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【うみねこのなく頃に】 真相考察,ネタバレ EP4の考察

うみねこのなく頃にをミステリー解釈で考察されていたのでまとめてみました。赤字は挟まれている部分全てです。

更新日: 2013年08月12日

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この記事は私がまとめました

誠の旗さん

事件の流れ

子供がゲストハウスへ退避させられた後、親たちと使用人全員が食堂に集められ、金蔵によって儀式が開始。夏妃、留弗夫、楼座、絵羽、秀吉、源次が死亡。熊沢と郷田は隙をついて食堂から逃亡。霧江、南條、蔵臼、紗音、嘉音は落とし穴へ落とされ、九羽鳥庵の地下牢へ

ゲストハウスに郷田と熊沢が退避してきて、食堂での出来事を報告。九羽鳥庵で囚われた蔵臼から電話がある。さらに後からもう一度電話があり、右代宮当主のテストをするので関係のない郷田と熊沢は園芸倉庫の中に閉じ込めるように指示される。戦人達は倉庫の中の郷田達に園芸倉庫の鍵を渡し、身を守るように言う。

霧江からゲストハウスへ電話があり、順番にテストを受け、呼ばれるまでは勝手にゲストハウスを出ないようになどの指示がある。朱志香は自室に行くように霧江から指示。後ほど紗音から譲治に電話があり、テストを受けるようにとの電話。

朱志香は自室、譲治は東屋で死亡。その後、九羽鳥庵より脱出してきた紗音、嘉音、南條、蔵臼が死亡

ゲストハウスに朱志香より電話が鳴る。「自分はもう死んでる。譲治もダメだった。相手は魔法を使う」等。その後霧江からも電話があり、「今襲われてる最中、ドアノブから金色の糸が襲ってくる」等の事を報告。直後殺されたような音が電話から聞こえる。

戦人が屋敷を片っ端から探そうと、ゲストハウスを出て行こうとしたところ、真里亞にベアトから電話が掛かって来る。戦人も電話でその声を聞く。真里亞はテストの場所に行くと言い、ゲストハウスを出ていく。戦人にもテストのため屋敷前に来いと告げられる。

協力して助けてもらおうと園芸倉庫の郷田と熊沢の元に行く。小窓から声をかけるが反応がない。ロープで首を吊ってるのが見える。途中東屋で譲治の死体を発見。戦人はテストの場所へ。

見た事もない女性を戦人は見る。初対面。テストの結果、ベアトは興味を失ったような態度になり、「真里亞は礼拝堂」と告げ屋敷に入る。

戦人は礼拝堂に行くが、鍵が掛かっていて入れなかった。礼拝堂前にマスターキーが落ちていて、それを使い屋敷に入る。屋敷各所から死体が次々発見。食堂で真里亞の死体、ボイラー室で金蔵の死体を発見。他の死体も各所で発見

メタ世界の攻防のあと、最後の謎の出題と共に駒の戦人も死亡しEP4終了


このエピソードは実に様々な要素が凝縮されており、事件部分、98年の縁寿の世界部分、メタ世界の攻防部分に分かれているため先に事件部分の考察から。このエピソードは実に情報が少ない。今までのエピソードは途中でメタ世界の攻防が入り、事件の経緯を詳細に絞り込む事が可能だったが、この事件はかなり広範囲に解釈可能なのだ。ただ狂言殺人の後に本当に殺されてしまう、という真相なのは間違いなく、共犯者が誰であったのかという部分や、どのタイミングで殺されたのか、等の点は解釈の仕方が実に広い。

共犯

まず屋敷の食堂での話を信じるならば、楼座の「真里亞が手紙はお父様にもらったというのよ」というセリフがあるので、ここから既に死亡している金蔵の名を語って手紙を出した人物がいる事が分かる。そもそもあの手紙を出すのはヤスのベアト人格しかいないのでベアトが真里亞に「金蔵から貰ったと言いなさい」と言ったか、もしくは「金蔵から真里亞にだ」とでも言ったに違いない。主犯はヤスのベアト人格なのは間違いないが、事件の流れから譲治と朱志香の部分など同時刻に別の場所で殺されてる可能性の強い部分があり共犯が必要なのだが、その絞り込みが難しい。TIPSの死亡原因をみると、2種類の死体がある事が分かる。つまりショットガンのような強力な物で殺されてる死体と、拳銃のようなもので殺されてる死体だ。紗音の死亡原因が強力なショットガンのような物であるため、ベアト人格のヤスの凶器はショットガンのようなものだと考えられる。そして、拳銃のようなもので殺されてる死体は譲治と霧江だ。恐らく熊沢と郷田も「額に銃で撃たれたあとがある」とあり顔を吹っ飛ばされてはいないので、拳銃だろう。ショットガンのようなものを使ってるのがヤス、拳銃のようなものを使ってるのが共犯者だと考えると、絵羽と秀吉は共犯として譲治を殺せるとは思えないので除外。倉庫内で死んだ郷田と熊沢も狂言殺人の一環として首つりを演じてた所、額を撃たれた可能性があるので除外。ゲストハウスで戦人と一緒にいた子供達も除外だ。食堂での殺害時に九羽鳥庵に隔離されたとする5人は実際には屋敷内の電話のある部屋に行ったに違いない。この時点では5人は狂言殺人の一環として役割を演じてるので本当に殺人があったとは知らないはずだ。つまり、共犯は最初に殺された食堂の中にいる可能性が強い。絵羽と秀吉を除外すると残りは留弗夫、楼座、源次、夏妃だが、テストと称し子供を呼び出して殺すという役割を親が演じた場合、推測として自分の子供も同様に殺されるという推測に至るのは当たり前であり、結果的に裏切られる可能性さえ出てくる。つまり共犯は源次の可能性が一番強いだろう。

