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ISDEは1913年から続く歴史ある、オートバイのオリンピック

★ISDEについて
ISDEは、インターナショナルシックスデイズエンデューロの略で、1913年からはじまり、今年ついに100周年をむかえた歴史あるモーターサイクルのイベントです。1年に1度、各国もちまわりで開催。今年は、イタリアのサルデニア島にあるオルビアが会場になります。6日間、オンタイム制のエンデューロがおこなわれます。

★アマチュアイズムの集大成
世界で最も偉大で、最も大きなエンデューロであるということから、プロだけの世界と思われがちですが、その実態はピラミッドの頂点から裾野まで広がる巨大なモーターサイクルカルチャーであり、本当の中心はアマチュアイズムだとアニマルハウスは考えています。
ワールドトロフィーチーム、は国別対抗であり、各国のエースライダーが投入されます。もちろん各メーカーのエースライダーが出場し、世界最高の走りを見ることができます。しかし、それと同時にクラブチームという参加枠が存在し、これが700名を超える参加者の大半を占めます。決して簡単ではありませんが、だいたい全日本エンデューロ選手権のIBクラスが完走できるかできないか、の境目になるでしょうか。上位連中の秒単位でのバトルとは別に、一生涯をかけて完走を目指しにやってくるだけの価値観がここにはあります。エンデューロとは生き方である、それを体現しているレースだと言えるかもしれません。

2013年の日本人チームは4つ

TEAM JAPAN/全日本ランキング上位メンバーで構成されたチーム。チャンピオンの経験をもつ内山裕太郎が引っ張る

TEAM FAMIGLIA OHTA/静岡のショップMCSクリタを運営する太田一家が、親子3名で結成。最年長は57歳太田誠。全日本ランキング2位の太田真成も

LAST SAMURAI/古くから北海道をベースとして参戦をしているクラブチーム

5D/広島の著名なショップ5Dをベースとするチーム

目指すモノはゴールドメダルと、完走

★いまだ日本に不在のゴールドメダル
ISDEで優勝する、という目標を立てるというのはあまり現実的ではありません。世界屈指のモトクロスライダーたちも流入し、なおさらエンデューロのトップランカーたちのレベルは上がっています。彼らをさしおいて優勝できるのは、それこそ世界選手権でチャンピオンを狙えるライダーのみ。過去、エンデューロ世界選手権に出ていないのに優勝をかっさらったライダーとしては、10回のモトクロス世界チャンピオンであるステファン・エバーツが記憶に新しいです。完全に別格、そもそも地球上に彼に勝てるライダーがいるのかと疑問がわくレベルです。

さて、そんななかで何人かまじっている日本のトップライダーに期待されるのは、ゴールドメダルの獲得です。ISDEには完走したライダー全員に成績別でメダルが授与されますが、ゴールドはトップから10%増のタイム以内のライダーに与えられるもの。日本で幾度となくチャンピオンに輝いている鈴木健二ですら、ゴールドは遠かった、それほど難しい栄誉です。

今年の参加者で言えば、TEAM FAMIGLIA OHTAの太田真成、太田幸仁、またTEAM JAPANの内山裕太郎、大河原潤、大川誠らに期待がかかるところです。

日本代表チームは、今年参戦できず

★トロフィーチーム
オリンピック東京開催が決まった機運に乗って、トロフィーチームに関して何度かにわけて書いておきましょう。ISDEは、モーターサイクルのオリンピックと形容されることが多いのですが、その理由は国別対抗であるからです。その国別対抗を戦うチームが、選抜のワールドトロフィーチーム。5〜6名で結成されます。長いこと日本はホンダ/ヤマハ/スズキ/カワサキの4大バイクメーカーがあるにも関わらず、このワールドトロフィーを出せていませんでした。ISDE界隈では、このことが疑問としてあげ続けられました。

ようやく日本がISDEにワールドトロフィーチームを送り込めるようになったのは、2006年のこと。2003年のSUGO2デイズエンデューロを皮切りに、日本のオンタイム制エンデューロがはじまった時期といえるかも知れません。

日本は、3年連続で2008年までワールドトロフィーを参戦させたのち、1年の休止を挟んで2010年に参戦。そのあとはこの2013年をふくめて活動を休止しています。ワールドトロフィーチームを参戦させるには、大体1000万円ほどがかかるとのこと。多くの同胞による支援がおこなわれたワールドトロフィーでしたが、資金難は続きました。

