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カンヌライオンズ2013 セミナーPOINT&名言集②—企業とプラットフォーマーが見る世界

6月に開催された世界最大の広告系クリエイティブ祭“Cannes Lions 2013”。その見所は華やかなセレモニーやスゴい受賞作だけにあらず。連日セミナーが開催されており(計60コマ)、そこで語られていることが重要だったりも。そこで英米人より英語達者な石井うさぎ特派員とともにレポートを。後篇

更新日: 2013年07月16日

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この記事は私がまとめました

kawajiringさん

カンヌライオンズ2013、セミナーレポートの続篇となります(前篇は以下)

★Chapter3:広告の内と外から広告をこえる

ここでは、もはやそれ抜きにしてはマーケティングを語れなくなったしまった観もある、巨大プラットフォームや成長著しいスタートアップによるセミナーにフォーカスします。

それと同時に、そういった最近の潮流をビビッドにキャッチアップし、広告に新風を巻き起こしている新世代のクリエイティブチームの取り組みも紹介。

※鍵カッコ内はセミナータイトル、丸括弧内はそのセミナーの主宰社です。all phots by kawajiring

①「ソーシャル・サウンドトラックとは?」(by TWITTER)

今年のツイッター社のセミナーのテーマは、「TV×Twitter」でした。去年そういうものがありそうと予想してたのですが今年です。

大まかには、「Twitterによってテレビのパワーが増幅される」ということを、様々な実験データを用いながら説明していく。

ポイントは、「記憶は時間とともに急速に薄れる」「話題にする人が増え出すと、世間の注目度は爆発的に上がる」の2点。Twitterとの相乗効果で、そこが強化されるので、ブランドももっと活用しましょうという話です。

このテーマ自体は目新しいものではないですが、見応えあったのは、セミナー内で紹介されたビジュアリゼーション。

「テレビだけだと赤ラインだけだけど、Twitterあると青ラインも加わるよ」という、簡単に言うと「バルス!」な現象ですが、映像がキレイに出来ている。こういう“PV”をこしらえて持ってくるあたりがカンヌです(写真)。

そして、セミナー終了間際に「さっきのアレ、アップしといたから」的な。しかし、一見の価値あり。下にリンクしておきます。

(石井うさぎ氏の現場レポートより※Twitter活用)

我々の記憶はどんどん消えていく。63分で半分しか覚えていない(Herman Ebbinghoursによる調査結果)。しかし、ソーシャルでシェアすることで、記憶への残り方がまったく新しいものになる。

ツイッターの特長はライブ性にある。フィルタリングも一切ない。テレビ番組がオンエアされている間にツイートが波のようにされ、その後も波は広がっていく。

弊社では「TV Amplify(テレビを増幅する)」というプロジェクト名でソーシャルの反応を可視化している(ソーシャル・サウンドトラック)。テレビ局と一緒に動いている。

タイムシフトで番組視聴するのと、同時間にするのとではソーシャルの結果が違う。リアルタイムのほうが、情報としての濃度が高く記憶に残りやすい。

テレビだけでなくコンサート、スポーツなどライブコンテンツにも同じことが言える。

②「すべて見てもらえるのに、なんで30秒である必要があるの?」(Youtube)

一方、テレビとの違いを鮮明に打ち出していたのが、Youtubeのセミナーです。以下、石井氏レポートより。

「Youtubeとテレビはまったく違う。Youtubeはインタラクティブで、視聴者に語りかけてくる。ターゲットと一対一で深い関係構築ができる。30秒にとどまらない包括的な展開もできる。

だからこそ生活者が見たいと思う広告・コンテンツを作る。コミュニティを作り育てていきたい。パートナーとのコラボレーションを重視している。

このセミナーのために、“Youtube カンヌ広告リーダーボード”というチャンネルを開設した。Youtubeで人気の広告映像をまとめて見られる(以下リンク)。

(Youtubeセミナー続き)

我々は何社かの広告主とパートナーシップを構築している。ブランドをコンテンツパートナー、エージェンシーパートナーとつなげ、新たな施策を行っていきたい。現時点ではパイロットとしてペプシ、GE、ジョンソン&ジョンソンなど4社が参加している。

※ここで、ユニリーバ、TOPSHOP、シボレーなど、数社の“Youtube TOPマーケッター”にバトンタッチ。それぞれの担当者がマーケティング施策を紹介していきます。

【Unilever】

Dove担当者が登壇。女性のうち自分のことを美しいと思ている人は4%しかいない。だから、そのままの自分はとても美しいことを伝えるキャンペーンを行っている。

たとえば「Real Beauty Sketchs」(今年、受賞多数)では、FBIの似顔絵を描く人が、ヒアリングのみに基づいて、本人の顔を見ず2種類のポートレイトを描く。

つまり「自分で説明した自分の顔」と「他人がその女性の顔を説明したときの顔」だが、後者のほうがずっと素敵。パロディ映像も多く、男性バージョンも作られた。http://www.youtube.com/watch?v=ChY9DoEtE-4

オーセンティックな(本物の)クリエイティブを志したのはもちろんだが、戦略PRを含め効果的な拡散も図っている。その両者が成功の背景にある。

【TopShop】

64年からある英国のファッションブランド(うさぎはオンラインで日々素敵なメルマガを見ています)。

ファッションショーにあたり、店頭で写真を撮って「モデルになろう」というキャンペーンを実施。生活者を巻き込んだ。通常は数十分のショーが1週間の運動になった。

モデルにカメラをつけて、ランウェイを歩く気持ちをリアルタイムに伝えたり、生活者がバイヤーになって服を組み合わせ「おすすめのマイコレクション」をウエブ上で展開できたり、ショーの映像を見てその場で購入できる仕組みも作っている。もはやショー後に店頭に並ぶ必要がない。