狂言殺人

ゲストハウスに掛かって来る電話は一様に魔法の存在を強調する。郷田も熊沢も同様だ。つまり一同が共通認識を持っている事は間違いなく、打ち合わせとして魔法殺人があったという筋書きで狂言殺人部分をやったに違いない。前提として一同は金蔵が主犯でやっているという認識を持っており、赤字の「親族会議に居合わせた全員が、金蔵の存在を認めた!」という部分とも重なる。一同が存在しない金蔵を存在するという共通の嘘で狂言殺人をやろうとしているという事であり、一同は金蔵が存在する事にし、孫に当主のテストをするという名目で狂言殺人をする事になったという筋書きだろう。その狂言殺人の中での当主テストによって、本当に当主にふさわしい孫を決める事ができる、という筋書だと思われる。紗音と源次が金蔵がこういうテストをすると言っているとでも告げたに違いない。

狂言殺人で起こる錯覚

狂言殺人がベースになっているエピソードでは一つ注意すべき点があり、本来EP1~3のようなケースでは「探偵サイド」と「真犯人サイド」という2グループの事だけ考えればよかったのだが、EP4では新たに「純粋な狂言だと思って参加してるグループ」という3つ目の勢力が加わる。事件中に譲治や朱志香などの子供が殺されるケースで「なぜ蔵臼のような親世代は子供が殺されるのを容認してしまってるのか」という部分は、「あくまでも狂言だと思っており、殺人が実際に起こるとは思っていないから」という理由なのだ。この部分は非常に重要で、本編は探偵サイドの視点から話が語られるため、「真犯人グループ」と「純粋な狂言だと思って参加してるグループ」が同一の目的を持った一つのグループかのように錯覚が起こってしまい、非常に危険だ。狂言殺人が真犯人サイドにとって非常にリスクが高いのは、狂言だと思ってるグループの裏で実際に殺人を犯してしまうため、事件中殺人が発覚してしまうと、この第3勢力のグループが「予定と違うじゃないか!!」と騒ぎだす危険性があるのだ。これは探偵サイドから見た場合、事件の真相が丸分かりで、真犯人サイドからするとあまりに致命的なのだ。EP4ではこの問題を回避するため、4日の22時~24時のたった2時間の間に全部終わらせてしまっている。

考察

○第一の晩 食堂での6人殺し

「第4のゲーム、第一の晩。食堂にて吹き荒れる虐殺の嵐。」
「幻は幻に。……黄金の真実が紡ぎ出す物語は、幻に帰る。」

霧江達5人の九羽鳥庵にいたとされるメンバーはあらかじめ狂言殺人のために屋敷の電話のある部屋に移動させられたものと思われる。熊沢と郷田は狂言殺人の役回り通り、ゲストハウスへ金蔵の殺人の報告へ行った。その後ベアト人格のヤスと源次で留弗夫、絵羽、秀吉、楼座、夏妃を殺害。

○園芸倉庫へ隔離された熊沢と郷田

戦人達によって倉庫に隔離されたあと、2人は狂言殺人のシナリオにそって長めのロープを使い、首つり死体を演じた。小窓から見たときに首つり死体になるようにするだけであり、実際には生きていた。

○第二の晩 譲治・朱志香の殺害と園芸倉庫の熊沢、郷田の殺害

「第4のゲーム、第二の晩。二人の若者は試練に挑み、共に果てる。」
「幻は幻に。……黄金の真実が紡ぎ出す物語は、幻に帰る。」

ゲストハウスにかかってきた蔵臼からの電話と、テストを受けさせるためにかかってきた霧江の電話。この2つは狂言殺人にそって役回りを演じてるだけで、実際に食堂で殺人があったとは知らないだろう。この事件は22時から~24時までの実に短時間に大量の殺人をやっており、狂言ではなく本当に殺しているとバレる前に全部終わらせようとしてるのが分かる。

源次は東屋の譲治殺害の前に園芸倉庫に立ち寄り、ロープで首つりを演じている熊沢と郷田を小窓から銃で射殺。紗音(ヤス)は朱志香の部屋へ行き、朱死香に紗音(ヤス)が狂言殺人である計画を話し、ゲストハウスの戦人に例の電話をさせ「金蔵が主犯となって殺人が起こっていて、自分も魔法で殺されそうだ。譲治も駄目だろう」と言ったあと安心してる朱志香に向かって発砲。殺害したものと思われる。そして、源次が東屋で譲治を殺害する。

○第四・五・六・七・八の晩 南條、蔵臼、紗音、嘉音、霧江の殺害

「第4のゲーム、第四、第五、第六、第七、第八の晩。逃亡者は誰も生き残れはしない。」
「土は土に。幻は幻に。……虚構に彩られし、物言わぬ骸。」

霧江は恐らくゲストハウスへ電話する役をしていたと思われる。源次と霧江が同室してたに違いない。紗音(ヤス)は南條と蔵臼を屋敷の裏手に移動させ2人をそこで殺害。源次は霧江が狂言殺人のシナリオに沿って電話してる時に殺害した。戦人が霧江との電話時に聞いた凄い音というのはこれに違いない。

