1. まとめトップ

園子温監督の最新作『地獄でなぜ悪い』の町山智浩さんの紹介が面白かったので書き起こしてみた。

町山智浩さんオススメの園子温監督の最新作『地獄でなぜ悪い』の紹介が面白かったので書き起こしてみた。

更新日: 2013年08月29日

24 お気に入り 40986 view
お気に入り追加

この記事は私がまとめました

Ga4oさん

書き起こしました。

赤江)今日ご紹介いただける映画もなんか、すごく映画バカが沢山出てくる。

町山)そうなんですよ。ただの馬鹿も出てきますけど(笑)。園子温っていう監督がいましてですね、世界的な賞とか取ってるですね、世界的映画監督なんですけども、その人の新作の『地獄でなぜ悪い』っていう映画をご紹介します。

園子温監督って、何か作品とかご覧になったことはありますか?

山里)『匕ミズ』と、

赤江)『冷たい熱帯魚』

町山)あー、すごいでしょ。すごかったでしょ。でんでんさんが『あまちゃん』でいい人やってるけど、漁協のいい人やってるけど信じられないでしょ(笑)。

赤江)そう信じられないですね。

町山)「透明にしろ!」とか言ってね、殺人鬼の役やってますけど、実在の。

でんでんさんってね、昔芸人さんだったのは御存知ですか?

赤江)そうなんですか?

町山」もともとはそうなんですよ。黒沢清監督の映画あたりからどんどん怖い人になってって、『冷たい熱帯魚』で怖さの局地に行って、突き抜けて今漁協のいいおじさんやってますよね、『あまちゃん』で(笑)。

そういうね、すごい血まみれの映画を撮ったりしてるんですね、園監督はね。『シミズ』はなんていうか、すごく追い詰められてった男の子がね、人生の敗残者みたいな人たちと一緒に暮らしていく中で、立ち直っていくっていう話だけど、『シミズ』観た後ね、僕ね、関係ないですけど、新宿ゴールデン街に飲みに行ったんですよ、関係ないですが。

飲みに行ったらですね、『匕ミズ』に出てくるような人生の敗残者が迫ってくるんですよ、僕の方に向かって、笑いながら!

ヨレヨレのボロボロの汚い服で、顔もヒゲボウボウで、髪の毛もボサボサでね、歩き方もへろへろで、目が真っ赤でね、それで「町山ー!」って言いながら来るんですよ。そうすると、ほんと俺、こんな人知り合いにいないしとか思って、逃げようとしたら、「園子温だよー!」って言うんですよ。

赤江)えーー!

町山)『匕ミズ』観たその日の夜に、園子温監督につかまったんですよ、ゴールデン街で、僕(笑)。べろべろに酔っ払った園子温に。「園子温だよ!俺だよー!」とか言いながら来て、もうなんか映画から出てきたのかと思いましたよ、本当に(笑)。

あの映画の中に河原で暮らしている人たちいるじゃないですか、あの人達が画面から出てきたのかと思ってびっくりしましたけどね。

僕、そういう怖い経験って結構あって、『殺し屋1』っていう映画あるんですけど、御存知ですか?

山里)はい。観ました、観ました!

町山)『殺し屋1』で松尾スズキさんが、ものすごい殺人鬼の役やってるでしょ、女の人を拷問して殺す。すごい悪いやつなんですよ、松尾スズキはほんと悪いやつで、こいつ!ほんとえらい悪いやっちゃって役なんですけど、試写が終わって、明るくなったら隣に松尾スズキいましたね。死ぬかと思いました、あの時はほんとに。うわーって感じでしたよ(笑)。

ほんとこういう体験めちゃくちゃ多くて、『ノーカントリー』っていう映画あるんですけど、ご存知ですか?『ノーカントリー』っていう映画、ハビエル・バンデムっていう俳優さんが出てて、シガーっていう、全く感情のない、とにかく人をただ殺していくっていう殺人鬼の役をやってるんですけど、映画を観て午後にインタビューで、ハビエル・バンデムと。で、いきなり「じゃあよろしく」つってドア閉められて、二人ですよ!僕、殺人鬼シガーと。映画観た直後に(笑)。ほんとにそういうのやめて欲しいんですよ、怖いから。どうでもいいんですけど、何の話でしたっけ?(笑)

園子温って監督はね、とんでもない人なんです!

