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【復習編】完結!町山智浩さんの『桐島、部活やめるってよ』の解説が素晴らしかったので書き起こしました。

【復習編】完結編!町山智浩さんの『桐島、部活やめるってよ』の解説がやっぱり素晴らしかったので書き起こししました。

更新日: 2013年08月12日

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全ての物語っていうのは自分自身にたどり着くまでの話なんです

たださっき好きなことやってればいいっていう話をしたんだけども、先ほど言ったサルトルの『嘔吐』のラストっていうのはですね、実はすごく人間には意味が無いんだってことを悩んで、悩んで、悩んで、辛くなって、もうどこに行ったらいいかわからなくなってしまった主人公が最後に見出すのは、物を書くことなんですね。物を書いてみんなに読ませると、自分の考えを書いて読ませたいと思うんですね。そういう時に初めて、良かった、俺は生きていこう!と主人公は思うんですね。

これは全く、桐島の中に出てくる吹奏楽部の亜矢ちゃんと映画部の前田くんと同じ結論ですね。意味とかいいよ、とりあえず俺はやるべきことをやると、何か形にしてみんなに伝えると、自分というものを残すと、つまりこれは何かって言うと、自己を実現するってことですね。

自分の中にある自分自身を実現する、自分自身になるってことですね。芸術っていうのは自己実現っていうのはそういった意味だったんですね。それで、『ショーシャンクの空に』で、主人公が自分の独房に穴を掘っていって、向こう側に突き抜けるっていう話もそういう話なんですね。

つまり自分自身の中にある自分自身の一番深いところ、自分自身の本当にやりたい本質的なもの、本質っていうのはないんですから、好きな事がないってことなんですね、逆にいうとね。さらに、意味のない牢獄のような人生から突き抜けて、向こう側に行けるんじゃないかと、向こう側っていうのは、自分自身にたどり着くってことですね。

実は全ての物語っていうのは自分自身にたどり着くまでの話なんですね、哲学にしても、小説にしても、全ての物語は自分自身に帰ってくる、自分自身が見えなくなっちゃった、自分自身が見えない、自分自身に帰れっていう話なんですね、それを探すんだという話になっているんだと。

で、この桐島っていうのは、青春の物語にして、それを非常にリアルに、作り物っぽくなくですね、非常に残酷なまでにリアルに描きながら、ただ徹底的にリアルに描くと、現実ですからやっぱり普遍的な学校生活を超えた人生みたいなものに突き抜けていくんだということがよく分かるかと思います。

ラストシーンの野球に行くかどうかに関してもナレーションを入れてませんね、ちゃちな映画だと宏樹くんの気持ちを入れちゃうわけですよ、そこに。絶対ナレーション入れたでしょう。俺は前田みたいに打ち込めるものあるんだろうかみたいなね、おれにとっては野球なんだろうかとかね、そういうこと入れたかもしれないですね。

桐島は俺にとって何だったんだとか、そういうナレーション入れたかもしれません。でもそれをやってませんね。これはすごいと思いますよ。っていうのは、この原作小説っていうのは、逆に登場人物たちの独白、心の声だけで出来ているんです。それを今回映画化した時に、心の声を一切聞かせないと。これ逆のことやっているんですよ、原作と。これはほんとすごいことだと思いますよ。

前田勝ち!映画秘宝勝ち!

この映画でいろいろ悲しいシーンがあったんですけど、一番悲しいのは、普通の人たちは、前田くんが教室に戻ったら、かすみちゃんがパーマ野郎といちゃいちゃしているところを目撃してしまうというシーンが1番悲しいという人が多いと思いますけど、僕が悲しかったのは、ゾンビ映画を撮っているという話をした時にですね、吹奏楽部の女の子の亜矢ちゃんがですね、「それ、遊びですか?」って言うんですね。「いや、そうじゃないんだけど」って前田くんは言うんですけど、どう聞いても遊びにしか聞こえないよと、これはねえ、僕は人生の中で何度も言われました。

僕がゾンビ映画の話をしたり、ゾンビ映画を観たりですね、そういう雑誌を作ったりしてる中でですね、いろんな人に、「楽しそうにやってていいね」って、「遊んでんの?」とかね、いろんな人っていうかね、いろんなかみさんといかですね、娘とかですね、妹とかいろんな人に「怪獣とか、ブルース・リーとか楽しそうでいいね、遊んでんの?、いいね」って言われましたね、同級生とかね。「遊んでんの?」って、「遊んでるんじゃないんだけど、仕事なんだよ!」っていうふうにも言い切れないしっていう、非常に難しいところがあるわけですけども。そこで前田くんがはっきりと反論できないところが、まるで自分をみているようでしたけども。

でもね、遊びと仕事が一緒になってるんだから、一番いいんじゃないかっていう気もしますよ。これは最高なんじゃないかってね、これ勝ってねえかっていう気がするわけです。前田勝ち!映画秘宝勝ち!っていう気が非常にして。ただ映画秘宝を落とすやつが、ともひろっていうやつなんですね!
ともひろ、どうしようもないですね、童貞で、映画秘宝たたき落として!ともひろ、いいかげんにしなさい!笑
ってことで、『桐島、部活やめるってよ』でした。

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