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いざとなったら困るお金の悩み 知っておきたい遺産相続に関する豆知識

ドラマのような親族間での骨肉の争い、いわゆる“争族”を避けるには、相続の正しい知識と早めの準備が大切だといわれます。また相続税改正など税金に対する知識も備えておかなければ思わぬ出費となりまた揉め事になる可能性も!?

更新日: 2017年01月31日

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【解答】
 あきらめることはありません。お父さんの相続財産を売却したり、預金を使ってしまったなどの事情がなければ、相続放棄は可能です。

 相続により、土地建物の不動産や預貯金、株券などの有価証券、現金、さらに家財道具などの動産を引き継ぎますが、同時に負の資産として、借金や保証債務などの債務も承継します。したがって相続人は、被相続人の債務を債権者に弁済する義務を負います。しかし、相続放棄の手続きを取ることで、債務の相続を免れます。

 また、債務を相続財産の範囲でしか弁済しないという限定承認の手続きも取れます。ただ、民法では、相続開始を知ったときから、3か月以内に放棄や限定承認の手続きをすることを必要としています(第915条1項)。徒過すると、通常の相続をしたことになります。相続人が相続財産を処分したときも同様です(民法第921条)。

先方の消費者金融は、この民法の定めを盾にお父さんの借金の支払いを求めているのですが、相続放棄は可能なのです。最高裁は、被相続人との関係から相続財産の調査などが困難で、相続財産がないと信じたために、相続放棄をしなかった場合には、相続人が相続財産について認識することができた時点から、3か月を計算すべきだと判断しました。予想外の債権者などから請求を受け、初めて借金があることがわかった場合に、相続放棄を認めてもらえる可能性が十分にあります。

 あなたの場合、父親に何も財産がなく、借金もないと思ったので、相続放棄などの手続きに思い至らなかったとすれば、借金がわかって3か月以内なら相続放棄できると思います。ほかに、預金などを使った場合でも、例えば葬式費用に充てたときなど、相続財産の処分にはならない場合もあります。家庭裁判所で相談してください。

■過去最悪の国内空き家率13.5% 相続後に放置する人多いため

最近、近所に空き家が増えた──そう実感している人は少なくないだろう。

 データがはっきり示している。総務省の「住宅・土地統計調査」(2013年)によれば、国内に約6063万戸の総住宅数のうち、空き家は約820万戸。2008年調査から63万戸も増え、空き家率は過去最悪の13.5%を記録した。実に「7軒に1軒が住人不在」という状況である。

 その要因は複合的だが、最大の原因は核家族化と都市部への人口集中である。親が田舎に、子供が都会に家を構えた場合、親の死亡時に子供は親が住んでいた家を相続する。だが、すでに都会の自宅を生活拠点としているから、田舎の家は必然的に空き家にせざるを得ない。

 需給バランスの問題もある。住宅の着工件数は過去5年で24.3%伸びているのに対して、その間の住宅購入者数は減り続けている(20.9%減)。住み替え需要で新築住宅に買い手がついても、それまで住んでいた住宅は空き家となっていく。

そうして増殖する空き家に買い手や借り手がいれば問題ないが、不便な田舎や古くなった住宅の需要は低いために簡単には見つからない。更地にすれば倉庫や駐車場など非住宅用地として需要が期待される場合でも、その際には後述するように数百万円もの解体費用負担がのしかかってくる。

 さらに税制の問題が「空き家の増殖」を促進させる。『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ新書)の著者で不動産コンサルタントの長嶋修氏が解説する。

「固定資産税には『住宅用地の特例措置』があり、どれほどボロボロであっても家屋が建っていれば課税額が更地の6分の1になる(200平方メートル超の土地の場合は3分の1)。

 高額の解体費用を負担しても買い手がつかなかった場合、それまでの6倍の固定資産税を払うことになってしまう。そのため空き家のまま放置する人が多い」

■知らない親戚の借金を相続!? 急増する相続トラブルの対処法

「ドラマのような話で、まさか自分にこんなことが起こるなんて……というのが正直な感想です」

 どことなく疲れた顔で話を始めたのは、都内に住む有村佐智子さん(仮名33歳)だ。有村さんの身に降りかかったドラマのような話の発端は遺産。それもほとんど面識のない親戚が残した遺産が発端だ。

