晩年に入った黛にとって、左右両翼の政治闘争など何ほどのものだったろうか。彼は1996年という時点で、もっと大きな思想に目覚めていたようだ。彼が『古事記』の制作を通じて得たかったものは、そうした小競り合いにはまったく還元し得ないような、我々、日本人の生きる原理であった。あるいは、「日本人の」という限定をつける必要はないかもしれない。人間が人間としてあるために大切にしなければならない原理・・・つまりは太古の精神を、日本の神々にまつわる物語のなかで描き上げようとした。神話の世界においては、洋の東西にかかわらず、それほど遠い発想で隔

出典黛敏郎 歌劇『古事記』 東京文化会館50周年記念フェスティバル …

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プレミアムシアター歌劇「古事記」黛敏郎

チャンネル:BSプレミアム放送日: 2012年3月10日(土)

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