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アブサンとは

「存在しない」という名の酒。

アブサンは、主成分である「ニガヨモギ」の学術名「アルテンシア・アブシューム」から名前がつけられたとされる。

ただ、英語の「absence(アブセンス)」は「不在」を意味し、フランス語でも「存在しない」という意味になる。

主成分ニガヨモギの花言葉は「不在」である。製造禁止になった折には「まるで名づけられた時から運命が決まっていたようだ」と語られた。

アブサン(仏: absinthe)は、フランス、スイス、チェコ、スペインを中心にヨーロッパ各国で作られている薬草系リキュールの一つ。ニガヨモギ、アニス、ウイキョウ等を中心に複数のハーブ、スパイスが主成分である。

【分類】リキュール/蒸留酒
【生産国】スイス/フランス/チェコ/スペインなど。
【主成分】ニガヨモギ
【度数】40度~90度。種類に拠るが、一般に度数はかなり強い。

禁断の酒、魔酒、飲むマリファナ

アブサンに含まれるニガヨモギの主成分であるツヨン(ツジョン)に、マリファナに似た幻覚等の向精神作用がある。
「緑の魔酒」「緑の妖精」といった異名もある。

アブサンの歴史

錬金術師最大の遺産のひとつ

中世ヨーロッパの錬金術師が、ヘルメス神秘学やイスラムの秘儀を取り入れつつ、古代ギリシアから中東を経由して入ってきた蒸留器を使ってアブサンの原型をつくった。

1792年にスイス人医師のピエール・オーディナーレ氏が独自の製法でアブサンを開発。

もともとは、鎮痛、解熱作用がある薬酒として開発された。

1830年代以降、フランス中に広がった。

北アフリカのアルジェリア侵略戦争に従軍したフランス兵たちが赤痢予防のためにアブサンを飲むのを習慣にし、帰還後、本国で流行らせた。
その後、フランスではワインより安価な酒として市場を独占した。アペリチフ(食前酒)のシェア90パーセントを占めた。

1915年、フランスで製造禁止に。

アブサン中毒やアルコール中毒を懸念する激しい運動が起こり、まず、1898年にベルギー領コンゴで、1907年にスイス、1915年にフランスで製造販売禁止となる。

各国が禁止する中、スペインや東欧、日本など、禁止法がなかった国では細々と製造されていた。

1981年にWHOが規制緩和。

1981年にWHOが、ツヨン残存許容量が10ppm以下なら承認するとしたため、製造が復活する。禁止国であったスイスでも2005年3月1日に正式に解禁され、日本にも各種アブサンが輸入されるようになった。

アブサンに夢中になった芸術家

感性やインスピレーションを引き出す霊酒として、芸術家に愛飲された。アブサンに魅せられた人々をアブサニストと呼ぶ。
彼らは、時に心身に異常を来たし、時に人生を破滅させた。それが幻覚成分ツヨンのせいなのか、単なるアルコール中毒だったのかは定かではない。

1853年3月30日 - 1890年7月29日。

オランダの画家。

生前に売れた絵はたった1枚だった。

友人ゴーギャンに「自画像の耳の形がおかしい」と言われ、自分の左の耳たぶを切り落とした。

最後はフランスの精神病院に入院し、猟銃自殺。

ヴェルレーヌ

1844年3月30日 - 1896年1月8日。

フランスの詩人。

妻子を捨て、美少年だった詩人ランボーと同棲生活を送る。しかし痴話喧嘩のすえにランボーを銃で撃ち、投獄される。

最後は慈善病院を点々とする日々をすごした。

ロートレック

1864年11月24日 - 1901年9月9日。

フランスの画家。

両足に障害をかかえながらも、娼婦、踊り子のような夜の世界を題材とした数々の作品を残した。また、ポスターを芸術の域にまで高めた。

アブサンなどの長年の飲酒により体を壊したうえ、梅毒もわずらって死去。

1909年6月19日 - 1948年6月13日。

日本の作家。後に入水自殺。

太宰がアブサンを常飲していたという記録はないが、小説『人間失格』の中に以下のような記述がある。

「飲み残した一杯のアブサン。
 自分は、その永遠に償い難いような喪失感を、こっそりそう形容していました。絵の話が出ると、自分の眼前に、その飲み残した一杯のアブサンがちらついて来て、ああ、あの絵をこのひとに見せてやりたい、そうして、自分の画才を信じさせたい、という焦燥にもだえるのでした」

その他、アブサンを好んだ芸術家:ピカソ(画家)、ヘミングウェイ(作家)、モネ(画家)、ドガ(画家)、マリリン・マンソン(ミュージシャン)など。

アブサンの飲み方

ストレートかロックで飲む。

アブサン本来の味と色を楽しみたいならこちら。

ただ、度数が高く、香りも強いので飲みやすいとは言えない。

ロックの場合、氷が溶け出すと非水溶成分が析出し、徐々に白濁してくる。

アブサンスプーンを使う。

アブサンスプーンは、ヨーロッパではさまざまなデザインのものがつくられており、ある種の工芸品として認知されているが、日本ではなかなか入手がむずかしい。

1.グラスにアブサンを適量注いだ後、アブサンスプーンを乗せ、さらにその上に角砂糖を乗せる。

2.角砂糖に火をつける。
(角砂糖にアブサンをしみ込ませてから火をつける場合もある。もっとも、角砂糖に火をつける方法はかなり後になってから普及したようである)。

3.角砂糖が泡立ってきたら、給水器で水をゆっくりとかけて消す。

4.水量が増えるにつれて、徐々にアブサンが白濁してくる。最後に、溶け残っている角砂糖をグラスに落とし、スプーンでかき混ぜる。好みによって氷を加える。

アブサンと水の比率は1:1〜。好みにより水量を増やす。

角砂糖にしみ込ませて食べる。

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rokantaさん