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この記事は私がまとめました

n_SHIKAKUさん

近代小説を中心に、一~三文ほどでその世界にぐっと引き込まれる、魅力的な書き出しをまとめました。文章を書くときや、次に読む本を決める参考にどうぞ。

■登場人物の紹介

これは箱男についての記録である。

八月のある日、男が一人、行方不明になった。

巻末には失踪届もある徹底ぶり。

アリスは、土手の上で、お姉さんのそばにすわっているのが、とても退屈になってきました。おまけに何もすることがないのです。一、二度、お姉さんの読んでいる本をのぞいてみたけれど、その本には、絵もなければ会話もありません。

出典ルイス・キャロル「不思議の国のアリス」福島正美訳

ある朝、グレゴール・ザムザが気がかりな夢から目ざめたとき、自分がベッドの上で一匹の巨大な毒虫に変ってしまっているのに気づいた。

出典フランツ・カフカ「変身」原田義人訳

これはある精神病院の患者、第二十三号が誰にでもしゃべる話である。

もしも君が、ほんとにこの話を聞きたいんならだな、まず、僕がどこで生れたかとか、チャチな幼年時代はどんなだったかとか、僕が生れる前に両親は何をやってたかとか、そういった《デヴィッド・カッパーフィールド》式のくだんないことから聞きたがるかもしれないけどさ、実をいうと僕は、そんなことはしゃべりたくないんだな。

出典J.D.サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」野崎孝訳

山の手線の電車に跳飛ばされて怪我をした。

禅智内供の鼻といえば、池の尾で知らない者はない。長さは五六寸あって上唇の上からあごの下まで下っている。

僕(二十六歳)は、女をひとり、殺したことがあるんです。実にあっけなく、殺してしまいました。

出典太宰治「女類」

■状況の説明

「おい、地獄さ行ぐんだで!」
二人はデッキの手すりに寄りかかって、かたつむりが背伸びをしたように延びて、海を抱え込んでいる函館の街を見ていた。

一八六〇年三月九日の夜、海に覆いかぶさった雲のために、数メートル先は、何も見えなかった。

出典ヴェルヌ「十五少年漂流記」石川湧訳

NHKテレビのニュースを見ていると、だしぬけにアナウンサーがおれのことを喋りはじめたのでびっくりした。

きょう、ママンが死んだ。もしかすると、昨日かもしれないが、私にはわからない。

■格言・名言・うわさ話

山路を登りながら、こう考えた。
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。

いろいろなところで見かける名書き出しですね。

幸福な家庭はどれも似たものだが、不幸な家庭はいずれもそれぞれに不幸なものである。

出典トルストイ「アンナ・カレーニナ」

僕がまだ年若く、心に傷を負いやすかったころ、父親がひとつ忠告を与えてくれた。その言葉について僕は、ことあるごとに考えをめぐらせてきた。
「誰かのことを批判したくなったときには、こう考えるようにするんだよ」と父は言った。「世間のすべての人が、お前のように恵まれた条件を与えられたわけではないのだと」

出典フィッツジェラルド「グレート・ギャツビー」村上春樹訳

何にもまして重要だというものごとは、何にもまして口に出して言いにくいものだ。

出典スティーヴン・キング「スタンド・バイ・ミー」山田順子訳

桜の樹の下には死体が埋まっている!

出典梶井基次郎「桜の樹の下には」

桜の花が咲くと人々は酒をぶらさげたり団子をたべて花の下を歩いて絶景だの春ランマンだのと浮かれて陽気になりますが、これは嘘です。

ある特定の個人を書こうと思って書き始めると、いつの間にか、一つのタイプを創り出していることに気が付くが、反対にあるタイプの人物像を描き出そうとすると、できあがったものは、無というか空というか、何一つ創り出されていないことに気が付く。

出典フィツジェラルド「金持ちの御曹司」野崎孝訳

世の中でいちばん馬鹿ばかしいものは、二つあって、一つは兵隊、もう一つは恋愛だと思うな。だから、兵隊の恋愛というのは、これはもう、馬鹿ばかしさの極致みたいなもんだ。

出典丸谷才一「贈り物」

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