1. まとめトップ

スクールカーストとは?

オフィス・宮島です。大阪・桜宮高校であった生徒の自殺、滋賀・大津であった凄惨ないじめ(犯罪)による生徒の自殺…という痛ましい事件が発生していることをよく耳にします。その原因の1つに挙げられるのか「スクールカースト」と呼ばれるものです。今回はこれについて解説します。

更新日: 2016年12月29日

117 お気に入り 566595 view
お気に入り追加

中学・高校には「見えない地位の差」がある

東京大学社会学研究所の研究員・鈴木翔氏によると、中学校および高校の教室内には「見えない地位の差」があり、同学年の間にも「上下」のグループ分けが出来上がるのだそうです。そしてその体制を生徒全員が受け入れるのだそうです。こういうのを「スクールカースト」といいます。

鈴木氏によると、クラスの「上中下の順位」は次のように振り分けられるのだそうです。

「上」…容姿がすぐれている(イケメン・美女)、運動部レギュラー、話が面白い、ノリがいい、異性受けが良いなど「コミュニケーション能力」の高い人物

「中」…「上」の人間ほどではないが、上に示す能力を持っている人物

「下」…おとなしい、目立たないなど

左図は女子学生における「スクールカースト」です。これよりわかるのは「運動部所属者」は「文化部所属者」より序列が上になっていることです。また、「彼氏あり」のほうが「彼氏なし」より序列が高いこともわかります。

「実家が貧乏」という自分ではどうにもできない理由だけで「下」の階層に落とされてしまう理不尽さがあります。

一番重要なことですが、図からもわかるようにいじめを受けている学生は「人間」扱いされていません!

引用元 仮説「ママ友カースト」 - gojiai nikki

「スクールカースト」の定義

鈴木氏は、「スクールカースト」を次のように定義しています。

定義
同学年で対等なはずなのに、「あの子たちは『上』で、あの子たちは『下』」という序列を生徒たちが認識・共有すること

同様に「スクールカースト」という名前はどのようにして生まれたのかを鈴木氏は、このように述べています。

名前の由来
①2000年代後半に教室内で「下位グループ」であった子供たちがインドのカースト制度になぞられて鬱積した不満をネット上に書き込んだことにより広まった

②教育評論家の森口朗氏が2007年に出版した「いじめの構造」という本の中で、『いじめモデル』にリアリティを持たせるため、『スクールカースト(クラス内ステータス)』という概念を持ち込んだ

「スクールカースト」の実態について

昔の学生の上下関係は、久米田康治氏が書いた「かってに改蔵」という漫画に登場する坪内地丹(つぼうち・ちたん)という小柄な学生がほかの学生に「パン買ってこい!」といわれ、コンビニに買いに行かされる…というシーンが思い浮かぶと思います。

しかし、鈴木氏によると、スクールカーストは非常に陰湿なものであるということです。実態はどのようなものかというと…

●放課後の掃除は雑巾がけ、箒(ほうき)がけ、机移動など完全分業制で、真冬の寒い時期に行う雑巾がけは「下位グループ」の人間が担当する。「上位グループ」は負担の小さい箒掛けのみ行う。
そのため、教師たち「大人」は「上下関係」を把握しづらい。

●女子高生の場合は、「下」の生徒が化粧して「上」の生徒に目を付けられないかを考え、相応しくないと考えたら、化粧したくても化粧しない。

●4月になり、クラス替えが行われ心機一転して「下」が序列逆転を目指して努力して「イケてるキャラ」に代わろうとしても、学年で情報が共有されているため、序列逆転は不可能。
一生懸命努力するということ=カッコ悪いという意識があり、「イメチェン」に必死になる姿は嘲笑の対象となる。

●「上」の生徒が「下」の生徒に「おまえ、マジむかつく」というと「下」のランクがさらに下がる。「下位グループ」にも「(下の)一軍、二軍、三軍」があるとのこと。すなわち、教室内の「人事権」は「上」が握っている。

●リアルタイムブログ(リアル)と呼ばれる日記サービスにおいて、パスワードを設定すれば閲覧制限をかけることができる。そのため、「閲覧を許された人」と「閲覧できない人」に分けられる。また、定期的にパスワードが変更されても、教えてもらえない場合がある。それまで「上」の生徒のリアルを見られたのに、変更後のパスワードを教えてもらえなかったことによって、「普通」の生徒は「下」に身分が下がったと認識する。これを「リアルに鍵をかけられる」というのだそうだ。

