クレルのハラワタとして唐突に挿入される3つの場面がある。金蔵のイタリア人からの金強奪部分、九羽鳥庵ベアトが金蔵の思いを拒否してる部分、碑文を解いたヤスが金蔵に対面した時に自分の体の事を家具と言ってる部分、の3つだ。この場面背景が赤くなっているので、嘘の描写ではなく真実の描写と思われる

1.金蔵の金強奪
この描写のポイントは日本軍側の人物に説明をしている場面であるという部分で、金蔵が単独でやろうとした事ならばあのような相談をする必要がない。恐らくは、ベアトを通じてイタリア人が日本人を皆殺しにしようとしているのを聞いた物と思われる。それを踏まえて上官に「それならいっそのこと金を強奪してイタリア人を殺しましょう」と提案していたに違いない。ただこれはただの推測なので断定はできない。

2.九羽鳥庵ベアト
これは金蔵が九羽鳥庵ベアトを妊娠させたという部分の伏線だと思われる。

3.ヤスの家具発言
ヤスの体には事故の時の後遺症で何らかの不具合がある事を明かす伏線だ。インタビューで竜騎士07氏が「ヤスには何らかの性的な不具合があった」「譲治の語る子沢山の未来像がプレッシャーを与えていた」と語ってるので、恐らく子供を産めない体だったのだろう。後遺症として事故の傷跡なども大きく体に残ってるものと思われる。

○クレルのハラワタの意味

クレルのハラワタとして描写される3つのシーンだが、各シーンが真実だとかミスリードだとか、そういう個別の真偽の話は置いておいて、うみねこ全体に関する意味合いの話をしたい。EP7において出てきた金蔵の過去のエピソードだが、金蔵が語った部分とクレルのハラワタでは明確に違いがある。九羽鳥庵ベアトに関してもEP3では「金蔵」と呼び捨てにしてたのに「お父様」と呼んでいるし、3つ目の「恋の出来ない体」に関しても、クレルの告白には無かった部分だ。この3つのシーンの矛盾はもしかすると、

「さも事実かのように描写されてる物は実は嘘かもしれないよ」

というメッセージなのではないだろうか。例えば、EP1~7において金蔵は厳しく気難しい変人として描写されているが、EP8において「孫に優しい金蔵」という描写がされている。つまり本来EP8の金蔵が昔の優しかった金蔵だったのだとすると、EP1~7の金蔵というのは作者であるヤスや幾子によって描写のコントロールがされていた事になる。

つまり、このように物語全体としてさも事実かのように描写されている部分が実は全くのデタラメの嘘なのではないか?という思考方法の提示として出てきたのではないかと思う。例えば、紗音と嘉音が変装によって同一人物が演じていたというのは、偽書の中なら「読み物としてのトリック」なので筋が通るが、実際の現実世界でヤスがそのような事をしていたとは思えない。心の中だけに存在していて、紗音人格を励ましていたのなら分かるが、実際に男に変装して日々働いていたというのは、あまりにも突飛すぎる。つまり、朱志香が学園祭に嘉音を呼んだというあのエピソード自体が幾子の創作とも考えられるのだ。同様にEP4の楼座と真里亞の親子間の確執の物語も「些細な事実を元にした拡大解釈の創作」あるいは「完全な創作」とも受け取れる。EP6の恋の試練において「19」という数字の説明がされている部分がある。「本当の当主の年齢」「物語を作るのに要した日数」といった場面だ。あのヤスしか知り得ない情報を幾子が知っていたのはおかしいので、あれも「幾子による創作」とも受け取れる。そういう考え方で行くと、EP1の留弗夫の隠し事の気配の描写も、あれは単なる意味の無いミスリードとして登場した描写を、幾子がさも「戦人の生まれの問題」を話そうとしてたかのように創作してEP2以降で書いていたとも考えられる。

ここで大事なのは「どれが真実なのか?」という話ではなく、「物語の楽しみ方としての思考方法」がクレルのハラワタという部分という事だ。ベルンが語っていたように、最初は愛でて楽しみ、次にハラワタを引き裂いて楽しむという事で、描写を信じて楽しむ。そして次にその描写の真偽を疑って楽しむという事だ。1から100まで全てミステリーとして完全解明しようと思うのなら、描写の真偽をクレルのハラワタ的思考法で明らかにしていくしかないが、でも物語を竜騎士07先生が作る時に、例えば前述した「19」に関する説明を「幾子が創作した完全な創作」という設定で物語を書くような意味の無い物語の作り方をするだろうか?これはプレイヤーへのうみねこの楽しみ方の提示であって、重箱の隅をつつくような楽しみ方の提示ではないと私は感じた。

「愛が無ければ真実は見えない」といわれているように、物語をプレイヤーに愛ある解釈で楽しんでもらうためのギミックがクレルのハラワタなのだと思う。

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