※嘉音の殺害について
嘉音は人格を消されて死亡扱いになり、死体が出てこなかったという事なのだが、EP4で珍しく赤字が出ている部分で

赤字
「嘉音は死亡している。霧江たち5人の中で、一番最初に死亡した。つまりは、9人目の犠牲者と言うわけだ。」
赤字

このように9番目と赤字で死亡宣言が出ている。最初の食堂で源次を共犯として5人殺しており、嘉音が9番目となるにはあと3人殺し、その次に9番目として嘉音を殺さなければいけない。状況として6人目~8人目の犠牲者は朱志香、譲治、郷田、熊沢の4人なので、この4人を殺す順番の調整で成立する。例えば源次が郷田、熊沢、譲治を殺し、紗音(ヤス)が朱志香を殺す前に嘉音を殺したパターン、紗音(ヤス)が朱志香を殺し、源次が熊沢、郷田を殺した後に嘉音を殺し、最後に譲治を殺すパターン、この辺りの絞りこみはできない。

○真里亞の殺害

ここまで殺人が終わった段階で恐らく、ベアト人格のヤスと源次は一度落ち合って、状況の報告をしたに違いない。ヤスは用済みになった源次を食堂で殺害し、ゲストハウスに電話。真里亞と戦人を呼び出す。真里亞を毒殺したあと死体を戦人発見時の時のように丁重に扱い、バルコニーに向かう。

○戦人のテストのその後

その後ヤスは屋敷裏手の井戸のところまで行き、銃と重りを紐でつなげ、自殺をする。重りが井戸に落ち、銃はそのまま井戸の中に落下する。六軒島で1人になってしまった戦人は2日目の24時に爆弾によって死亡する。

EP4のポイント

・事件中に戦人が見たベアトリーチェ
戦人がテストを受ける番になり、ゲストハウスにかかってきた電話、そして屋敷のバルコニーにいたベアトリーチェ。この人物は戦人が主観で確認しており、別の人物と見間違えたという解釈は出来ない。この部分は正にベアトのゲーム盤での真相部分であり、魔法による幻想描写ではなく、戦人が確認した真実だ。ヤスの中には紗音、嘉音の他にベアトという人格が存在しており、EP3の南條殺害の実行犯でもあるように、ゲーム盤に登場可能な1人間なのだ。TIPSにも一貫して人間カテゴリーにベアトの名前がある。なぜ赤字の在島者の中に入っていないのかについてはEP3で詳細に説明したとおり、ベアトは人格としてカウントされた場合は魔女人格だからである。

・戦人のテスト
当主を選ぶために作られたというテストだが、その内容である「以下の2つを得るために1つを捨てよ。1.自分の命、2.(愛する者の)命、3.それ以外の全員の命」これは当主を選ぶためのテストではなく、戦人が2番目の「愛する者」の名前に誰の名前を入れるのか?というのが最大の目的だ。何を選ぶのかは全く関係がない。ベアトの目的は戦人に6年前の約束を思い出してもらう事であり、戦人が誰を愛しているのかそれが知りたかったのだろう。

・EP4のゲーム盤の目的
バルコニーでベアトと戦人が会うシーンは非常に印象的だ。今までメタ世界でのベアトの態度や目的についてEP1~3の項目で語ってきたが、EP4になってベアトは戦人が真相に到達したのかどうか確認をしてもいい時期だと判断したに違いない。このバルコニーのシーンこそがベアトが今までやってきた事の最大の目的なのだ。もちろん戦人が事件の真相に至り、ベアトの正体がヤスである事を見抜き、「密室」「共犯」「嘘」で事件が構成される理由に気付き、戦人が「約束」を思い出してくれる事だ。ベアトはその確認の時期だと判断したからこそ、EP4のような内容を作ったものと思われる。

・約束を忘れられた事で目的を失ったベアトリーチェ
しかし、戦人は完全に約束を忘れ去っていた。ヤスの動機についてはEP7で詳細に語るが、かいつまんで言えば、ヤスの動機は事件の中で「紗音人格と譲治の恋」「ベアト人格と戦人の恋」この2つの人格の恋の内どちらかが成立する奇跡を願っており、「ベアト人格と戦人の恋」については、戦人が事件の真相に至り、犯人の正体に至り、その結果約束を思い出し、戦人とベアトの恋を成立させたいという願いがある。ベアトが戦人のテストの後、急激にやる気を失っていったのは、戦人が約束を忘れてしまっていて、賭けに負け、奇跡的ルーレットの目が出なかった事の絶望のためだ。

・殺されるためだけに戦っているというベアトのセリフ
縁寿によって連れ戻された戦人とベアトは、ベアトの目的が既になくなってしまっているにも関わらず戦いを継続させられる。ベアトのセリフである「戦人に殺されるためだけに戦っている」「負けの決まった戦い」「負けるためだけに戦わないといけない」これらの意味は、本来であるならば戦人が勝つという事は「人間犯人説」で事件の説明が付けられ、全ての真相に至るという事で、その結果として戦人が約束を思い出す可能性に賭けたものだ。しかし既に戦人は約束を忘れてしまっている事が確定しており、さらに、この時の戦人はベアトの出題を真剣にミステリーだと信じて向き合っている訳ではなく、一族や家族を犯人だと思いたくないが故に、「未知の人物X」というアンチファンタジー的な戦いをしている。このような戦い方で至った結論では、ベアトが負けて戦人が人間犯人説で説明を付けようが何の意味もない事になる。単に魔女幻想が消え去るだけで、戦人が約束を思いだす訳ではない。ベアトは事件を戦人が解いてくれて、真相に到達し、戦人がベアトの目的に気付いてくれるように、今までメッセージを送ってきた。事件の「密室」は六軒島に囚われているヤスの事。執拗に繰り返された「嘘」は戦人が約束を破った事。「共犯」はヤスが碑文を解き黄金を手にし、ベアトリーチェという魔女の称号を受け継いでいる事。しかし、戦人はこれらに気付かず約束も思い出せなかった。ベアトが目的を喪失してしまったにも関わらず、戦いを継続させられるその残酷さを本編でもう一度見てほしい。「悲しいなぁ……こんなのが無限の魔法なのかぁ」というセリフからも痛切なベアトの心の痛みが伝わってくるはずだ。

