1. まとめトップ

【小説】一度は読んでおきたいミステリ小説【おすすめ】

絶対に読んでおきたいミステリー小説を紹介。

更新日: 2013年08月10日

63 お気に入り 17294 view
お気に入り追加

この記事は私がまとめました

keioooさん

★月光ゲーム―Yの悲劇’88

夏合宿のために矢吹山のキャンプ場へやってきた英都大学推理小説研究会の面々を、予想だにしない事態が待ち構えていた。山が噴火し、偶然一緒になった三グループの学生たちは、陸の孤島と化したキャンプ場に閉じ込められてしまったのだ。その極限状況の中、まるで月の魔力に誘われたように出没する殺人鬼! 有栖川有栖のデビュー長編。

江神シリーズの第一作。
有栖川氏の作品では、いくつかの些細な手掛かりが与えられ、
その手掛かりから過去を論理的に再構成するという探偵手法が
採用されている。このデビュー作も例外ではない。
江神探偵の推理の過程、手掛かりの提示は周到に練られており、
ミステリーとして十分に楽しめる作品になっている。

★1/2の騎士

“幸運のさる”を見つけた中学生が次々と姿を消し、盲導犬は飼い主の前で無残に殺されていくーー。
狂気の犯罪者が街に忍び寄る中、アーチェリー部主将の女子高生・マドカが不思議な邂逅を遂げたのは、この世界で最も無力な騎士だった。
瑞々しい青春と社会派要素がブレンドされた、ファンタジックミステリー。

ファンタジーをまといつつも、設定されたトリックも背景も、かなり作り込まれている。
一見荒唐無稽な犯罪に見えてしっかりと裏付けがあり、「もしかしたら」と思わせる。
柔らかな地の物語と、縦線に入る亀裂のような悪意の犯罪が、妙に調和して美しい。

この作者の中にはいったい、悪意と夢のどちらがたくさん、詰まっているんだろう?

水の時計、漆黒の王子と読んできて、その作風の透き通った爽快感と、
救いある悪意のミックスに、今すごくはまりそうな予感。

★天使のナイフ

少年犯罪における贖罪の意味を問う意欲作 妻を3人の少年に殺された過去をもつ桧山貴志。4年後、少年のうち一人が殺された。疑惑の人となった桧山は自ら、何が少年たちを犯罪に追いこんだか探り始める。

少年犯罪と少年法、社会が抱える多くの矛盾と問題点。こうしたテーマで書かれた小説は特に珍しいものではないが、その多くは加害者或いは被害者どちらかの視点に偏ったものが多かった。しかし、本書は双方の視点から見ることが出来るよう仕掛けが施されている。
 ストーリーは少年に妻を殺害された夫がその事件の真実を追い求めようとする過程を中心に展開していくが、その過程で加害者、被害者の家族、社会が抱える問題点に頷きながら読み進み、中盤以降目まぐるしく展開する「仕掛け」に驚かされる。そしてラストに明かされる事件の真相。
 また、テーマのわりに読後感が重すぎない点には、ストーリーを包み込む作者の人間愛を感じた。静かな夜に一気に読まれることをおすすめする。

★火の粉

内容紹介「私は殺人鬼を解き放ってしまったのか?」元裁判官・梶間勲の隣家に、二年前に無罪判決を下した男・竹内真伍が越してきた。愛嬌ある笑顔、気の利いた贈り物、老人介護の手伝い・・・。竹内は溢れんばかりの善意で梶間家の人々の心を掴む。しかし梶間家の周辺で次々と不可解な事件が起こり・・・。最後まで読者の予想を裏切り続ける驚愕の犯罪小説!

読み始めは、「十三階段」の裁判官版を思わせるが、徐々に「黒い家」や「ミザリー」に似た、「次に何が起こるのか」という恐怖に支配され、ページを捲る手か止まらなくなる。ミステリーの中でもホラー色の強い作品である本作は、評判を呼んだ前作「虚貌」を遙かにしのぐできばえで、徹夜本となった。

★二度のお別れ

四月一日午前十一時半、三協銀行新大阪支店に強盗が侵入。四百万円を奪い、客の一人をピストルで撃った後、彼を人質にして逃走した。大阪府警捜査一課は即刻捜査を開始するが、強奪金額に不服な犯人は人質の身代金として一億円を要求、かくして犯人と捜査陣の知恵比べが始まる。トリッキーかつ軽妙な会話が魅力の“大阪府警捜査一課”連作第一弾、著者の記念すべきデビュー作。

デビュー作ですがクオリティは非常に高いです。プロットも良く練られ230頁くらいの作品で事件解決まで一気読みさせてくれます。粋な大阪弁での会話も充分にユルさを与え、作品に必要以上な緊張感がないのでとっつき易いです。タイトルや表紙もなかなかのセンスで良いです。

