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グリム童話の多彩なる死

グリム童話。登場人物の死ぬ場面がずいぶん多く、バリエーションも豊富だなと思い、逐一抜き出してみたら結構な数になりました。

更新日: 2016年06月16日

kaol_nさん

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グリム童話集から、死の場面だけを抜き出しました。
…こうしてまとめると、思った以上に陰惨(ないしは悪趣味)な感を受けますが、グリム童話自体は、怖さやグロテスクさを第一にねらったものではない(死や処刑がありふれた時代を反映していただけである)ことをご承知おきください。

底本は、岩波文庫の『完訳 グリム童話集 (一)~(五)』(金田鬼一 訳)。1979年に改版された版を使用。用字・用語の不統一は原文ママ。振り仮名は、難読と思われた場合のみ挿入しています。
また、現代の視点からは差別的と解釈され得る表現も見受けられますが、原文のまま引用しています。

出典に記した KHM (グリム童話集の各話にふられている通し番号)は、底本を元にしています。底本にKHMの記載がない場合は、Wikipedia:グリム童話の一覧 → http://goo.gl/NRVlw の記載を用いました。

2013年6月に、全巻の入力を完了しました。80数作を紹介する結果となりました。見落としがあるはずなので、気づいたら随時追加する所存です。

* * * グリム童話集 (一) * * *

狼と七ひきの子やぎ

それから泉のふちへいって、水の上へのりだして、がぶりと飲もうとしたはずみに、おもたい石っころが、おおかみを水のなかへひっぱりこんで、おおかみは、むごたらしくおぼれ死んでしまいました。

出典『グリム童話集 (一)』 「狼と七ひきの子やぎ」 (KHM 5) p71

・・・「おおかみが死んだ、おおかみが死んだ」
子やぎは、われるような声をはりあげて、うれしさのあまり、おかあさんやぎといっしょに、泉のぐるりをおどりまわりました。

十二人兄弟

悪人のまま母は、裁判にかけられて、煮えくりかえった油や毒蛇のうじゃうじゃつめ込んである樽の中へおしこまれ、目もあてられない死にかたをしました。

出典『グリム童話集 (一)』 「十二人兄弟」 (KHM 9) p115

兄と妹

王さまは、ふたりを裁判官のまえにつれてこさせました。ふたりにはおさばきがもうしわたされました。娘は森のなかへつれこまれて、むらがる猛獣に八つざきにされました。まほうつかいの女のほうは、火のなかへねかされて、むごたらしく焼け死んでしまいました。

出典『グリム童話集 (一)』 「兄と妹」 (KHM 11) p131

森のなかの三人一寸ぼうし

あかちゃんの洗礼がすむと、王さまが、
「人間でありながら、ほかの人間を寝どこからかつぎだして、川のなかへほうりこむようなものは、どんな目にあわせたらよかろ」と、おっしゃいました。すると、母親が、
「さようなだいそれた悪者は、樽づめにして、そのたるへ釘をたくさんうちこんで、山の上から川のなかへころがしこんでやるのが、いちばんよろしゅうございます」と、おこたえしました。そこで、王さまは、
「おまえは、じぶんの罪の判決(さばき)をいたしたのだぞ」とおっしゃって、釘のたくさんうちこんである樽をとりよせて、母親を娘といっしょにそのなかへ入れさせました。それから、ふたがげんじゅうに釘づけにされ、たるは、ごろごろ、ごろごろ、山からすべりおちて、とうとう川のなかへころげこんでしまいました。

出典『グリム童話集 (一)』 「森のなかの三人一寸ぼうし」 (KHM 13) p150-151

※ 底本では「娘といっしゃ」となっているが、「娘といっしょ」の誤植と判断した。

ヘンゼルとグレーテル

ばあさんはこう言いながら、蟹みたようにちょこまかあるいてきて、パンがまのなかへ、あたまをつっこみました。そこを、グレーテルが、どんと突くと、ばあさんは、とっとっと奥のほうへのめりこんだので、そのまま鉄の戸をしめきって、かんぬきをさしこみました。ううっと、ばあさんはほえだしました。それはそれはものすごい声でした。グレーテルはどんどん逃げだしました。魔女は、神さまのばちがあたって、否(いや)も応もなくむごたらしく焼け死んでしまいました。

出典『グリム童話集 (一)』 「ヘンゼルとグレーテル」 (KHM 15) p168-169

三まいの蛇の葉

「ゆるすことは相成(あいな)らん。おまえの夫は、おまえといっしょに死ぬ覚悟をなされた。そして、おまえのなくなった命をとりもどしてくだされた。それをなんぞや、おまえのほうは、夫のねごみをうかがって、これを殺害(せつがい)いたしたではないか。おまえは、おまえ相当のむくいをうけねばならん」
これが、王さまのお言葉でした。
おきさきは、わるいことの手つだいをした男といっしょに、穴だらけの舟にのせられて、海へつきだされ、ふたりは、まもなく波間に沈んでしまいました。

出典『グリム童話集 (一)』 「三まいの蛇の葉」 (KHM 16) p179

子どもたちが屠殺ごっこをした話 第一話

役割がすっかりきまると、豚をつぶす人は、豚になるはずの男の子へつかみかかって、ねじたおし、小刀でその子の咽喉(のど)を切りひらき、それから、お料理番の下ばたらきの女は、じぶんの小さないれもので、その血をうけました。