・ベアトリーチェの目的とゲーム盤
ベアトの目的は自分と戦人の恋が成立する事で、それは戦人がゲーム盤の真相に至る事を前提にしている。この目的を達成するために、どのようなゲーム盤を作ればベアトの目的は達成可能なのかと考えた場合、かなり特殊な条件が必要になって来るのが分かる。まず約束を思い出してもらうという目的を達成するために、事件の核に「嘘」という要素を組み込む事で、戦人が嘘をキーワードにして約束を思い出す事が可能にはなる。しかし、ここで大事なのは、あくまでも戦人にとっては「紗音と交わした約束」であって「ベアトと交わした約束」ではないのだ。最終的にベアトと戦人が結ばれるためには、昔紗音と交わした約束が、今はベアトに受け継がれていて、今戦人に恋をしているのはベアトだという部分に戦人が気付かなくてはならない。正にこの部分が特殊な部分であり、そんな事に戦人が気付く事が可能なのか?という問題にも絡んでくる。少なくとも「紗音とベアトは同一人物であり、一人の人間の中に複数人格がある」という部分に戦人が気付く事は必須だろう。ここに気付かないと、「元々紗音が持っていた恋の気持ちが、今はベアトに受け継がれている」という部分に気付ける訳が無い。このような特殊な事情があるが故に、ベアトがゲーム盤を作成する時に「複数人格を持つ人物の犯行」というミステリーを作らなくてはならなくなった訳だ。うみねこのゲーム盤のミステリーの答えが「嘘」や「複数人格者の犯行」という特殊な構造になっているのはそれが理由で、全ては最終目標であるベアトと戦人の恋を成立させるためなのだ。本編中のEP3の部分を戦人が解く事によって、連鎖密室で犯人の複数人格に気付ける。そして南條殺しでベアトが犯人である事に気付く事によって、「ヤスの3つの人格の中の一人であるベアト人格が事件を『嘘』で構成する事によって、紗音人格との間の約束を思い出してもらおうとしている」という思考の道筋ができるわけだ。ベアトと紗音が同一人物である事に気付く事と、EP4の約束を思い出してもらおうとしてるバルコニーのシーン以降のベアトの態度、そして赤字というヒントを出してまで戦人に事件の真相に至ってもらおうとしてる態度、これらの部分から約束を思い出してもらいたいのはあくまでもベアトだという事は想像できるはずだ。もちろんこのような特殊な思考の道筋をたどって、戦人がベアトのゲーム盤の目的に気付いてくれるのかどうかは奇跡を祈る以外にないだろう。それがベアト人格の勝利条件であり、紗音人格の勝利条件の「事件中碑文が解かれる事」という勝利条件同様、事件中奇跡的低確率で達成される膨大な魔法力を秘めたルーレットの目なのだ。

○EP4ラストの背景赤字

赤字
「早く私を殺してください」
「妾を止めてみ」
「お前が帰ってこなければ」
「いっそ、生まれたくなかった」
「誰も愛せ のですか」
「お願いです どの結末で 私の物語に 私を殺して」
「さもなきゃ」
「お前が死ね」
赤字

ヤスの動機に深く関連するこの赤字の考察に行こう。まず「早く私を殺してください」だが、これは譲治とも戦人とも結ばれず、爆弾によって全員皆殺しにするしかなくなったケースでのヤスの気持ちだと推測できる。この段階に進んでしまったらヤスはもう生きていたくないだろう。死を願う気持ちは分かる気がする。

続いて「妾を止めてみ」だが、これは「妾を止めてみろ」だろう。事件においてベアトを止める手段は2つある。それは碑文を解く事と事件の真相を解明する事だ。この2つの方法は同時にヤスの願う奇跡的なルーレットの目でもある。

「お前が帰ってこなければ」これは戦人が帰ってこなければ紗音と譲治が普通に幸せになる事が出来たという事だろう。

「いっそ生まれたくなかった」恋の出来ない体で生きてきたヤスにとって恋愛が出来ない事自体が絶望的な事であり、そもそも譲治や戦人と付き合うという事自体がヤスの中では可能性として低かったのだろう。譲治と付き合っていた時にも、譲治の語る子沢山の未来像に怯えていたのかもしれない。

「誰も愛せ のですか」これは「誰も愛せないのですか」だろう。ヤスは今まで語って来たように、ルーレットによって自身の恋に決着を付けようとしてたのは間違いないが、そもそも自分の「恋の出来ない体」に対して深く絶望してる状態だ。その状態で譲治と付き合っていて、譲治に自分の体の事は告白していない。ヤスがなぜ奇跡的な低確率なルーレットの目に自分の運命を託しているのかという部分は、そうまでして奇跡的なルーレットの目が出たのならば、きっと自分の「恋の出来ない体」の事も相手が受け入れてくれる奇跡が起きるに違いないと思ったからだろう。