★人格転移の殺人

突然の大地震で、ファーストフード店にいた6人が逃げ込んだ先は、人格を入れ替える実験施設だった。法則に沿って6人の人格が入れ替わり、脱出不能の隔絶された空間で連続殺人事件が起こる。犯人は誰の人格で、凶行の目的は何なのか?人格と論理が輪舞する奇想天外西沢マジック。寝不足覚悟の面白さ。

SFファンタジーな設定に「無理かも」とがっかりしたのもつかの間、キャラ立ちしている登場人物たちとテンポよく読める文章に引きずり込まれ、読むのが止まらなくなりました。人格転移というファンタジー設定ながらルールは遵守されていて、よくある多重人格ネタのような何でもあり感はなく、しっかり本格で謎解きも納得、意外な犯人にぞっとしました。登場人物たちのやりとりも楽しいし、何よりも、ハリウッド映画のような鮮やかな幕切れは感動もんです。

★クラインの壺

ゲームブックの原作募集に応募したことがきっかけでヴァーチャルリアリティ・システム『クライン2』の制作に関わることになった青年、上杉。アルバイト雑誌を見てやって来た少女、高石梨紗とともに、謎につつまれた研究所でゲーマーとなって仮想現実の世界へ入り込むことになった。ところが、二人がゲームだと信じていたそのシステムの実態は…。現実が歪み虚構が交錯する恐怖。

すべての感覚が現実と同じように体感できるバーチャルゲームのテストプレイヤーになった主人公。
この作品が89年に書かれたというのだから作者の先見性に脱帽です。
近い未来にこんなゲームができるんじゃないか・・・?と思われる今だからこそこの本をリアリティをもって読めたのかもしれません。
通勤時の読書に・・・と思って手に取った本でしたが、途中から続きが気になって一気に読んでしまいました。
人に薦めたくなる作品です。

★匣の中の失楽

探偵小説愛好家の仲間うちで「黒魔術師」と綽名されていた曳間が殺害された。しかも友人のナイルズが現在進行形で書いている実名小説が予言した通りに……。弱冠22歳の青年が書いたこの処女作は、推理小説史に新たな頂点を画し、新本格推理の原点といわれる伝説の名著となった。現実と非現実の狭間に現出する、5つの〈さかさまの密室〉とは!? 綾辻行人氏推薦。

大学のサークル内で起こった殺人事件を、サークルのメンバーが調査したり議論したりするという本格ミステリ的なストーリーですが、通常の意味でのミステリ的な解決には主眼はないです。この作品の凄さは全篇に満ちている空気感で、それは言葉で表すのは難しいけど、あえて言うなら現実崩壊感となるでしょうか。読み進めていくと僕たちが確固たると思っている「現実」が実はとても曖昧で、すぐにでも壊れてしまうものなんじゃないか、さらにはいや最初から「現実」なんてものは存在しないんじゃないかという風に感じられて、強烈な眩暈感があります。京極夏彦の作品から受ける感覚に少し近いんですが、京極夏彦があくまでロジカルに現実崩壊感を導き出すのに対して、竹本健治はその文章の力で、感覚的、生理的な部分で実崩壊感を突きつけてきます。この感覚は「竹本印」と言っていいくらいに独特で、かつ竹本作品には(濃い薄いはあっても)普遍的に存在するものだと思います。この感覚を味わったことで、ものすごく深いところで世界観が変ったように感じます(それが良いのかはまた別ですが)。

 この眩暈感は体験しないとわからないので、未読の方はぜひ御一読を

★テロリストのパラソル

乱歩賞&直木賞W受賞。傑作ハ-ドボイルド乱歩賞史上初の快挙を成し遂げ、売り上げ記録も更新した不朽の名作。新宿公園での爆弾事件がアル中のバ-テンダ-に二十年以上隠し忘れてきた昔の記憶を甦らせる

直木賞と乱歩賞を受賞した稀有な作品。なにしろセリフがかっこよすぎます。最初から最後までスピード感あふれる展開とその魅力的な会話にまったく飽きることなく一気に読めてしまった。登場人物も主人公はアル中だし、パートナーはヤクザだし(これがまたカッコいいんです)、ヒロイン的存在の元恋人の娘塔子はとにかく魅力的、と個性十分。ハードボイルドですが、そう固くないです。

★慟哭

連続する幼女誘拐事件の捜査は行きづまり、捜査一課長は世論と警察内部の批判をうけて懊悩する。異例の昇進をした若手キャリアの課長をめぐり、警察内に不協和音が漂う一方、マスコミは彼の私生活に関心をよせる。こうした緊張下で事態は新しい方向へ!幼女殺人や怪しげな宗教の生態、現代の家族を題材に、人間の内奥の痛切な叫びを、鮮やかな構成と筆力で描破した本格長編。

心が弱った時や己自身の葛藤に負けた時に、宗教(でなくても)に縋ってしまいたくなるのが人の性。
筆者がそういった心の闇を、宗教や社会階級という形でヒューマニズムを抉り出したのはさすがだと思う。

文章も安定していて、好感が持てる。
ただ結末が予想通りで、個人的にはもう少し展開にひねりがほしかった

1