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Radiogardase(ラディオガルダーゼ)

ドイツのハイル化学医薬会社(Heyl Chemisch-pharmazeutische Fabrik GmbH & Co)が開発した放射能汚染の治療薬。経口薬。セシウム137やタリウムなどの体外排出を促す作用がある。

更新日: 2011年06月04日

beltixさん

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放射性セシウム体内除去剤「ラディオガルダーゼ」の緊急承認

【セシウム除去剤の緊急承認①】住友化学とGEヘルスケアの折半出資である日本メジフィジックス社が昨年11月に「ラディオガルダーゼ(プルシャンブルー:放射性セシウム体内除去剤)」の国内販売認可を獲得している。その背景は何だったのか?

【セシウム除去剤の緊急承認②】2010年7月に日本保健物理学会が厚労省に提出した「放射性物質による体内汚染の除去剤の早期承認に関する要望」によれば、同学会では来るべき六ケ所村再処理施設の本格稼働、核テロ対策に向けたセシウム除去剤の緊急認可を提言している。

【セシウム除去剤の緊急承認③】日本保健物理学会などの要望を受けて、厚労省が「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において導入を検討。検討会議の情報は参考資料参照。

【セシウム除去剤の緊急承認④】先の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」(第6回:2010年11月10日)時点では、既に日本メジフィジックス社からの「ラディオガルダーゼ」は11月4日に承認済みとなっている。第5回会議(10月6日)以前の記録では討議された形跡がない。

【セシウム除去剤の緊急承認⑤】つまり、厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議での検討結果を受けて開発企業の募集又は開発要請を行った医薬品のリスト」に同薬が収載されてから承認までのプロセスが、異例なほど迅速に処理されたことを物語っている。

【セシウム除去剤の緊急承認⑥】また、「ラディオガルダーゼ(プルシャンブルー:放射性セシウム体内除去剤)」の承認を獲得した日本メジフィジックス社は、厚労省から同薬以外に他に2つの放射性物質の体内除去剤の開発依頼を受けている。

【セシウム除去剤の緊急承認⑦】恐らく早晩厚労省が認可すると思われる放射性物質体内除去剤は、「Ca-DTPA」「Zn-DTPA」という2種類の「DTPA」薬で、これはプルトニウムに代表される放射性重金属の体内除去を目的としたもので、国際的には標準薬として普及しているものだ。

【セシウム除去剤の緊急承認⑧】まとめ:昨年7月から11月という短期間に、放射性物質体内除去剤が緊急承認されたという事実は、何を意味しているのだろう。その時点で何か重大な放射能汚染を予測する事象が懸念されていたのか? まるで、福島原発事故に備えたような「先見の明」が気にかかる。

体内汚染の軽減を効能・効果とする国際的標準薬剤の国内初導入

報道関係者各位
2010年11月4日
日本メジフィジックス株式会社

放射性セシウム体内除去剤「ラディオガルダーゼ®カプセル500mg」承認取得のお知らせ
〜体内汚染の軽減を効能・効果とする国際的標準薬剤の国内初導入〜

日本メジフィジックス株式会社(本社:東京都江東区 代表取締役社長:三上信可)は、放射性セシウム(137Csなど)による体内汚染の軽減を効能・効果とする医薬品「ラディオガルダーゼ®カプセル500mg」(以下、「本剤」)について、10月27日付で製造販売承認を取得しましたのでお知らせします。

 本剤は、開発者であり、また諸外国において製造供給実績のあるドイツのハイル(Heyl)社との提携により、弊社がわが国において本剤を輸入販売するもので、販売体制が整い次第発売する予定です。

 放射性セシウムは、原子力関連施設における廃棄物などに含まれているために、災害時において被ばく原因となるリスクがあります。また、医療用(癌治療の放射性線源)や工業用(滅菌や測定)などに広範に使用されている放射性同位元素のひとつです。放射性セシウムによる被ばくが発生した場合の体内汚染軽減のためには、出来るだけ短時間の内に本剤を経口投与することが望ましいことから、今後、国内各地域の緊急被ばく医療対応機関、災害拠点病院等での備蓄の推進が期待されます。

本剤は、国際的には、米国において Strategic National Stockpile の制度に基づき国家備蓄が開始されているほか、世界保健機関(WHO) においても Essential Medicine の一つとして備蓄推奨のリストに上げられるなど、標準的な放射性セシウム体内除去剤として位置付けられています。
 一方国内では、厚生労働省による「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において、関係する学会等からの導入要望を受け、今回迅速な承認取得に至りました。今後適切な備蓄体制を推し進めるための制度的な枠組みについて、原子力災害対策あるいは国民保護計画の観点から新たに整備されていくことが望まれます。弊社は、本剤に対する社会的なニーズを認識し、本剤の供給を通じて、わが国における原子力災害対策に貢献したいと考えています。


 日本メジフィジックス株式会社は、疾病の早期診断に有用とされる核医学診断に用いられる高品質な放射性医薬品の開発、製造、供給に取り組んでまいりました。今後もわが国の医療のさらなる発展のために貢献を続けてまいる所存です。日本メジフィジックス株式会社は、住友化学株式会社とGEヘルスケア(英国)の合弁企業で、放射性医薬品のトップメーカーです。