「お願いです どの結末で 私の物語に 私を殺して」この部分はこの先の「さもなきゃ お前が死ね」の部分が爆弾による皆殺しを指してると考えられるので、「さもなきゃ」という接続詞を考えると、ルーレットの3つの目の内の「戦人が事件の真相に至り、戦人とベアトが結ばれる」の事を指してるのではないかと思う。つまり「お願いです。どの結末で終わったとしても、私の物語に決着を付け、私を殺してください」となるのではないだろうか。この「私を殺してください」というのは、魔女幻想を打ち破り、魔女を殺し、人間であるヤス本人の正体に至ってください、という願いなのだと推測できる。

これらを踏まえて、ヤスの立場になって告白文を作ってみようと思う。上記の赤字はEP4のバルコニーでのシーンの後に出てるので、ルーレットの目としては「爆弾による皆殺し」が確定してしまった段階だ。それを踏まえて読んでほしい。

私の計画していた事件はついにこの段階に来てしまいました。譲治様とも戦人様とも結ばれる事が出来なくなってしまいました。しかし、これも全て私が望んだルーレットの目のひとつ。早く私を殺してください。もう私は生きていたくない。私の願う奇跡は起こりませんでした。戦人様さえ帰ってこなければ……いいや、それはもう言いません。このような体で今まで生きてきて、私にも恋愛が出来るという微かな希望を抱いて生きてきました。でも、このような結末になるのなら、いっそ生まれたくなかった……私は誰も愛せないのですか。誰とも恋が出来ないのですか。私には恋をする資格が元々なかったのですか……お願いです。私の計画するこの事件でどのような結末になってしまったとしても、どうか私の物語に気付いてください。約束を思い出してください。私は事件に全てのメッセージを込めました。もし奇跡が起きるのならば、魔女幻想を打ち破り、魔女の正体が私であると気付けるはずです。魔女を殺して私に気付いてください。それが出来ないのならば……爆弾で島もろともふきとばし、あの世の黄金郷で幸せになりましょう。どうか私の真実に気付いてください。

どうだろうか。ヤスの気持ちになって上記の赤字を踏まえて告白文を作ってみたのだが、これならヤスの動機にも一定の理解が出来るのではないかと思う。もちろん許される行為ではないけども。

考察

○右代宮戦人の6年前の罪

赤字
「俺の6年前に、ベアトリーチェなどという人物は存在しないのだ。」
「妾が今、そなたに思い出すことを要求している罪は、右代宮戦人とベアトリーチェの間のものではない」
「右代宮戦人には、罪がある」
「そなたの罪で、人が死ぬ。」
「そなたの罪により、この島の人間が、大勢死ぬ。誰も逃さぬ、全て死ぬ。」
赤字

まず、戦人の罪というのは6年前使用人の紗音と交わした「迎えに来る」という約束の事で、その後紗音は迎えに来ない戦人の事に心を痛め、その戦人への恋の気持ちをベアト人格に託している。ベアトが戦人に約束を確認してるのはこの恋の気持ちを紗音人格から託されたためであり、元々は紗音が有していた恋の気持ちなのだ。

次に「そなたの罪で、人が死ぬ。」「そなたの罪により、この島の人間が、大勢死ぬ。誰も逃さぬ、全て死ぬ。」の部分だが、これはEP7の動機考察で非常に重要な部分で、戦人が約束を忘れていた事が原因となって、人が死ぬという結果が起きると言っている。後半部分の「誰も逃さぬ、全て死ぬ。」の部分が非常に重要で、「誰も逃げる事が不可能」「全員死亡」これらは明らかに六軒島の爆弾によって全員死んでしまう事を指してる。という事は戦人が約束を忘れている事が確定すると爆弾が爆発し全員死亡すると読み取れる。この部分だが、島で爆弾による皆殺しが発生するのは、戦人の罪が原因となってるとするならば、戦人が約束を思い出した場合、あるいは、覚えていた場合は誰も死なない可能性があるのではないか?という推測ができる。となると、戦人が約束を覚えているのか確認しないといけない事になる。この一連の赤字は、あくまでも「戦人が約束を忘れていた場合」に発生する事例であって、戦人が覚えていた場合は発生しない可能性がある。だから実際の六軒島で起きた悲劇が戦人のせいであると確定できるものではないのだ。EP4の内容とも関連するが、ヤスの目的は2つの人格の恋に決着をつける事だ。それを目的として事件を起こしており、事件部分はあくまでも「手段」でしかない。事件そのものが目的ではないのだ。しかし、EP4のようにルーレットの結果として「ベアトと戦人の恋」が成立しなかった場合、ヤスは爆弾で全員を道連れにして皆殺しを行う。これは紗音人格、ベアト人格、この2つのどちらも恋が成立しなかった場合に起こるヤスの絶望であり、この時の「爆弾によって全員皆殺し」という選択の気持ちはEP4の約束を忘れられていたと知った時のベアトのあの態度と同じだろうと推測できる。


○ベアトリーチェの対戦相手資格

赤字
「妾は黄金の魔女、ベアトリーチェ。そして右代宮金蔵の孫、右代宮戦人と戦うためにこのゲームを開催した。」
「右代宮戦人の母は、右代宮明日夢である。」
「俺の名は右代宮戦人」
「俺は右代宮戦人だ」
「右代宮戦人は、右代宮明日夢から生まれた。」
「俺は右代宮」
※「俺は右代宮明日夢から生まれた」と発言しようとしてできず。
「そなたは、右代宮明日夢の息子ではない。」
「右代宮戦人は右代宮明日夢の息子ではないわ。」
赤字

