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太陽電池のしくみ

太陽電池の基本的なしくみについてまとめます。

更新日: 2012年11月24日

SJNさん

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セルとモジュール

太陽電池には「セル」と「モジュール」があります。左の写真の四角い太陽電池1個ずつがセルです。セルを縦横に並べて直列や並列につなぎ、パネル化したものがモジュールです。セルをモジュール化するとたいてい変換効率が少し下がります。セル変換効率、モジュール変換効率などと分けて表記されます。

太陽電池セルの基本構造

太陽電池セルの構造を図に示しました。いろいろと省略されていますが、基本的にはp型とn型という2種類の半導体をくっつけた「pn接合」という構造を使って発電を行っています。結晶シリコン太陽電池をはじめ、薄膜シリコン太陽電池、化合物系太陽電池、有機太陽電池、量子ドット太陽電池など、ほとんどの太陽電池の発電原理は、このpn接合です(pn接合を使わないのは色素増感太陽電池くらい)。

半導体の中で、電子が電流の担い手となるのがn型半導体です。電子の電荷が負(negative)なのでn型です。一方、正孔が電流の担い手となるのがp型半導体です。正孔の電荷が正(positive)なのでp型です。正孔とは、電子軌道から電子が抜けた後に残る「電子の抜けがら」のようなものです。p型半導体には正孔が、n型半導体には電子が、それぞれ余分に存在しています。

pn接合の界面付近では電子と正孔が結合し、余分な電子も余分な正孔も存在しない「空乏層」という領域が広がっていきます。p型半導体とn型半導体がエネルギー的にバランスした状態になると空乏層はそれ以上広がらなくなります。この状態を「熱平衡状態」と言ったりします。光や熱など外部からのエネルギーが加わらないとき、太陽電池セルは熱平衡状態で安定しています。(作図:SJN)

pn接合の空乏層に光があたると、熱平衡状態が崩れます。光のエネルギーによって空乏層の電子が励起し、電気を運ぶ伝導電子になってふらふら動きだします。移動した伝導電子の跡には正孔(電子の抜けがら)が残るので、空乏層に光があたると電子と正孔のペアが生成されるように見えます。余分な電子はn型半導体層を、余分な正孔はp型半導体層を移動します。これら電子や正孔の移動が電流です。電子が電極まで移動し、太陽電池セル外部に取り出せれば電気として利用できます。(作図:SJN)

太陽電池の変換効率とは

太陽電池の変換効率は、太陽電池に入射した太陽光エネルギーがどれだけ電気エネルギーに変換されたかを表す値です。次の式で求めることができます。

 変換効率 = 太陽電池の最大出力 ÷ 受光面積

これは、太陽電池の変換効率が、受光面の単位面積当たりの最大出力であることを示しています。
太陽電池の出力や電流・電圧について、もう少し説明します。

太陽電池の電流・電圧特性

太陽電池の電流・電圧は、電極間にかませる負荷によって変化します。負荷とは、電球とか扇風機とか、とにかく電気を消費する何かと考えればいいでしょう。

負荷をかけずに電極同士を直接つなぐとショート(短絡)します。このとき流れる電流を短絡電流Iscといいます。一方、電極をつながない状態での電圧(電極間の電位差)を開放電圧Vocといいます。電極がつながっていないので電流は流れず、開放電圧での電流はゼロになります。

電極間にはじめ小さな負荷をかけ、その後だんだん負荷を大きくすると、電流は下図のI1→I2→I3、電圧はV1→V2→V3というように変化していきます。このとき点P(V,I)の動きP1→P2→P3をプロットして得られる曲線が、太陽電池のI-V曲線と呼ばれます。点Pにおける出力=電流×電圧なので、I-V曲線の内側にできる四角形の面積が出力を表していることになります。

赤、青、緑の点線で囲まれた四角形の面積が、それぞれP1、P2、P3での出力になります。

(作図:SJN)

変換効率の式で出てきた「太陽電池の最大出力」とは、結局この四角形の面積が最大になるときの出力になります。これを最大出力Pmaxといいます。Pmaxを与えるような電流・電圧の組み合わせを、Imax・Vmaxといったりします。

青い点線で囲まれた面積Vmax・Imaxを、黒い点線で囲まれた面積Voc・Iscで割った値を太陽電池の「曲線因子」または「フィルファクター(FF)」といいます。

FF = 最大出力 ÷(開放電圧 × 短絡電流)

(作図:SJN)

FFは太陽電池の性能を表す指標としてよく使われます。同じ短絡電流Iscおよび開放電圧Vocをもつ2つの太陽電池を比較する場合、FFの値が大きく、1に近いほうが性能が良いとされます。太陽電池のpn接合界面に光があたると伝導電子と正孔のペアが生成し、電流が流れますが、電子・正孔の中には電極に到達するまえに他の電子・正孔と再結合して消滅してしまうものが相当あり、使用可能な電気としてすべてを取り出せるわけではありません。セルの中で消えてしまう電気エネルギーを「内部損失」といいます。FFの値が1に近いということは、内部損失が小さく、太陽電池の外に取り出せる電気エネルギーが多いことを意味します。

太陽電池がどんなI-V曲線を描き、どのくらいのFFと変換効率をもつかは、電池の構造や材料特性、温度などの環境条件で決まります。現在実現している最高レベルの単結晶シリコン太陽電池では、FF80%超、変換効率24%程度となっています。(作図:SJN)

実際に太陽電池を使用するときには、負荷を調整しながら最大出力Pmaxで発電できるように制御をかけます。これにはパワーコンディショナーと呼ばれる電力制御機器が使われています。

(写真撮影:SJN)

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