このワールドトロフィーチームのマネジメントをしてきた大津氏より、当時の支出明細を取材させていただきましたので、かいつまんでお知らせいたしましょう。来季、再来季のワールドトロフィーチーム参戦を狙う、その現実感が見えてくれば幸いです。

2010年

★輸送代
ツアー料金ライダー1人¥330.000
燃料サーチャージ¥25.090
コンテナ輸送代¥100.000
6名で合計¥2.730.540

★経費
翻訳料
2010 ISDE ルールブック ¥50,000
メール・書類作成 ¥20,000

国内交通費・ガソリン代 ¥147,459
横浜資材運送代 ¥40,000

国内経費
ヤマト運輸 ¥17,480
レターパック500 ¥2,000
FIMライセンス料 ¥30,000
振込手数料 ¥5,376
ヤフージャパン ¥4,362
ドメイン料 ¥3,360
ゼッケン代 ¥37,500
HP管理料 ¥52,500
撮影料 ¥30,000
合計 ¥182,578

ジャージ代 ¥773,140

ピットシャツ ¥264,000

エントリー代振込 ¥615,600
                      

国外経費
※現地活動費 ¥239,378
保険料 ¥50,000
ISDE RACE SERVICE ¥107,820
メッツラー(1059ユーロ) ¥121,785
メッツラー(国内清算) ¥74,460
高速・燃料代(2750ペソ) ¥27,500
¥620,943

支出総合計 ¥2,713,720

そもそもエンデューロってなに?

★ISDEのルール1.全部自分でやること
ISDEは1913年当初、ISDT(International sixdays trial)と呼ばれていました。これは、競技のトライアルのことを指しているのではなく、研究社・新英和中辞典でいうところの
=========
trial
音節tri・al 発音記号/trάɪəl/音声を聞く
【名詞】
1 略
2【不可算名詞】 [具体的には 【可算名詞】] (良否・性能などの)試み,試験,ためし.
用例
by way of trial ためしに, 試みに.
3 略
=========
試験という意味です。

オンタイム制エンデューロの醍醐味は、と聞かれた際に、なかなか的確な答えを出せる人は少ないのですが、アニマルハウスでは「その人の人となりと、そしてモーターサイクルの運転技術を争う」ものと解釈しています。後者は当たり前ですが、それに加えて、他のいかなるモータースポーツよりも、その人の人となりが関与してくるということではないかと。

ISDEは厳格に、ほとんどすべてをライダーが自分でこなすことが義務付けられています。1日あたり500kmほども走ることがある6日間のスケジュールを、レーサーでこなす。勝負を狙えるレーサーの耐久性は、今でこそ相当に上がっていますが、それでもシックスデイズの厳しさのなかにおいては、金魚すくいの網のような脆さが露呈します。決められた時間の中で、そのメインテナンス(維持させること)を確実にこなし、その状況のなかでレースをし続ける。マメなだけでは時間が不足します、ラフではマシンを壊してしまうでしょう。

本当にすべてを補ってくれるモトクロスや、ロードレースのファクトリーライダーでない限り、このようなことはついて回ります。勝利のために、貪欲にコネクションを広げ、ある時は我を通してすべてをマネジメントする(たとえば、今年話題になった田中太一は、非常にその能力に優れていました)。それを、競技に取り込んでいることが、本質なのではないかと考えます。

とはいっても難しいことばかりいって、概念論ばかりになってもしょうがないので興味のある人は「まずはJEC litesで、タイムを削るという行為を、楽しもう」ということかと!

オルビアを走る魅力

http://www.youtube.com/watch?v=RDhAd8cpsBg
こちらは、youtubeに公開されていたオルビアのエンデューロ。absolute of itarian enduroということだから、国内選手権ではないのかな、と推察します(なにぶんイタリア語は特にわかりません)。シチュエーションは3~4カ所くらい紹介されていますね。見る限り、完走を目指すライダーとしては例年通りチャレンジングな大会となりそうです。このムービーで見られるミス1つ1つが、わずか30分しかない持ち時間を削っていくわけですね。

http://www.youtube.com/watch?v=E-q1x3X0VYY
こちらはでのライディングですね。

http://www.youtube.com/watch?v=J-q6NuO8CGk
美しい演出されたサルデニアのライディングを見るなら、KTMの2014ローンチムービーでしょう。

なお、公式サイトには、いよいよルートが公表されました。
http://www.fim-isde2013.com/race-info/routes.html
これに関しては明日までに調べて少し書こうと思います。パドック・パルクフェルメはオルビアの港に作られます。サルデニアの美しい海から、ルートに分け入っていく6日感。ツライのは百も承知ですが、これほどまでに素晴らしいロケーションのISDEもそう多くはないはず(2006ニュージーランドも、広大な綿羊牧場が延々と連なる最高のシチュエーションでしたね、雨がハンパじゃなかったですが…)。

テストは極楽リゾート!?

