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殺人現場の死体を最初に発見するのは昆虫!今後期待される法医昆虫学とは?

最近、アメリカの犯罪捜査系のドラマや、日本でも147ヘルツの警鐘 法医昆虫学捜査官など法医昆虫学を扱った作品が徐々に増えてきた事もあり、耳にした事がある方もいるのではないでそうか。そんな法医昆虫学についてまとめてみました

更新日: 2014年01月28日

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yusffさん

法医昆虫学とは?

法医昆虫学(ほういこんちゅうがく、Forensic Entomology)とは法医学・科学捜査の一分野であり、死体を摂食するハエなどの昆虫が、人間の死体の上に形成する生物群集の構成や、構成種の発育段階、摂食活動が行われている部位などから、死後の経過時間や死因などを推定する学問のことである。

要は遺体に群がる虫の種類、成長具合から遺体の死亡時刻、死んだ場所を推察する事を目的とした学問です。

現在、米国では研究が進んでおり裁判の証拠になることもあるが、日本ではまだ発展途上の学問である。

今日、アメリカ合衆国や中華人民共和国では、地域ごとのハエの季節変動などのデータが緻密に取得されており、法医昆虫学も実用的なレベルに達して犯罪捜査や裁判の重要な証拠となっている。

屋外にある遺体なら、死後数分で、ある種のハエが来、死体に産卵する。その後、また別のハエが来て、やがてハエの卵に寄生するハチも来る。さらに、遺体の腐敗が始まれば、腐肉を食う虫が来るし、流れ出る体液を吸う虫も、地面に染み込む腐敗液体を好む虫もやって来る。骨に湿り気がある間に来る虫、骨がすっかり乾いてから来る虫、などなどいる。だから「気持ち悪いけれど」死体に群がっている虫を詳しく調べることで多くが読みとれる。その研究・理論を活かし、犯罪捜査に役立てるのが法医昆虫学。

何故昆虫なの?

熱帯へ採集に行くと、動物性腐食物や排泄物を地表で見つけ出すのがほとんど困難だと耳にします。それはいわゆる「掃除屋」「葬儀屋」と呼ばれる昆虫たちがこれらに素早く反応し、争奪戦を繰り広げてあっという間に片付けてしまうからだそうです。野外で大便などをすると、その臭いで排泄中に糞虫類が集まってくることもあるようで、ぜひとも経験してみたいものです。

つまり、腐敗臭を一瞬で嗅ぎ付けやってくるため、犯人以外で遺体に早期から接触している昆虫達に何かを見いださない手はないわけです。

法医昆虫学の歴史

昆虫を用いた事件捜査の最初の記述は1235年に 宗慈が記した「洗冤録」の中に出てくる宋の捜査官を描いたものだといわれている。 この捜査官はある村の村民が鋭利な凶器で殺されている事件現場を見て その事件を解決するために、村民とその鎌を集めた。 すると、ハエがある一人の村民の鎌に止まった。 捜査官がこの村民に事件のことを問いただすと、彼は殺したことを自白した。 彼の鎌には被害者の血液が付着していたのだ…、 この事件ではハエが死体を探し出せる能力があることを示している。 しかし、法医昆虫学は現在に至るまでほとんど研究が行われることは無かった。 近年、死亡時刻の工作や証拠隠滅など巧妙な凶悪犯罪が世界各地で見られるようになり、 科学捜査のレベルも上がった。そして、近年アメリカで注目を浴びている学問。

法医昆虫学の現状は?

法廷において重要視されるのは直感ではなく、科学的データである。 これは法医昆虫学についても同様であるが、 この学問は長い間研究されていなかったため、これらのデータはかなり少ないのが 現状だ。

どんな実験をしてデータを集めるの?

人体の腐敗状況のデータと近いデータを得るためには人体の組織と似たような 実験動物で無ければならならないが、 組織学的には20~25キログラムの豚が最適であると考えられている。 現在、法医昆虫学のデータはこれらの豚を用いた実験が主要で、信頼されているという。

まず,当該地域の死体昆虫相を把握することが重要です.そのために死体検案や法医解剖時に死体から昆虫を採集し,種 speciesを同定します.これらの昆虫は以下の3種類に大別されます.PMI推定に最も重要なのは1.ですが,2.は蚕食者による死体分解を遅らせる要因として,3.は死体のおかれた環境を示す手がかりとしていずれも重要です.

死体を蚕食する昆虫
蚕食者の捕食者
偶然死体に付着していた昆虫

特定地域に生息する昆虫のデータを集めるわけですね。有力な証拠状況を示せるまでにはかなり詳細な昆虫分布図が必要そうですね。すべての種のデータを把握する必要はないでしょうが、日本だけでも10万種の昆虫が生息しているそうです。

集めたデータから何が分かるのか?

