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井口尊仁が「テレパシー」を作っている理由--なぜいまウェアラブルか

話題のウェアラブル機器「Telepathy(テレパシー)」を開発する井口尊仁さんがSoftBank Worldで講演しました。なぜ、いまウェアラブルなのか、テレパシーはどんな体験を提供するのか、愛を伝えられるデバイスって本当に? かなり面白かった講演の内容をまとめました。

更新日: 2013年12月06日

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この記事は私がまとめました

narumiさん

あの井口尊仁さんが日本でTelepathyについてプレゼンした

「ウェアラブルは2014年以降にビッグバンを起こす」

こんにちは!「Telepathy」(テレパシー)の井口です。こんな非常に素晴らしいカンファレンスにお呼びいただいて大変緊張しています。日本でTelepathyについてちゃんと話するのは今日が初めてです。生まれた背景、これからどのように広まるのかをお話ししたいと思います。

これが我々が開発しているTelepathy(テレパシー)です。ウェアラブルといってもいろいろなスタイルがあって、首にかけるもの、時計、メガネなどなど。Telepathy(テレパシー)はウェアラブルのなかでもアイウェア。目に直接ディスプレイするタイプ。開発中のをお持ちしているのでお見せします。

見えますでしょうか。最終的にはデザインとか機能とかいろいろ変わると思いますけど、身につけていろいろな情報をアップしたり、シェアしたり、コミュニケーションを行ったり、実際にこのように身につけまして使用します。

これはガートナーのリサーチデータです。ご覧になるとわかるように。スマートデバイスは、2014年以降、飛躍的にウェアラブルのマーケットが伸びると予想されています。非常に素晴らしいレポートをクライナーパーキンスのパートナーが発表しています。

彼女は毎年ネットのトレンドを40枚くらいのスライドでレポートしています。その中で「ウェアラブルは14年以降にビッグバンを起こすだろう」と語っています。

それを物語る非常にいい写真があります。ご覧になっていただくとわかりやすい。昔はスマートフォンを掲げて撮影して、共有するなんて誰もやっていなかった。

でもいまはライブ、スポーツ、政治的な場所、さまざまな場面で、たいてい、左から右。スマートデバイスを掲げて撮影し、シェアする。そういうのが当たり前になっています。

世界で毎日5億枚の写真がシェアされている

いまはシェアの時代。世界中で1日に5億枚の写真が世界中で共有されています。「5億枚はたいしたことないよ」と言う方もいらっしゃるかもしれませんが、実際、異様なスピードで伸びています。

中でも非常に面白いのは、瞬間的に撮って消えてしまう「スナップチャット」が物凄く伸びています。昔、写真というのは、ある意味、非常にモニュメンタルなものをしっかり撮って、それをしっかり残す、非常に堅苦しく重苦しいものでした。それが今では、瞬間的に撮って瞬間的に消えるものが、こんな勢いで伸びています。

動画の方は、ご存じの方もいらっしゃるかも知れませんが、Twitterがリリースした動画サービス「Vine」は、何と米国のスマートフォンのマンスリーアクティブがすでに1000パーセントに近づいています。しかもデイ・バイ・デイで倍々ゲームで伸びています。

また、「Dropcam」は家庭用のウェブカムをスマートフォンでコントロールでき、しかもそれをその場でソーシャルにシェアできるカメラですが、「YouTube」にアップロードされる以上に動画が日々共有されています。

このように、昔は非常に大切な場、重要なところだけ撮って家族の中だけで共有されていたものが、世界中で日々、物凄いスピード、物凄い量が瞬間的に撮影あるいは共有されています。そして、それを通じて新しいコミュニケーションがどんどん起こっています。

動画は昔は撮るだけでも面倒臭かったし、それを共有するストレージもネットワークもありませんでした。ところが、VineとかInstagram Videoといったものが使われることによって、圧倒的にお互いの体験の共有あるいはコミュニケーションに使われるようになっていきました。

「ウェアラブルは、どういう所で使うのですか」と聞かれた時に、我々が注目しているのは、こういう大きいトレンドです。世界中の人間が瞬間瞬間にいろいろなものを目にして、それを心に刻んで、それをお互いの感動を持ってお互いが共有し、それを通じてコミュニケーションを行なうという体験を、よりシンプルに、スムーズに、ステップを減らし、もっとモードを減らし、メニューも使わずに、あっという間にその場で瞬間的に目の当たりに共有できる、そういう体験を作ろうと思っています。

