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ハリケーン「サンディ」で、ソーシャルメディアで広がった「デマ」と、その対策(※NHKの記事は変です)

NHKで報道があったんですが、そのNHKの記事自体がかなり、何というか……。まあいいや。実例です。

更新日: 2012年11月07日

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この記事は私がまとめました

nofrillsさん

※個人的には、英語でいう rumour (rumor) について「デマ」という日本語を使うことには大きな違和感があるのですが(「デマ」はドイツ語の Demagogie 由来の外来語で、「政治的な目的や煽動のために流す虚偽の情報」の意味)、以下はNHKの用語に順じて、rumor = 「デマ」と機械的に置き換えて訳す箇所があります。

広まった「噂」(…え?)

復旧に向けた動きが本格化するなか、ツイッターなどのソーシャルメディアで「電力会社の社員の制服を着た泥棒が街に暗躍している」とか、「停電の被害を受けた人は全員、食料品の割引サービスを受けられるので情報を広めてほしい」などどいった社会不安にもつながりかねないデマが広がっています。

これ誤訳だと思うんですけど……。「食料品の割引サービス」って、food voucher ですよね。「割引」じゃなくて「引換券」では(food stampの別の表現)。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%BC%E3%83%89%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%97

あと、「泥棒」は「デマ」じゃないと思うんですが……。「注意喚起」は出回っていますが(「制服を着ていてもそれだけで信用して家に入れてはならない」という内容のもの)。確認します。→1時間ほどかかったけど確認しました。

1) 「電力会社の社員の制服を着た泥棒が街に暗躍している」…といったデマ(原文ママ)について

「電力会社の社員の制服を着た泥棒が街に暗躍している」(原文ママ)というのは「デマ」ではないです。(「暗躍」とかいう表現はどうかと思いますが……というかその表現、どこソースよ?)

本当にそういうケースがあるので、ニューヨーク州知事が注意を呼び掛けています。下記に貼りつけます。

NHKの記事書いた人は英語が読めない上に、現地事情についてまったく知らないんじゃないかと思います。(特に災害の時でなくても、「電力会社の者です。点検にうかがいました」と言って家の中に入り、そのときは普通に点検するふりをするほかは何もせずに立ち去るが、実はそれは下見で、後日その家に盗みに入る、というケースがあります。)

Sadly, there are reports of #sandy #scams -- ppl impersonating utility workers. Pls beware: all utility workers carry photo ID

「残念なことに、サンディに関連した詐欺の報告があります。電気会社などの職員を偽って悪事を働く者がいます。電気・ガス・水道関係の職員は全員写真付きのIDを携行しています。それがなければ偽者です」

アンドルー・クオモさんはニューヨーク州の州知事。

Pls beware of #Sandy recovery #scams -- if someone asks to access your hm make sure you check photo ID (all utility wkers carry one)

「サンディのあとの復旧と偽って詐欺を働く事例があります。お気を付けください。家に入らせてくれという人物がいたら、必ず、写真付きのIDをチェックしてください(電気ガス水道関係の職員は全員、写真付きIDを携行しています)」

2) 「食料品の割引サービス」(原文ママ)について

フードスタンプは、簡単に言うと、低所得者が商店で基本的な食糧と引き換えることのできる「金券」(嗜好品はダメ)。例えば「パン」といったら普通のパンはOKで、「有機なんちゃらの天然なんちゃら」のような付加価値のいろいろついたものはダメ、ということになっているそうです。

フードスタンプについてはこちらのブログさんが詳しい目です:
http://news21c.blog.fc2.com/blog-entry-236.html

図は "フードスタンプの実例。(州によって?)様々に形態が異なるようだ"。(かなり古いものに見えますが、「バウチャー」の形式がわかりやすいと思います。)

- 真正な情報

Food stamp credit cards not working in post-Sandy power outage cause "transactions were cash only" @wnyc wny.cc/U0fEe9

NYCでは、この「フードスタンプ」がクレジットカード型のものになっていて、電気がないと読み取れないため、停電している地域では使えない、という報告が、URLの記事にある。

they are going to increas peoples food stamp money by 50% for this month but what good is that if they can't use the card w/o power? #Sandy

