺すため!何トンの象なんですか?
畑  それはまだ中象でしたから2トンぐらいなんですけどね(あっさりと)。一瞬「死んだ!」と思ったんですよ。でも川の流れに体を持ってかれて、頭がグッと回って助かったわけですよね。それで安全なとこまで逃げて行ったら、体の震えが止まんないんです。
―― まあ、そりゃそうでしょうね。
畑  自分じゃ「怖くない」とか「怖さを克服しなきゃ動物と遊べない」とか、つまんないこといっぱい言うんですけど、自分が死にかけると肉体的ショックになって、体の震えがいつまでも止まんないわけなんですよ。

畑  「みっともない、みっともない」と思って一生懸命止めるけど、しばらく止まんない。ビショ濡れだし、惨めなんですよ(笑)。もう、ボクはそういうのすご~く好きで!
―― そういうときに「泥だらけで逃げる自分が好きだ」って言ってましたよね(笑)。
畑  しかし、よく調べてますねぇ!(笑)これは人間の生活じゃ与えてもらえなくなった感情の起伏なわけだね。バカにされて、命まで落としそうになって、震えが止まらなくて、惨めで。ギリギリの命の壁をポーンと越えたようなもんでしょ。その晩はもう眠れないぐらい嬉しかった!(キッパリ)。

―― 「そうやってゴキブリ扱いみたいにされたときにボクは生きてると思う」っていう無茶苦茶な発言にもシビレたんですよ。
畑  ……よく調べたなあ!感激するなぁ、今日は(笑)。こんなことは初めて。そのときに「ハァ~、助かった」と思って川岸に座ってると、空がスッゴイ青くてね!ヤシの葉が1枚、1枚、「どうしてこんなに綺麗に見えるの?」っていうぐらいハッキリ見えるんですよね。ボクの悪い目で。
―― 死にかけたからこそわかる、という。
畑  それはあると思います。たとえば全然人がいない山の中に篭って町に下りてきたとき、女の人がえらい綺麗に見える感覚と近いんじゃないですか?花とか緑とか、そういうものが綺麗に見えるんですね。
―― 当然、女の人も綺麗に見えて(笑)。
畑  そうそう!ボクは非常に衝動的な人間ですから、みんなに抱きつきたくって、それを止めるのが大変ですよ!通る人、全部抱きつきたくなっちゃうから(笑)。
―― ダハハハ!そりゃ衝動的すぎですね。
畑  いや、けっこう衝動的なんですよ!自分が愛しすぎる性質だし、とっても激しいんで自分のコントロールがときどき手に余ることがありますね。ちょっと激情家なんだろうね、見た目より。バカだなぁ(笑)。
―― 用心棒一人しかいないタパチンガの飲み屋で「女を連れて来い」と叫んだっていうエピソードを聞いても、それはわかりますよ。
畑  ……よ~う知ってますねえ!これ面白いんですよ。話しますか?聞きたい?
―― 是非ともお願いします(笑)。

畑  あのね、タパチンガってとこに一回行きたかったんですよ。これはブラジルとペルーとコロンビアの国境の三角地帯んとこにあって、麻薬取引と動物密輸の巣なの。ボクはピグミー・マーモセットっていう小さな猿を見に行ったんですけど、そこは憧れの地だったんです。っていうのはね、鉄砲の弾が飛んでくるんですよね、いつも。
―― いつもですか(笑)。
畑  はい(キッパリ)。要するに麻薬の取引の余波で。勢力争いとかね。早稲田の学生が死んじゃった、あの近くなんですよ。

―― そんな所に憧れてたんですか?
畑  うん(キッパリ)。ボクの友人がそこ行ったときも6回ぐらい銃撃されたって。そういうとこなんで、「是非行ってみたい」と。で、タバチンガ行きの飛行機乗ったら、乗客がみんな赤十字の腕章つけてんの。「お前ら、何しに行くんだ」って聞いたらね、「コレラ撲滅のためにタバチンガまで行く」「いま行くと危ないよ」って言うんですね。

