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シュワちゃん渾身の自叙伝が「売れてない」? あのジョブスの伝記と、出版社も定価もページ数も同じ!

A・シュワルツェネッガー氏の自叙伝が、アメリカで出版されて10日が経つ【当まとめ 初公開時点】。米国Amazonにおける反応を、ベストセラーになったS・ジョブスの伝記と比較しつつ、勝手に考察してみました。

更新日: 2020年03月05日

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2012年10月1日、シュワ前州知事の自叙伝・・・その名も『トータル・リコール』が出版された【米国】

知事職を退いたシュワちゃんには、離婚裁判などで多額の慰謝料負担などが待ち受ける。自叙伝の版権収入は、その穴を埋める切り札になるだろうか。

発売後10日が経過・・・

米国Amazonでは、すでに1年前のあの「ジョブスの伝記」よりも買い叩かれている。

評価も(ジョブス伝とは違い)絶賛か酷評かに二分されて芳しくない。

これについては「隠れた事情」があるようだ。のちに検証する ──。

実はボディビルダーとして世界の頂点になったとき、(編集者との共作ではあるが)それまでの半生と「ボディビル哲学」を披露している。

この本は(米国Amazonでは)未だにたいへん評価が高く、ボディビル愛好者を中心に読み継がれている。

今回の自叙伝への反響とは対照的だ。

実はこの↓二冊、出版社も判型もページ数も定価も同じ!?

Steve Jobs [Hardcover]
定価:$35.00
実勢(‘12年10月現在):$21.00

ハードカバー: 656 ページ
出版社: Simon & Schuster
第1版 (October 24, 2011)

言語: English
ISBN-10: 1451648537
ISBN-13: 978-1451648539

判型: 9.4 x 6.4 x 1.8 inches

Total Recall: My Unbelievably True Life Story [Hardcover]
定価:$35.00
実勢(‘12年10月現在):$18.98

ハードカバー: 656 ページ
出版社: Simon & Schuster
初版 (October 1, 2012)

言語: English
ISBN-10: 1451662432
ISBN-13: 978-1451662436

判型: 9.4 x 6.4 x 1.8 inches

人間ジョブスと人間シュワルツェネッガーの、共通点と相違点

スティーブ・ジョブス氏は、一貫して「ITアーキテクト」として生きた。人類の生活を新技術でどう変えるべきか、その求道者であり伝道師であった。

十代から咲いた才覚で、そのままイッキに30年余の後生を走り切った「短距離走」型の故人である。

一方、シュワルツェネッガー氏は職業人としての顔を持たず、「皆から崇められる存在」だけを夢見て、ひたすら自己解体と栄華の誇示に挑んだ。

ボディビルダー、ハリウッド俳優、カルフォルニア州知事・・・次々に困難な(他人には登れそうにない)崖を見上げては這い上がる「トライアスロン」型の猛者といえる。

あの「ターミネーター」で注目されたのがアラフォーになってから、である。いかに彼が「人並み外れて不屈の努力家」であるか。「真のプロは、どの世界でもプロになる」の典型とも言えよう。

アメリカのサクセス・ストーリーには「よくある話」であるが、ふたりとも生粋のアメリカ人ではなく「異端児」呼ばわりされた過去を持つ。

スティーブ・ジョブスは、シリア人の学者とアメリカ人の大学院生であった母との間に生まれる。

母親は「ムスリムとの結婚」を家族から許されなかった。そのため彼は私生児さながら、生後すぐにアメリカ人夫婦(ジョブス家)の養子にならざるを得なかったのだ。

一方、アーノルドはオーストリア生まれで、ナチス党員の息子。ボディビルで生計を立てるべく、単身で渡米。1986年に境遇の差を乗り越え、名家の娘(=ケネディ元大統領の姪)であるTVジャーナリストのマリア・シュライヴァーと結婚した。

『トータル・リコール』への悪評を分析してみる

まず第一には、「なぜまた “自叙伝” なのか?」という疑問があろう。

カルフォルニア州知事としての7年を振り返った「回顧録」ではない。もちろん知事生活についても語られるが、大半は「なぜ、オレは州知事の座にまで昇りつめ、これからも何を目指すか」という論旨で綴られる。今さらのよーに、ハリウッド時代の代表作《TOTAL RECALL》をタイトルに借用し、裏表紙にはターミネーターのスチル写真を持ってくる。

語られているのは、「政治家アーノルド」ではない。これでは「カリフォルニア州知事じゃなくても、偉くなれるならナンでも良かったんじゃないのか」という野次が飛んでもオカしくはない。

くだらない。嘘で固め、人を騙して政治家になった。そんな奴から何が学べるというのか

米国Amazonに寄せられた読者評

その一方、この本を支持する読者の感想には「とても motivative だ」と言う意見が多い。

つまり、読めば「やる気が出る」と言うのだ。

筋肉増強のためには薬物漬けになって「世界一のビルダー」に昇りつめ、人のコネに媚びまくって「映画の当たり役」を掴みとり、カネで醜聞をもみ消して「カリフォルニアの首長」にまでなった ── それ自体は「汚い手口」だ。

しかし(言葉を換えれば)「人間、やろうと思えばナンだって出来る」というコトの証しを示されたようにも?感じる。

「キレイごとばかりを言うな。(批判は)彼のようにハングリーになれない自分の「小心さ、度胸の無さ、臆病」をさらけ出すだけだ」と彼らは嘲り返す。

これ見よがしに低評価を付けてる人は、書評が目的なのでなない。単に彼の不倫や不道徳を罵倒したいだけ。中身を読むどころか、最初から買ってもいない人たちだ。人から何かを学び取る気があるなら、この本は入手に値する

米国Amazonに寄せられた読者評

シュワ伝に集まったAmazon評を斜め読みすると、たしかにネガティブ評者の投稿は文章が短い。

本の中の「こういう部分が不快」といった具体的な根拠は示さず、「彼が今、自伝を出すこと」自体に対する「アタマごなしの低評価」ばかりだ。

読みもしないで論評しているとすれば、皮肉なコトに(彼ら投稿者の側こそ)「不正をはたらく無法者たち」という話になるが(苦笑)

平等、公平が「市民の叫び」としてある今、「勝者の自慢話」は疎まれる?

繰り返しになるが……コトほど左様に、映画人としての「名声のオーラ」にカネの力を加えて民衆を惑わし、「好色な不倫知事」としても君臨したシュワルツェネッガー氏に対し、「あの野郎にイイ思いをさせ続けるのは、フェアじゃない!!」と憤る人は少なくない。

「現実はプロとプロの生存競争で、アマチュア競技のようなルールは貫徹しない」ということを認めたくない人たち。「英雄、色を好む」「ヘソから人は別人格」とばかり弱肉強食の世相を笑い飛ばせない人たち。こうした価値観を持つ人は(世界的不況を背景に)増殖の一途であり、「アンチ・シュワ陣営」からの罵声を活気づかせている。

それは奇しくも「ジョブス流の考え」になら共感できる人たちではないか。

(ざっくりとだが)いくつかの対比キーワードを左に並べてみた。※あくまで喩えるなら、であるけれども。

今の時代は、タイプ的にみて「ジョブス派」の人たちが米国の読書人口の多勢を占める。

そのコトによって、今回のシュワ伝が「売れてゆかない」状況が作られているように思う。 【完】

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