※Youtubeセミナーの補足

DOVEの方が、バズる3項目として「①be authentic(嘘偽りがない)」「②be committed(関与してもらう)」「③be nimble(ソッコーやる)」を挙げてました。

このプレゼンの冒頭には興味深い話があって、「ユニリーバのマーケティングを担当している」と広告業界以外の人に言ったとき、「なぜ、そんなに頑張ってマーケティングする必要あるんだ? そのブランドはもうみんな知ってるだろ?」という鋭いことを言われたそうです。

で、ご自身でも「なぜか?」を改めて問い直したところ、やっぱり「女性を美しくするためかな? それならやる意味あるな」と。

Youtubeの方は、「会話を置き去りにするな! 常にオンラインの状態でカスタマーと会話を」ということを強調(「いま、人々は寝てるかつながってるかのどっちかだ」というエリック・シュミットの言葉の引用も)。

このへんが前篇のレム・コールハースのところでふれた「頑張りどころの違い」のような気もしていて、カンヌのセミナーでも例年、マントラのようにクドいくらい繰り返し出てくるのですが、そこまで言うということは、やっぱり難しいことなのかもしれず、逆に言うとそれができると見える風景がガラッと変わるかもしれず。

そういえば、去年流行ったgo proのムービーも紹介されてました。これをカンヌ取材等に使ったら(つけっぱで会場ウロウロする)、また違う風景見えて面白そうだと思ってほしかった商品。

③「人間の行動—オンラインビデオ広告の効果を上げるために、エモーションを測定する」(BE ON)

「どうすれば動画がバイラルするのか?」というテーマへの関心はかなり高く、こういったセミナーもありました。

Be On(旧go viral)はAOLのグループ会社で、動画制作のほか調査も手がけている模様。Facial Action Coding System(FACS ※人間の表情を分析し心理状態を把握する)を応用した手法で、ウェブカムを用いて世界中からサンプルを収集しているそうです。

(石井氏のレポートより)

次のセミナーはカンヌで初めてのYoutTubeでライブ中継されます(下リンクでフル視聴化)。人間の行動に基づいてビデオ広告をどう作っていくかがテーマ。

2005年はバイラルビデオの年、2008年はソーシャルメディア、2010年はブランデッド・エンタテイメント、2012年はソーシャル世代の年として捉えられた。2013年は"Be Emotive"(エモーション主体)と考えたい。

なぜか? 鍵はコネクション(常にONの時代)、コンテンツの多さ、チョイスの多さ、消費のスピードがとてつもない。

そのことで、ブランドと生活者のこれまでの関係は変化せざるをえない。ブランドが情報発信者としての「パブリッシャー」という位置づけになると同時に、生活者もパブリッシャーになっていく。

そのときに、(プロが作る)ビデオコンテンツはリッチ化する。リッチ化すればエモーションはとらえやすくなる。

④「デビッド・カープと炎上スレスレのトークしよう」(tumblr)

TwitterやYoutubeのようなある意味“老舗”のプラットフォームだけでなく、成長著しい期待のスタートアップによるセミナーもありました。写真はtumblr創業者のデビッド・カープ氏です。

つい先日(2013年5月)、Yahoo!による1120億円でのtumblr買収が報じられたばかりで、一躍時の人になってる状態での訪仏となりました。

しかし、海外メディアの報道やカンヌ来場者のTwitterなどをウオッチしていると、若くして巨万の富を得た者へのやっかみもあるのか、過去の過激発言を蒸し返されるなどビミョーな空気も漂っており、なんだか人騒がせなイケメンでもあるようです。

(石井氏レポートより)

自分が好きだと信じるものを世界に発信すれば、きっとオーディエンスがそこには見つかる。Home for CreatorsでありたくてそもそもTumblrを作り上げた。

以前は一方通行だったけれど、Like, Reblog, Q&A, Submissionsといった形でインタラクションを増やすようにした。だれかのブログに文句を言う人がいても、その人のブログをあげなくてはいけないから、人のブログに文句を書き込むのと違う。

Tumblrはポジティブな場所でありたい。スタティスティック(フォロワーが何人といった情報)は開示しなくていいようにしている。そんなの見られるの嫌でしょう?

広告だけではなく、あらゆるアート、メディア系の人たちは、最新のトレンドを真似ていることが多いようだけれど、だれよりも優秀な人が集っている業界だから、もっといろいろやっていいと思う。広告業界から新しいことが始まるべき。

ちなみに漫画カメラは超おすすめ。日本人が作ったアプリなんだけどPhotoshopでやったら手間がかかることを簡単にできる。

「読むかどうか分からないけれど」と冗談っぽくいいつつ、何かあったら是非言ってきて(david@tumblr.com/brands@tumblr.com)。※引用ここまで。

そして締めの質問として、今夜の予定を聞かれたカープ氏。

「飲みたいけどね。でも、僕はフレンチ・リビエラ(※豪華ホテルが並ぶ南仏の一等地)の喧噪とは距離を置いて、海辺のヤシの木の下にでも座っていようかな?w 友だちが大勢ガターバー(※カンヌの有名立ち飲み屋)に来てるんだけど…」と、インタビュアーの質問をたくみにかわし、爽やかなカンヌデビューをアピールした。

しかし……そんな彼を予期せぬ悲劇が!

みなさんはタンブラー社のオフィスのだれにも増して才能に恵まれていると思います。なので僕たちはいつも脅威を感じていて、いつも気を抜けない。byデビッド・カープ

"You guys are more talented than any one in the Tumblr office or in Palo Alto or Sunnyvale. We're constantly in awe, constantly in service."

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