―― そんなに物騒な所なんですね(笑)。
畑  もちろんボクはコレラの予防注射なんてしてないですから、「面白い。俺も今度はコレラになれるかもしれないな」とか言いながら行ったわけですよ(笑)。それでホテルのフロントで話してたら、「ボアッチ興味ある?」って言うんです。ボアッチっていうのはナイトクラブと赤線を混ぜたようなところなんですよ。たとえば、気に入った子に「行こう」って言ったら、女の子は「ノー」と言っちゃいけない。でも、雰囲気楽しんでビール飲んで帰ってくることも可能なんです。それを聞いてね、「これは3種類の女が楽しめる」と思ったわけですよ!
―― 「楽しめる」ですか(笑)。
畑  ブラジル、ペルー、コロンビアの女性が集まって来てるから、それを見物しようと!そしたら街が真っ暗なんですよ。田舎町だし、コレラ騒ぎと麻薬の勢力争いで誰も外なんて歩いてないんですけど、一軒だけポツンとネオンがついてるから行ったんです。そしたら、すっごい用心棒が前に立ってるんですよね。片目に黒い眼帯してて。レンジャーの服着て、ライフル持って、両側にはマグナムのでっかい拳銃下げてて、おまけに松葉杖までついてるんですよ!
―― もう完全にマンガですね(笑)。
畑  あれは写真撮らなかったのがホントに残念なんですけど、絵に描いたような男なんですよ。それで中に入ったら、女の子が1人もいないんです!飲み物注文してから、「女の子いねえじゃねえか!どうしたんだ!」って言ったら、「いや、もうちょっとしたらたくさん来ます」ってね。シャクだから待ってたの。そしたら1時間経っても来ないんですよ。夜10時ぐらいだったかな?用心棒に「なんで女の子が来ないんだ!」って言ったら、コレラと手入れで女の子がみんな恐れをなして、よその町に行っちゃったんだって(笑)。「でも、何人かは残ってるから来る」って言うの。それで用心棒が音楽かけやがって、「俺と踊ろうか」とか言うから、「バカ野郎、お前なんかと踊れるか!胸の膨らんだお姉ちゃんのほうがずっといい。お前みたいのと踊ったらオチンチンが腐る!」って言ってやってね(笑)。
―― ズバリ言いますねえ(笑)。

畑  そしたら11時半ぐらいかな?女の子が1人帰ってきたんですけど、グテングテンに酔っ払ってるんですよ。それで「ジャポネが待ってるよ」って言われたら、「なにがジャポネだ!ジャポネなんてクソ喰らえ!」とか言ってんです(笑)。その子が横に座ったからいろいろ話をしてたんですけど、そのうちに「ウエッ!」て上げちゃって、もう胸から何からゲロだらけですよ!そのまま帰ったんじゃジェントルマンとしてしょうがないから、用心棒と2人で片貸して部屋で、隅っこにシャワーがあるんですよ。そこで裸にして、体洗ってあげて、タオルで拭いてあげて、ベッドに寝かして。あれは、……良かったなぁ(しみじみと)。

―― ダハハハ! ジェントルマンですよね。
畑  帝王切開の跡がガーッとあって、熱帯の皮膚症で股の辺りがグジュグジュになってるんですよ! こんなんで、よく商売になるなって(笑)。それで棚からパンツとか探し出して履かせて、抱き合って頬っぺたにチュッとして「チャオ!」って別れを告げて帰ったの。・あれは、いい思い出ですね。
―― そういう冒険も大好きみたいですね。
畑  それは、いまでもしてますよ!外国に出ると、どこでもいいから出掛けて。

―― アマゾンで1ヶ月ぐらいお風呂に入れなかったときに、しょうがないから売春宿でトップレスの女子に体を洗ってもらったっていう豪快な話もありましたよね?
畑  あら! そんな話、どこで聞いたの!それは秘虫の秘密で隠してたんだけどなぁ(笑)。いや、これはホ~ントにいい思い出のひとつなんだ!
畑  あれはマッドグリッソっていう緑の秘境でね、いまは少し開発されてきましたけど20年ぐらい前はものすごい不便で大変なとこで(以下しばらく、車をイカダに乗せてみんなでロープを伝って川を渡っただの、「蚊に食われてるとこもお見せしたい、それもドキュメンタリーのうちのひとつ」というマラリアも気にしないポリシーゆえ虫よけスプレーも使わないという旅の過酷さを説明)これはロケとしても非常に激しい、いいロケでしたね(しみじみと)。
―― 「激しい=いい」なんですね(笑)。
畑  はい! オールテントのロケでね。(以下、今度はディレクターのイビキや道に迷ったりという旅の過酷さを、たっぷり説明)。
―― そんな過酷な生活じゃ、もちろん風呂になんか入れるわけもないですね。

畑  そう。それで朝10時頃、最寄りの街にやっと着いたんですよ。飛行機が発つのが3時ちょっと過ぎなんですけど、ホテルにチェックインして体洗うにもお湯の出るシャワーなんてないでしょ。だからタクシーつかまえて、「このあたりに熱いお湯を使えるとこあるか?」って聞いたんです。そしたら「よく知ってる」「じゃあ連れてけ!」って、スタッフと一緒に行ったら「ローマンバス」って書いてあるんですよ。「俺たちこれだけの人数だけど、貸切りってできんのか?」って聞いたら「できる、できる!」って。ボク、そのときサンパウロの競馬に行って、(手を広げながら)こ~のくらい勝ってたんですよ!

