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この記事は私がまとめました

発酵食品を自分で作る際、レシピごとに指示がばらばらで迷うことがあると思います。また、「もっと楽な作り方」「もっとしっかり発酵させる方法」を自分で模索したくなったりすることも。

 そんなとき、「菌の生態」を知っていれば、「菌の生存・繁殖に適した環境を再現する」「発酵菌以外の雑菌を繁殖させない」「酵素が最もよく働く環境をつくる」などの観点で、発酵食品づくりを工夫していくことができますね。

今回は、発酵菌のひとつ「コウジカビ菌」の生存に適した条件についてまとめます。麹発酵の参考にどうぞ。

コウジカビの生存・繁殖に適した条件

▽温度

麹菌の生育可能温度は0℃~40℃。生育・繁殖に最適な温度は25℃~28℃。

0℃を下回ると水が氷結してしまうため、生育に水分を必要とする菌は生育できない。40℃を超えるとタンパク質が破壊されるため菌は死んでしまう。

なお、菌そのものは0℃~40℃の温度域でしか生きられないが、コウジカビの胞子は水中で65℃(50分)まで、乾燥状態でなら120℃(60~120分)まで耐える。そのため、生育条件が揃っていれば、菌が死滅した後でも、温度が下がってから再び菌が増殖できる。

発酵食品を作る際、菌を死なせたくなければこの温度帯から外れないよう目安とすればいいということになる。

※なお、甘酒作りの場合、50℃~60℃という比較的高温での発酵が一般的だが、この温度帯では麹菌はとっくに死滅している。甘酒作りの発酵に関与しているのは麹菌ではなく、麹菌が生産してくれた酵素(アミラーゼ)である。アミラーゼがデンプンを糖分に分解する上で最も活発に働く温度が50℃~60℃。ちなみにこれ以上温度が上がると酵素も破壊されてしまう。

どことはいわないが、生麹を売ってる企業の公式サイトのレシピであっても、どういうわけか「菌が死ぬ温度で」塩麹や醤油麹を作るよう指示しているものがある。酵素は生き残っているので、「…なんとなく甘くなったかな?」などの変化を感じることはできるが、高温作りではコウジカビ菌は死んでいる。
 発酵調味料を作る人の多くは、「菌の力で魚や肉や野菜を美味しくしよう」ともくろんでいるはずなので、菌を殺してしまう作り方になっていないか注意が必要。
 また、菌が生きていないと、「発酵菌が他の菌を寄せ付けない」という働きが失われるため、塩麹や醤油麹自体の保存期間も短くなる。

 なお、当該企業のレシピを添付し、加熱によって菌が死んでも調味料として使えるのか、菌の胞子が高温に耐えて生き残っていれば、製造過程で菌が死んでも、作り終わった後で菌が増殖するか、という内容で別の複数の企業に問い合わせてみた。
 今日までに得た返事で「その作り方では、甘酒に醤油や塩を入れているようなものです。塩麹・醤油麹としてはおいしくありません」「麹の菌が死んでいるので、お料理に使っても、菌が食品を分解しおいしくする力を発揮できません」「(麹菌の死滅した麹調味料を冷蔵庫で保管しても)胞子がうまく発芽してくれるとは限りません」「胞子から発酵菌が増殖する前に、雑菌が繁殖して腐る恐れがあります」「急いでいて、味や栄養分や機能にこだわらない場合でない限り、菌が死なない作り方でゆっくり作ってください」などの返答を得られた。


 企業のレシピであっても、「この作り方は自分の目的にあっているか?」と検証して利用した方がよいと思われる。

▽空気の成分

麹菌(というか、カビ)は好気性。生育には酸素が必要。

好気性とは、「化合物からエネルギーを得るために、酸素を取りいれて二酸化炭素を出す」好気的呼吸を行う性質のこと。呼吸には、酸素を使わないでエネルギーを得る呼吸(嫌気的呼吸)もある。

 一般に好気性と分類される菌には、「酸素がないと増殖できない」菌と「なくても生育できるが、酸素があった方が好条件」の菌とがいる。カビの仲間は、酸素がないと増殖できない方のタイプ。

低濃度の二酸化炭素は生育を促進するが、濃度が高くなると生育を阻害する。

▽水分

麹菌(カビ)は、水分がないと生育できない。

しかも、自由水(遊離水)と呼ばれる状態の水分でないといけない。すなわちただの水。氷結した水や、結晶水(水に溶かしてある溶質を結晶化させた時、結晶の分子構造・原子配置構造の中に閉じ込められた水)、水素結合水、水和水(大きな分子の構造の中のパーツとして含まれるH2O)など、要するに普段我々が「水」と思っている水以外の水だと、生物には活用できない。

必要とする水分量は、細菌>酵母>カビ。菌の中では、カビは比較的乾燥に耐えると言える。それでもやっぱり水分が全くないとダメ。

黒コウジカビの実験で、水分が少ない環境では胞子の発芽により長く時間がかかることが判明している。

▽塩分

▽塩分

参考

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