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作家になりたい? スティーブン・キング『小説作法』の励まし

安易なテクニック本とは正反対。でも本気で作家になりたい人なら、きっと励まされる一冊です。「文章はあくまでも血の滲むような一語一語の積み重ねである」。

更新日: 2013年01月30日

coffeefriskさん

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執筆の前に

何はともあれ、夢を見るためには書斎とドア、そして、そのドアを閉めきる意思がなくてはならない。(略)作家の務めは、毎朝九時から昼過ぎまで、あるいは午後三時まで、自分がどこで何をしているか、ミューズに確実に伝えることである。それがわかれば、遅かれ早かれミューズは顔を見せるようになる。

出典スティーブン・キング『小説作法』

ともかく書き続けなければ、ミューズ(芸術の女神)もあらわれません。

書きたいことを書けばいい。何だろうと構わない。偽りでない限りはだ。ジャンルについては、手はじめに、自分が読みたいものを書けば間違いない。

出典スティーブン・キング『小説作法』

作家の基本はこれ。「自分が読んで面白いものを書く」

私の場合、短編であれ、長編であれ、小説の要素は三つである。話をA地点からB地点、そして、大団円のZ地点へ運ぶ叙述。読者に実感を与える描写。登場人物を血の通った存在にする会話。この三つで小説は成り立っている。

出典スティーブン・キング『小説作法』

叙述、描写、会話、すべてに秀でるのは至難のわざですが……。

アイディア

作品は以前から存在する世界の知られざる遺物である。作家は手持ちの道具箱から目的にかなった用具を選んで、その遺物をできる限り完全な姿で発掘することに努めなくてはならない。

出典スティーブン・キング『小説作法』

天才音楽家や彫刻家も同じようなことをいいます。

私に言わせれば、構想は優れた作家にとって無用の長物であり、無能な作家が真っ先に頼る常套手段である。構想に寄りかかった作品は、いかにも不自然で重ったるい。

出典スティーブン・キング『小説作法』

スティーブン・キングの持論。

私の作品は筋立て以前の情況に基づくものが多い。(略)私は人物を窮地に立たせ、彼らがどうやってそこから脱出するか成り行きを見る。

出典スティーブン・キング『小説作法』

読者もハラハラしながら見守ります。

はじめに情況ありきである。そこへ、まだ個性も陰翳もない人物が登場する。こうして設定が固まったところから、私は叙述に取りかかる。すでに結末が見えている場合もあるが、私の思惑で人物を行動させたことはただの一度もない。何を考え、どう行動するかはまったく登場人物に任せきりである。

出典スティーブン・キング『小説作法』

作者も書きながら「次はどうなる?」と楽しんでいるのでしょう。贅沢!

私の場合、関心をそそられる情況はほとんど「もし~だとしたら、What-if」の仮定で括ることができる。
・ニューイングランドの寒村に吸血鬼が出現したら? (呪われた町)
・ネヴァダ州の田舎町で、警官が発狂して無差別に人を殺したら? (デスペレーション)……

出典スティーブン・キング『小説作法』

こういった「情況」は、入浴中や運転中、散歩中などに浮かぶそうです。

一番大事なこと

小説における正直は、文体上の夥しい欠陥を補って余りある。嘘偽りは手のほどしようのない深傷である。文章は飽くまでも血の滲むような一語一語の積み重ねである。書き手が自分の知っていることを粗末に扱い、心を偽れば、世界は描くそばから崩壊する。

出典スティーブン・キング『小説作法』

この本でキングが一番言いたかったのはここ。

描写

巧みな描写は年季を必要とする。それ故に、よく読み、よく書かなくては、成功はおぼつかない。

出典スティーブン・キング『小説作法』

実践あるのみ。しかし、読書量も大事です。

私の見るところ、巧みな描写はいずれの場合も、選ばれた細部が言葉少なに多くを語っている。そして、その細部はたいていが真っ先に作者の頭に浮かんだ事柄である。とりあえずはそれでいい。それが推敲というものである。

出典スティーブン・キング『小説作法』

読者が物語の世界を実感するためには、登場人物の身体特徴よりも、舞台となっている場所や、そこに漂う空気を伝えることの方がずっと大切である。顔形の描写が人物を捉える近道だとは思わない。

出典スティーブン・キング『小説作法』

読者にも想像力というものがあります。

作者が努力を怠らず、持てるすべてを傾ければ、人物は息が通って思い思いに動きだす。これは体験してみなければわからないことながら、作中人物が自律して奔放にふるまいはじめた時の楽しさといったらない。

出典スティーブン・キング『小説作法』

これも、「作品は自律的に成長する」というキングの持論。

ここまでで小説作法の基本はほぼ語り尽くした。すべては根底の原則に帰結する。すなわち、文章を磨くには実践のほかに近道はなく、正直に徹する以外に処方はないことである。

出典スティーブン・キング『小説作法』

「正直」とは、ストーリーや登場人物を、頭だけで操作しないことなのかもしれません。

推敲

原稿が仕上がると、私は一息入れて、作品の底流にある傾向を探りながら読み返す。そこにはきっと何かがあるはずだから、見極めたものを取り出して、くっきりと浮き彫りにする意識で第二稿を書く。というわけで、二稿の担う働きは二つ、シンボリズムの増幅と主題の補強である。

出典スティーブン・キング『小説作法』

推敲がなければ、作品は見られるものになりません。
場合によってはかなりの書き直しがあるようです。

優れた小説は必ず、物語にはじまって主題に辿り着く。主題にはじまって物語に行き着くことはほとんどない。

出典スティーブン・キング『小説作法』

(六週間置いてから自分の原稿を読むと)作品の構成や人物造形に覆いがたい欠陥を発見する。トラックで抜けられるほどの大きな穴である。驚いて開いた口が塞がらない。実は、ここが何よりも肝腎なところで、自分の原稿に大きな穴を見つけたからといって、悲観することは断じて許されない。

出典スティーブン・キング『小説作法』

トラックで通りぬけられるほどの穴って^^

まずは素性の怪しげな代名詞を削除する。次いで、必要に応じて説明的な語句を書き足し、当然、副詞はできる限り削る。

出典スティーブン・キング『小説作法』

「第二稿 = 初稿 - 10%」。
キングは、返送されたボツ原稿に書かれていたこの言葉を壁に貼ったらしい。

(推敲の過程で)私は絶えず自問する。最大の関心は、話が首尾一貫しているかどうかである。幸い筋が通っているとしたら、その論理を歌にまで昇華するには何が必要か考える。繰り返し登場する要素は何か。その累積は主題を構成するだろうか。言い換えれば、私は「つまり、何なんだ、スティーヴィ?」と自分に問いかけているのである。

出典スティーブン・キング『小説作法』

作者も、実際に書くまで、「自分が本当は何を書きたかったか」、分からないことがあるものです。
なお、第二稿まで終わると、数人の親しい読み手に仕上がりを披露するそうです。

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coffeefriskさん



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