この部分はEP3の霧江が殺害されるシーンにヒントがあり、霧江と明日夢は同時に出産してると語ってるシーンがある。霧江が流産し、明日夢が戦人を出産したとされてるが、これは実際は逆なのだ。霧江が出産し、明日夢の子は死んだ。赤字の「右代宮戦人は、右代宮明日夢から生まれた。」は正確には「しかし、生まれた直後流産で死んだ」という意味であり、戦人の別人がそのまま生きて存在してるという意味ではない。出産後死んでるのだ。戦人は霧江の実の息子なのである。それはEP8のクイズに正解すると留弗夫から明かされる。


○さくたろう復活の反魂魔法

赤字
「ここは妾の黄金郷」
「妾以外の魔法は絶対に存在できない世界」
「そして妾の魔法でさくたろうを蘇らせることは出来なかった」
「そのぬいぐるみは特別なぬいぐるみ」
「楼座が娘の誕生日のために作った、世界でたった一つの」(以下宣言できず)
赤字

縁寿が98年の世界で船長の家で発見したのは量産品のさくたろうのぬいぐるみだったのだ。手作りというのは仕事の忙しい楼座がついた嘘だったのだ。

○最後の謎 ベアトリーチェの心臓

赤字
「右代宮戦人。今から私が、あなたを殺します。」
「そしてたった今。この島にはあなた以外誰もいません。この島で生きているのは、あなただけです。島の外の存在は一切干渉できません。」
「この島にあなたはたった一人。そしてもちろん、私はあなたではない。なのに私は今、ここにいて、これからあなたを殺します。」
赤字

「第4のゲーム、第九の晩。そして、誰も生き残れはしない。」
「土は土に。幻は幻に。……虚構は猫箱に閉ざされることで、真実となる。」

「私は、だぁれ……?」
「幻は、幻に。……約束された死神は、魔女の意思を問わずに、物語に幕を下ろす。」

戦人しか人間が存在しないのに、戦人はこれから殺されるという。その正体こそEP1からの24時を迎えると誰も生き残れないという設定の正体なのだ。地下貴賓室の黄金の部屋の時計と連動している爆薬の事だ。

ベアトリーチェの心臓として出題される最後の謎のシーンで非常に重要な部分がある。磔にされたベアトは「今からすべてを晒すから殺してくれ」と懇願する。心臓を晒すからと。ここからのシーンが非常に重要で、できれば読み返して欲しいのだが、ベアトが両手を上に掲げると光が集まって来る。しかし右手から光が消え、右手を下げ、左手は上に掲げたままという描写がされる。この一連の描写部分について裏お茶会でラムダが「右手を下ろしたの気付いてた?」とベルンに言い、ベルンは「ああ、あれはそういう意味だったの」と言ってる。ラムダが続いて「まだあの子はどぎつい奥の手を隠してるわよ」と言ってるが、これらの部分から分かるように、ベアトリーチェの心臓とは厳密に言えば2つあるのが分かる。左手を掲げたまま出題された「私はだぁれ?」というのがその内のひとつである爆弾の事だ。直前に右手を下ろす事によってベアトは、心臓の片方である「同一人物トリック」を隠したのだと分かる。一連の描写はそういう意味で、ベアトリーチェの心臓というのは最後に全員を皆殺しにする爆弾と、紗音、嘉音、ベアトの同一人物トリックの2つの事を指すのだ。

これを踏まえれば、EP3の後半のベアトリーチェの心臓の意味が分かると思う。絵羽の銃の暴発によって目を負傷した朱志香は、南條殺害後に嘉音によって誘導されカーテンに隠れる。あの部屋をベアトが守り、エヴァによって最後心臓を晒されるが、あのシーンは南條を殺害したヤスが嘉音のフリをして朱志香を誘導し、最終的に絵羽によってヤスは射殺されるという部分の魔法解釈の描写と推測できる。なぜあそこにベアトリーチェの心臓が描写されたのかは、上記で説明した「ベアトリーチェの心臓とは同一人物トリックの事も指す」という部分に由来してると思われる。

・98年世界での南條の息子の話
縁寿が南條の息子を訪ねた時にカードの話が出る。ヤスが遺族に送った一億円のキャッシュカードだが、気になるのは南條の差出人名でわざと存在しない住所に送っている部分だ。確実に返送される事を目的にしていて、いつ返送されるのかは郵便局次第で不確定という話が出てくる。事件前に消印があり、縁寿たちは事件前に到着させたくなかったのではないか、と言っている。ではなぜ期日指定郵便にしなかったのかだが、これはヤスが確実な方法を嫌うからだ。ヤスはEP1の最初の園芸倉庫の時のように譲治に中に入られると死体が無い事を看破されてしまうような危険な綱渡りをしており、確実な方法を取らず危険をあえて冒している部分がある。それが、運命に身を任せ自分の運命をルーレットに託すという行為であり、バレたならバレたでその運命を受け入れるというヤスの気持ちなのだ。この郵便も事件後配達日に期日指定にすると確実に事件後に渡ってしまう。ヤスは事件後に配達される可能性と事件前に配達されてしまう可能性の2つが欲しかったのだ。事件前に配達され、それが事件前に右代宮家で話題になり、事件を起こせなくなってしまっても、それはそれで受け入れるという事なのだ。そういったあらゆる危険の中で奇跡的なルーレットの目が出る事を祈っていたのだ。南條の息子の話では銀行に入った時には緑ランプが20個は付いていたと言っており、その数から、爆薬で皆殺しをしてしまった場合に犠牲者に関連する遺族全員に謝罪のお金を送っていたものと思われる。

