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【デマ注意】「イランのイスファハンで原発事故」など起きていません。「放射能漏れ」もありません。

そもそもイスファハンには「原発」など存在しません。2ちゃんねるなどで書きこまれている「有料メルマガの転載」の元ソースの元ソースはBBCのラジオ番組で、その「有料メルマガ」も、それの「元ソース」も、BBCのラジオを聞かずに勝手な妄想……失礼、憶測を並べ立てているだけです。

更新日: 2013年02月01日

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この記事は私がまとめました

nofrillsさん

妙な噂が流れているらしい……

イスファハン関係では以前も誤情報が出回ったのだが(イランのイスファハンにて爆発?)、新年早々またしても新たな噂が広がっている。……

今度は、イスファハンにて放射能漏れがあって150万人が避難したという噂が流れてきた。

- 参考: 以前出回った誤情報(「爆発」説)

「イスファハン 原発」の関連情報を検索してみる。

Yahoo! のリアルタイム検索で「イスファハン 原発」を検索した画面のキャプチャ。
http://realtime.search.yahoo.co.jp/search?p=%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%8F%E3%83%B3+%E5%8E%9F%E7%99%BA&ei=UTF-8

えんじ色でマスクしてあるのはzukeran.orgさんの上記のエントリに関するツイート、オレンジ色のは一般論(イランでの地震について)。

個々のユーザーのつながりや情報の流れがオープンな「ソーシャルネット」ではさほど話題になっている様子はない。

しかし…

“イスファハン 万人 避難”を検索すると山のように出てきます

確かに、普通のウェブ検索だとブログや2ちゃんのスレがざくざくと……

Google検索、1ページ目はzukeran.orgさんのページやそれに対するはてなブックマークのページなどと、ブログがいくつか。

2ページ目(キャプチャ)は、2ちゃんのスレ(複数)やブログ。。。

3ページ目もブログやら何やら。。。(全然関係のないものも含まれています。)

出典kwout.com

そして、とある2ちゃんのスレに、それはあったのです……!!!

言うのもアレだからキャプチャ画像見てください。(左の画像をクリックすると文字が読める大きさになります。)

"先週イスラエルの大手新聞エルサレムポストが
『イラン当局が同国イスファハンの原子力施設で放射能漏れが発生したとして周辺住民150万人に対して避難を命じた』
との記事を発信している"
と、あの有名人が有料メルマガで言っているそうです。

ではそのリンク先を見てみましょう。

出典kwout.com

明らかに無根拠な(文法用語でいうと「行為者が不明確な」)、いつものエルサレム・ポスト節です。(「誰が」懸念するの?などなど)

そんなものを真に受けてみせるなんて、あの有料メルマガの方はいつの間にそっちに「寝返った」のでしょう。

以下、2パラグラフ分の対訳:

Iranian officials on Wednesday ordered residents of Isfahan to evacuate the city, the BBC reported, sparking renewed concern a nearby uranium enrichment site is leaking radioactive material.

「水曜日、イランの当局者は、イスファハンの住民に対し、イスファハンから退避するようにと命令した、とBBCが伝えている。これにより、近接するウラン濃縮施設が放射性物質を漏らしているのではないかとの懸念がまた新たに浮上している」とエルサレム・ポストは言っています。

しかしイスファハンにあるこの施設はウラン「濃縮」施設ではありません(詳細後述。なお、「原発」でもありませんよ)。それに、BBCの報道を見る限り、当局はイスファハンの住民全員に街を退去せよ (evacuate the city) と命令したわけではありません。

According to the report, the edict calls on Isfahan's one-and-a-half million people to leave the city “because pollution has now reached emergency levels.”

「その(BBCの)報道によると、イスファハンの150万人の人々に対する町からの退去要請(※ついさっきはorderと言っていたのに、ここではcallです。細かいことですが)は、『汚染が危険なレベルに達したため』であるという」とエルサレム・ポスト。

さらにこの次のパラグラフで、エルサレム・ポストは、元のBBCの報道にない独自情報を付け加えています。つまり「イラン当局は以前は放射能漏れを否定した」。

んで、ここでこの記事は、元になっているBBCの報道にはリンクすらしていないわけです。それがどれかというと……

出典kwout.com

少しややこしいかもしれませんが、TodayというのはBBC Newsではありません。報道番組ではありますが、別部門です(制作が別です)。

このTodayというのは、ページのヘッダー(キャプチャ画像)に明示されているように、BBC Radio 4の番組です。日曜日を除く毎日3時間(土曜日は2時間)、その日の話題(複数)について、ゲスト(政治家や学者などが多い)を迎えるなどして語り、考察するラジオの番組です。真面目なワイドショー、といったら伝わりやすいかも。

上述のページは、1月2日の放送の概要(どのようなトピックについて誰がどのように語ったかの一覧と、一部は音声クリップ)。

出典kwout.com

zukeran.orgさんところでも参照されてる英文のことですが……以下に逐語訳で対訳。

「スタジオでキャスターが読み上げる原稿」であることは、ラジオを聞けば、誰にでも確認が取れることです。

Iranian authorities have advised the one and a half million people who live in Isfahan to leave the city if they can because pollution has now reached emergency levels.
イラン当局は、イスファハンに暮らす150万人に対し、可能であれば街を去るように勧告した (advised)。これは、(大気)汚染が危険なレベルに達したためである。