●これは特に深刻な例で、いじめが始まる前兆であったというものです。
女子生徒の多くが持つ「プロフィール帳(友人の自己紹介などの書き込んでもらうノート)」を巡って、「上」の生徒が「下」の生徒に「書いて」と頼み、その子は嬉しそうに書き込んだが、書き終わったところで「上」の生徒がそれをゴミ箱に投げ捨てて、教室全体が笑いに包まれた。

この話は「上」に所属している生徒が「みんな笑っていたし、教室を和ませようとしてやった」と述懐したものだが、教室全体の空気として受け入れられても、プロフィール帳を書いた生徒の自尊心を打ち砕くものです。この生徒はそれを理解できていない!

ちなみに、この述懐した生徒は「自分が正義」とまで言い切っています。

●「上」の生徒にも義務はある
「権力」を持っているがゆえに、ホームルームなどでみんながだまって何も言わないと「上」の人間が何か発言しなければならない。そうしなければクラスが動かない。「下」の生徒たちは「早く何か言ってくんねえかな」と心の中で思っているのだとか。また、教師が受け狙いでくだらないギャグを飛ばした時、「はぁ~」とか言って反応しなければならなかったり、帰りたくないにも関わらず「早く帰りたい」や「マジだりいよ~」などといって空気を作らなければならないのだとか。

このように述懐していた人物は、これが「非常に苦痛」となったため、3年に上がる直前に退学したそうです。

●上位にいれば嫌われない保証がある
上位のグループに所属していた女子生徒は、次のように述懐しています。
「えーと、誰かに私がひどいことをしたとしても、特に私に敵対のまなざしが来ることがないですよ。私人泣かしていたし…別のクラスのヤンキーとも仲良かったから」

「グループの地位」の把握方法

小学校では、「地位の高い」子、「地位の低い」子というように、「個人」をもって地位を把握するのに対し、中学校以降では「グループの地位」で区別するそうです。

*力関係を把握しやすいように、上下を「あだ名」で区別する
鈴木氏が聞き取ったところによると、次のように分類されるそうです。

「上」…「ヤンキー」「ギャル」「清楚系」「イケてる」グループ

「中」…「普通」グループ

「下」…「地味」「オタク」「残念な人」「イケてない」グループ

表現にばらつきはありますが、このように「同じ価値観」や「仲良しグループ」で分類しているのではなく、「力関係」で分類していることがよくわかります。

先生も「スクールカースト」を利用している

鈴木氏によると、学校の先生も「スクールカースト」を利用して教室を経営しているとのことです。

鈴木氏が実際に現役の教師にインタビューしたところ、このように帰ってきました。
入学して最初の3日間だけは素直に教師のいうことを聞く「黄金の3日間」といい、その間に教師が生徒のキャラクター把握および学級経営方針を決めてしまわないと、4日目で生徒が反発し担当のクラスが学級崩壊するそうです。

だから、教師たちは「黄金の3日間」のうちに、教室内の「力関係」を把握し、誰と仲良くするかを決めておかなければならないそうです。その結果、仲良くするのは「上」の生徒ばかりになり、「下」の生徒は先生自身も無視しているのだそうです。

高校教師のMさんによると、自分が望む方向に授業を持ってゆくには「上」の生徒を使うのが重要であると考えています。これができない先生は「先生失格」とまで述べています。

また、別の高校教師であるKさんによると、「スクールカースト」による「地位の差」を何かしらの「能力差」と解釈しています。Kさんは「自分自身の長所短所を把握するには、立場の強弱をわからなければならない。これ(スクールカースト)を通じて世の中にはたくさんこのような人たちがいるということを知っていかなければならない。ゆえに、コミュニケーション能力や人間関係を学ぶ上でも肯定しなければならない」とも述べています。

先生は「上」「下」をどのように見ているのか?

