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カンヌライオンズ2013 セミナーPOINT&名言集①ー科学と人とクリエイティビティ

6月に開催された世界最大の広告系クリエイティブ祭“Cannes Lions 2013”。その見所は華やかなセレモニーやスゴい受賞作だけにあらず。連日セミナーが開催されており(計60コマ)、そこで語られていることが重要だったりもします。そこで英米人より英語達者な石井うさぎ特派員とともにレポートを。

更新日: 2014年05月19日

kawajiringさん

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正式名称→カンヌ国際クリエイティビティ・フェスティバル(Cannes Lions International Festival of Creativity)

世界最大とされるクリエイティブフェス(広告系)。毎年6月中旬に1週間にわたって開催。今年は世界90カ国超から1万2000人の参加者が集い、3万5000を超えるエントリーが集まった。

フィルムやPR、デザイン、イノベーションなど17部門からなるアワードの審査と発表が行われるだけでなく、計60コマのセミナーも人気で、ワークショップ等のカリキュラムも充実。

フェスティバルの模様、全受賞作など様々なコンテンツが上のオフィシャルサイトにて見られます(が、迷子になりやすい)。

映画祭でよく見るあそこです。広告祭のほうは今年で60周年。メインビジュアルは、イギリスの風刺画家ジェラルド・スカーフ氏が担当。http://www.geraldscarfe.com 

「カンヌの事務局社長に聞いたら『すごい人なんだよ。でも確かに評価は二分されるかもね』だって」(石井うさぎ氏)。

「カンヌでライオンなんだろ?」(ハイビスカスに町並みというど定番×ライオン)みたいなおちょくりさえ感じられるカリカチュアで私は嫌いじゃなかったですが、確かにかなりイメチェンしてます。

ちなみにレポートは、いつも海外広告祭取材でタッグを組ませてもらっている石井うさぎ氏とともに執筆しています。

All Photos:kawajiring

受賞作まとめはこちらで(本題に入る前に)

しかし、このセミナーまとめでは、今後を占うという意味において、受賞結果より重要とも思われるセミナーのレポートを。ポイントと関連情報とともにお届けしていきます(名言付き)

すごいパフォーマンスやキャンペーンに、オーディエンスはスタンディングオベーションで応える

そして、セミナーの傾向を4つの視点(Chapter1〜4)でまとめてみました。

※全60セミナーのうち、石井うさぎ氏と私が取材できたものの中から、30コマ程度をセレクトする予定です(前篇・後編)。

★Chapter1:クリエイティブの未来は先端科学にあり

ここ数年の傾向ではありますが、「科学と表現」をテーマにしたセミナーが今年は特に目立っていたように思います。

いまやだれもが語る“テクノロジー”ですが、世界的に著名なサイエンティストをセミナーのゲストに招くことで、さらにその先をカバーしたいということかもしれません。

※カギ括弧内はセミナータイトル。マル括弧内は主宰企業(団体)です。

①「NEW DIRECTOR'S SHOWCASE」(by SAATCHI&SAATCHI)

CMからPV、ショートフィルム(実写・アニメ・CG)など、新人映像作家の見応えのある作品を毎年キュレーションすることで人気、かつ重要度も高いサーチ&サーチのセミナー。ここで作品が紹介されると世界中からオファーが来る演出家もいるとか。

そのセミナーの冒頭に、今年はなぜか『利己的な遺伝子』の著者として知られるリチャード・ドーキンス博士が登壇。

クリエイティブ領域における「ミーム」(心から心へ伝播する情報)の重要性を、なにやらサイケデリックな趣向の映像パフォーマンスでアピールしたのち、ピアニカ演奏も披露した。

ミームは人類の文化を通じて広がる。それは遺伝子のようにサバイブする。by リチャード・ドーキンス

“Memes spread through human culture. Memes survive like genes."

②「モノ作りの革命」(GOOGLE)

googleのセミナーでは、いま話題のGlassや自動運転車などの開発を手がけるグーグルXのキャプテン、アストロ・テラー氏が登壇。「いまの状態を10%よくするのではなく、10倍の飛距離を狙ったほうがうまくいく」という持論を滔々と展開。

「ストーリーテリングは、世界を変える発明をラッピングする飾りではない。まさにそれこそが、革新的発明を生み出す礎となるのだ」(アストロ・テラー氏)

キーワードの「ムーンショット」は、最初はだれもが実現不可能と思ったアポロ計画に由来する言葉。

我々が生きているうちに、アイデアはプロダクトと同じように工場で生産されるようになるだろう。by アストロ・テラー

“In our lifetime we will have factories for ideas in the same way we have factories for products.”

③「人類・ブランド・インターフェースの未来」(AEGIS MEDIA)

※以下、概要です。石井うさぎ氏の現地レポ(twitter/ @i_am_usagi)を再編集しています。

「映画『マイノリティ・リポート』には広告の未来も描かれている。例えば、トム・クルーズがシリアルを食べているシーンでは、パッケージがアニメーションになっているなど、世の中のすべてがディスプレイになっている。

「p」(physical)と「d」(digital)を異なる次元のものとして捉えるのではなく、氷山の見えている部分と海に隠れている部分というふうに考えたい(写真)。

(続き)新たなスタイルのインターフェースの研究・開発も進んでいる。身体を用いた手触り感のあるインタラクションも可能だ。

これまでは研究所が新しいテクノロジーの研究をしていたが、3Dプリンティングのようにどんどん一般の人でもトライできる方向にきている。だから広告業界がリードできる未来があると言える。その際のポイントとして以下が挙げられる。

①「5感を活かしたインタラクション」・②「キネステジア(身体感覚)」・③「コラボレーション」・④「ソーシャル」(引用ここまで)

そういった話の流れの中で、トリで登場した石井裕教授がニュートンもビックリ! のひと言を言い放ち(以下)、オーディエンスから喝采を浴びていました(上写真)。

重力とかイケてねえ! by 石井裕

“Gravity sucks!”

④「どうやればブランドは、スゴい技術を取りこみ、ささやかな驚きを創り出し、私たちの日々の暮らしを変えるのか?」(LEO BURNETT & CONTAGIOUS)

さきほどのメディアラボ以外にも、ある種の「手ざわり」(身体的リアリティ)を広告にどう取入れていくか? をテーマにしたセミナーがありました。ここでは「Haptic」というキーワードで表されています。

※以下、石井うさぎ氏のレポートより

「Haptic(触感)な視点で考えることが大切だ。我々はすでにタッチポイントのあり方を開拓してきたが、いまは物理的な体験型タッチポイントを作れる。次にmnemonicな(記憶を補助する)方法を考えよう。

ジェット型のエンジンを作るのではなく、小さな発明やイノベーションをきちんと見てみよう」

このセミナーは、事前に準備された質問に答える形で進んでいったのですが、中にはこういったお悩みも。

「こんなアルゴリズムかつ全自動化の世界で、人間のクリエイティビティってどうなんですかね?」

このあたりは世界共通の危機意識なのかもしれません。

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kawajiringさん

編集渡世。銀河ライター、東北芸工大客員教授、元「広告批評」編集長(@kawajiring)