1. まとめトップ

この記事は私がまとめました

suzuzuruさん

「月の光」は初年期のドビュッシーの秀作といわれ、曲の完成度の高さ、美しさはさることながら、一瞬たりとも違和感を与えずに情感豊かに仕上がっています。

「音楽には、もはやどんな流派もない。今日の音楽家が第一に努力すべきは外部からの影響を避けることだ」

1908年 ドビュッシーの言葉

習作を除けばドビュッシー最初のピアノ曲で、1888に作曲されたと推定される。そこには既にドビュッシー独特の音楽の予感が感じられるが、まだロマン派の影響も残っている。‘アラベスク’とはアラビア風とか唐草模様を意味する言葉で、この曲もどこか視覚的なイメージを秘めている。3連符を多用したアルペジオ、和声の繊細な使用など、演奏平易な小品の割に個性的な部分が多く、若きドビュッシーの並々ならぬ作曲技量が窺い知れる小品でもある。

『芸術とは最も美しい嘘のことである。』

ドビュッシーの言葉

ドビュッシーは少年の頃、一日中椅子に座って考え事にふけるような、一風変わった子供だったようです。
彼の根底にあるそうした部分が、作曲家になってからも独特の音楽となって表れていたのかもしれません。

この曲は、ジャン・アントワーヌ・ヴァトーの作品「シテール島への船出」の影響を受けているという。シテール島は、エーゲ海、クレタ島の北西にある島で、神話では愛の女神ヴィーナスの島とされている。
一説によれば、ドビュッシーがバルダック夫人と婚前旅行へ出かけたイギリスのジャージー島での愛の日々が反映されているとの指摘もあるが、定かではないようだ。

『音楽とは、堅苦しく伝統的な「形式」には、本質的に収まらないものだ。
音楽とは、「色彩」と「律動のある時間の流れ」によって構成されるものだ。』

(1907年の友人ジャック・デュラン宛の書簡から一部抜粋)

第1曲: 小舟にて

小舟に寄ってくる河畔のさざ波を思わせるような分散和音(アルペジオ)に乗って、舟歌風(バッカロール)の主題を演奏します。
中間部の後半ではごく短い間だけ短調に転じて一瞬不安に駆られますが、それもすぐに転じて主題の再現で明るく締めくくられます。

第2曲: 行列
子供達が飛び跳ねながら可愛らしく行進する情景が描かれています。
途中には子供達が騒ぎ出す様子なのでしょうか、旋律を繰り返しつつにぎやかに盛り上がる部分や、その逆に叙情的なまでに静かな部分が対比として現れます。
最後は、再び「可愛らしい行進」の主題がにぎやかに再現され、全曲の終わりを思わせるほど力強く締めくくられます。

第3曲: メヌエット

このメヌエットの旋律は、モーツァルトやハイドンが交響曲の中で用いたそれよりももっと古風でシンプルな感じをにおわせますが、その一方で、かつてルイ14世が好んで踊ったという宮廷舞曲の優雅さも感じさせます。
このような旋律を聴くと、本当にドビュッシーが自分より約200年前のルイ14世の優雅な治世に思いを馳せながら作曲したような気がします。

第4曲: バレエ

最初のうきうきするような主題は、「バレエ」(踊り)というより「馬車の行進」を思わせるような2拍子の音楽となっています。
穏やかに演奏される中間部は3拍子のワルツ(円舞曲)となっており、こちらの方が舞曲らしい感じをにおわせますが、この旋律は長続きせず、短い経過部を経てすぐに2拍子の主題部が再現され、これも(第2曲と同様に)主題の断片を繰り返しながら力強く締めくくられます。
この曲には、さりげなく古典的な教会旋法や全音音階など、後にドビュッシーが駆使する音階処理法が使われており、彼の後の作風をにおわせる部分があります。

関連記事

1