このスライドは僕にとって非常には印象深いスライドでして、非常に古い話になるのですけれども、僕が最初に触ったコンピューターは、この中で言うと、パーソナルコンピューターになる手前です。

今から考えると本当にあり得ない話なのですけども、コンピューターを使うのに稟議が必要な時代でした。「コンピューターを使いますよ」というコマンドを、ある意味、会社の許可を得ている。で、そのコマンドを流します。

その後、バグがあったら、翌朝、大量のダンプが印刷されてやってくる、という世界でした。それがあっという間にパーソナルコンピューターになって、スマートフォンになって、タブレットになって、やがてウェアラブルになろうとしています。コンピューターの進化というのは、僕の目から見ると、ディスプレイされているものと、どうユーザーインターフェースするか、インタラクションするか、コミュニケーションするか、この歴史がどんどんどんどん変わっています。

つまり昔は、今からでは考えられませんが、マウスとかウィンドウとかフォルダというものはなくて、コマンドをたたいて結果が帰ってくる、それでまたコマンドを打つ、という世界でした。それがデスクトップ、ウィンドウ、フォルダ、アイコンをマウスでコントロールして、非常に自由にできるようになりました。それが手元にやってきて、いつでも持ち運べる、いつでも自由にクラウドを使うことができる世界になりました。それがスマートデバイスの世界です。

それを目の当たりに持ってくる、あるいは耳元に持ってくる、あるいは常にウェアできる、常にどこでもどんな場合でも、それを自分の体験として共有できる。あるいは共有されたものを通じてコミュニケーションできる。これがウェアラブルの世界です。

井口「何かを“思う”だけで、コミュニケーションができるように」

この図は何を指しているのかと言いますと、1日当たり、皆さんがスマートフォンを使って一体どうアクティビティーを展開しているのか、1日当たりどれだけの情報のチェックをしているのか、ということを図にしたものです。

綿密に数えると結構厳しいなと思うのですが、大体アクションの数として1日150以上、メールを見たり地図を見たり、あるいはソーシャルをチェックしたり、写真を撮ったり、やっています。

さらにこれを細分化すると、単純に写真を撮って他人と共有してコメントを書いてという、1個1個のアクションが10ステップ以上のタッチ、あるいはキータイプ、そういったものを含んでいます。ということは、単純に考えても、150アクション×100のプロセスを経て使っています。つまり、1500から2000ぐらいのステップを経て、スマートフォンを使っている訳です。

それを、ウェアラブルを使うことによってゼロにできないか。つまり何かを思うだけで、何かを感じるだけで、あるいは日常的な、例えば握手をするとか、指を指すとか、そこを向くとか、あるいはハグをするとか、そういう人間的な一般的な日常のアクションを経て情報とコミュニケーションできないか。あるいはそれを通じて、他人と色んな行為をシェアできないか、そういうことをウェアラブルは目指しています。

Telepathy(テレパシー)はどのような技術を使っているのか

さて、そういうことがなぜできるのかというのは、仕掛けと言うか、裏側にはいろいろなテクノロジーが動いています。ハンズフリーにするだけでも、例えば音声認識、ジェスチャー、あるいは画像認識、色んなものが必要になります。はたまた、その開発環境は、基本的にはたぶんスマートフォンと同じような開発環境になると思うのですが、ウェアラブルを作るための色んなSDK、APIが必要になります。あるいは、すでにそれを身に着けて何かが起こった時に、瞬間的にそれを捉えて、それをレコーディングして、それをシェアして、それを通じてコミュニケーションをして、というアクティビティーを支えるためにはオール・ウィズ・オンでないといけません。

つまり、とてもうまくパワーを使って、バッテリーをうまく節約しながら、電源が切れないように、いつでもコンピューティングできる、クラウドにつながれる、ソーシャルが見られる、そういう体験を作る必要があります。あるいは、そこでどういうことを行なっているかということが簡単にわかれば、ウェアラブルを通じてこのユーザーは何をしようと思っているのか、どういう行為に向かおうとしているのか。そういうコンテクストがわかることによって、利用体験がよりスマートにスムーズに簡単になります。

ですから、GPSを使ったエリアフェイシングなど様々なセンサーが使われることによって、ユーザーがそれを利用しようというコンテクストを、よりわかりやすくコンピューターの側が意識して、場合によってはユーザーが特定のメニューのコマンドを使わなくても、ウェアラブルの方で「こういうことがしたいのですね」ということを推し量って使えるような技術もかなり揃ってきています。