あっ園子温が出てきた話でしたけど、園子温って監督はね、とんでもない人なんですけども、この人ね自伝出してるんですよね、『非道に生きる』っていう自伝出してて、子供の頃からどういうことをしてきたかってことがずっと書いてあるんですけど。

この人はとにかくすごい人でね、小学校から中学校にかけて、セックスっていうものを初めて知るじゃないですか、誰かから聞いたりして。そういうものがあるんだと、それで子供が生まれるんだっていうことを知るじゃないですか。

それを知った時に、彼新聞部だったんですね、学級新聞の。「これは大ニュースだ!」って言って新聞記事にしたんですよ(笑)「大変だ!オレたちはセックスっていうやつで出てきたんだぞ!生まれたんだぞ」って言って。「びっくりだ!ニュースだ!」って言って。

ニュースじゃねえよ、何万年も前から知ってるよみたいなね(笑)。すごいでしょ。そういう人が映画作ってるんです。映画作っちゃいけない人です、本来ね(笑)。

園子温は自分のアレが口でアレできた!

あとね、クドカンの映画で、宮藤官九郎さんの監督の映画で、『中学生円山』ってありましたよね。

あれってラジオで放送しにくいコンセプトですよね。要するに中学生の時に、主人公の円山くんっていう男の子が、自分で背中をぐぐぐって丸めたら、自分のアレが口でアレできるんじゃないかって、一生懸命毎日運動するっていうよくわかんない映画なんですが(笑)、あれはクドカンさん自身がそうやったってインタビューで答えてますけども、で出来なかったって言ってますね。

園子温監督はできたんですよ!!!

赤江)ちょっと、なんの情報なんですか(爆笑)。体柔らかいんですか、園子温監督は?(笑)。

町山)体柔らかいんですね、園子温監督は。

山里)町山さん、あの、その説明をたくさん受けて、僕ら、その方が作った作品をどう聴けばいいですか?(笑)

偽物のハチ公の方を動かしちゃうんですよ。

町山)でもこれを前提にして観るといいですよ!で、出来たんだけど、まあやってみたらどうだったかは、今度夜の時間に話しますが、はい(笑)。夜のたまむすびっていうね、なんか夜のおかしみたいなのがあるといいんですけど。

この人はね、昔映画撮りながらね、ずっと食えなかったんですけども、ストリートパフォーマンスみたいなことをやり始めて、映画に飽きちゃって、東京ガガガっていう、昔寺山修司さんがやってたようなですね、即興劇みたいなのをやり始めるんですよ、渋谷のハチ公前で。

要するにドッキリカメラみたいなものですね、早い話がね。で、何やったと思います?渋谷のハチ公前で。


ハチ公を二つくらい余計に作ったんですよ(笑)。
ハチ公の銅像そっくりなものを、2つか3つ余計に作って、あそこに置いといたんですね。
みんな「ハチ公前で待ち合わせー」とか、なんかテレクラとかで待ち合わせしたバカどもがですね、どこで待ち合わせしたらいいかわからなくなるっていうね(笑)。

それですごいのは、ほんとにやって、途中からハチ公自体を引っ張って動かしちゃうんですよ。移動させちゃうんですよ。本物のハチ公じゃなくって、本物のハチ公は隠しといて、偽物のハチ公の方を動かしちゃうんですよ。ハチ公前で待ち合わせって言ってた人たちが、どんどんそれについていくんですね(笑)。

赤江)ウソでしょー(笑)

町山)ということをやってた人なんですけどもね、それが園子温監督なんですけども。

『愛のむきだし』はほんとにすごい映画

でも、僕はね、ずーっとこういう人だと思っていて、ただ2008年かな、2009年かに彼が監督したですね『愛のむきだし』っていう映画を観てですね、びっくりしてですね、その年僕は、クリント・イーストウッド監督の『グラン・トリノ』っていう映画をその年のベストワンにしようと思ってたんですね。

12月31日の出来事なんですが、それは、31日か30日の出来事なんですけども、たまたま大掃除が終わったんで、『愛のむきだし』を観てたらですね、大傑作なんですよ!いきなりその年のベストワンにしたってことがあって、『愛のむきだし』はほんとにすごい映画なんで、ほんとぜひ観ていただきたいですけどね。

道行く女の人のパンツの中を隠し撮りしている盗撮魔の話なんですね。パンチラ写真の帝王と呼ばれる男の子が出てくるんですよ。その子の義理の妹がある宗教団体に入って、その宗教団体から脱退させようとする話なんですよね。

何を言ってるか何もわからないみたいですね、ふたりとも(笑)。僕がどこかおかしくなったと思ってるんだと思うんですけども、そういう話なんですよ、本当に(笑)。

しかもこれ、園子温監督の友達に起こった実話なんですよ。ほんとにパンチラの帝王がいて、それで宗教団体から妹を脱退させたってことがあったんですけどね、でそれをもとにしてるんですけど。まあそういうね普通に説明しても、本当に映画のストーリーだって信じてもらえないのが、園子温監督の特徴なんですけども(笑)。