本件に関するお問い合わせ先
日本メジフィジックス株式会社(URL: http://www.nmp.co.jp) 総務部(広報担当)
本社 東京都江東区新砂3-4-10 電話 03-5634-7006 FAX 03-5634-5170
関西事務所 兵庫県尼崎市潮江1-2-6 電話 06-4300-5541 FAX 06-6492-2549

放射性セシウム体内除去剤「ラディオガルダーゼ®カプセル500mg」の概要

製品名: 和名 ラディオガルダーゼ®カプセル500mg  洋名 RADIOGARDASE®
一般名: 和名 ヘキサシアノ鉄(II)酸鉄(III)水和物
効能または効果: 放射性セシウムによる体内汚染の軽減
用法・用量: 通常、1回6カプセル(ヘキサシアノ鉄(II)酸鉄(III)水和物として3g)を1日3回経口投与する。なお、患者の状態、年齢、体重に応じて適宜増減する。

上記は、Radiogardase(ラディオガルダーゼ)を日本で輸入販売することとなった、日本メジフィジックス社のプレスリリースです。

ラディオガルダーゼ®(カプセル500mg)の特徴

1.放射性セシウムによる体内汚染を軽減させます。

本剤は、放射性セシウムの体外排泄を促進(注1)することにより、生物学的半減期を約1/3に短縮させます。放射性セシウムの生物学的半減期が短縮することにより、内部被ばくに起因する骨髄抑制等の急性放射線症候群(注2)のリスクを低下させることが期待されます。

(注1)放射性セシウムは呼吸器官または消化器官を介して体内に吸収された後、その大部分が腸肝循環することにより、長期間にわたり体内に留まるとされている。本剤は放射性セシウムの腸管からの吸収・再吸収を阻害し、糞中解説を促進すること及びその作用は長期投与においても持続し、かつ投与開始時期に依存しないことが示唆されている。

(注2)全身に約1Gy以上の放射線を被ばくすると、身体の各臓器にさまざまな障害が現れる。これら一連の症状を呈する病態を急性放射線症候群という。具体的には、高線量かつ全身被ばくにより骨髄障害、消化管障害、皮膚障害等を起こし、免疫能の低下や感染症、出血傾向、下痢、下血、湿疹、びらん、潰瘍等の症状を呈する。これらの症状が重篤になれば、生命の危機を来たし、死に至る場合もある。

2.副作用

本剤は副作用発現頻度が明確となる臨床試験を実施していません。(注3)

(注3)国内での申請にあたり、Cs137で体内被ばくを生じさせる臨床試験の実施は倫理的観点から適切ではないと判断し、新たにヒト被験者における臨床試験は実施していません。米国承認時における資料に医学薬学上公知と考えられた文献等を追加し、製造班美承認申請を行ないました。

開発の経緯

セシウム137(Cs137)は、1941年にSeaborgらによって発見された核分裂反応生成物であり、原子力発電所の廃棄物や核実験からの降下物等に含まれる。一方で、ガン治療のためのガンマ線源、ガンマ線滅菌の線源や水分密度計等、さまざまな分野で用いられている。

体液に可溶性であるセシウムは、呼吸器官又は消化器官を介して吸収され、全身にほぼ均一に分布し、腎臓から排出されるが、その大部分が腸肝循環することにより、長期にわたって体内に留まる。Cs137等のセシウムの放射性同位元素(以下、放射性セシウム)による体内汚染は、被ばくにより重篤な疾患又は死亡をひきおこす可能性があるため、放射性セシウムを体内から除去する薬剤の開発が期待されていた。

ヘキサシアノ鉄(II)酸鉄(III)水和物(Prussian Blue Insoluble:以下、PB)は、放射性セシウムによる体内汚染患者において、イオン交換及び結晶構造内への吸着の原理に基づいて放射性セシウムと結合し、腸管からの再吸収を妨げることによって体外への排泄を促進する。1966年にMadshusらは、PBによるヒトでのCs137体内除去を評価し、Cs137を摂取した人ではPBが治療選択肢となることを示唆した。

本PBを有効成分とするカプセル剤(本剤)は、1997年9月にドイツで(製剤名)「Padiogardase®-Cs」として、また、2003年には米国で(製品名)「Radiogardase®)として承認されている。1987年にブラジルのゴイアニアで発生したCs137による放射線事故(以下、ゴイアニア事故)時の治療において、Cs137の体内汚染除去剤としての効果がみられたこと、及び重篤な副作用は認められていないことから、国際的に緊急被ばく時に安全に使用できる薬剤としてガイドライン等に盛り込まれている。

一方、我が国では、1999年9月にウラン加工工場において発生した臨界事故を契機に、原子力安全委員会において緊急被ばく医療体制の全面的な見直しが行なわれた結果、2001年に「緊急被ばく医療のあり方について」がまとめられた。2008年10月、本報告書の改訂に伴い、内部被ばく治療法の具体例とともに薬剤を併記した一覧が追加され、PBは放射性セシウムによる体内汚染に対する薬剤としてこの一覧に含められた。こうした国家体制の整備、日本医学放射線学会、日本核医学会、日本中毒学会及び日本中毒情報センターからの早期承認に関する要望、Cs137体内汚染された患者の緊急被ばく医療の重要性に鑑み、当社は本剤を「ラディオガルダーゼ®カプセル500mg」の班売名で、「放射性セシウムによる体内汚染の軽減」を効能・効果として開発・申請し、2010年10月に製造販売承認を取得した。

以下は参考資料

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