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本当にクマのためになるの?「ドングリ運び」の現実

人里に出没したクマの駆除が報道されるたびに悲しい気持ちや憤りを感じる人はたくさんいます。そうした人々の一部で行われている「ドングリ運び」という活動。でも、それは本当にクマを救うことにつながるのでしょうか?

更新日: 2014年02月01日

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INFO-RAVENさん

相次ぐクマの出没

ツキノワグマによる人身事故の被害者数は、2004年に109人(内2名死亡)、2006年に145名(内3人死亡)、そして2010年は147名(内2名死亡)と増加傾向にあります。

その一方で・・・

クマが人里で暴れたり、捕獲したというニュースが流れると、県庁の自然環境課などに、「かわいそうだからクマを殺さないで」という電話が入ってくる

「ドングリ運び」とは

都会のどんぐりを拾い、山間地の地元の方々と協力して食糧が無くて人里に出てこざるをえないクマをはじめとする山の動物たちに届けること。

ドングリはクマの主要な餌のひとつ

さまざまな反応

第一、置いたドングリなどクマは食わない。クマは一義的には未熟の青いドングリを好食する。これは渋皮に含まれるサポニン、タンニンが含まれるのを嫌うためと思われる。

野生のクマは人間がばらまいたドングリを食べないという意見

餌を一時的に散布したところで、クマの出没をとめることにはつながりません。その証拠に、2010年秋にドングリ類が散布された地域において、出没被害は減りませんでした。それどころか、林道近くや集落の裏山に散布される事態が発生し、逆に様々な野生動物を集落近くへ誘引する危険性が高まりました。

ドングリをまくことで逆にクマが出没する危険性が増えるという意見

本来ドングリ不足で減少するはずであったドングリ類の捕食者が、給餌により不自然に増え、翌年の樹木の繁殖がうまくいかない可能性があります。

自然のドングリの樹木が育たなくなるという意見

散布されたドングリが発芽し,その地域土着のドングリと交雑することによる遺伝子撹乱や,ドングリ内部に潜入している昆虫の遺伝子撹乱,さらに一部の種が外来種となりうる問題などが挙げられる。

森林の生態系への悪影響を懸念する意見

餌をどんな場所に、いつ頃、どれくらい置けば、どれくらいの影響があるかといった研究が必要です。こうした調査を行わないで餌を置いても、繁殖率の向上につながらないで里に誘き寄せるだけといった結果につながりかねません。

しっかりした研究を実施すべきとの意見

生態系の営みの中に、ただクマだけがかわいそうだという人間の感情を持ち込んでしまうと、思わぬ環境の悪化を招きかねません。ドングリ類の散布は、自然のバランスを無視した、人による餌付けにあたります。

感情論に基づく餌付けの危険性を指摘する意見

餌付けの問題

北海道の知床国立公園に設置されている看板。餌を与えないように呼びかけているが・・・

人里や集落地におけるクマなどによる農林業被害、人身被害などが生じている大きな要因の一つとしてクマなどに食べ物を与えたり、意図せずゴミなどを放置することで、その結果人里に出没し被害が発生していることが考えられます

「餌付け」が結果的にクマを殺すことになることを表している看板。

餌付けはアメリカなどではそもそも「違法」になる場合もある。

なぜ人々はドングリをクマに与えたがるのか?

出没や捕殺が報道されると多くの市民から「餌のない時に、クマに餌を与えたい」との声が寄せられます。

クマに対する誤解も背景にある

熊が人里に下りてきてしまう理由も、食べ物がないからです。

熊は怖くて恐ろしくてたまらないけど町に出てきて、そして追い詰められて射殺される。

最新の研究でわかったこと

ドングリの凶作との関係が指摘されているが・・・

大量出没年には、秋の山の実りとは無関係に出没していた個体もいることが明らかになりました。

飢えているわけではない?

大量出没の年に人里に出没したツキノワグマの体脂肪を調べたところ、栄養状態は必ずしも悪くなく、平常年よりも良好であったことがわかりました。栄養状態よりも「空腹感」が出没を促していることが推測されます。

つまり、お腹がすいた → ドングリ探すのメンドクサイ → 人間のとこにある柿や農作物、生ごみを食べて楽しよう! → おいしい食べ物を食べて太る、ということのようです。

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