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誰も知らない、ユニクロの大失敗。「+J」のまとめ

ジル・サンダーとくみ2009年に鳴りもの入りでスタートした「+J」。その失敗の原因と経緯、そしてユニクロが何を目指しているのかを推測してみました。

更新日: 2011年10月18日

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この記事は私がまとめました

ジル・サンダーと組んだ「+J」は失敗した。

「+J」は2009年にドイツの著名デザイナー、ジル・サンダー氏とコンサルティング契約を結んだ「ファーストリテイリング」が、「ユニクロ」で2009年10月から発売したブランド。

普段着中心の「ユニクロ」とは異なり、ファッション性の高いアイテムを売りに、約850種類の商品を出した。しかし、2011年9月の商品発表を最後に「+J」のブラドは姿を消す事になった。

"柳井CEOも「ジル氏と新しい業態を作り出そうと始めたが、あくまでもジル氏の力を借りて、という形にしかならなかった」と失敗を認めている。(出典:日経ビジネスオンライン)"

年間200〜300店ペースの、海外出店計画を発表するなど強気の事業計画を発表しているファーストリテイリングだが、「ユニクロ」の
販売が8年ぶり前年度を割り込むなど、国内では苦戦している。


「+J」の発表後の売り上げを見てみると、低迷する売り上げを底上げするには至らなかった。


←出典 日経MJ2011.9.21

通常の「ユニクロ」よりも単価の高い「+J」を投入後も、客単価は横ばいだった。そして、2010年8月期には前年割れとなっている。

ここ数年の業績好調は、ヒートテックなどによる客数の増加が要因だが。「+J」で狙った単価のアップは失敗に終わった。

←出典:日経ビジネスオンライン

上のデータで客単価が伸びなかったことを説明したが。ここ数年のユニクロの好調は客数の伸びであった事が分かる。 「+J」の導入初期は、客数増に寄与したようにも見えるが、結局継続的な効果はなかった。 


※09年に大幅に伸びているのは、月次で見ないとハッキリしないが、年末に導入した「+J」の効果では無いと言われている。この年は、H&Mなどの進出で、ファストファッションブームが起こりユニクロもその波に乗った影響と考えるのが自然。

←出典:日経ビジネスオンライン

09年10月の第一弾こそ、<中略>約90店で販売したが、同年12月は50店、10年10月は30店になり、最終商品では18店まで減った。

出典日経MJ2011.9.21

「+J」の取り扱い店舗も、だんだん少なくなり最後は都心部だけに。。。

【ユニクロの課題】そもそも、なぜ「+J」を導入したか

ファーストリテイリングは、2010年度50店舗ほどだった海外出店を、3年後には200〜300店に急拡大させる計画である。
機能性・品質・価格などは、海外の巨大アパレルとも競争できる力をもつがデザインは改善の余地があると言われている。

2020年に売り上げ5兆円という、ちょっとどうかと思うぐらい高い目標を掲げる以上、デザイン性の向上は急務かと思われた。


1位-インディテックス(2011.1月期)-----------1兆3700億円(伸び率110%)
2位-H&M(2010.11月期)------------------------1兆3600億円(伸び率107%)
3位-ギャップ(2011.1月期)-----------------------1兆2100億円(伸び率103%)
4位-ファストリ(2011.8月期)------------------------ 8460億円(伸び率104%)
5位-リミテッドブランズ(2011.1月期)-------------7900億円(伸び率110%)

出典:世界アパレル専門店売上ランキング2010

【前提条件】もしかして、自分たちの業態を勘違い? ユニクロはファストファッションとは違うビジネス

アパレルは常に在庫リスクとの戦いである。どんなにヒット商品が出ても、ほかで売れ残りが出ると大きな損失が出る危険性がある。

しかも、シーズン中に顧客の趣向性が大きく動く事もあり、ワールドなどの日本のアパレル事業者もリードタイムをなるべく短くすることに腐心している。

このような業界特性に対して、ファストファッションは数週間で企画から製造を行い、在庫リスクを下げることを強みとしている。つまりトレンドを後追いできるわけだ。

たいしてユニクロは、リードタイムが一般より長く6ヶ月以上とスローファッションとも言えるぐらいの差がある。
これは、ユニクロがベーシックアイテム中心でトレンドに左右されづらいという要因が大きく働いている。
そして、リードタイムの長さは、一括買い入れによる低価格化と品質の向上をもたらし「コストパフォーマンス」というユニクロの存在価値に繋がってる。

