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【アイデアは】宮本茂・岩田聡の発言考察【ロジカルに】

宮本茂氏と岩田聡氏の発言から、感じる所があったものだけをピックアップし、自分の考察を書き連ねています。記事は全てほぼ日刊からの引用です。http://www.1101.com/iwata/index.html

更新日: 2012年07月03日

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この記事は私がまとめました

phanさん

▼アイデアとは何か

つまり、宮本さんによれば、
「アイデアというのは
複数の問題を一気に解決するものである」
ということなんですが……

ゲームの歴史上最も発明的だったのは、
時のオカリナにおける「Z注目」だと個人的には思っていますが、
カメラワークの問題、操作性のジレンマを同時に解決してる上、
注目対象との決闘感を煽ることにも成功しています。
こういうものは大なり小なり創作をしていると生じるもので、
それを宮本茂氏は「アイデア」と呼んでいるのでしょう。

▼プロダクトデザイン

どんなものでもそうだと思うんですけど、
なにかをつくるときって、
「あちらを立てればこちらが立たず」
という問題がつねにあるわけです。

全部を立てようとするのは厳密には理想論です。
例えばライトゲーマーからヘビーゲーマーまで誰一人残さず
面白いと感じてもらえるゲーム造りなんて、土台不可能です。
但し「絞られた目標の中で如何に穴をなくすか」という視点で言えば、
穴の数は少なければ少ないほどいいでしょう。それが「商品」です。

▼アイデアへのフォーカス

そういったことに対して、
「これは、こうだから、こうしたらいいんです」
って、ひとつだけ改善したとしても
全体を前進させることはできない。

これには少し異論があって、
悩みに悩み抜いた挙句の起死回生がアイデアだとすれば、
一つ一つの提案(悩み)は全体の改善に繋がっています。
「悩む」ということは「フォーカスする」ということであり、
「アイデアが出る」というのは「完璧にフォーカスする」ということであり、
そこまで行って初めてアイデアを直観できる訳ですから、そう考えると
湧いて出るようなインスピレーションというのが如何に嘘かが分かる筈です。
つまり、「悩む」と「迷う」は違うのです。

▼アイデア=涅槃の境地

でも、ときどき、たったひとつのことをすると、
あっちもよくなって、こっちもよくなって、
さらに予想もしなかった問題まで解決する、
というときがあるんですよ。

これがアイデアが出る瞬間ですが、
「悩む」というのは「迷わない方向へ行く」ということであり、
逆に考えれば「迷っている間は悩んでいない証拠」であり、
そういう創作は思考範囲を広く取り過ぎているのです。
如何に狭く悩めるか、如何に迷いを断てるか、
それが最後に「悩まなくなる瞬間=アイデア」に至るのであり、
大袈裟に言えばある意味で仏教の「涅槃」に近いと思います。

▼カタルシスを繰り返す

ひとつ思いついたことによって、
これがうまくいく、あれもうまくいく‥‥。
それが「いいアイデア」であって、
そういうものを見つけることこそが、
全体を前進させ、ゴールへ近づけていく。

「悩み抜く行為」が「悩まなくなる瞬間」に至ると、
そこから一時的に流れ作業というか、自動書記的な状態になります。
それが一段落するとまた次の山場に差し掛かり、悩みが始まる訳で、
この「悩み始める→悩まなくなる」のカタルシスを何回取得できるかが
作品の質に大きく関わってきます。創作者に悩みは尽きないものです。

▼プロフェッショナルの弱点は「似てくること」

わかりきったことをしているうちは、
ほかの人と同じ方法で進んでいくだけですから
競争力がないんですよ。

これが「悩み始めの選択肢」です。
あるいはプロフェッショナルの選択肢と言い換えてもいいかもしれず、
プロは割と堅実に悩めるのですが、悩み「抜かない」と結局は他のプロと同一化してしまいます。
「何もかもを想像する」のがアマチュアだとすれば、
「悩ましい想像しかできない」のがプロであり、
しかしどこの創作料理店も「ある一線」まではメニューが似通ってくるでしょう。
即ち他人と同じ程度に悩んでいる間はクリティカルな答に辿り着けないのであり、
岩田聡氏的に言えば「単一の(あるいは小さな)解決」にしかならないのです。

▼「一つ一つの選択」よりも「二つ三つの選抜」を

でも、これとこれを組み合わせると
こういうことが起こるぞ、
っていうのを見つけたときは、
それがふつうの人が
気づいてない切り口であればあるほど、
価値が出てくる。

クリティカルなアイデアというのは複合的なものです。
即ち一つ一つ答を確定させるのではなく、
何らかの一纏まりとして一気に答を確定させること、それがインスピレーションであり、
一つ一つがアイデアになるのであればそれは最初からアクセスできるんです。
アイデアというのは問題に対して「見事に噛み合う」ということですから、
一つ一つでは論外なものも、一纏まりで見れば綺麗に噛み合う時があり、
それが「最初(一つ一つで見ている時)は気付けなかった素晴らしさ」ということです。
そして複合的だからこそ辿り着くのは難しいし、辿り着いた時には価値があるのです。

▼悩むことが本質をフォーカスする

問題となっている事象の根源を辿っていくと、
いくつもの別の症状に見える問題が
じつは根っこでつながってることがあったり、
ひとつを変えると、
一見つながりが見えなかった
別のところにも影響があって、
いろんな問題がいっしょになくなったりする。

これは「悩む」という行為の真骨頂ですね。
このような洞察はアイデアへの前提と言えると思いますし、
ロジックを徹底した果てに宿るイロジカルなものこそがアイデアだと言えます。
最初からイロジカルなもの、一般的な意味で言われるインスピレーション(天啓)に
アクセスしようとする行為は、バカバカしいものです。そんなものは「迷うだけ」です。

▼クリエイターの打率

宮本さんって、
「こうやったら、こうなるはずや」
っていうふうにつくって、
もちろんその時点で、ほかの人よりは
はるかに打率が高いんですけど、
神様じゃないので、それなりに間違うんです。

ちょっと引用元と論点は違うのですが、この打率は「悩んだ場数」で決まります。
そしてプロの打率を確保する為には、「如何に狭く悩めるか」の才能を高めなければいけません。
上述したように思考範囲を広く取り過ぎている間は「上手く悩めていない」に過ぎず、
フォーカスを狭めていった果ての完璧なフォーカスをどれだけ取れるか、
その場数で打率は決まってくる訳です。

▼独創性を普遍性に

だから、宮本さんは、自分がどんなに
実績のあるゲームデザイナーであろうと、
「お客さんがわからなかったものは
自分が間違ってる」
というところから入るんですよ。

これは完全には同意できませんが、すごく謙虚だと思います。
僕なんかは「分からなくてもいい」派なので、
一部の人間にだけ評価されればそれでいいとか考えるのですが、
「本物は普遍的にならざるを得ない」という考えも一方であって、
その手前でゴチャゴチャ言ってる間はまだ素人なのかなと。

▼エゴは創作者の羅針盤

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