―― すごい量じゃないですか!
畑  まあ、クルゼーロだから大したことないんですけど、何万円かで。それで貸切りにして、熱帯植物の中を抜けて行ったんですよ。そしたら裸の女の子がい~っぱい(笑)。真ん中にプールがあって、パ~ッと並んでんの!「これ、ボアッチじゃねえか」って(笑)。あれは面白かったですねぇ(しみじみと)。「こんな中に俺みたいな汚いヤツが入っていいのか」って言ったら「いい、いい。洗ってあげる」ってさ、3人ぐらいで洗ってくれるんですけど、これが裸の女の子だからどうしても勃っちゃうんですよね(笑)。

―― ダハハハハハ!男ですからね(笑)。
畑  あれは困りましたねぇ!だから照れ隠しに、横にキッチンがあったから「腹減ってる」って言ったらパスタ作ってくれてね。あれはすごいですよ。バスに浸かって、美女をはべらして、パスタ食って(笑)。
―― 夢のような風景ですよねえ(笑)。
畑  ゴージャスでしたねぇ、ホントに。でもブラジルの人は明るいからいいんですけど、今思えばあそこにいた女性はいくつだったんだろうなって。上は30際ぐらいの胸が垂れてるのから、まだ胸が出てるかどうかっていう女の子も裸になってましたから。ああいう子でも「寝るのか」って言えば「寝る」って答えたかもしれないですよね。
―― 当然、ヤってないわけですよね?
畑  だって、みんないるんだも~ん(笑)。そんなの、どうしますか!
―― ダハハハハハ!ムツだんは南米とかで売春婦が朝まで街に立ってたりすると、その売春婦の子供も連れて一緒にご飯食べに行ったりとかもしいるらしいですね。
畑  あ、それはよくやります(キッパリ)。ボクは実践的な言葉を覚えたかったし、日系人に紹介されたことのないブラジル人と付き合いたかったわけですよね。たとえば、ボクが常宿にしていたとこが危険な地帯にあったんですよ、だから11時になるとフロントがバチャーンと閉まっちゃって、出入りができなくなっちゃうの。でね、12時頃に外の空気を吸いたくなると、お金を番人にあげるんですよ。日本円で300円ぐらい。そうすると「どうぞどうぞ!」って開けてくれるわけ。

―― お金の効果は絶大ですね(笑)。
畑  そっから忍び出ると、そのぐらいの時間は立ちんぼが多いんですよ。その中すり抜けてパール行くんですね。パールっていうのは24時間営業で、酒やコーヒーから軽食までだしてくれるとこ。そこ座って、パールのお兄ちゃんに大声で言葉を習ってると立ちんぼの女の子が入ってくるんですよ。こちらとしては、「おめえ、食えよ」「俺が払っとくよ」ってサービスするじゃないですか。そのうちに女の子が4人、5人になっちゃって、それが続くと「あのバカんとこ行ってたかろう」って話になっちゃうの。

―― それで子供にもたかられちゃうと(笑)。
畑  だから話してて夜が明けることあるんですよ。客は1人もいないから何人か一緒にタクシーに乗っけて送ってくわけ、家が見たいって言うんで、寄ってくとこれが大変。小さい家なんですよ。それで、子供がゴロゴロ出てくるの!「お前、こんなに子供おったんか!最初に産んだのいくつだ!」とか言って(笑)。で、子供たちは、すぐなついてくるから、「なんか美味しいもん食いに行く?」ってなっちゃうわけです。

―― しかし面白い体験してますねぇ(笑)。
畑  これはボクの性分ですね。根が活動的だし、そういうアホがすごい好きだし。
―― 風呂がなくて、缶一杯分のお湯で息子だけ洗ったこともあるみたいですよね(笑)。
畑  ど~こでそんなことを!初めてだなあ、そんなこと聞かれるの(笑)。これは、アルナチャルプラビッシュっていうのがインドの東北部にあるんですね。そこは原始宗教を持ってる少数民族がいっぱい住んでる秘境中の秘境ですから、軍隊が全部ケアするんですよ(以下、軍隊絡みの苦労を、たっぷり説明)。朝7時に出て、暗くなるまで山道を歩きっぱなし。そんな旅でしたよ。
―― 当然、風呂なんかあるわけがないと。
畑  もちろん。寝ることもないんですよ。山の上に上がってくと、外国人を全く見たことない人たちがいるわけですよ。その人たちと仲良くなると中年のオバチャンたちが集まってきて、体触りまくるんですよ!
―― 触られまくりましたか!
畑  だってオチンチンまで触ってくるんですよ(笑)。「あった、あった」って。
―― いちいち確認して(笑)。
畑  そこで「今日ご馳走してくれないか」って言って、ご飯を食べ終わったら今度は「村長が御飯を用意したから御飯を食べに来てくれ」って言われて。こっちはクタクタに疲れて一歩も歩きたくないんだけど、しょうがないから「どのくらいだ?」って聞いたら「5分だ」って言うんです。でも、ついてくと1時間半ぐらいで(笑)。そしたら御飯がちゃんと用意してあって、1時間ぐらいしたら踊りが始まって。これが、しつこいんですよ。明け方まで踊るんです。スタッフたちは「ごめんなさい」って帰っちゃったの。こっちは仲良くなるのが商売で、明日ここで撮影があると思うとここで帰っちゃ差し障りがあると思ったから、向こうが「嫌だ」って言うまで一人で踊ってるわけですよ。

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