1. まとめトップ

ゴッホは色覚異常だった?【色覚テスト付き】

少し前に、ネット上で色覚異常の人々が見る世界と普通の人の見る世界についての比較画像が流行りました。ほんとうにしかし、ゴッホは色覚異常だったのでしょうか?

更新日: 2013年02月20日

53 お気に入り 272626 view
お気に入り追加

この記事は私がまとめました

naopionさん

まずはこちらをご覧ください

違うテイストの同じ柄が二枚ずつ並んでいます。
左にはオリジナル、右にはP型60%シミュレーションと記されています。

右の絵には、色覚異常の人が見ている世界となるように加工が施されています

色弱の私には、左右とも同じに見えます(汗

( ´ Д`) < 違いがわからないよ~~

↑色覚異常の方の反応

この加工をされたのは、浅田一憲氏。
一時期ネット上で話題になったゴッホの色覚異常説の火付け役となりました。
詳しくはリンク先をご覧ください。
(その説自体は浅田さんが書かれる前からありました。)
http://asada0.tumblr.com/post/11323024757

この検証は、浅田氏が色覚異常の知人に「ゴッホは色覚異常である。同じ人間ににしかわからない。」言われ、行ったものだそうです。

結果、加工後の絵はオリジナルと印象が異なることがわかり、たしかに見る人により絵が変わるの結論付けている。

もう一度絵を見てみましょう

左→緑が多く、不安を掻き立てる。
  左に比べ圧迫感を感じる。
右→暖かい光にかわる。
  また、奥行きも感じられ、
  ゆったりとした印象を受ける。

左→線のあらあらしさが目立ち、やはり緑が多い。
右→全体的になめらかになる。あたたかい色合いになうる。

ここで注意していただきたいのは、
ゴッホが色覚異常であった可能性を示唆してはいるが、
浅田さんは「ゴッホが色覚異常かどうか」に論点を置いているのではなく、
あくまで「見る人によって見方が変わる」ことに注目していることを主張したいようです。

また、浅田氏は、色覚異常と言ってもいろんなタイプがあるので、
色覚異常の方の全員が左の絵のように見えているわけではないだろうとサイト上で述べています。

今回は、以上のことを踏まえたうえでゴッホの色彩感覚についての意見をまとめていきます。

ほんとうに右の方が優れているのでしょうか?

内容は主に、
①ゴッホは色覚異常だった「らしい」を前提にしており、鵜呑みにしている
②加工ソフトは正確だと言えない
③加工後、素晴らしくなったのでゴッホは色覚異常だっただろうというのは主観的だ

ということです。

このロジック(③について)で、例文を作ってみると、このような具合になります。 「19世紀の作曲家であるエリック・サティの音楽に”高い音を消す変換”をかけたら、”緊張感がなく自然な音”に感じられるようになった。そして、それが(私には)自然に思われるから、サティは高い音が聞こえにくい”耳が遠い”聴覚を持っていたのだろう」 …サティが精魂込めて作り出した音楽の特徴が、”耳が遠い”せいになってしまいました。

極端な話、例えばピカソが晩年「立方体の顔が普通の顔に見える」脳障害を患っていたとして、彼のキュービズム作品を普通の顔に変換したものが、より自然で凄いとか言い出すのかという。

左右の絵それぞれに支持者がいます

これゴッホが視覚異常だったのが本当なら、だったからこそ絵が評価されたんじゃないか? あの色使いがよかったから。ゴッホの視覚で見たゴッホの絵画(シミュレーションした画像)見たらさ、すごい普通じゃん。普通にうまい。でも味気ないと感じた。私はね

ゴッホの場合は、絵画のクオリティは、大して高いとは言えません。
実は、芸術的なアカデミックさもありません。

ゴッホは絵画の魂をぶつけたようなダイナミックさや彼の波乱万丈な人生とリンクして「価値がある」とされているので、加工後の穏やかになった絵はある意味魅力の一つをそいでしまうことになるかもしれません。

ゴッホの色彩は見るものを置いていってしまう「わかりづらい人」になってしまってギラギラとした色使いに感情移入しづらくなった。だから好みから次第に外れていった。(しかし、加工後の絵を見て)『ゴッホはもっと落ち着いた人だった』。あり得ると思います。そうだとするとまたゴッホを愛せるかなぁ。

こちらの方は、若いころはとてもゴッホが好きだったそうですが、年を重ねるうちにゴッホの鋭さがしんどいとかんじつようになったといいます。このように芸術は人それぞれ、ひいては同じ人でも場面によって感想が変わってきます。

この実証の良い点

以前からゴッホは色弱であったのではないか、という説は読んだことがあるが、この記事はヴィジュアルに「もしかしたら、ゴッホにとってはこんな風に見えていたのかも」を提示してくれている。
また、これまでにも「色覚異常の人はこんな風に見えます」という紹介を読んだことがあるのだが、今ひとつピンとこなかったのは、そうか、事例にインパクトが無かったのだとわかった。

ゴッホの絵は黄色っぽい?

こらは、twitter上で話題になった論題です。

大学で習うことがすべて正しいとは限りませんが…

しかし実証は難しい

「ゴッホが黄色を使い・眩しい印象の絵を描くのはジギタリス中毒のせいでないか」といった主張などです(T.C.Lee 1981)。 しかし、そういったものは、状況証拠が足りないために、一般的に受け入れるまでには至らない「説」で終わっている、というのが実際のところです。

一方、何十年も前に亡くなった人の色彩感覚についての実証が難しい、という点で、浅田氏の検証は「具体的に取り組んでみた」点で素晴らしいのではないでしょうか。(趣旨が色覚異常の検証ではないにしろです。)

1 2