オバマ大統領の判断で、「フード・スタンプ」の上限額を50%引き上げることになったが、停電してたらフード・スタンプのカードが使えないのだが、というツッコミ。

- 誤情報

「停電被害者に300ドル分のFEMAからフード・バウチャーが支給される。ここに電話を」というもの。電話番号はFEMAの番号。
http://is.gd/O4LUg2

これ、「目的」があるとしたら業務妨害でしょうね。FEMAつぶしを画策しているロムニー陣営のしわざか!(笑)

※キャプチャ日時は、2012年11月4日、正午ごろ(日本時間)。画像内の2番目と4番目は本件とは関係のないツイート。

「噂」の流布についての連邦政府の対策

アメリカ政府の災害対策を担当するFEMA=連邦緊急事態管理庁は3日、誤った情報の拡散を防ぐ専門の部門を設けて、ホームページや電話で注意を呼びかける対策を始めました。

Twitterでは、@FEMA のアカウントで、"rumor control" としてツイートしています。

(よく読んだら、「電話で注意を呼びかけるって何?」ですね。Sandy関連の問い合わせ専用ダイヤルのことじゃないの? 「デマ」に関する問い合わせ専用ダイアルがあるということは確認できてない)

出典kwout.com

FEMAのウェブサイトに、「サンディ」についての特設ページがあります。
http://www.fema.gov/sandy

その中に、Rumor Controlというコーナーがあります(かなり下の方です。見つけづらかったらページ内検索してください)。

- 具体例

1) FEMAが人員を雇用?

NHK記事ではこの「デマ」がスルーされていますが、これがきっかけでFEMAが動いたようです。つまり、あまりの状況に、連邦政府が動いたということを言いたいなら、この「デマ」が一番重要だと思うんですが……。

(11/2) Rumor Control: @fema is *NOT* hiring clean up crews in South Jersey. fema.gov/sandy #Sandy #SandyNJ #NJ

「(11月2日)デマにご注意を: FEMAは、サウスジャージーで片付けの作業員を募集しては*いません*。ハッシュタグ: ニュージャージー http://www.fema.gov/sandy

(11/3) Rumor Control: @fema is *NOT* hiring clean up crews in #NY or #NJ. Visit: fema.gov/sandy #Sandy

「(11月3日)デマにご注意を: FEMAは、ニューヨークやニュージャージーで片付けの作業員を募集しては*いません*。 http://www.fema.gov/sandy でご確認ください」

(ニュージャージーだけではなくニューヨークについても「FEMAが作業員を募集している」という誤情報が流れていることで、FEMAが情報をアップデートしたのでしょう)

November 2: There is a spike of traffic related to FEMA hiring cleanup crews in both New York and New Jersey. This is FALSE. For information on how you can volunteer in these communities visit Serve.gov/sandy

「11月2日: FEMAがニューヨークとニュージャージーで片付けの作業員を募集しているとの件に関する情報が急激に増えています。これは*虚偽*の情報です。これらのコミュニティでのボランティアの方法については、serve.gov/sandy をご参照ください」

※「FEMAが募集」というのは虚偽でしたが、民間企業の人員募集はかかってました。例えば下記。
https://twitter.com/DisasterSecurit 警備会社

問い合わせ先とされている電話番号が少なくとも2通りあります。

これは検索画面のtop tweetだけのキャプチャ。Search allすればどういうことでこの2種類の電話番号が出てきたのか確認できるかもしれませんが(火元はとっくにツイート消して or アカウント消しているでしょうが)、それをするほどの気力と時間の余裕はないのではしょります。

なお、キャプチャ画像内で2番目の電話番号をツイートしている人も善意で、「釣られた」だけのようです(その人の前後のツイートを見て判断する限り)。被フォローが1万を超えているアカウントなのでtop tweetに出ているのでしょう。

これは悪質ですね。「7日間、宿泊・食事つき」とまで。

フレーズの一部を抜き出して検索すると、まず、印象論として、アフリカン・アメリカンの人たちの間で特に多く流布しているのがわかります(アバターの顔写真や、ユーザーネームにある音楽のジャンルの名前から判断)。むろん、アフリカンじゃない人たちの間でもかなり広まっています。

それから、3日の8:10(日本時間)に、アノニマスの活動で有名なアカウントがそろって釣られている。怖いくらいに揃っている……

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