「母は3人兄妹で、兄と妹がいます。遺産のトラブルはその母の兄、私からすると叔父にあたる人です。叔父さんは、祖父母の財産をギャンブルやわけのわからない事業で散財し、お金を持ち逃げして祖父母から半ば勘当されていました。母と叔母からも借金をしたりしてて、兄妹仲は破綻。私も子どもの頃に一、二度会ったことがあるくらいでした。祖父母はもう、他界しているのですが、葬式にも出なかったとお母さんから聞いてます」

もちろん電話やメール、年賀状などのやりとりもない。そんな仲であるにも関わらず、なぜ突然トラブルになったのだろうか。

「ある日、叔父の妻という人からお母さんに電話があったんです。叔父さんに奥さんがいたこともお母さんはこの時、初めて知ったんですが、その電話で叔父さんが癌で亡くなったと知らされたんです。てっきりお葬式の案内かと思ったらしいんですが、お母さんからすればもう、どうでもいい人だからって断ろうとしたらお葬式じゃなくて、叔父さんが残した借金があって、お母さんは相続人にあたるから借金を支払う義務があると……」

結局、有村さんは相続放棄をすることで借金を背負うことはなかったのだが、こうした遺産相続によるトラブルは近年増加傾向にあるという。『相続税は3年で0(ゼロ)にできる。』の著者でもある、東京国際司法書士事務所代表の鈴木敏弘司法書士に話を聞いた。

「遺産は相続の手続きをする際に、相続手続書類へ相続する権利がある全ての人の実印による押印が必要になります。配偶者は常に相続人そして、直系卑属(子、孫)、直系尊属(父母、祖父母)、兄弟姉妹という順で相続権が発生します。例えば父母、祖父母は死去。配偶者はいるが、子はいない場合は配偶者と亡くなった方の兄弟が相続人になるといった具合ですね」

ここで起こるのがよく、テレビドラマなどで引き起こされるシチュエーションだ。腹違いの兄弟、音信不通の叔父や叔母、内緒の借金や税金の滞納などが噴出するなど、まるでドラマのようなことが現実に噴出することは珍しくないという。

「よくあるトラブルとしては、自分が介護をしたから他の兄弟の法定相続分よりも多く欲しいといったことから、亡くなった父や母が実は再婚で腹違いの兄弟が何人もいて、さらにその方は亡くなっていて子供が何人も……調べたら北は北海道から南は九州まで、相続人が15人も出てきたなんてケースもあります」

 先述したように遺産を相続手続きする際は相続する権利がある全ての人の実印の押印が必要となる。そのため、遺産を相続する際には遺産の算出に加え、誰に相続する権利があるかを調べなければならない。その過程で問題が噴出するのである。

「子供が多くいるなど、相続人が多くいるとトラブルが起きる確率は上がりますが、逆に子供がいなくてトラブルになるケースも最近では珍しくありません。子供がいない場合、配偶者だけではなく亡くなった方の兄弟、その兄弟が亡くなっている場合はその子(甥や姪)というように相続する権利が発生することがあります」

 こうなると「なんであの人に遺産をやらなきゃならんのだ!」という思いが出てくることは想像に難くない。やりたくないという思いと、貰えるものなら貰いたい……こうした思いがトラブルの火種になるのである。トラブルを未然に防ぐために抜群の効果を発揮するのが、そう、遺言書なのだ。

「遺言書に財産の分配をしっかりと書いておけば、亡くなった方の兄弟、その兄弟が亡くなっている場合はその子というような方には遺産を渡さなくてもよくなります。配偶者、子、直系尊属には遺留分というものがあり、これは民法で定められている相続人が最低限相続できる財産のことですが遺留分を請求できるのは先述した、配偶者、子、直系尊属だけです。先述した亡くなった方の兄弟、その兄弟が亡くなっている場合はその子らに遺産を渡したくない場合は遺言書に『遺産は全て妻に』と書けば、よいわけです」

「まず、公正証書遺言で遺言書を作成し、遺言執行者を決めておくことです。遺言執行者は誰でもいいのですが、トラブルや面倒が起きそうな場合はあらかじめ司法書士や弁護士など専門家にお願いした方がいいですね。また、遺留分を超えた額を相続させたい場合、例えば介護してくれた長女に多めに財産を渡したいというようなケースですね。この場合、他の兄弟を納得させるために付言(ふげん)を付けておくといいでしょう。付言とはお手紙みたいなもので、法的拘束力はありませんが亡くなった方の意思を伝えるものです。『長女の分が多いのは、私の最期まで介護を続けてくれたからなので、納得してもらいたい』などと書いておいたりします。最近流行のエンディングノートなども付言の類いです」

