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この記事は私がまとめました

nofrillsさん

2012年12月21日、「西洋のキリスト教圏」では「クリスマス直前」の日に…

えーーっ RT storyfulpro: IRELAND: @rtenews: The Government has announced the sudden death of Minister of State and Fine Gael TD Shane McEntee

アイルランド共和国、現職の農業・食料大臣が56歳で急死。 rte.ie/news/2012/1221…

アイルランドの労働党のFlickrにアップされているこの写真、真ん中のブルーのネクタイの人が、Shane McEntee(シェーン・マケンティー)大臣。労働党との連立政権を主導しているFG (Fine Gael) 党所属の下院議員で、1956年生まれ。政界入りする前は農業を営んでいた。
http://en.wikipedia.org/wiki/Shane_McEntee

- ここでちょっと、「アイルランド共和国」についておさらい

アイルランド共和国は、Fianna Fail (FF)とFine Gael (FG) との二大政党制である。ただし政策面や思想面で両者にさほどの違いはなく、どちらも保守政党。FGのほうが若干「右派」色が濃い(左派政党は小さな政党がたくさんある)。

建国……というか南部26州の英国からの独立以来ずっとFFが強く、ものすごく乱暴に図式的に説明すると、「FFがぐだぐだになると有権者がFGに投票し、政権交代が起きる」というのが、「過剰に単純化されていて、正確ではないが、わかりやすい」かと思う。

「翻訳」するとFFは「運命の戦士 Soldiers of Destiny」、FGは「アイルランドの一族 Tribe of the Irish」。政党名に見えません。RT @sugawarataku:…アイルランドだけフィアナフォール、フィネゲールとカタカナ名で表記する傾向…

ちなみにFFは「共和党 the Republican party」、FGは「統一アイルランド党」とも言う。これはアイルランドの政治を知らないと逆にややこしくなるだけなので(「共和主義 Republicanism」を掲げるということについて、「今」の話ではなくエイモン・デヴァレラの時代のことを知らないとよくわからない) 、「FFとFG」として認識したほうがよい。

1990年代以降、FF主導の連立政権下、「ケルトの虎」と呼ばれる異様な好景気に沸いたアイルランド共和国は、「リーマンショック」後に「ケルトの猫」になってしまった。

ニュータウンは建設途中で放棄され(2011年3月11日の東日本大震災のあとに「こっちには誰も住んでない家がいっぱいあるから、家を失った人がいたら住みに来ていいよ」という励ましのメッセージがアイルランドから来るなど)、大卒予定者は卒業しても仕事がなく、アイルランド人がいつもしてきたように、島の外へ移住するよりない。

アイルランドで起きたことは基本的に「不動産バブルの崩壊」で、「銀行の破綻」、「銀行の一時国有化」など、うちら的には「だから言ったじゃない」のセットが、緑の島に押し寄せた。

※このあたりのことは下記などをご参照のほど。
http://www.nli-research.co.jp/report/econo_letter/2010/we101126eu.pdf

2010年11月にEUとIMFの支援を受けるという決断をしたFF(とGreensの連立政権)は、散々粘ったけれども翌2011年1月に議会解散の決断を余儀なくされた。

2011年2月に行われた総選挙ではFFはほぼメルトダウン(溶けた)状態、それでもFGは単独過半数は取れず(FFにせよFGにせよ「右派」。銀行の放漫経営に怒り狂っている状態の「左派」は別な党に投票した)、EU/IMFディールを少しでもアイルランド共和国に有利な形にするというFGと労働党の連立政権が成立した。
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-19738120110227

首相はFG党首のエンダ・ケニー(写真)、副首相・外相は労働党のエイモン・ギルモア。

そして2012年5月31日、「欧州連合(EU)の新財政協定の諾否を問う国民投票」がアイルランドで行われた。

"ドイツ主導で策定された緊縮財政を義務付ける新協定は、17カ国中12カ国が批准すれば発効する。アイルランドで論議を呼んでいるのは、批准国だけが危機の際に欧州支援基金を利用できる点。政府は、協定を拒否すれば賃金の支払いが滞り、現金が不足し、国外からの投資がストップするとして、賛成を呼びかけている。"
http://jp.reuters.com/article/domesticEquities4/idJPTK814333620120531