山里)しかもそれが実話ベースっていうのがすごいですね。

実話ベース

町山)そう、実話ベースなんですよ。今度の新しい映画の『地獄でなぜ悪い』っていう映画も実話ベースなんですよ。

これはまずね、ヤクザの組が二つ出てきまして、ひとつの組はですね國村隼さんが組長で、もう一つの組は堤真一さんが組長なんですね。まず國村隼さんの奥さんっていうのが、極道の妻がですね、友近さんですね。すごいいんですよ、この演技が。

で、ものすごく強くて、堤真一の組の組員を皆殺しにしちゃうんですよね、たった一人で、友近さんが。このシーンがすごいんですけども、血糊をねタンクローリー一杯ぶちまけるぐらいの血糊が出てくるんですよ。

そこでバタフライとか泳げそうなくらいの中をね、堤真一が泳いだりするっていうすごいシーンがあるんですけども(笑)。

それが冒頭でですね、それで堤真一が友近さんに刺されて、「イテー」とか言いながら刺されて歩いてると、そこに長谷川博己さんが来るんですよ。長谷川博己さんは、最近だとなんだろうな、『鈴木先生』とか、

山里)あとは『家政婦のミタ』の旦那さんですよね。

町山)そう『家政婦のミタ』のダメなお父さんですね。

赤江)『八重の桜』でも旦那さんでしたよ。

町山)そうそうそう。まあインテリっぽい人ですけども、この映画ではバカです(笑)。映画バカの学生なんですね、長谷川博己さんは。

それがヤクザが血を流して、堤真一が歩いてるのを見て、「ああ、すごい!本物のヤクザだ、カッコイイ!」とか言って、「すいません。映画撮らしてください。」とか言って撮り始めるんですよ。

すると堤真一が、「そんなカッコイイか。おおー。」とか言って、喜んで撮られてるっていうね、みんなバカなんですね、出てくる人が(笑)。みんなどっかちょっとおかしい人達なんですけど。

でもこの映画みんな実話がもとになってるところでね、ほんとバカっていうのは大変だと思いますけど。で、長谷川博己は実はファックボンバーズっていう、バカみたいな名前の映画集団をやってて、それで自主映画を、ほんと貧乏な中、ほんとに儲からないんだけどやり続けている男たちなんですね。

3つの話が一つに収斂していくんです。

で、そこにもう一つ、國村隼の組の、組長の娘っていうのが出てきて、それが元アイドルで、二階堂ふみさんが演じてるんですね。で、この二階堂ふみ、自分の娘をですね、映画のスターとしてデビューさせて、映画を撮ろうとしている男が、國村隼なんですよ。

ヤクザの組を上げて映画を作成しようとしているわけですよ、組員全員でスタッフやって。ところが自分の大切な娘が、アイドルにしようと思っている娘が、男がいるみたいだってことになって、その男を捕まえて、拉致して監禁して、拷問するわけですね。

その連れて行かれる情けない男っていうのが出てくるんですけど、それが星野源さんなんですよ。っていう話なんですけども、

これ話が3つあって、要するに映画を作ろうとしているヤクザと、全然金にならない映画を作っている長谷川博己扮する映画集団と、二階堂ふみの恋人だと思われて拷問されてる男の話って3つの話があるわけなんですけど、これが最後に『地獄でなぜ悪い』っていう映画は、一つに収斂していくんですよ、ぐーっと。

それで最後はですね、なんというかですね、『仁義無き戦い』と『バトルロワイヤル』と『キル・ビル』とですね、『史上最大の作戦』をごっちゃにして、『ドラゴン怒りの鉄拳』を入れたようなですね、『プライベート・ライアン』とかをそのへんにちょっと足したような、ぐちゃぐちゃな大血まみれ、大殺戮大会に突入していくんですよ。で、この映画コメディなんですね。


山里)でしょうね(笑)

町山)でしょうねって思いますよね(笑)。

ヤクザに監禁されたのは園子温監督自身

これは面白いのがね、ヤクザに監禁されたへなちょこ男っていうのですがね、これ園子温監督自身なんですよ。これはほんとなんですよ。これ園子温監督は知らないである女の子とエッチしたら、いつのまにかその女の子が、自分のお父さん、ヤクザの組長に「私はレイプされた」とか言っちゃったらしいんですよ。それで「お前か!」って言って、監禁されたことがあったんですね、園子温監督が。

それがまず一つもとになってて、でもう一つはファックボンバーズっていう、どうしようもないですね、貧乏な映画集団っていうのは、これも園子温監督自身なんですよ。この人40くらいまで食えなかったんで、長いんですよファックボンバーズ歴が。ずっとやってるんですよ、ファックボンバーズを。

1 2