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精神的に追い込むリストラばかり‥「追い出し部屋」など解雇最前線の実態

会社にいても仕事がない「社内失業者」を集めた「追い出し部屋」が明るみになるにつれ、とうとう厚生省も動かざるを得なくなるところまで問題が大きくなっています。それ以外にも企業はリストラを進めるべくいろいろな人減らしの手法を開発し実施しています。

更新日: 2018年04月24日

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egawomsieteさん

■追い出し部屋とは?

リストラ対象社員を集めてまとめて置いておく部署のこと。
「追い出し部屋」は、もちろん会社の正式な名称ではなく、「事業・人材強化センター」(BHC)が正式な部署名で、リストラ対象として狙われた社員は、上司から、会社が募集する希望退職に応じるか「BHC」への異動を受け入れるかの、二者択一を迫られるのだという。

会社としては、実質的には指名解雇したい社員を自発的な「自己都合退職」に誘導するための有力な「仕組み」だ。

またよく使われる手口として、3年という約束で出向させ、その後労組との間で転籍に切り替え、転籍先で「あんたのする仕事はない」と解雇にする例があります。

■ついに国も動く 厚生労働省が企業への実態調査を開始

大手企業で社員から「追い出し部屋」などと呼ばれる部署の設置が相次いでいる問題で、厚生労働省が企業への実態調査を始めた。まずはパナソニックなど5社への聞き取り調査を先行して行った。まともな仕事を与えられていない「社内失業者」を集め、「退職の強要」などの違法行為があれば、改善を促す方針だ。

5社への「先行調査」の結果の一部は、29日にも社名を出さずに公表する。大企業にこうした部署の設置が広がっていることを明らかにし、ほかの社に注意を促すねらいがある。今後さらに調査を広げて、民法の「不法行為」にあたる退職の強要などがないか、厳しく監視する。

■会社としてはやむをえない事情も

指名解雇は理由なしにできない。業績は短期間に回復する見込みはない。余剰人員を抱えている余裕はない。優秀な社員には残って欲しい。訴訟などのトラブルは起こしたくない。会社の評判は(なるべく)損ないたくない。

 後でこうなる可能性を考えて、正社員の採用を絞って非正規労働者を使って来たのではあったが、「業績の悪化がこうした工夫を軽く追い越した」といった状況だろう。

■追い出し部屋の実態

赤字にあえぐパナソニックグループに、従業員たちが「追い出し部屋」と呼ぶ部署がある。

 大阪府門真市のパナソニック本社から遠く離れた横浜市の子会社。工場などがたつ敷地内のビル「S10棟」5階にあるその部屋は、看板もなく、がらんとした室内に100台ほどの古い机とパソコンが並ぶ。そこに、事務職の女性が配属されて3カ月がたつ。

おもな仕事は、ほかの部署への「応援」だ。「要請があれば駆けつけて、製品を梱包(こんぽう)する単純作業などをこなす」。応援要請がないと、することはほとんどなく、終業時間が来るのを待つしかない。

 様々な部署からここに、正社員113人が集められた。この女性のように、働き盛りの30~40代までもが対象だ。

 配属されて最初に受けた「研修」では、自己紹介のやり方を見て、みんなが「だめだし」をするグループ討論をさせられた。

初めての「応援」は、携帯電話の箱詰め作業。入社以来初めて、「Panasonic」のロゴが袖に入った作業着を身につけた。他工場から持ってきたベルトコンベヤーの横に並び、30秒に1個、流れてくる携帯電話を段ボール箱に詰める。これまでは主に非正規の社員がやっていた仕事だった。

 「私の人生、変わってしまった」。その後も、他部署の仕事を手伝う日々だ。

 この部屋の正式名称は「事業・人材強化センター(BHC)」。女性が働く会社には今年8月できた。

 その少し前に上司に呼ばれ、「今の部署に君の仕事はない」と告げられた。会社が募集する希望退職に応じるか、「BHC」への異動を受け入れるか。

 数日迷った末に、子供のことを考えて「残ることにしました」と告げた。すると上司は「BHCに行っても、1年後どうなるかわからない。このことは理解しましたね」と念を押した。

■社内にキャリアデザイン室

大手製造業のA社では、社内にキャリアデザイン室をつくり、そこに100人ぐらい中高年の45~55歳の管理職を押し込めています。そこでの業務命令は、「あなたは就職先を探すこと」です。仕事を探してこないと、S、A、B、C、D、E評価のなかで、最低のE評価になってしまう。そうなると年俸は毎年50万円ずつ下がります。無事に最高のS評価になるときは、就職先を自分で見つけた時。要するに、S評価になると、晴れて辞める。

■PIP(Performance Improvement Plan:業務改善計画)

建前上は成績不振の社員に課題を与えて能力を向上させる制度ということのようだが、本音は社員をリストラする手段として用いられているようだ。
 その手法は、会社が辞めさせたい社員(病人、組合役員など)を対象に、あたかも本人の能力向上を装いながらその実、達成不可能な課題を業務命令として押しつけ、できない(能力がない)のだからと社員証を取り上げ強引に退職を強要する。

最近の傾向としては、もはや社内の担当者ではなく、社外の、いわゆるキャリアコンサルティング会社や人材紹介会社にPIPをさせるケースがあります。業務命令で「あなた、キャリアコンサルティング会社に行きなさい」と言われる。行った先では、「あなたの隠れた能力を開発します」といって、テストをする。テストの結果は必ず、「会社の外に活躍の場を見出したほうがいい」と事実上、退職勧奨を外部の人がやる(苦笑)。外部でやると、労働法上は、退職勧奨にならないので、違法にならない。

■「だまし討ち」「追い落とし」

「出向に応じてくれれば後で戻す」などと口約束で出向に出し、口約束は絵に描いた餅」と主張しています。また倒産がわかっている「死に体」同然のところに出向を命じ、その後倒産させる。労働者が「計られた」と思っても「どうにもならない」などとデタラメを言っています。これは出向に名を借りた「だまし討ち解雇」とでも言うべき手口です。

実際には出向先が倒産しても法律的には出向元との雇用関係はなくならず、出向元に復帰することができるのです。倒産がわかっていて出向させた場合は命令そのものが違法であると言えます。

■企業が「追い出し部屋」作っても社員辞めない現実

人事ジャーナリストの溝上憲文氏
陰湿な「追い出し部屋」をいくら増設しても人員は減りません。

なぜなら、戦力外通告を受けた社員の人事評価は5段階評価でDやEと下位ではなく、B評価やC評価をもらっていた人がほとんど。つまり、いくら能力がなくても上司の温情で甘い評価になっていたため、「なんで、オレが辞めなければいけないんだ!」と憤って、逆にしがみつかれてしまうからです。社員に健全な危機感を持たせなかった企業の責任です。

 その点、不況期だろうが好況期だろうが、下位5%は常時リストラしている外資系の経営は、シビアですが分かりやすいのかもしれません。サムスン電子なんて45歳までに部長になっていなければ、みな自主的に会社を去っていくわけです。

サムスンのやり方を日本に定着させるべきなのかは議論の分かれるところでしょう。しかし、法整備により解雇をしやすくすれば悪ノリする企業も出てくるはず。ならば、適正な人事評価に則り、自社の恒常的な“運用”によって解雇していく。そのほうがいいと話す企業の人事担当者もずいぶん増えてきました。

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