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マクドナルド(原田)改革からビジネスを考える

プロの経営者として評価の高い原田氏の手がけた改革の中身に迫ってみた。批判も日増しに増えているが、常識を覆すその手法によって傾いた大企業を立て直したその手腕。冷静に、学びのヒントを見つけてみよう

更新日: 2015年05月29日

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▼【2015年】マクドナルドの危機は、ついに極まれり?

日本マクドナルドHDの業績は2011年度をピークに2期連続で減収減益。一時は、直営にFCを加えた「全店売上高」が外食業界断トツの5000億円の大台を突破するが(2014年度は4463億円)、今や原田改革前夜の水準をさらに下回ってしまった。また、急速なFC化に舵を切っていたため、連結業績は見る影もない(04年3000億円→14年2200億円)。性急なFC化は他方で、サービスの低迷をも招いている。後継のカサノバ氏はファミリー重視の原点回帰を打ち出しているが、つまりは原田路線の否定とも取れる手を打っていることになる

2014年度の赤字決算は1973年以来41年ぶり、上場以来初となる。「使用期限切れ鶏肉問題」が日本マクドナルドの業績に多大なダメージを及ぼしていることは事実である。しかし、日本マクドナルドの業績をみると、売上高のピークは2008年度(4,064億円)、営業利益のピークは2011年度(282億円)。むしろ、マイナストレンドがもともとあって、そこに「使用期限切れ鶏肉問題」が追い打ちをかけた、とみるべきである

【マクドナルド低迷の原因】
1)価格戦略の迷走?
2)自ら仕掛けた「本格コーヒー競争」でコンビニに敗北?
3)FC化、戦略的閉店が裏目?

日本マクドナルドは、2014年通期連結決算で、過去最大となる218億円の赤字(連結当期純利益)を計上した。藤田・原田両時代の経営を詳細に分析した小川孔輔氏の観点は次の通りだ。
1)性急すぎたFC化、
2)短期的なマーケティング施策、さらには
3)日本の構造的な問題「少子高齢化」
ハンバーガーのような高カロリーの食べ物を好んで摂取する若年層が激減し、多くの企業は、シニア層をターゲットとせざるをえない。コンビニは、「シニアシフト」に成功している。ところが、原田改革のヒット商品とは、「メガマック」など米国の焼き直しだった

▼マクドナルドの凋落は時代の必然?それとも旧CEOの「原田が悪い」のか

原田氏は2004年から日本マクドナルドの立て直しに貢献し、昨年退任する直前、再び業績を悪化させている。一時は原田マジックなどと神話のように語られたかと思うと、今度は一転、現場を疲弊させたなどと激しい批判が寄せられている。しかし、原田氏がやった中身自体に、問題があったわけではない。体力のないフランチャイズ店の入れ替えを行った。価格戦略を根本的に見直し、客単価を引き上げた。これらにプラスした施策の成功が問われている

マックの「粗利」は10%以下:
一等地に大きな店舗を構え、CMを多数流し、オリンピックのスポンサーには必ず名を連ねるなど、(そもそも儲かりにくく)今まで赤字にならなかった方が奇跡だ。
1)(粗利率の高い)フランチャイズ化は正しかった。
2)一等地に店舗を構えていることが多く、24時間営業は正しい。
3)(同記事筆者の改善策は)持ち帰り客を増やす。

【まとめ編者】原田改革を否定的に書く記事にあふれている。誉めるときは極端に、けなすときも(あたかも最初からそうであったかのように)徹底するメディア。最も軽薄だろう。すべてが正しかったとは思わないが、FC化には利や理もあり、マックが便利になっていくのにも賛成だった。強いていえば、突然始めたスピード提供あたりから、原田氏の政策に疑問を感じたくらい。彼らしい逆バリだったはずだが、裏目に出てしまった。モバイルアプリもただのクーポンだけだったので、結局、使うのをやめてしまった。原田改革はいずれにしても、いい教材だと思う