・紗音が語る黄金郷
事件部分の紗音が囚われているシーンで紗音が黄金郷に行った事があると語っている。嘉音が驚いてその詳細を聞くシーンだが、これはEP7で出てきたベアトに招かれたお茶会の事だと思われる。

・ラムダデルタの誤解
ベアトがやる気を失ってしまった後のシーンでラムダが「戦人に勝って屈服させたいんでしょう?」と言ってる場面がある。ここからラムダはベアトの本当の目的を知らないものと思われる。EP5でラムダがゲームマスターになり、ベアトの事件に似せて事件を展開させるが、ラムダが本当のベアトの目的を知らないために、ベアトでは絶対にやらない事をやってしまっている。碑文が解かれても事件が起こる部分はそうであり、EP3のようにイレギュラーな場合ではなく、今回は一族全員にも碑文を解いた事を知らせているし、イレギュラーな目的で殺人をやった絵羽のような人物もいない。夏妃に容疑を被せるといった行為もベアトにとっては意味はなく目的でもない。ラムダとベアトの認識の違いを感じさせるセリフがここなのだ。

・愛が無ければ真実は見えない
98年のシーンで小此木社長により語られるこの言葉。「異なる2つの視点から物事を見る」という考え方で、うみねこ自体にとってもベアトを殺人者と見るか、そうでないかと見るかという問いかけとも連動する。愛ある解釈で物事を見る事こそがうみねこの世界では正解であり、ベアトの動機を考える時にもこれは重要だ。

・メッセージボトル
縁寿と大月教授のシーンでメッセージボトルについての話が出る。漁師が拾った物と警察が押収した物の2種類あり、それぞれ内容は違う。しかし事件前日から始まり全員死亡で終わる部分は一緒だという。EP1は既にこの内の1本と判明している。EP2が警察の押収した物と誤解されやすいのだが、EP2は事件前日ではなく紗音と譲治の恋の話から始まってる事や、EP6での八城十八の話からEP3~6は彼女の偽書と判明していて、八城十八が「偽書を通して自分が伝えたいのは、真相に至った自分なりの愛の解釈の表現である」と語りながらEP2の黄金のブローチの話にも触れている。作中で「伊藤幾九郎の偽書はEP3のBanquestが初作」「八城十八は異なるペンネームで複数の出版社で同時に大賞を受賞している」という情報が出ているので、「伊藤幾九郎以外のペンネームで偽書を書いている可能性」が否定できない。総合的に考えてEP2も彼女の偽書だと思われる。

・あの日真里亞を傷つけなかったら事件は起こらなかった
縁寿が98年の世界で真実を知るための旅で出てくるセリフだ。魔法についての説明で真里亞は辛い現実を魔法によって幸せな解釈に変える事ができると説明されている。しかし、幼い縁寿によって否定され、母にさくたろうを殺されて以来、真里亞の魔法は邪悪な物に変貌していき、どうやって相手を呪い殺すか、みたいな物騒な物に変わっていく、と説明されている。縁寿が真里亞を否定せず、真里亞が縁寿に教えたような白い魔法を持ち続けていたならば、六軒島でベアトと友達だった真里亞はベアトにもそれを教えてあげられた可能性があるという事だろう。ベアトの魔法は真里亞に認められて初めて存在している。他人に認めてもらって存在できる魔法であり、真里亞のように自分の中から生み出すだけで成立する物ではないのだ。要するにつらい現実を受け止める心をベアトが持てる可能性が真里亞の魔法の思想だったのだと思われる。

EP4と縁寿

EP4は86年のゲーム盤世界と98年の現実世界両方とも偽書の描写であり、EP4全編通して描かれている縁寿も当然現実世界の幾子が文章で描いている偽書内の人物だ。この世界構造の考察についてはEP6で詳しくやっているので参照してほしい。EP4の中盤でラムダは縁寿に「戦人が戻って来るのは86年の6歳の縁寿の元であって、18歳の縁寿の元ではない」という冷酷な事実を告げている。つまり、ベアトのゲーム盤で例え戦人が勝利をしたとしても、あの偽書の縁寿には戦人は帰って来ないのだ。後半に縁寿の心の叫びである赤字が出るが、非常に大事な部分があるので抜粋する。

赤字
「早く帰ってきて、お兄ちゃんッ!! 私を独りぼっちにしないでッ!!!」
「私よ、縁寿よ…!! お父さんもお母さんもお兄ちゃんも、誰も帰ってこないッ!! 寂しいよ!! お願いだからッ、早く帰ってきてッ!」
「そうよ、縁寿よ!! 誰も帰って来ない世界の右代宮縁寿…!! ………私の家族は全て、あの日の六軒島から帰って来ない…!!」
「目の前のあの魔女が、家族を全て、お兄ちゃんさえも奪い取ってしまった…! ………お兄ちゃんだけが、あいつをやっつけられる!!あいつをやっつけて…!!そして、家族を取り戻して!! そして、………私のところに帰ってきて……!!!」
赤字

注目なのは「そうよ、縁寿よ!! 誰も帰って来ない世界の右代宮縁寿…!!」という部分だ。結局この偽書の縁寿は最終的に98年の六軒島で死亡してしまう。エンドロールに98年に死亡と書かれている。つまり、冒険の末死んでいったあの偽書の縁寿は結局生きている間に家族と会う事は出来なかった。しかし、EP8の魔法EDの黄金郷に縁寿がいる事から分かるように、あの世の黄金郷で最終的に家族と会うことはできたわけだ。