"一方、シン・フェイン党や一部労組は、現在の支援が来年終了しても、支援が必要になればEUは見捨てることはない、と主張している。"
http://jp.reuters.com/article/domesticEquities4/idJPTK814333620120531

このレファレンダムの結果は "Yes" (賛成60.29%、反対39.71%)、つまりアイルランド共和国は「緊縮財政の義務付け」を受け入れたことになる。
http://www.jetro.go.jp/world/europe/ie/biznews/4fcc194457e40

2012年12月21日に急死が伝えられたアイルランド共和国の農業大臣、シェイン・マケンティは、こういう政権の閣僚のひとりだった。

- シェイン・マケンティ大臣の突然の死は、実は自殺だった。

シェイン・マケンティー農業大臣の急死を伝える報道記事には、死因が書かれていなかった。

正式な死因は検視を待たねばならないのだが、通例、誰かが亡くなったという場合は第一報の段階で「がんとの闘病生活を送ってきた」とか「卒中のため自宅で倒れた」などと書かれるものだし、特に急死の場合は、具体的な病名が書かれなくてもafter a short illnessといった形での言及はあるものだ。

しかしマケンティー大臣の訃報ではそれがなかった。そういったことから、私も「察してくれ」ということだろうとは思った。

Fr Houlihan said that "Shane died on the shortest day of the year.

"The darkness had almost covered the world, and God knows, because he didn't know, and neither did the rest of us, what darkness or issues he had inside him," he continued of the minister who took his own life on Friday morning.

Father Houlihanは「シェインは一年で最も短い日に亡くなりました。暗闇が世界を覆いつくさんばかりでした。シェインが中に抱え込んでいた暗闇、あるいは問題がどのようなものか、シェインにはわからなかったし、残された私たちにもわかりませんでしたが、神は知っておられます」と述べた。

Mr McEntee (56) died yesterday morning shortly after having breakfast with his family at his home at Nobber, Co Meath.

He headed out to walk his dogs, but was found dead close by a short time later.

Mr McEntee’s death is not being regarded as suspicious.

昨日、カウンティ・ミースのノバーにある自宅で家族と朝食をともにしたあと、犬の散歩に出かけ、少し後に(自宅の)近くで死亡しているのが発見された。死亡状況に不審なところ(事件性)はないという。

McEntee committed suicide on 21 December 2012, two days after his 56th birthday.

(ウィキペディアのこの箇所で「ソース」として示されている記事3件のどれにも、「自殺した」とは書かれていないわけですが……「56歳の誕生日の2日後」は書かれてるけど。)

"He took his own life"

テレンス・ブラウンのこの本に詳しいのですが、アイルランドでは「宗教」(カトリック)が政治にも社会にもがっつり組み込まれています。「自殺」ということは、基本的には、表だって言えることではありません。アイリッシュ・タイムズはあまり教会に遠慮しない立場のメディア(「リベラル」とも言います)なのですが、それでも、トーンは抑え目でした。見出しでそう書くわけでもなく、suicideという語を使うわけでもなく……。

ともあれ、マケンティ―大臣は自殺しました。その真の「理由」は本人にしかわからないでしょう。しかし、何があったかは他人にでもわかります。

- 何があったのか。

1) マケンティー大臣の問題発言(これは「根拠のない暴言」といっていい)

Sources said he had taken to heart heavy criticism he had received on radio and in social media — sparked by his comments over controversial Budget cuts in the respite care grant.

現政府による「自宅介護手当 respite care grant」(障碍児のある家庭対象に支給されている)の給付額カットという予算案が批判を浴びているが、マケンティー大臣はそれについての発言のため、ラジオやソーシャルメディアで激しい批判にさらされ、それが心に刺さった状態だった。

In a newspaper interview, Mr McEntee had said “you could stay in a top hotel for €700 a week” and that “people just have to get on with it”.

After the interview, the TD was blasted on various radio programmes.

問題の発言はどのようなものかというと……これはひどい。「暴言」でしょう。

Today’s Sunday Times reports that the Fine Gael Minister commented on the controversial cut – saying that “you could stay in a top hotel for €700 a week” and that “people just have to get on with it”.

09/12/12
問題の発言が掲載されたのがサンデー・タイムズということで、有料で記事を買わないと文脈などを参照することはできないのですが、「週に700ユーロ」という数字は一体何が根拠なのだろうかと。(自宅介護手当はそんなすごい金額が出るようなものではないので。)

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