故藤田田氏が会長を退いた直後、原田氏は次々と攻めの姿勢の改革に取り組み、結果を残したことで「カリスマ経営者」ともてはやされた。2012年以降は一転して業績は悪化。米国流の合理的な経営により、収益につながらないサービスは顧客に好評であっても削った。しかし、その影で、従来築いてきた顧客との関係まで捨ててしまっていたと指摘する声もある。いわゆる、顧客との接点である現場を軽視しすぎたことが、今日の、取り返しのつかない事態を招いてしまったというのだ

▼マクドナルド=「賞味期限切れのビジネスモデル」という著書と議論してみる

原田社長(当時)「当社はあくまでアメリカをアイデンティとする企業。日本独自の手法で運営していた部分が多分にあり、以前は成長の足かせになっていた」。2010年ごろを境に、日本マクドナルドのCSは低下した。店舗運営が「超高回転経営」に切り替わり、店舗で必要なサービスに手が回らなくなってしまった

メニュー表の撤去、60秒サービスなど、原田体制の後半に導入された施策には、疑問を持たざるをえない。こだわりのメニューも含め、アメリカ本社の施策やその原点を反映させたものが多い。これは、原田体制の前に絶対的な存在感をもった藤田氏の経営方針(駅前出店、直営店中心、社員好待遇)を否定するものだった。特に、FC重視への転換という決断は、原田氏が本国アメリカに学んだ上でのものだった

【まとめ編者】業績が好調のとき、評論家やメディアはこぞって、成功の要因を後付けする。業績がひとたび不調になると、前言を撤回し、「好調の裏に潜んでいた闇」などと悪評を連ねる。それゆえに、時として、外部の評価はいい加減なものだ。それはさておき、原田氏の果敢な取組みは、確かに、トップダウン型に偏ったところがあり、業績の悪化とともに、従業員やパートナーから一斉に悪口を言われる状況にはなっていたようだ。改革を悪しざまに言う場合、たいていは「現場との乖離」などの表現が用いられる

初期の原田改革は、
1)ブランド力の回復(価格訴求からの脱却)
2)店舗効率の改善(増えすぎたサテライト店の縮小)
3)商品の品質向上(最新設備の積極導入)

前経営者の藤田氏が成功をおさめたのは、マクドナルドの徹底的な日本化にあったろう。他方、原田氏は、グローバル経営への回帰を実施した。原田氏はさらに、藤田氏の温情主義を廃し、早期退職者を募集している。FC化も、言ってみれば、血の入れ替えのようなもので、原田改革の後押しとなった。そこに、プレミアムコーヒーの成功や「e-クーポン」の導入によって、業績はピークを迎える

評判の悪かった「60秒サービス」。実は、長い構想と実験期間を経て全店への実行に移したものだった。しかもその目的は、応対件数の向上や待ち時間のストレス緩和があった。これも人材を鍛える一貫のつもりだったはずだ。実際、原田改革は成果を上げていた。過剰な安売りで債務超過50億円まで失墜したマクドナルドの業績とブランドイメージの建て直しに奔走し、8年連続で前年比プラスの売上を達成していた。今となっては批判ばかりにさらされるが、慎重かつ大胆な経営者としての評価は必ずしも揺らぐものではないだろう

【まとめ編者】プロの経営者として、Macから転身した原田氏の改革は、ほぼ、理想的なものだった。地に落ちていたブランド価値を見事に立て直し、メディアからも常に注目のあたるような仕掛けを続けた。これら原田氏の功績は否定される余地はない。特に、アメリカ本社から見たとき、従来、何ともならなかった日本市場をようやく掌握できるチャンスだっただけに、日本に「親米政権」を打ち立てる意味でも、原田氏という人選、そして彼の方向性はおそらくベストだったに違いない

マクドナルドにとってすべての土台となるのが「QSC &メイドフォー・ユー」であり、原田氏が就任後先ず最初に着手した。そして100円メニューで客数を広げ、新メニューには単価アップの目的を与え、徐々に会社を回復軌道へと戻していった。その間も、24時間営業の展開をはさむなどしつつ、
1)客数アップ
2)単価アップ
3)利益率向上
の三つをバランスよく実施していった。もちろん、時には価格体系をいじりながら、利益率の確保を狙ったし、また、原田時代には、地域別価格も実施にもっていった