感覚としては例えば、目の前で「Like」と親指を立てるだけで、目の前で見えているものだけで(Facebookで)Likeできます。

そうするとどうなるか。何かおいしいものがあるな、欲しいものがあるね、凄く素敵だなと「Like」をすると、見えているものを捉えて、その情報を欲しがっているユーザーとシェアできます。それを通じて、それを買ってみよう、そこに行ってみよう、では君と一緒に楽しみたい。

そういうように、見えているもの、あるいは見えているものと、どうコミュニケーションするか、あるいはコミュニケーションしたことによってウェアラブルとつながり合っているユーザーと、どのような体験ができるのか。

それを支えているのがこういった様々なセンサー、あるいはセンサーを用いた認識技術、あるいはコンテクストを噛み砕いてクラウド側でユーザーの側に適正なサービスを繰り出していけるようなコンピューティング、そういったものが非常に成熟していっています。

ということで、具体的に特にシリコンバレー中心にどういう製品が出てきていて、どういう体験が可能なのかご紹介します。

「GoPro」は今アメリカではバカ売れしています。ウェアラブルなカメラで、非常に広角のカメラを付けて、スキーをしながらとか、サーフィンしながらとか、あるいはバイクに乗りながらとか、非常にアクティブなところでカメラをウェアしたまま自由に動き回れる。

それを一人称の目線でレコーディングして、持って帰ってからそれをインターネットでシェアして、そのエクストリームな体験を楽しめます、というカメラです。

ある意味、ウェアラブルを考える上で非常に発射台的な製品ではないかと思います。

つまり一人称の体験を非常にアクティブに撮れる、どんな場所にも持っていける素晴らしいカメラです。ただ、コミュニケーションはないです。それを通じてコミュニケーションするのは、持って帰ってYouTubeにあげて、それからようやっとです。僕らはそれをより簡単にできるようにしたいと思っています。

そしてInstagram Video。これが出てしまったお陰で、TwitterのVineはアクティビティーが一気に落ちてしまいました。Instagramの非常に豊富なフィルターを使ってその場で撮った数秒のビデオを共有できます。一人称の目線で、まさに今体験していることが非常にビビッドに切り取られています。ただこれも、我々ウェアラブルを普段やっていますので、「Telepathyがあったらな」と思う訳です。思います。思いませんか?(会場笑い)

今手元にiPhoneがないのですけれども、(iPhoneを持つふりをして)こういう感じで録画して、それを共有してコメントをやり取りする。どうですか?何か不自然な感じがしますよね。我々は、未来の側というと大袈裟ですけれども、ウェアラブルを一生懸命日々作っている側からすると、なんか少しこう、見えている映像の世界とこのコンピューターの関係性というのですか、付き合い方がどうも不自然だなと思えてならないです。

それこそ、ボロンと落としてしまったり、あるいはやりながら抱きつかれて止まってしまうとか、人間は日常的に色んなことをやりますからどうもしっくりきません。ということで、Telepathy(テレパシー)をお見せする前に、我々が直面している最大のライバル「Google Glass」の体験性をご覧に入れたいと思います。非常にフェアな立場でやっています。ライバルを褒めてやみません。

どうでしょう? Google Glass、1500ドルでございます。テレフォンショッピングみたいな感じになっていますけれども、私は個人的にはGoogle Glassは非常に素晴らしいデバイスだなと思っています。

何しろ完全にワイヤレス、オール・イン・ワンで、しかも非常にコンパクト、軽量。UIも非常に考えられています。

皆さん、眼鏡に「OK、グラス」と言えるんですよ、クールじゃあないですか。「テイク・ア・ピクチャー」と言ったら写真が撮れるのですよ、嬉しくないですか? あっそうでもない? ウェアラブルのデバイスの歴史の中で本当にエポックメイキングだと思います。簡単に身に着けられて、それを通じて音声あるいはタッチを使って非常に簡単にコンピューティングできる、素晴らしいデバイスです。

ただ、マーケットには選択肢がなければいけません。しかも、何となく選択肢があるなというレベルではなくて、めちゃくちゃエキサイティングな、ゴジラ対モスラ、ウルトラマン対仮面ライダー、ドラゴンボール対ポケモンみたいな。すみません、適切な例えが出てこないのですけれども、繰り返すのはよしておきます。