※ここで「(大気)汚染」と言う根拠は、ラジオを聞けばわかります。

つーか、ここで報告されているのはその話です。冬場のイラン内陸は気象条件のせいで、大気汚染がひどくなる(日本の「光化学スモッグ」に似ているような気がします)。経済制裁のため自動車の排ガスはフィルターとかでまともに処理されず垂れ流しの状態、また燃料も不純物が混ざった粗悪なものが使われていて、排ガスによる空気の汚染がひどい(実はイランについては定番の話題)……そういう話です。

The same thing happened in the capital Tehran earlier this week. Kasra Naji works for the BBC's Persian TV service in London.
同じこと(大気汚染による退避勧告)が、今週既に、首都テヘランでも起きている。(これからBBC Radio 4が話を聞く)カスラ・ナージは、ロンドンにあるBBCペルシャ語テレビ放送の職員である。

※つまり、自由に取材ができるわけではないイランからの情報を、ロンドンにいるBBCペルシャ語放送の職員(ペルシャ語ができる人)が得て、ラジオで英語で解説してくれているわけです。

- だから、zukeran.orgさんの下記の見立ては正しい。

日本の外務省からは2010年10月時点でも下記のように警告されている。(2)にあたる警告が、イスファハンでも出されたということでしょうね。

“増加する車両(特に老朽化した車)から出る排気ガスの影響で,テヘランをはじめ大都市では大気汚染が深刻な問題となっています。……
(中略)
(2)冬季のテヘランは,空気がよどみ大気汚染が深刻化します。時には,テヘラン市当局から呼吸器や心臓の弱い人は外出を控えるようにとの勧告が出されることもあります。また,年に何度かは大気汚染のため学校が閉鎖されます。

外務省: 世界の医療事情 イラン(2010年10月)”
http://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/medi/nm_east/iran.html

http://www.bbc.co.uk/programmes/b01phhy3
2013年1月2日の放送なので、7日後、日本時間では1月9日の夕方までは聞けます。

【ラジオ視聴方法】上記URLで左のような画面が出てきます。画面左の端にあるスピーカーのアイコンをクリックすると再生が始まります。イランについてのニュースは2時間52分くらいのところから始まります(イランの前は、スリランカの話をしています)。画面下部のスライドバーで早送りできます。

ラジオを聞かずとも、3時間番組で、最後の10分の枠で扱われる程度のニューズバリューであることは、
http://news.bbc.co.uk/today/hi/today/newsid_9781000/9781575.stm
のページを見ても(見ただけでも)わかるわけです。

以下は私の憶測ですが、おそらく元は、BBCペルシャ語放送(開始されてまもなく、イランからは締め出されている)のある意味「風物詩ネタ」で(「埼玉県熊谷市で今年初の真夏日を観測しました」的な。在外イラン人がペルシャ語で聞くニュースとしてこういう話に接することを想像してみてください)、BBC Radio 4ではそこに「経済制裁」を絡めて(これはBBCでは珍しくないトピック設定。2009年の「緑の海」運動のころにイラン国内の航空便で事故があったときも、BBCはいち早く「経済制裁で部品調達が思うようにいかない」という事情を報じてました)、「シリアスなニュース」としての切り口を明確に与えたのでしょう。(実際、経済制裁の影響は、語るに語れない状態にあるシリアスなニュースです。)

というか、本当にマスコミが「放射能漏れ」と呼ぶような事態が生じているのなら、BBC Radio 4ではなく、BBC Newsがほっとくはずがないです。あるいは英国の他の報道機関が。

日本語圏で「英語は無理」っていう人がラジオ聞かないのはしょうがないでしょう。BBC Radio 4 Todayと見て「ラジオの番組だ」とわからない人がいてもしょうがないでしょう。

しかし、エルサレム・ポストとか、有料メルマガの人とかは、英語を読んだり聞いたり書いたりといったことが、できるんですよね。

それなのに、なぜ、肝心のラジオを聞かずに、勝手な憶測ばかり並べ立てては、ありもしない「放射能漏れ疑惑」をブチあげるんでしょう。(というか、ラジオ聞いてあえてデタラメを並べ立ててるのかもしれないのでしょうけれども。)

行政当局がadviseすること(orderのすぐ下のレベル)を「助言する」とか、もうね……何なのこれ。

しかも……

(どうやったらleave the cityが「住まない方がいい」と読めるのか、謎すぐる。。。Anyway that is not my problem. )

そればかりか……

ウェブ検索結果にあったとあるブログ。

イスファハンについて、"NUCLEAR DISASTER IN THE MAKING" なるおどろおどろしい英文のブログを紹介して「首都のテヘランもどうなるか」みたいなおっかないことを書いておいて、オチが「詳しいコトはよくわからん/原文読んでないしね」。

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