ある日、老婦人が庭に出ると置いてあったはずのかえるの置物がなくなっていました。
昨日まで2体あったはずのかえるが、1体しかありません。

庭に残っているリボンのついた女の子のかえるとついになる男の子のかえるだけ盗まれてしまいました。かえるがあった場所にはこんな置手紙がありました

『やぁ、おばあさんおばあさん、僕はかえるです。僕はいつもここにすわっているのに飽きてしまいました、ちょっと旅に出てきます。』

老婦人はこんないたずらをする泥棒に怒りを覚えました。
それから数日後、老夫婦の下に手紙が届きました、それはこんな手紙でした

『やぁ、おじいさんおばあさん、僕は今フランスにいます。もうちょっと旅をしてきます。』
同封された写真に写っているのはエッフェル塔をバックにたたずむかえるの置物。

またしばらくして手紙が届きました

『やぁ、おじいさんおばあさん、僕は今エジプトにいます。もうちょっと旅をしてきます。』
同封された写真に写っているのはピラミッドをバックに座っているかえるの置物。

かえるは世界中を旅してその写真を送ってきました、あるときは他の観光客に抱かれて、あるときはベンチに座って、かえるは日本にも来ていました。

老夫婦はかえるからの手紙が楽しみになってきました、近所の人に
『盗まれたかえるはどうしたの?』
と、聞かれても
『うちのかえるは盗まれてなんかいないよ、ちょっと旅に出てるだけだよ』
と、答えるようになっていました。

そんなある日、またかえるから手紙が来ました
『いろいろなところを旅してきたし、恋人が恋しくなってきたのでいまからかえるよ』
同封された写真にはマンハッタン島に向かう船上から撮られた、自由の女神をバックにするかえる。

かえるがかえってくる日、老夫婦の家はうわさを聞いた人やマスコミでごったがえしていました。
そこにやってきたのは何メートルもある大きなリムジン、運転手が出てきて後部座席のドアを開けると、そこにはかえるがちょこんと座っていました。

かえってきたかえるは、いつもの恋人の隣におかれました。
こうしてかえるは世界中を旅してかえってきたのでした。

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