じっくり作った商品を、長く売るためのシステムが完成しているユニクロと。トレンドを週単位で追うファストファッションとは、そもそも違うビジネスだと言える。

「ZARA」を擁するインディテックス(スペイン)では、デザイナーや縫製工場を自社で抱えることで、企画から店頭配備まで2週間というリードタイムを実現している。

出典週刊東洋経済2011年9月10日号

ユニクロは仕込む量が大きいため、他のアパレルメーカーよりリードタイムを長く取っています。例えば、次の秋冬商品は1月末にはもう初サンプルを上げてるんです。

【失敗の要因】H&Mのマネっこは、ユニクロのポジショニングと合わない。

ユニクロでの「+J」の失敗は、ユニクロ自身が取っているポジショニングとのアンマッチが大きすぎたのでしょう。

「+J」を始めた時は、短期でデザイナーと組む「H&Mの十八番」をベンチマークしていると
思われた。

店頭でのVMD(ようは見せ方)や、長いリードタイム。単品の消化率を細かく管理して、次の商品の生産数を決めるユニクロ流の精密な単品管理の手法などに、「H&Mのまね」がそぐわなかったと言える。

そして、ユニクロには普段着をもとめ、「アンダーウエア&ファッションベーシックパーツサプライヤー」、だと思っている顧客ともすれ違いが生じた。


まとめると、失敗要因としてしてはこの2つが大きいと思う

1.ファッションアイテムを扱いづらい、スローファッション体質での在庫累積

2.ブランド内ブランドとしたことによる、ユニクロとのポジショニング齟齬で
顧客がついて来れなかった。

アンダーウエア&ファッションベーシックパーツサプライヤー
として、きわめて明確なポジショニングを確立したユニクロさん

本来は、もう少し我慢が必要な取り組みに対して、
低価格高回転を常識とする小売りチェーンにとっては、
やはり耐えがたい効率であった

【今後の展開】「究極の普段着」で海外マーケットを攻略?

「+J」が何故失敗したのかをまとめてきたが、ファーストリテイリング自体の事業は好調に推移してる。 2010年度の決算でも、営業利益率が13.4%と日本企業とは思えない高さをキープしている。

「+J」の失敗はファッション性を高める方法に問題があったが、依然として課題であることには変わりがない。
ファーストリテイリングもそれを悟ったのか「究極の普段着を作る」というあたらしいプロジェクトを発表している。

はたして、この試みは成功するのか見守りたい。

2011年8月予測の本業のもうけの力を示すグループ営業利益率は今期予測で、13.4%と、<ZARAのインディテックスの15.6%(2010年1月期)、収益が回復してきたギャップの12.8%(同)あたりと比べても、世界的に立派な数字だと思います。

+Jで得られた教訓はどこに生かされるのか。IPJの柱「普遍的なデザイン性」がその一つだ。
柳井氏は、「流行を主張する服ではなく、シンプルで自在に組み合わせて楽しんでもらう」と説明する

出典日経MJ2011.9.21

参考資料

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このまとめへのコメント3

  • 佐々木康友さん|2011.10.24

    ブランドイメージが向上したから、失敗じゃないのでは?という意見があったので、
    忘却録代わりに自分の考え方を書いておきます。

    ■考えるまえの前提条件

    1.まず、マーケティング上の成功は「販売の向上」にあるとします。

    2.次に、そうなるといかなるマーケティング施策も「販売の向上」に寄与しなければ失敗です。

    3.では、ブランドイメージの向上は販売の向上に繋がらないかというと、繋がると思います。


    ■ブランドイメージについて考える

     ブランドイメージって抽象的でちょと扱いづらいので、

     高い認知度×明確なポジショニング=ブランドイメージ

     だと定義します。

     
     ユニクロは、認知度は100%に近いと思います。

     そして、ファンションのベーシックパーツサプライヤーという はっきりとした
     ポジションを持っていました。

     しかし、このままでは海外展開での限界を感じで、ポジションチェンジを図った
     というのが今回の「+J」導入の目的だと思います。

     しかし、「+J」はブランド内ブランドでしか無く、ユニクロ全体のポジションを
     変えるには至りませんでした。


    ■まとめ

     結果として、ユニクロを今より有利なポジションに引き上げることが出来なかったので
     「販売の向上」に繋がらな無かったのだと思います。

     だから。「+J」の導入は失敗です


     個人的には、ユニクロの目指すポジションとしては、
     「洗練されたベーシックパーツサプライヤー」というのがいいんじゃないかと思います。

     先端的なファッションはやはりユニクロの事業構造との齟齬が大きいですね。
     


    ※経営全体で考えると利益を考慮する必要がありますが、マーケティグの話だけに絞りました


     

  • 佐々木康友さん|2011.10.18

    +Jによる来店機会の向上を上げる声があったので、客数が増えなかったデータを追加しました。

  • 佐々木康友さん|2011.10.13

    客単価の情報を見つけたので、書き加えました。

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