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核融合科学研究所のプラズマ実験が最高温度の新記録を達成 核融合研究が更に前進

核融合科学研究所は4月9日、昨年行われた超伝導核融合実験装置を使った実験結果を発表し、イオン温度、電子温度ともに今までの研究記録を更新したと発表した。また併せて、プラズマ中に発生する乱れのシミュレーションの成功と、東北大学が開発した高温超伝導線材が臨界電流6万アンペアを達成したと発表した。

更新日: 2013年04月19日

yamatonomiyaさん

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これらの成果により、核燃焼プラズマを見通すために1億2,000万度の温度を密度20兆個/ccで達成するというLHDの最終目標に向かって、また一歩前進することができました。

我が国独自のアイデアによる世界最大の超伝導核融合実験装置である大型ヘリカル装置(LHD)では、第16サイクルプラズマ実験を平成24年10月17日から12月6日にかけて実施しました。第16サイクルプラズマ実験においては、超高温にプラズマを加熱する方法に大きな進展がありました。

核融合科学研究所発表の概要

超高温プラズマ生成法が大きく進展

我が国独自の超伝導大型ヘリカル装置(LHD)において、
高い密度(10兆個/cc)での加熱手法を開発することにより
イオン温度8,500万度、電子温度1億5,000万度をそれぞれ実現

高圧力プラズマ中に発生する乱れのシミュレーションに成功

スーパーコンピュータの性能向上と新たなシミュレーションコード開発により核融合プラズマ内で発生する複雑なプラズマの乱れの把握が可能に

高温超伝導導体で6万アンペアを達成

核融合発電炉のマグネットに適用の見通し
導体の接続技術を東北大学大学院・量子エネルギー工学専攻と開発

超高温プラズマ生成法が大きく進展

イオン温度については、FM周波数帯の電波を用いた壁の洗浄を組み込んだ運転方法の改善により、昨年度、記録された8,000万度を越える8,500万度を達成するとともに、このような高いイオン温度を再現性良く実現することができるようになりました。

また、電子温度についても、加熱するマイクロ波の周波数を77ギガヘルツから154ギガヘルツへ倍増させた新しい加熱装置の導入により、これまでできなかった高い密度(10兆個/cc)での電子の加熱が可能となり、1億5,000万度の電子温度が得られました。このマイクロ波の高周波数化によって、核融合の密度条件である100兆個/ccの高密度においても有効な加熱が期待できます。

赤丸が平成24年度に高周波数のマイクロ波によって得られた新データです。これまでに比べ、より高温・高密度のプラズマが生成されていることが分かります。

高圧力プラズマ中に発生する乱れのシミュレーションに成功

本研究所では、圧力が高いプラズマ中の乱れを記述するために、重いイオンとともに負の電荷を持った軽い電子の運動を解く数値シミュレーションコードを国内で初めて開発しました。イオンより数千分の一軽い電子の運動をイオンと同時に数値シミュレーションするには非常に性能の高いコンピュータを必要とします。昨年10月に、核融合科学研究所のスーパーコンピュータの性能が約4倍に向上され(図2-2)、このような計算が可能となりました。このスーパーコンピュータを用いて、一カ月に渡る長時間の計算を行うことにより、圧力が高い場合の大型ヘリカル装置に現れる乱れた流れの様子を捉える事に成功しました。

縦軸は磁気面(プラズマを閉じ込めるかごの網面に相当する)に沿う方向、横軸は垂直(網面を横切って外へ逃げる)方向を示しています。また、赤は時計の針が回る方向の流れ、青はそれとは逆向きの流れを表しています。圧力が低い場合は流れのパターンが水平に沿って分布しますが、一方、圧力が高い場合は流れのパターンが斜めに傾くことが分かります。

高温超伝導導体で6万アンペアを達成

核融合科学研究所では、将来の核融合発電炉のマグネットに適用可能な高温超伝導導体の開発研究を進めており、この度、世界最高記録となる6万アンペアを達成しました(これまでの最高は核融合科学研究所で以前に出した1万5千アンペアです)。導体には日本で開発された先進のイットリウム系薄膜高温超伝導線材を用いています。

導体の一部に適用されている分割型超伝導マグネット接合技術は、東北大学・量子エネルギー工学専攻の橋爪秀利教授・伊藤悟助教によって研究開発された新しい技術です。これを用いて変圧器の原理である電磁誘導方式によって大電流を流しました。この時、接続抵抗が核融合発電炉に適用できる十分低い値となることが実証されました。

報道発表

核融合科学研究所は9日の会見で、世界最大の超伝導核融合実験装置である大型ヘリカル装置を使った高温プラズマ生成実験で、1立方センチ当たり10兆個の密度でプラズマの原子核(イオン)温度が8500万度、電子温度が1億5千万度をそれぞれ記録し、今までの研究記録を更新したと発表した。

核融合発電の実用化を目指す核融合科学研究所(土岐市下石町)は九日、報道関係者に二○一二年度の研究成果を報告し、プラズマの加熱に進展があったことを明らかにした。

核融合科学研究所(土岐市)は9日、実験により、イオン温度がこれまでより500万度高い8500万度のプラズマの生成に成功したと発表した。核融合発電の実用化に必要な1億2000万度の達成に向け、一歩前進したとしている。

今後の目標と課題、現在の展望

実験に用いたイットリウム系薄膜高温超伝導線材は、世界最高の臨界電流(超伝導状態を破らずに流せる最大電流)性能を誇っており、送電ケーブル、変圧器、エネルギー貯蔵などスマートグリッドの一端を担う電力機器や、大型モーター、医療用加速器、リニアモーターカーなどへの実応用が期待されています。今回の成果は、高温超伝導線材の大電流輸送技術と高性能接続技術を提供するものとしても重要で、今後の産業応用をさらに推進するものとなるでしょう。

核融合発電では、水素の代わりに重水素を使うと、より高い温度が出るとされる。重水素実験では微量の放射性物質が出るが、県や地元3市(土岐、多治見、瑞浪市)は先月末、安全性が確認できたとして、早ければ15年度末に始まる実験に同意する協定を同研究所と結んでいる。同研究所は「より高温のプラズマを生成し、1日も早い実用化につなげたい」としている。

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京都でFelt Z85を駆る理系。



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