今までは生徒側から見た「スクールカースト」について説明しましたが、先生側からみた「スクールカースト」とはどのようなものなのかをまとめてみました。

先生から見た「上」の生徒・「下」の生徒
「上」…自己主張ができて目立つ生徒
 例) 「自分はこういう人間だ」ときちんと言えて、みんなに受け入れらている生徒
    家と学校でのキャラクターの差がほとんどなく、友人にも強くいえる生徒
    おしゃれに目覚めている生徒

「下」…やる気がなく長いものに巻かれているだけの生徒
 例) 印象が薄い生徒
    投げやりな生徒
    自己主張しない生徒
    オタク系、ゲーマー、物静かな生徒

これからわかるように、生徒の目から見た「上」の生徒と「下」の生徒とは差があまりないことがわかります。

ちょっと意外かもしれないが、「下」の生徒の重要な特徴として学校と家での「キャラの差」が非常に大きいということを挙げています。前述のK先生によると「学校で強く出れない分、家でお母さんなどに八つ当たりしている」生徒が、「下」であるとのことです。

次に、教師が持つ「上」と「下」のイメージについてまとめてみました。
●「上」が持つイメージ
 カリスマ性があり、クラスの雰囲気を和やかにすることができる
 とにかく楽しくいたい。先生にも「これやろうよ」といって誘ってくる
 当人が聞いてもあきれるような言い訳をするが、教室内で笑いが生まれる

●「下」が持つイメージ
 表だって意思表示をしない、積極的な行動が見られない。すなわちプラスマイナスゼロを
 理想としているように見える
 メリットは感じない
 決断力がない人間で、ついてゆけばいいと思っている
 
Y先生によると、「下位に所属する人間は使えない」と述べています。鈴木氏が「開発や技術部門で成功するのでは?」と質問してみると、Y先生は「企業が全くそのような人間を求めていないし、就職試験で落ちるのは大体そのような連中である」と述べています。逆に「上」の人間は、友人のつてなどを使って就職先を見つけてしまうので、非常に「生き方がうまい」と述べています。

この結果からY先生は、「上」の生徒は手がかからず「下」の生徒のほうが手がかかると考えています。

都会の学校だけの話なのか?

鈴木翔氏は東京大学の社会学者のため、関東を中心に活動をしています。そのため、「都会の学校」の出来事が多いです。これを執筆しているとき、私は地方でも「スクールカースト」というのは存在するのか?という疑問が生じました。

それを解決するため、私が非常勤講師として勤務している塾の生徒(中三男子)に、これをプリントアウトしたものを見せたところ、「うちにもこれがある」と言っていました。現在担任として指導している彼の弟が今年中学に入学したばかりで、右も左もわからない状態のため、「スクールカースト」からくるいじめに巻き込まれないよう全力で守ってやるよう指示しました。

また、私の同僚たちや教室長もこの話を「初めて聞いた」というので、まだまだ「スクールカースト」に関する知識などは乏しいです。今の状態では、これから来るいじめによる相談を生徒から受けても対処できないでしょう。

なぜこのようなものができたのか?

私(1980年生まれ)や鈴木氏(1984年生まれ)が中学・高校(高専)生だったころ、「勉強ができる」または「ケンカが強い」といった生徒は一目置かれていました。実際にあった話ですが、普段威張り散らしている生徒でも留年は怖いらしく、定期テストの前になると「勉強のできる」生徒の前に行って「勉強教えてほしい」と頭を下げていました。

しかし、1995年から始まったデフレによって、有名企業の倒産が目立つようになり、「いい大学を出ていい会社に入れば将来安心」という価値観が崩れました。その結果、日本社会全体が閉塞感や絶望感、厭戦的な雰囲気に覆われました。また、「ゆとり教育」が本格的に始まり、「学力重視」ではなく「生きる力」といったきわめて定義が曖昧な基準が重視されるようになったのもこの年代です。
1995年に生まれた子供たちが中学に入る頃が2008年だから、「スクールカースト」が発覚した年ときれいに一致します。このころに生まれたものと推定できます。

そこで、「スクールカースト」と呼ばれる序列ができた理由を、鈴木氏は次のように分析してます。

①ケンカする機会が少なくなった

②勉強ができて「いい大学」に入っても就職がおぼつかない時代になったため、生徒にとって「価値ある能力」が分散して見えづらくなった

③教育現場でも「生きる力」「人間力」「問題解決能力」といった「社会を生き抜くための力」とされるきわめて曖昧なものが重視されるようになった

これは私見なのですが、状況から分析すると「ゆとり教育」が「スクールカースト」を生み出したのではないかと思います。また、ビートたけし氏が「たけしの中級賢者学講座 そのバカが止まらない」という著書において、学校教育をダメにしたのは平等主義であると喝破しています。
氏は次のようにも述べています。「平和・友情といったきれいごとの裏で、足の引っ張り合いを行っている。人間は元来「平等」というものが好きでないから、平和・友情といった美辞麗句を掲げれば掲げるほど、裏で何をやってもいいという風潮が生まれ、陰湿な差別が生まれる」と。

「スクールカースト」が存在しないところもある?

