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音楽の世界で密かに起こっている “基準ピッチ競争” とは

華やかに奏でられる音楽。音楽は多くの人が好むポピュラーな芸術ですが、少しでも華やかに聴こえるようにするため、オーケストラなどの舞台裏では国際的に決められた音の取り決めを無視する「基準ピッチ競争」なる現象が発生しています。音楽関係者以外には殆ど知られていない「A = 440Hz」についてまとめました。

更新日: 2016年09月24日

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『A = 440Hz』国際的に決められている “基準ピッチ” とは

ト音記号の五線譜の中の「ラ」の音、つまりAの音の周波数は、440Hzである。

これが「国際標準ピッチ」です。

ちなみにHz(ヘルツ)という単位は、音波の1秒間の振動数を表しています。440Hzということは、1秒間に440回の振動があるということです。

「基準ピッチ」とは演奏の基準にする「A」の音の周波数(ヘルツ・Hz)のことをで、ピアノのト音記号の楽譜でいうと上から3本目の線と4本目の線の間の「ラ」に当たる音の周波数を指します。

ABCDEFG(ラシドレミファソ)、とある各音が、それぞれ何Hz(ヘルツ)の周波数であるかを定めなければ、調和したアンサンブルはできません。
基準となるA音を何Hzとし、平均律で調律(チューニング)しましょう、と定めたものが「基準ピッチ」と呼ばれています。

中央の1点ハ音(ド・C4・c')の上の1点イ音(ラ・A4・a')は、1939年にロンドンで行われた国際会議で440 Hzとされた(通常 "A = 440 Hz" か "A440" と記される)。

国際的にA4の音は「440Hz」ですよ、と取り決めがされています。

ちなみにNHKの時報は440Hzの音が3回鳴り最後に880Hz(440Hzより1オクターブ高い音)が鳴ります。そうです。世にいう「ピッピッピ、ポーン」の基準ピッチこそがA=440Hzなのです。

おなじみのNHKの時報は、基準ピッチを正しく守ったものになっています。

これが楽器のチューニングに使われる、440Hzの音です。

音楽の世界では国際標準ピッチの無視や “インフレ” が蔓延している

オーケストラの基準ピッチは、どんどん高くなっているらしい。

鍵盤の49番目「ラ」(a)の周波数は、440Hzと国際基準で定められていますが、実際の演奏会では必ずしもそうではありません。

国際的に決められている「基準ピッチ」ですが、音楽の現場では必ずしもそのルールが守られているとは言えない状況なんです。

日本国内のクラシックのコンサートでは、49番目「ラ」(a)の周波数は442Hzで行われることが多いのですが、カラヤン時代のベルリン・フィルでは446Hz、ウィーン・フィルでは443Hz、アメリカやイギリスでは440Hz等、それぞれの国やオーケストラ、または時代によってこの49番目の「ラ」(a)の周波数は異なります。

カラヤンが443にした頃からヨーロッパでは徐々に高めになり、レコードを聞くと、現在は445くらいが多いようです。高いと緊張感が出ると言われています。

ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団やウィーン・フィルハーモニー管弦楽団では A = 444〜445 Hzが基準とされており、他と比べても高くなっています。

法的拘束力のない国際標準ピッチ(ユニバーサルピッチ)より高めに調律しようとする基準ピッチのインフレ現象が起こって混乱を招いています。

イギリスでは以前 A= 452 というピッチがオーケストラに採用されていたこともあったようです。

あまり高くすると、楽器への負担も心配なところ。。

基準ピッチがどんどん高くなるとその分楽器が対応できない場面も出てきます。「そろそろ高音競争はやめようよ」とヨーロッパでも提唱されたこともありましたが、今でも高い基準ピッチに終止符が打たれたという話は聞きません。

近年、日本では基準ピッチが442Hzでピアノが調律されているホールが増え、「ほとんど」と言っても過言ではない状況になってきています。

日本では戦後の1948年に基準ピッチをA=440Hzと定めましたが、近年はA=442Hzでチューニングすることが殆どになっています。

昔は定まっていなかった基準ピッチ

例えばバッハの時代、17世紀から18世紀にかけてのバロック音楽の時代は、基準ピッチはA=415Hz程度でした。
これは今の基準ピッチからは半音も低い音高になります。

17世紀の段階では、A=370-560Hzという幅広いものだった が、少しずつA=420Hzに近づいて行った。

17世紀から19世紀にかけてまでは、基準ピッチとしてのAの音の周波数は定められておらず、1全音以上の違いがあったそうです。

楽器の奏者にとっては、使う楽器(歌もその一つ)によって適したピッチというものがあり、逆に言えば、演奏したいピッチにあわせて最適な楽器が作られたということもあります。こういう状況では、国際化によって音楽家の交流が進むにつれ不都合が増えてきます。

基準ピッチがきちんと定められていないと、奏者は不都合を被ってしまいます。
こういった背景から、A=440Hzという国際標準ピッチが定められました。

ヘンデルの音叉はA=422.5Hzだった。ベートーヴェンが亡くなった時、ピッチはA= 433Hzまで上がっていたが、いわゆる基準ピッチというものは19世紀にはまだ設定されていなかった。

歴史的にはバロック時代のバロックピッチ(A=415Hz)、モーツァルトの時代のモーツァルトピッチ(A=421.6Hz)、ヴェートーヴェンの時代の古典派ピッチ(A=430Hz)などが知られています。

もちろん地域により異なったのでしょうが、バロック音楽時代は今よりも半音低いピッチで演奏されていたようです。

日本では1948年にA = 440 Hzを導入する以前はA = 435 Hzを標準としていた。現在の日本ではオーケストラや演奏会用のピアノはA = 442~443 Hz、学校教育や家庭用のピアノはA = 440 Hzが一般的となっている。

ホールで行われるピアノの発表会などで、普段家で練習しているものより華やかに聴こえるのは基準ピッチが異なるためです。

なぜ基準ピッチがどんどん高くなってしまう?

音楽も聴衆に聴かせ、心を動かし喜ばせるためのものである以上、「国際標準ピッチ」という概念にとらわれず聴衆が求める音楽が追求されていく…これは本来あるべき自然な姿なのかもしれません。

この440hzか442hzか、という少しの違いでも感じる世界が変わってしまうほど音楽とは微妙なものです。

わずかな調律の違いでも、その音楽の聴き手に与える心理的な影響は違ってくると考えられています。

同じ音楽なら少々高い基準ピッチで演奏した方が華やかに聞こえる

少しでもピッチを高くすることで、音楽全体が明るく、華やかに聴こえるようになります。

演奏者は、一般的に輝かしく聴こえる高いピッチを好む。特に、東ヨーロッパの演奏家は、A=444Hzあたりで演奏することが多いという。

特にオーケストラにおいてはホールに置かれているピアノの調律に合わせることが多いのですが、実力のある指揮者の場合はその好みが基準ピッチに反映されます。

バイオリンなどは442Hzなどの高めのピッチのほうが響きが良い場合が多く、歌の方はさらに高い445Hzなどを好まれる方もいらっしゃいます。

場合によっては、ソロをとる楽器を他より少しだけ高めにチューニングする、なんてこともあるみたいです。

クラシックのライブでは442~443Hzが主流みたいですね。ポップスは一般に440Hz、ヘビメタなんかだと「ヘヴィな音を求めて」半音下げチューニングなんかも当たり前だったりします。

最近は “人間や宇宙にとって最も自然な音” だとして国際標準ピッチよりも低い432Hzを基準ピッチとするチューニングもヨーロッパのスピリチュアル音楽を中心に流行を見せています。

実際に音の違いを聴き比べてみよう

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