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第一回「日本珍菌賞」は、「ナゾの菌」エニグマトマイセス!

2013年6月8日、日本菌学会大会にて、第一回「日本珍菌賞」が発表されました!日本一の「珍菌」に選ばれたのは、「ナゾの菌」という意味の名前を持つ、かつて正体不明だったカビでした。(作成日:2013年6月8日)

更新日: 2013年06月15日

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mycology_anさん

珍奇な形態や生態を持つ菌の日本一を決める、「日本珍菌賞」が発表されました!

まとめを更新しました。珍菌賞どうなったか気になります。 「菌学会大会2013」 togetter.com/li/515293

一体どの菌が選ばれたのか!?

エニグマトマイセス・アンプリスポラス (Aenigmatomyces ampullisporus)。「アンプリスポラス」はフラスコ形の胞子の、という意味です。
5番の写真がカビの部分を示しています。6番の写真は、この菌がつくる特殊な胞子です。

(1999年に箱根で採取した土壌試料の)培養を始めてから一ヶ月ほどたったある日、実体顕微鏡の下で高さ1mmに満たない見慣れぬ菌が発生しているのに気づきました。

1993年に、カナダ・オンタリオ州の森林のリターから二度だけ発見された奇妙な菌類

これを発見した学者は、「この生物は確かに菌類ではあるようだが、菌類のどの属、科、目、綱はおろか、どの門におくべきものかも判定できない」と述べ、新属新種としてこの菌に“謎の菌類”(ギリシア語で、aenigmato=謎に満ちた、myces=菌、の意)という名前を与えて発表し、その謎解きを後の学者に委ねたのです。

エニグマトマイセスが発表された論文:
Castaneda Ruiz RF, Kendrick WB (1994) Aenigmatomyces, an enigmatic new genus of fungi from Algonquin Park, Canada. Mycologia 85: 1023-1027 http://p.tl/1z-t

ナチス・ドイツの暗号機に「エニグマ」がありましたが、それと同じく、まさに解釈不能。謎の菌でした。

日本の学者が日本で再発見。その驚きの生態が明らかに。

エニグマトマイセスははじめ、卵菌と思われる他の菌を「宿主」として、「寄生」して生きているのだと考えられました。しかし、「宿主」と思われたものが、実際には意外な「別のもの」だったことが明らかになったのです。

トビムシは交尾をするのではなく、オスが精包を下に置き、メスが自分でそれを拾い上げると言う形で精子を受け渡す。

エニグマトミケスは、どうやらそのような置き去りにされたトビムシの精包にとりついて、頭部のゼリー質中の精子を分解しながら栄養を摂取して育っているようなのです

「宿主」と思われていたのは、「精子」の入ったカプセルだった!

一般的に、大きさが数 mmにしかならない、ごくごく小さな昆虫の仲間です。このトビムシの「精包」ですから、まさにミクロの世界のお話です。

エニグマを解き明かした

出川先生が(研究されている菌が)、珍菌賞を受賞されました。"@young_mycol: 第一回日本珍菌賞の賞状です. #珍菌 pic.twitter.com/qEVWHMVsTH"

激励の言葉を受けて勇気百倍です。次はこれを論文にして発表せねばなりません。

2002年の記事。日本での発見から13年経ちましたが…。学会発表のみで、論文はまだ発表されていないようです。

もうひとつの「エニグマ」

この菌はキューバから記載された「エニグマトスポラ・プルクラ」というレアな不完全菌であることが明らかになった。

実は、同じ研究者により、もうひとつの「エニグマ」も解き明かされています。「エニグマトスポラ」は「謎の胞子」という意味。こちらは「ヤスデの糞」から発見されました。またもやミクロの世界…!

(原文)This fungus was identified as a rare hyphomycete,
Aenigmatospora pulchra R. F. Castaneda Ruiz et al., described from Cuba.

関連サイト(随時更新)

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