ISDEはオンタイム制のエンデューロなので、順位を決めるのはテスト区間の合計タイム。1日につき6つのテストが用意されており、今回のISDEでは10つのテストを使い回す設定のようです。これらは、通常エンデューロテスト、クロステストと区分がされていて、エンデューロテストには多少のセクションやウッズ区間などを含み、かつ距離も長くとってある。クロステストは、モトクロスに近い設定で距離も短い、という具合です。

ISDEの楽しみ方

ISDE[サルデニアのオフィシャルページを探索してると、結構雰囲気がつかめてきますね。先日お伝えしたゴルフォ・アランチもここに写真がたくさんあがっていました。とても美しいです。http://www.fim-isde2013.com/-p2-f22.html

オンタイムエンデューロの場合、各テストの積算タイムが成績になります。今回のサルデニアでは、1日5~6本のテストを走りますから、1日ずつこのタイムを積み上げていくことになります。これらのリザルトが、オンラインで見られるかどうか、は定かではありません。今のところ、オフィシャルページにオンラインリザルトの表記はないですね。
なお、1日ごとにジュリーミーティングというものがおこなわれ、ここで「あのペナルティはおかしい」だの「コースがわかりづらかったから、ペナルティを取り消せ」だのという話し合いがおこなわれます。それを経て、1日毎の最終リザルトとなります。

直接観戦する場合は、レンタカーがマストです。おそらくオルビアの町中がISDEに染まりますから、マップを持っていればルートもテストもなんとなく追えることでしょう。取材の場合は、3か所くらいを目安に先回りを続けます。また、ニュージーランドでは、格安でヘリコプターツアーなどもありました。

メインテナンスも観戦ポイント

オンタイム制エンデューロの醍醐味の一つに、マシンをメインテナンス(維持する)というものがあります(日本語の語感的にメンテナンスとは少し違うので、メインテナンスと書いています)。深く突っ込むと、エンデューロの精神性を垣間見るとか、そんな話になっていきますが、そうでなくてもこのメインテナンスは「観戦のテーマ」として面白いものです。

その代表的なものは、やはりタイヤ交換でしょう。1日200kmオーバーを走りこむシックスデイズでは、アマチュアレベルでさえタイヤ交換をしたいところ。日本国内ではさほどタイヤが消耗しないので、むしろゲーム性を楽しむことも含めてタイヤ交換が勧められてきましたが、ここでは必須です。さらに難しいといわれるムース(国内のモトクロスでは使われることが少ないので、某ファクトリーのメカニックが3人がかりで押し込んでいるのを見たことがあります。それだけ難しい)を使用するのが普通です。

オフロードバイクユーザーなら、タイヤ交換は自分で。そんな風潮がありますから、ユーザーなら一度は挑戦してみたことがあるかもしれません。彼らシックスデイズライダーたちは、それを鼻歌交じりでこなします。まるで、自転車のタイヤ交換のように。マニアックなポイントですが、トップライダーのそれは、「普通のライダーは1秒を争っているなかで、撮られることを意識してジャージを着替えてから作業にとりかかる、しかもカメラマンと笑顔で雑談しながら」というもの。ある意味職人的なかっこよさがあります。

また、マシンを壊さないように走る、という技術やマシンのステイタスを把握しながら走る能力もメインテナンスのうちです。F1などで使われるセンサーはもちろんありません。クラッチの状態や、ブレーキの調子、様々なものを走りながら感覚でつかみ、わずか15分のワーキングタイムに入る。次の日も200kmを規定時間内に走るわけですから、ちょっとの不安も惜しい。クラッチを診るのに時間が必要なら、タイヤ交換の時間をトレードオフする、そんなライダーの苦悩、人間性が垣間見える瞬間です。

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Junky.Iさん

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