昨日(2013年5月14日)、私が非常勤講師をしている塾の生徒(女子高生)に同じ内容の質問をしてみたところ、「そんなものは存在しない」「いきがっている生徒が勝手にやっているだけ」「ドラマの見すぎ」という答えが返ってきました。返答した3人のうち2人は富山県有数の進学校の生徒で、1人は進学校ではないが非常におおらかな校風の学校に通っています。

これから推測すると、有数の進学校では「勉強しなければすぐ落第・留年させられるので、相手のことを気にしていられない」ため、発生していないのではないのかと考えられます。また、おおらかな校風のところでは「生徒自身がゆったりしているので、気にしていない」から発生しないのではないでしょうか。

本文中「富山県有数の進学校」と書きましたが、この学校の偏差値はそれぞれ67、62で「進学校ではないが非常におおらかな校風の学校」の偏差値は43です。

気が向いたら、「偏差値とスクールカーストの関係」について調べてみようと思います。あくまで予想ですが、偏差値が高いところと低いところではスクールカーストが生まれにくく、中間部分では生まれやすい傾向があるのではないでしょうか。

「差別」はなくすことができるのか?

今回は、現在の中学校・高校に存在する「差別」について書きましたが、世の中を見まわすと…
正社員と非正規社員の賃金や待遇の差別、子供をスパイにして父親の職業・収入・子供の成績および外食の回数までを調べて「ママ友」の序列を決める「ママ格付け」といったものから

東日本大震災で破壊された福島第一原発による放射能漏れ事故によって、やむを得ず県外へ避難した人たちが、放射線・放射能に関する科学的見地を持たない人たちが不必要に不安を煽ったため、そこに住む人たちからいわれなき差別を受ける「福島差別」

在特会(在日特権を許さない会)が「なぜ外国人なのに日本人と同じ待遇を受けるのか、また犯罪ばかり起こし、日本が嫌いと公言している連中がなぜ日本にいるのだ、さっさと帰れ!」という疑問から反韓デモを起こせば、在日韓国・朝鮮人たちが「人種差別だ!」といって反発したり

19世紀半ばから白人の間で広まった黄禍論、チャールズ・ダーウィンが書いた『種の起源』にある「生物は自然淘汰によって適者が生き残る」という「適者生存」も白人優性と読み替えたり、オーストラリアの白豪主義、南アフリカに存在していた白人と非白人を隔離するアパルトヘイト、ナチス時代のユダヤ人迫害など…数えきれないほど地球上に「差別」が存在します。

*************

はたして、地球上から「差別」はなくすことができるのか?
その答えは人間が地球上に存在する限り、「ノー」でしょう。どんなに「素晴らしい」法律や制度を作ってもそこに住む人たちを100%満足させることは不可能です。そもそも、Win-Win(共存共栄)の関係というのは、どこかで妥協しているわけですから。

自分の言い分を100%相手に呑ませるというのは「上下関係」そのものです。自分が相手に言い分を呑むよう要求したら、相手も自分に対して言い分を100%呑ませようとします。その結果意見の食い違いから衝突してしまいます。動物の場合は1対1のガチンコ勝負で済みますが、人間の場合は多対多であるため、交渉から始まり、交渉がまとまらないなら、制裁を経て戦争という最終手段を取らざるを得なくなります。これが現実です。

これから言えるのは、せめて「差別」を受けたことによるショックを小さくしてやるのが精一杯ではないのでしょうか。

参考文献

「スクールカースト」の入門本

このまとめを読んでもよくわからないなぁ…と思う方は、この本を読むとよくわかります。まずはこれで「スクールカースト」について勉強しましょう。

1 2





オフィス・宮島です。
個人事業主なので、社員は1人もおりません。手探り状態で進めているので経営に関してはよくわかっていません。
経営に関するアドバイスなどいろいろいただけるとありがたいです。

このまとめに参加する



  • 話題の動画をまとめよう