出典『グリム童話集 (一)』 「子どもたちが屠殺ごっこをした話」 (KHM 22a) p249

初版にのみ含まれる話。あまりに陰惨な内容のため、第2版以降では削除された。
第二話はさらに陰惨で救いがないうえ、死の場面が含まれるパラグラフを抜き出すとほぼ全文になってしまうこともあり、略す。詳細はWikipediaを → http://goo.gl/B455W

はつかねずみと小鳥と腸づめの話

この犬が、かわいそうに、腸詰めを、誰がとってもいいえものがきたと思って、矢にわにひっつかんで、殺してしまったのです。
・・・(中略)・・・
こんなわけで、小鳥はお膳だてをしました。はつかねずみは食べものごしらえをはじめて、せんに腸づめがやっていたように、じぶんもお鍋へはいって、野菜シチューのなかをはいずりまわって、シチューに脂肪(ヘット)を入れようとしました。ところが、まんなかまで行かないうちに動けなくなって、俗にいう皮と毛どころか、かんじんかなめの命まで棄てることになりました。
・・・(中略)・・・
うっかりしているうちに、火が薪のなかへとんで、火事になりました。小鳥は、いそいで水をくみに行くと、手はずしをしたのか、釣瓶(つるべ)が井戸のなかへ落ちて、つるべといっしょに、自分も井戸へおちました。鳥はそれぎり息をふきかえさず、井戸のなかでおぼれ死んでしまいました。

出典『グリム童話集 (一)』 「はつかねずみと小鳥と腸づめの話」 (KHM 23) p252-253

小鳥がたきぎを取り、はつかねずみが厨房のしたくをして、腸詰めが料理をする…という役割分担を変えたばっかりに起こった悲劇。

赤ずきん

それはそうと、赤ずきんは、大きな石っころをいくつもいくつも、すばしこくもってきて、みんなでそれを狼のおなかのなかへ詰めこんだものです。
おおかみは目をさまして、一足とびに逃げだそうとしました。けれども、おなかの石ころがおもたいので、すぐ、べたべたとたおれて、死んでしまいました。

出典『グリム童話集 (一)』 「赤ずきん」 (KHM 26) p272

赤ずきんは、なんべんもなんべんもその水をはこんで、とうとう、大きな大きな水ぶねを、いっぱいにしました。そうすると、ちょうづめのいい香(におい)が、おおかみの鼻のあなへ、ぷんぷんはいってきました。
狼は、鼻を、ひこひこさせて、下をのぞいてみました。そのうちに、くびをあんまり伸ばしすぎたので、からだをささえていられなくなって、ずるずる、すべりだしました。そして、ずるずる、ずるずる、屋根からすべって、ちょうどその大きな水ぶねのなかへすべり落ちて、おぼれ死んでしまいました。

出典『グリム童話集 (一)』 「赤ずきん」 (KHM 26) p274

※ こちらは別テイク。

死神とがちょうの番人

ところが、そこから遠くないところに、けちんぼうの慾ばりがいました。この男は、毎晩ねどこへはいってからも、なんとかしてお金だの地所だの道具だの、そのほかのお宝をもっとたくさんかきあつめたいものだと、そのことばかり考えていたのですが、死神は、これをこの大きな川のところへつれてきて、水のなかへ突きおとしました。この男は泳げなかったものですから、むこう岸へつかないうちに川ぞこへ沈んでしまいました。飼っていた犬や猫が、なんびきも、主人のあとから駈けて来ましたが、これも、いっしょにおともをして、おぼれ死んでしまいました。

出典『グリム童話集 (一)』 「死神とがちょうの番人」 (KHM 27a) p282

第7版までに削除された話。
死にたがっているがちょうの番人をさしおいて、仕事を頑張る死神の場面。けちんぼうの欲ばりもさることながら、犬や猫が気の毒。

唄をうたう骨

その言いぐさに悪だくみがかくれていようとは思いもよらず、弟はなかへはいって、親切なこびとが槍をくれて、その槍でいのししをしとめたことを、兄さんに話したものです。兄さんは、弟を晩までひきとめておいて、それから、つれだって出かけましたが、暗がりのなかを、とある小川にかかっている橋のとこまでくると、兄さんは、おとうとを先にやりました。そして、弟が川のまんなかへさしかかったころを見はからって、うしろからなぐりつけたので、弟は川へおっこちて死んでしまいました。

出典『グリム童話集 (一)』 「唄をうたう骨」 (KHM 28) p284-285

王さまには、うたのこころがちゃんとおわかりになりましたので、橋の下の地めんを掘りかえさせましたら、殺された男の骸骨が、まるごと出てきました。わるものの兄さんは、じぶんのやったことをそうでないとは言えず、ふくろのなかへ縫いこまれて、生きながら川へ沈められました。それから、殺された男の遺骨は墓地へうつされて、りっぱなお墓のなかに安置されました。

出典『グリム童話集 (一)』 「唄をうたう骨」 (KHM 28) p286

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古書の修復を習ってみたり、マンガの翻訳(http://rice-boy.jpn.org/ http://forthewicked.jpn.org/ )をしてみたり。