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聴いたことにするマイルス

まあ、聞いてくれ マイルスデイビス自叙伝まあ、聞いてくれ。オレの人生で最高の瞬間は、・・・

更新日: 2017年10月01日

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twcritiqueさん

まあ、聞いてくれ。オレの人生で最高の瞬間は、・・・セックス以外のことだが、それはディズとバードが一緒に演奏しているのを初めて聞いた時だった。ちゃんと覚えている、1944年、ミズリー州セントルイスだ。
当時のバードのソロは、八小節だったが、その中で奴がやったことといったらなかった。いまだに信じられないことだった。奴が吹き始めると、みんなカスんでしまうんだ。オレが演奏を忘れたみたいに、他の連中もバードに聞き惚れていた。だから、みんなよく自分のパートに出遅れていたのをおぼえている。みんな、ポカーンと大きな口を開けてステージに突っ立っていた。あの頃から、バードはものすご音楽をやっていたんだ。

初めてディズとバードを聴いた、1944年のあの夜のフィーリング、あれが欲しい。もう少しというところまでいったことはあるが、いつもあとちょっとだ。近いところまではいくなんだ、でもやっぱり違う。それでもオレは、毎日演奏する音楽に、あれを求めている、もう一度あの体験を味わおうとしている。あのときの音を聴こう、感じようと求め続けている。

マイルス・デイビス

オレが初めてコカインをやったのは、”B”のバンドにいた時だ。オレの横に座っていたホバートドットソンが教えてくれた。ニューヨークに帰る途中で、デトロイトにいる時だった。彼が、とびきりのをくれたんだ。同じ頃ヘロインもやりだしたが、こいつを教えてくれたのはジーンアモンズだった。初めてコカインを吸った時のことは、よく覚えている。そのときは、それがなんだか知らなかったが、突然すべてが明るくなって、めちゃくちゃ元気が出てきたって感じだった。ヘロインのほうは、うとうとして、何がどうなったのかよくわからなかった。なんとも奇妙な感じだった。ものすごくリラックスした気分になるんだ、これが。当時はみんな、ヘロインをやればバードみたいにすごいことができると思い込んでいた。だがオレの場合は、ただひたすらバードみたいな閃きを待ち続けるだけだった。それにしても、ヘロインやコカインに足を突っ込んだのは大きな間違いだった。

マッコイはタッチっていうものを持っていなかった。わかるだろう?なんにもないんだ。彼がジョンとプレイするやり方っていうのは、ただ伴奏しているだけで、すぐに単調になってしまう。俺はトレーンがどんなふうにプレイしたかっていうそのやり方がわかる。もし、そこに長い間ただ座っているだけだと、それは単調なものになってしまう、そんなやり方なんだ。
俺はモードの中でそれをそのままプレイするやつは好きじゃないんだ。
俺たちはモードがひとつのスタイルだから使っただけなんだ。すると、そのなかですべての組み合わせをプレイすることができる。コルトレーンのやりかたでプレイできる奴がいるかい?誰ができる?コルトレーンはモードの中ですべてのことを演奏した。わかるだろう、マッコイはそのまわりでバンバンやっていただけだ。俺はそれが我慢できなかった。

それはまさにひとつのスタイルなんだけれども、トレーンだけは、モードをいきいきとしたものにすることができたんだ。彼らがこんなのをやるとき(「マイフェイバリットシングス」の一節をハミングで歌いながら)これってなんだっけ?(「マイフェイバリットシングス」?)そうそう。トレーンだけはこれがプレイできたんだ。彼のプレイに影響されて、俺もやったことがある何かがここにはあるな。俺は彼によくコードのセットで吹けって渡したもんだよ。1、2小節の中に三個五個六個のコードがセットされている。彼はいつだってそれをこなしてしまうもんだから。

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