単にオプションがありますというのではなくて、そこに非常に強い対立軸、コンペティションがあって、お互いがお互いをガンガンガンガン叩きまくって、お互いがお互いを高めていくような、僕らは非常に小さい会社なのでバーンと叩かれたら一瞬で飛んで行きそうですが、とはいえ、なるべく飛ばないように、小さいながらもいろんな知恵を絞りながら、まったく違う体験性とかまったく違う製品価値を何とか作りたいなと思って一生懸命やっています。

これが、Telepathy(テレパシー)です

これがTelepathy(テレパシー)です。正直、僕は本当にGoogle Glassが大好きなので、かなり一生懸命体験もしましたし、僕なりに研究もしました。

同じようなことをやっても仕方がないとはいえ、まったく無視するわけにもいかないので、「どうしようかな」といろいろなことを考えながら開発してきました。極端に言うと、「自分のやりたいことをやろう」。

かなりシンプルな僕なりのチャレンジというか方法論です。

いつでもどこでも非常に温かい、お互いの心が通じ合うような、快適で簡単で、非常に気持ちが盛り上がるような、それこそつながっている者同士がお互いラブになるような、そういうコミュニケーション・デバイスを作りたいと思ってやっています。

基本的な問題意識としては、さっき申し上げたように、スマートデバイスはまだまだ発展途上にあると思っていまして、何か1つの行為をやるのに、やはり10ステップ、あるいは10数ステップかかってしまいます。それをなるたけゼロにしたい。瞬間的に自分が感動したものをお互い共有できて、それを通じたとっても温かい親密なコミュニケーションができます。

スマートフォンのアプリケーション、ソーシャルコミュニケーションはだいたい、それこそ年齢によって違いはありますが、4割から6割くらいです。ソーシャルコミュニケーションという使い方が、スマートフォンの中でも大きな割合を占めています。ただ、ポケットから出して、スイッチを入れて、アプリケーションを起動して、メニューを開いて、カメラを起動して、いろいろな手順を経ないとそれはできません。我々はウェアラブルをやっているので、なるたけ瞬間的にお互いの気持ちを察して、お互いに沿ったコミュニケーションをすることによって、より世界中が仲良くなれるようなものを何とかしてやりたいなと思って、やっています。

これがざっくりとしたTelepathy(テレパシー)です。デバイスのワン・ファクターです。どういう仕組みでできているのかというものです。本当は現物を持て来たかったのですが、これはデザイン・モックアップなので実際には動作しないのですが、ここのところにカメラがついています。この内側に非常に小さいプロジェクターがついています。こちらサイド、非常に小さいコンピューターとワイヤレス・ユニットが入っています。こちら側はバッテリーが入っています。すべてワイヤレスで、オール・イン・ワンです。

このように着けて、何が素晴らしいかというと、見えているものをそのまま、つながっている相手に瞬時に共有できます。

さらに、見せたものを通じて、例えばかわいいワンちゃんを見つけました、それを例えば彼女に見てもらう、そうしたら彼女のコメントが正に見えているところに出てくるわけです。

「デスクトップ・メタファー」というコンピューターの考え方は非常に素晴らしいと僕は思うのですけれども、まさに現実に見えているものにダイレクトに情報がオーバーレイされて、それを通じてお互いがお互いの体験と気持ちを共有できます。それを一生懸命開発しております。(会場から拍手)有難うございます。これで明日も朝ちゃんと起きて、渋谷・道玄坂上のオフィスに向かって頑張って仕事ができるなということで、すごく嬉しいです。

こんな感じになっていますが、いろいろ言われます。「何で眼鏡じゃないのですか?」と言われます。いいじゃないですか。でもアイウェア、ウェアラブルだから眼鏡。発想が乏しいです。別にディスってるわけではなくて、なるべく未来に行きたかったので、取りあえず手元にあるからいいやと割り切りたくなかったのです。いいじゃないですか、そういう人がいても。なんかソフトバンクワールドに相応しくない感じですか(笑)。

他にもいろいろ言われるのですけれど、耳にヘッドセットが入っていますので、音は聞こえます。電話もできるかもしれません。マイクも付いています。他にご質問のある方?Q&Aはないのですか?ないようでしたら、次に進みますよ。

愛を身にまとう「ウェア・ユア・ラブ」がコンセプト

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