■相続税対策の王道とは

改正により、「相続破産」のリスクが大きくなったと警鐘を鳴らすのは、公認会計士・税理士であり税理士法人タックス・アイズ代表の五十嵐明彦氏だ。五十嵐氏は自著『相続破産 危ない相続税対策、損する遺産』(朝日新書)の中で、こう語っている。

「相続税の増税によって相続税が支払えなくて破産する場合も出てくるでしょうし、相続税対策のやりすぎや誤った相続税対策をしてしまったことにより破産する場合もあるでしょう。(中略)相続対策のほとんどは親が生きている間にしかできないため、いかに早く対策を始めることができるかが、成功と失敗を分けることになります」

五十嵐氏は、こうした現にあるリスクをひとつひとつ提示する一方で、相続税対策の王道として現在、ブームになっている生前贈与を紹介している。生きているうちに相続財産を減らしておけば相続税を安くできるということで、今、生前贈与ブームになっているという。とはいえ、一般的に贈与税は相続税より税率が高い。実はここにカラクリがある。

同書では、五十嵐氏が贈与と相続の違いについても簡単に解説している。まず、相続人・贈与者それぞれの対象者の範囲が違う点を指摘。相続は「遺言書がある場合には遺言書で指定されている人、遺言書がない場合には法定相続人といって配偶者や子どもなど財産を相続できる人」(同書より)が定められているが、贈与は「財産をあげたいという人と財産をもらいたいという人がいれば、贈与することができます。贈与する相手は誰でも構いません」(同書より)と、より“自由”なのだ。

同書の中で、五十嵐氏は相続税について“隠れた債務”と名づけている。そもそも、相続税は相続が発生した日から10カ月以内の現金一括払いが大原則だ。その間に申告が出来ずに遅れて申告すると、申告納税額に5%のペナルティが課され、申告をしていなかったことを税務署から指摘された場合は15%~20%の無申告加算税が課せられてしまう。さらに、納税をしていなかったことに対しては、年9.2%の延滞税(税率は情勢によって変化する)を支払わなくてはいけない。

 仮に不動産資産を売却しようと思っても10カ月以内に手続きが済まない場合は往々にしてあるし、不動産売却益に所得税がかかり、思うように納税資金を作ることができない場合もある。もちろん、どうしても支払えない時は、数年に分けて分割払いも可能だが、その場合には利子税を支払わなくてはいけない。

続いて、五十嵐氏は税金の計算方法の違いにも着目する。

「相続税の計算は相続が発生した時1回限りですが、贈与税の計算は暦年(毎月1月~12月まで)で計算します。相続税に基礎控除があったように、贈与税には年間110万円という基礎控除がありますから、毎年110万まで贈与税がかかりません。相続税の基礎控除は一度しか使えませんが、贈与税の基礎控除は毎年生きている限り使えます」(同書より)

 現在の法律では、上手に生前贈与をすることが確実な節税策になる。相続税制改正により相続税の負担が大きくなるのは確実。少しでも負担を少なくしたい人は、まず本書を手にとって知識を蓄えてみてはいかがだろうか。

■親が残した「塩漬け荘」…売れぬ実家、賃貸住宅が子ども世代の負担に

Bさんのようなケースを「典型的な『空き家事例』です」と評するのは、不動産コンサルタントの長嶋修さん(47)だ。
今年7月、『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ新書)を著した。「親は子どものために家という資産を残したつもりが、今は負の遺産になってしまうんです」と話す。

 高度成長期からバブル経済期にかけては、建物の資産価値がゼロでも、土地は2〜3倍、多ければ5倍にもなった。

「今の60〜70代は土地だけで平均2千万円ぐらいの資産形成ができたはずですが、もはや、そうではなくなったんです」

 バブル後の1990年代から景気対策として拡大した住宅ローン減税も新築を優遇したため、毎年100万〜150万戸ペースで家が建っていった。だが人口減社会に突入し、世帯数が減るなかで当然、家は余ることになる。

戸建ての実家ばかりではない。相続税対策目的で建てられた賃貸住宅も空き家となり、子ども世代に金銭的負担を強いている。

「どうすることもできないので『塩漬け荘』って呼んでいます」

 親から受け継いだ愛知県内のアパートをそう表現して苦笑するのは都内在住の雑誌編集者Bさん(49)だ。7年前に最後の住人が退去して以来、空き家になっている。目隠し代わりの植栽の枝は道にせり出し、看板は大きく傾く。錆びて腐食した外階段。駐車場の脇では雑草が伸び放題で、ヤブ蚊がやたらに多い。

