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【大野松雄】鉄腕アトムの音をつくった男

天才・手塚治虫のヴィジョンを、シンセサイザーも無い時代に具現化したもうひとりの天才がいた。

更新日: 2013年04月18日

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boisさん

いちど掴んでしまったら、その音は、この世に存在する音になってしまう。 存在する音に、僕は興味がない。

1930年、東京生まれ。少年期からSF、シュールレアリズムの芸術に関心を傾ける傍ら、ニーチェ、西田幾多郎などの哲学に親しむ。カールハインツ・シュトックハウゼンの電子音楽をレコードで聴き、感化されて以来「この世ならざる音」を今日まで追究し続けている。

劇団文学座、NHKを経て、1953年にフリーの音響作家として独立

勅使河原宏監督『いけばな』(1957)、松本俊夫監督『安保条約』(1959)の音響を手掛ける

■1963年から1966年にかけて、アニメ『鉄腕アトム』の音響を担当

鉄腕アトムのサウンドを確立

アトムの足音は、マリンバの音をテープに録音し、手動でリールを回して再生した音。

擬音の聴覚化(オーラルサウンド)

“パーッ”と点灯するサーチライトや、“ギョッ”“ウギャッ”といった表現など、マンガで使用される擬音語(オノマトペ)を実際にその通りに声に出し、録音し加工する。

音の分解と再構成

音の素材を1/12秒くらいずつにテープを切って使う。例えば1/12秒の白色ノイズの後に1/12秒の琵琶の音が続き、その後同様に三味線やドラムが続きそれをつなぐ。前の音の残聴のあるうちに続きの音そしてまた続きの音……といった具合につぎつぎと重なって出てくる。そうすると全然違ったひとつの効果になって表われてくる。

電子音を子供の耳にも届ける

当時は、難しくエリートのみが分かる、ましてや子供には分かる訳が無いと思われていた電子音を、ためらいもなく使用。

前衛音楽の分野で活躍する小杉武久、『宇宙戦艦ヤマト』『サザエさん』などの音響で知られる柏原満も参加

大野松雄がいなければ、タラちゃんの足音も普通の音だっただろう。

■映画『アトムの足音が聞こえる』

『乱暴と待機』『パンドラの匣』の冨永昌敬監督が、大野松雄を追ったドキュメンタリー映画

■『鉄腕アトム』以降

タージ・マハル旅行団の記録映画『旅について』(1972)の制作

東宝映画『惑星大戦争』(1977)の音響

つくばEXPO'85、未来の東北博覧会(1987)、アジア太平洋博覧会福岡(1989)などの大規模パビリオンの空間音響システムのデザイン

2009年、長いキャリアのなかで初となるステージ・ライヴを開催

レイ・ハラカミのリミックス・アルバムに参加

大野さんらしい始まり方、大野さんらしい10分間。

1968年以来、現在も滋賀県の知的障害者施設で演劇活動に協力し、知的障害者と施設の記録映画も制作するなど様々な活動を行っている

■おわりに

『火星人襲来』という紙芝居を見ていた好奇心旺盛な大野少年、あるいは海野十三の小説を読んでいたSF好きの大野少年の前に現れた火星人は、「ひゅーぷくぷく」「マースマースハチケルカボチャ」と、しゃべっていたのだという。「ひゅーぷくぷく」「マースマースハチケルカボチャ」。この世ならざる「へんちくりんな」言葉を、彼は60年以上経った今も、なぜだか不思議と簡単に思い出せるのだ。

■大野さんの音が聴ける作品

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