マクドナルドのサプライヤー「上海福喜食品有限公司」が使用期限切れの鶏肉を混入させたことから始まった転落の道。好転の兆しが現れてきた客単価も一気にマイナス基調へ転じた。ただ、今のマクドナルドは、勝利の方程式にヒビが入り始めていたのも事実だ。「低価格商品で集客し、高価格帯商品に誘導、利益を取っていくというのが“原田マジック”」と喝采を浴びていたが、FC化の影響がボディーブローのように効いてきたり、プレミアムコーヒーでコンビニに競り敗れたりと。やることなすことうまくいかない。それでメディアからは「出口なき」「迷走」と叩かれている

原田改革の経営戦略の失敗とは
1)度重なる値上げで、値頃感が喪失した
2)コンビニの商品開発力が急激に増えている
3)マーケティング施策が一貫性を失った

マクドナルドの長期凋落は、これまで短期的かつ小手先のマーケティング施策のツケだったと言えるかもしれない。手が回らなくなった店内で、清潔度はどんどん悪化し、クルーの疲弊やモチベーション低下を招いた。この循環は、藤田氏の末期とまったく同じである

【まとめ編者】改革の加減は、本当に難しい。うまくいっている間に次の危機が醸成されるとは言うが、なかなかそれが意識化できるものではない。QSCを回復させ、効率化に取り組むのも決して間違いではない。ただ、その前提には、人材をコントロールできていることが肝だ。値上げ路線も同じ。消費者心理の上限を越えてはならない。600円を越えた当たりから、多くの人もためらうようになっていったのではないか。それにしても、平日午後の時間を満たしてくれるファミリー向けに対しては、この数年、施策が不十分だったとは思う

【まとめ編者】グローバル統一ブランド戦略を採用している企業が陥りやすい罠。それがマクドナルドにもあてはまった。原田体制末期、バタバタと本部主導で何やら打ち出すが、確かに、困惑を増長するような内容だったことは否めない。ブランドとしての「統一性」は大事だが、FC化にともなう各店舗の自由度や自主性が生まれる前に、マクドナルドの凋落が始まってしまったのは計算外だったろう

【2014年度】▼直近の悲惨な決算

出典nmbr.jp

【まとめ編者】戦後の日本マクドナルドの飛躍を牽引した藤田田氏が退任(2002年度末)。原田泳幸氏がCEOを継承し、復活をかけて、グローバル化(世界戦略との同期)を掲げた。業績は見事底を打ち、反転攻勢が始まった。その象徴が「メガマック」だった。そして、プレミアムコーヒーを投入し、「マックカフェ」路線を本格化させた。しかし、ここら当たりから雲行きが怪しくなっていく。カフェ路線自体は数字上成長していたので、そこに潜在化した問題を直視することはなかった

【2014年度】▼この数年の、「マクドナルドの失敗」を報道するメディア

マクドナルドは世界3万6000カ所で、1日に約7000万人の顧客にサービスを提供し、外食産業の年間売上高で圧倒的な強さを誇る(2014年の売上高は274億ドル=約3.3兆円)。しかしマクドナルドは、米国に肥満をまん延させた張本人のように扱われてきた。「安全な食品添加物」をいち早く減らし始めているにも関わらず、それを自慢気に言えるわけでもない。低賃金労働問題や慈善事業への取り組みが少ないことなど、批判や悪口が悪循環のように積み上がっていく

11年ぶりの赤字で、昨年からの期限切れ鶏肉使用問題や異物混入事件による影響が明らかになった。食品の品質問題に非常に敏感に反応する日本で、フランチャイズにサポートを提供するなど、早急かつ徹底した対応が求められるはずだ。品質向上、メニュー見直し、店舗改装など課題が山積する。とりわけ日本の場合、米国本社との見解の乖離を埋められず、対応が後手に回っている

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