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マイルス・デイビスのトランペットはいつ頃から「泣く」ようになったのか検証

マイルスのトランペットは本当に「泣く」のです。晩年、“Time After Time”や“Amandla”“Mr. Pastorius”などでみせた強烈な「泣き」は、とくに印象深いものがありました。いったい、マイルスのトランペットは、いつ頃からそんなふうに「泣く」ようになったのでしょうか?

更新日: 2013年01月09日

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まずは聴いてください。この強烈な「泣き」を(特に後半)。

すごいですね。どうすればこんな演奏ができるのでしょうか?
このトランペットの「泣き」を、乱暴と思われるかもしれませんが、とりあえず、次のように定義してみたいと思います。

1.ミュートをはずす(オープン・トランペットで吹く)。
2.4分の1音階以下のレベルで、ピッチをずらしたり、揺らす(フェイクする)。
3.意図的に音を(コードから)はずす。
4.ロング・トーン(ひとつの音を伸ばす)を入れる。

ただしもちろん、この4つをマネすれば、誰にでも同じように「泣く」ことができるということではなく、こんな「泣き」は、やっぱりマイルスにしかできません。

レコーディング・デビューは1945年4月。18歳11ヶ月のとき。

マイルスは最初、天下のチャーリー・パーカー・バンドで活動する。まだ17歳の若造のときのこと。その後、自分のリーダー作としての初レコーディングをするのが1945年のことで、マイルスの評価を固めたアルバム「クールの誕生」は1949年の作品である。

バップからモードへ。

マイルスはジャズの革新者です。バップ全盛の時代から、モードの時代を切り拓いていきます。ジョン・コルトレーン、ビル・エヴァンス、ウェイン・ショーター、ハービー・ハンコック、ロン・カーター…、いまも活躍するようなジャズ界の大御所たちを育てながら、その後のエレキ・ジャズの時代にいたるまで、マイルスがずっと前進し続けたのは、ジュリアード時代から培ってきた音楽的な資質と、なによりも独自の「音」によるものでした

「泣き」がいつから始まるのかを検証。

マイルスの晩年については、“Time After Time”などのライブでみせた強烈な「泣き」が記憶に残っていますが、かつての、黄金時代の若きマイルスはもっと正確で、クールな演奏をしていたような印象があります。果たしてそのとおりだったのでしょうか?

“Blue”と“Siesta”

その前にもう一度、晩年のマイルスの音源をふたつ聴いてください。
アルバム「Aura」の“Blue”と、マーカス・ミラーのオーケストレーションに合わせた“Siesta”。

ゾクゾクするほどに泣いてますね。
でも、これで、思い出したことがあります。そうです。ギル・エバンスのオーケストレーションものです。「ポーギーとべス」(1958)や「スケッチ・オブ・スペイン」(1960)。それから、エレキ時代では「ビッチェズ・ブリュー」(1969)とか。
そっちも聴いてみましょう。

“Quiet Night”と“Sanctuary”

“Once Upon A Summertime”は「Quiet Night」より、ギルのオーケストレーションもの。そして“Sanctuary”は、ご存知「ビッチェズ・ブリュー」よりです。

あ、こっちも泣いてます。ゾクゾクするくらいに。
そうか。マイルスのラッパは、昔から泣いていたんですね。そうすると、もっと前の時代が気になります。どうだったのでしょうか?

“My Funny Valentine”と“So What”

“My Funny Valentine”は1964年のライブで。ふたつめの“So What”他は、1959年のライブです。とくにこの「cool jazz sound」のライブ映像は超クールなので、どうかお見逃し泣く(なく)。

そうか。マイルスは、ほとんど初期の頃から、自分の「音」を追及していて、リーダー作を発表するようになってからは、最初から「泣いて」いたんですね。
晩年のマイルスの「泣き」が、とくに印象的なのは、新しい演奏スタイルにマイルス独自の「泣き」が融合することで、もっと目立ってしまっていたのかもしれません。また、マイルスも年を取って、よりベタな、というか、自由な感情表現ができるようになっていた、ということもあったでしょう。
ともかく、マイルスのトランペットは、ほぼ初期の頃から「泣いて」いた、ということが検証されました。楽しかったですね。

では最後にもう一度、“Mr. Pastorius”で、マイルスの「泣き」を確認しましょう。

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