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宮崎駿が原案の人形劇があった!しかもテーマは「うつ」

怪しく、幻想的であり、不気味でもある、人形たちが演じる神楽。ストーリー展開も『千と千尋の神隠し』のダークサイドのような物語仕立てで、とても興味深いです。

更新日: 2018年04月24日

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空中庭園さん

宮崎駿原案の、人形を使った一人芝居「うつ神楽」が、長野県南部の村などを中心に上演されている。

宮崎アニメの作中人物に似た仮面(カオナシ)も登場する幻想的な舞台が、人々をひきつけている。

上演時間は約30分でシンプルな構成だが、鑑賞後には神話の世界に迷い込んだような余韻を残す。

一体どんな舞台なのか?『障遣願舞 宇津神楽』あらすじ

ここは「うつの森」。 森の住人たちは黒い“うつの玉”を食べながら暮らしている。ある朝、森の住人である「うつ男」が、道に倒れている女の子と出会う。

はじめはうつ男のことを怖がっていた女の子であったが、しだいに心を通わせて行く。

うつ男は自分がいつも口にしている「うつ玉」を女の子にすすめるが女の子は決して食べようとはしなかった。

怒ったうつ男は無理矢理に女の子に「うつ玉」を食べさせる。その直後、うつ男の体はみるみる異形な化け物の姿へと変容し、体の中から触手をのばし女の子まで体の中に取り込んでしまった。

とりかえしのつかない事をしてしまった事に気づき、頭を抱えるうつ男だが、すでにその時、うつ男の体は徐々に変化が起こり始めていた。

表れた顔は、先ほど体に取り込んだばかりの女の子の優しい顔であった。それまでうつ男の体じゅうを覆っていた黒い「うつ玉」は、女の子の健やかな成長を願う「いのり玉」へと変わり、うつ男の顔は女神の顔へと変わっていた。

純粋無垢な女の子の心が、「うつの森の住人」の陰鬱な心を内側から変えていったのである。

体には200個ほどの“いのり玉”が飾られている。

「宇津滅命(うつめのみこと)」となったうつ男は、里の多幸を願った「障遣願舞(さやりがんまい)」を里人に舞ってみせる。

『障遣願舞 宇津神楽』が演じられることになったきっかけ

演者は、南信州を拠点に世界で活躍する人形遣い「百鬼ゆめひな」の飯田美千香さん。

きっかけは、宮崎作品のファンだった長野県阿智村・昼神温泉の旅館「石苔(せきたい)亭いしだ」の相談役である逸見(へんみ)尚希さんが、宮崎駿監督に手紙を書いたこと。

監督は祭事の多い南信州に関心が高く、映画「千と千尋の神隠し」の想を得たともいわれ、現代人の心の闇と神楽の融合を提案。うつ男と女神のデッサンを描いて逸見さんに手渡した。

※この祭事とは、長野県南部の天竜川流域にある村々で11月〜12月にかけて各地で行なわれる「霜月祭り」のことであり、『千と千尋の神隠し』に影響を与えたとされる。(「ロマンアルバム 千と千尋の神隠し」より)

宮崎駿監督と飯田美千香さん

逸見さんは人形芝居師・岡本芳一さんの協力で神楽の台本を完成。2010年に岡本さんが亡くなった後、弟子の飯田美千香さんが、人形を操りながら早変わりの衣装も用いて演じている。

物語に込められた思い

自ら病いのもとを体に取り込みながら日々陰鬱な暮らしを送っている現代人を「うつの森の住人たち」にたとえた「うつ神楽」は、森に迷いこんだ純粋無垢な心を持った女の子が、森の住人の心を内面から解放して行くストーリーである。

障遣願舞:「障遣(さやり)」とは、人間が心の障害と思っていることをどこかに遣(や)ってしまうという意味があります。舞台を鑑賞された皆様の厄を祓い、多幸が舞い込むようにと願いを込めた舞が障遣願舞です。

「うつの森」は現代社会であり、「うつの玉」は現代人の抱えるストレスや悩み、不安を表している。そうした重苦しさも、神々が集う南信州の地ならば、晴らしてくれるのではないか。それを体現するのが、女神「宇津滅命(うつめのみこと)」である。

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