 名古屋中心部から電車で約20分、名鉄の駅から徒歩15分ほど、県道から一本奥に入った路地にあるアパートは、両親が約40年前、祖父の遺産の土地に借金して建てた物件だ。

00年、Bさんの両親は交通事故に遭い、相次いで亡くなった。一人娘のBさんは失意のなかで実家の整理に着手。幸い名古屋中心部の熱田神宮近くにあった実家は比較的スムーズに売却が成立したものの、アパートはいつになっても買い手が現れなかった。

 現在の物件を見た地元の不動産業者は、「アパートの空き家は難しい。人に貸すもんだで。誰も入っていないようやったらお金も生まんし。買い手がいても更地にして、という条件で言ってくるのが多いだあね」と本音を漏らす。

 何度かの転職を経て、今は契約社員のBさんには、年数万円の固定資産税だけでも負担感は大きい。坪単価二十数万円で、当初約1500万円だった売値を100万円単位で下げてでも、手放すしかないと思っている。

「このアパートがあったおかげで私は大学まで出してもらえた。がんばって建ててくれた両親には感謝しているのに、最後がこんなことになるのは……。本当に切ないです」(Bさん)

「人が流入しづらい土地はどんどん価値が下がる。さらに団塊の世代からの遺産相続が増える20年ごろから、空き家率は急激に上昇するでしょう。『売れない』『貸せない』『住まない』家なのに、固定資産税だけはかかる。『おまえにやるよ』『いや、長男なんだから、お兄ちゃんがもらいなよ』と、今にきょうだいで親の家の押しつけ合いになりますよ」(長嶋さん)

総務省が今年7月末に発表した「住宅・土地統計調査」によると、2013年の全国の空き家数は820万戸で、過去最高となった。総住宅数に占める割合も13.5%で、5年前の前回調査時より0.4ポイント上昇。7軒に1軒が空き家の計算だ。

 もっとも高いのは山梨県(22.0%)、次いで長野県(19.8%)、和歌山県(18.1%)。人口減少や高齢化が進む地方が上位を占めている。

 その数字の裏に見えるのは、高齢の親が亡くなったり施設に入ったりして、誰も住まなくなった実家の扱いに苦慮する中高年の子どもたちの姿だ。

■相続放棄の申立件数は年々増加 20年前から3倍の17万件超に

親の死後、残すのは「プラスの資産」だけではなく、「マイナスの資産」も存在する。現金、土地、建物、金融資産などの合計を上回る借金や債務があると、遺産相続によって“相続貧乏”になってしまう。親の遺産に救われるどころか、逆に足枷となってしまうケースは意外と多い。

 都内在住のAさん(55)は九州で1人暮らしをしていた父親が80歳を過ぎて亡くなった後、銀行から多額の借り入れがあったことを知った。

「父親の葬式後に初めて借金がわかり、慌てました。年金暮らしの父の預貯金はほとんどゼロ、築年数が古い田舎の家屋でしたから売っても二束三文にしかならず借金は払いきれない。八方手を尽くしましたが返済手段は見つからず、相続放棄するしかありませんでした」(Aさん)

相続放棄の申し立て件数は年々増加しており、2013年は17万3166件。20年前(1993年)の5万8490件から3倍にまで膨れあがっている(件数は相続人ベース)。バブル経済の崩壊や起業・株取引の増加による債務超過が増えたことが主な原因と見られている。

 相続放棄の手続きを行なうことができるのは原則として被相続人の死後3か月以内となっている。葬儀、納骨などと慌ただしい時期に、しかも大切な人を失った悲しみの中、資産と債務をまとめてバランスシートを作成し、相続放棄するか否かを判断しなくてはならない。

 親の死後に借金を洗い出すことは、不動産や金融資産など「プラスの資産」の洗い出しと比較しても困難を極める。だからこそ、親の生前に「借金」についてできるだけ理解しておくことが肝要だ。

最近、毎週のように相続放棄の依頼があるという認定司法書士末次事務所の末次正明氏によれば「親の借金の内訳で、圧倒的に多いのが消費者金融からの借り入れ。銀行からの借り入れやクレジット会社のカードローンや住宅ローンも多い」という。

■親の死後に銀行口座を洗い出す方法をFP指南 まず郵便物から

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