ここで大切なのはこのEP4の物語は、98年の本当の現実世界で縁寿がネットで見ているという事だ。本当の現実世界の縁寿は、ネットで話題になっていた伊藤幾九郎の偽書を読んで最終的に気持ちの整理をつけたはずで、EP4をネットで読んでいた時に、最初はそれほど注目して読んではいなかったのかもしれないが、読み進める内に真里亞の魔法の思想や、上記の偽書の縁寿のセリフを読んで「現実世界の縁寿」と「幾子の描く偽書の世界の縁寿」の気持ちが完全にリンクしてしまったのではないかと思われる。縁寿は思ったはずだ。なぜこの偽書の作者は私の気持ちがこんなに分かるんだろうかと。六軒島の事件以来、寂しく孤独に生きてきた縁寿にとって、偽書の中で自分の気持ちそのものを代弁してくれている偽書の縁寿を見て、偽書から目が離せなくなっていったことが推測できる。

現実世界の縁寿から見ると、偽書の中の縁寿には結局兄は帰って来ないが、六歳の縁寿の元には帰って来る可能性があるという部分を、自分の事のように思ってしまった、あるいは願ってしまったという側面があるはずだ。現実世界の縁寿が兄である十八に会うというハードルは実はかなり高い。縁寿が作家になった事がキッカケで2人は再会するので、「真実を追い求め続ける事」「幼少期に絵羽と悲しみを分かち合いお互いを認めて、幸せに暮らす」というようなケースの場合、結果的に縁寿が作家を目指さなくなるので2人は再会できない。縁寿が偽書を通して心の整理をつけ、真里亞の魔法の思想を理解し、それを世間の人に広めたいと願って作家になった先にしか2人の再会はないのだ。最終的な物語の締めくくりとして、現実の縁寿も偽書の縁寿もハッピーエンドと言える結末をEP8で迎えるので、この辺の現実と偽書世界の関連性は非常に大事であると同時に、そういう視点で本編を読むと凄く面白い。

98年の現実世界の解釈

六軒島に向かうシーンで縁寿が実に奇妙なセリフを言っている。縁寿は魔法によって7姉妹を呼び出しているが、これは普通に解釈すれば縁寿の心の中の妄想だと言える。だが縁寿は次のようなセリフを言ってるのだ。「魔法を認めたわけじゃない。魔法は信じる人には存在する。私が認めなくても。誰かが信じたならその人の世界には魔法が存在する。それは私が魔法を信じたって信じなくたって干渉を受けない」これでは縁寿が7姉妹を召喚してるのは、縁寿以外の人物が縁寿に魔法は存在してると思った事で現れている魔法だという事になる。縁寿が7姉妹を生み出しているわけではない。ここに、この98年の世界は現実を元に脚色された八城十八の偽書の中の描写なのではないか?という推測ができる。

六軒島のシーンで7姉妹を呼び出してるシーンは隠れてた天草が遠くから狙撃してたとして説明がつくが、前述した魔法描写自体縁寿が呼び出してるわけではないという説明から、ここも含め一連の98年の描写は現実を元に書かれた偽書描写なのではないかと思われる。EP4は現実世界やゲーム盤のメタ世界に視点が頻繁に切り替わるが、縁寿がさくたろうを届けに真里亞に会いに行くという部分と、メタ世界での黄金郷でのさくたろうの復活、また両方の世界のマモンの態度から、どちらの世界も完全にリンクしている。

EP4お茶会のエンドロールの縁寿の所に「1998年に死亡」とあり、98年の縁寿はあの六軒島の攻防の後、天草によって殺害されたものと思われる。縁寿が遺産を相続した事により、右代宮グループの株をどうするのか注目されており、縁寿を殺すことで問題を解決しようとしていた動きもあり、EP4では冒険の末、殺されてしまった縁寿の話と、86年の世界で戦人のために一緒に戦う縁寿の話をリンクさせた八城十八の偽書描写と思われる。しかし、現実世界を元に書かれていて、様々な設定は現実に即している物と思われる。EP8の作家になった縁寿はそもそも飛び降りておらず、その後の天草とも以前に少し会った事があるだけと描写されている。このEP4の現実世界とEP8のエピローグの世界はリンクしていないのだ。

人格

このEP4までのゲーム盤で戦人は一度も紗音と嘉音を同時に見ていない。探偵の主観が保障されてるシーンでは同時には出ず、探偵でない人物の主観や3人称の地の文では紗音と嘉音は同時に出てきており、これは嘘の描写と判別がつかないので意味が無い。EP1~4一貫して戦人の前には同時に出てこないようになってるのだ。同一人物という設定が確定できる部分はEP6に明確にあるのでそこで詳しく説明するがそもそも、1人の人物が複数人格を持っており、変装によって切り替えているというのは可能なのか?と考えると、ゲーム盤の世界というのがそもそも何なのかというのを考える必要がある。EP1はワインボトルに入ったノート片であり、EP2~4も幾子による偽書である。これはそもそも作中では文字の媒体で存在しており、文字で「紗音は~」とか「嘉音は~」と書かれていて、映像による見た目の描写を前提にしていないのだ。なぜ変装によって複数人物を演じてバレないのか?という根本的な問題は、これは論理パズルを前提にした小説の設定だからという事で説明できる。「ヤスの紗音、嘉音、ベアトの変装は誰にも見破る事ができない」という設定でヤスや十八が物語を描いているのである

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