1.死亡場所

昆虫は世界各地に生息しているが、 その種の分布状況などは異なっている。そのため、死体周辺の 昆虫を調べることによって、殺害現場などを特定できる場合があり、 その場所に特徴的な昆虫がいた場合、 犯人にその痕跡があれば、参考になることもある。

2.死亡時刻

死後経過時間(postmortem interval:PMI)推定の指標として一般には直腸温が有名ですが,その他の早期死体現象(角膜の混濁,硬直や死斑の強さ)も重要な指標となっております.しかしながら,これらの所見が有効であるのは死体の自家融解や腐敗が始まるまでの期間です.

つまり、遺体の腐敗が始まってからこそ、その真価を発揮できる学問なわけです。

死体周辺の昆虫や、成長状態を見ればどの程度時間が 経過したのか分かる場合があり、 外傷による出血があまり無い場合には体の開口部から 昆虫が侵入すると考えられているので時間を特定する助けになるといわれている。 実際には温度や、地形などによって異なるので科学的な データを元に導き出されるが、 死体には基本的に数十分後にはハエが集まり、 産卵し、卵から"かえる"とハエの幼虫「ウジ」となる。 また、クロバエ、ニクバエ、イエバエなど ハエの種類によっても時間を割り出せ、 最初の1、2週間は特にこのハエの種類や状態が 重要であると考えられている。 さらに、1、2週間後は、ハチなどが集まり、 白骨化するとカツオブシムシなどの甲虫も集まりはじめ、 数ヶ月間~数年間は死体特有の昆虫相になるという。 先ほど紹介した、ハエの幼虫であるウジは種を同定するのが難しいので、 成虫になるまで飼育される場合もあるという。

法医昆虫学により解決した事件

2003年カルフォルニアベイカーズヒールドで、3人の幼い子供と母親、母親の姉妹の5人が射殺されるという事件が起きた。

被害者はオハイオ州に住む地元で尊敬されていた小学校副教頭、ビンセントブラザーズの別居中の妻と子供、そして義理の姉であった。

夫婦は夫の不倫が原因で別居していたが、家族の死を夫に告げると夫は衝撃を受け悲しんでいる「振りをしている」と、訃報を告げた刑事に感じられた。

更に混乱していると思われるビンセントブラザーズを落ち着かせるために刑事が年齢や仕事のことなどを尋ねてみると、「弁護士と相談無しには何も話さない」と返答し、刑事に大きな疑念を抱かせた。

事件当日にビンセントブラザーズのアリバイを確認すると、オハイオで自分名義のクレジットカードを使用した記録が有った。

しかし彼は事件当日にレンタカーを借りていたため、刑事はその車を調べてみた。

車は既にレンタカー会社により掃除洗浄されており、事件の手がかりになると思われるものは残っていなかった。

但し、ラジエーターに「昆虫の死骸」が洗浄後にも付着しており、これが何らかの手がかりになると思われた。

昆虫学者であるリン・フィールドに捜査協力要請がされ、極めて困難な仕事であったが協力を承諾した。

ラジエーターを丹念に調べると、多数の昆虫の体の一部が採取され、膨大な昆虫の中からそれらの100種類ほどの特定がされた。

その特定にはスミソニアン協会の膨大な昆虫コレクションが役立つ。

同協会には3500万種以上の昆虫の標本が分類保存されており、科学者はそれらにより昆虫の生息域等の情報を得ることができる。

判明した中で多かったのは家蝿と蜜蜂だが、これらはアメリカの多くの地域に見られるため価値情報はない。

詳細な調査の結果、特別な種のバッタの体の一部が見つかった。

それはレッグシャンクドグラスホッパーという赤い脚を持つバッタであり、オハイオ州には居らずカルフォルニア州などに見られる種類である。

この情報を得た刑事が事件当日容疑者がクレジットカードを使用した店の防犯ビデオをチェックすると、クレジットカードを使用したのは全くの別人であった。

刑事はリンに更に「場所」を特定する事を依頼し、ラジエーターの再調査により先ず「ウスバカゲロウ」が見つかり、これは車が「夜間走行」していた事を示し、その種は乾燥した地帯、ロッキー山脈の西、カルフォルニア付近で見られるものだった。

その後2種のカメムシが見つかり、一つはヒメカメムシ、もう一方はナガカメムシであり、どちらもアリゾナ、カリフォルニアに分布する種であった。

最後にカリフォルニア近辺にしか生息しないアシナガバチが見つかり、決定的証拠となった。

2003年の裁判では、レンタカーが8500kmという長距離を走行していた事実、クレジットカードのアリバイ工作、車から見つかった上記の昆虫が証拠となり、陪審員は5件の殺害全てについて容疑者が有罪であると判断し、この5件はいずれも単独であっても第一級殺人の罪であった。

犯人であるビンセントブラザーズの班行動機は、「自分の子供を殺す事で養育費を免れ、若い女性と結婚する」事が目的だった。

現在ではコンピューターを用いることにより、データの検索、比較、バーチャル技術による昆虫の種や令数の特定が以前よりもはるかに容易となっている。

アメリカの「死体農場」では、科学のために提供された遺体が、屋外の様々な条件で置かれ、時間経過による遺体の変化や昆虫の発生等について科学的データが得られている。

科学技術の進歩により、遺体の損傷が激しくそこから毒物などの検出ができない場合には、遺体を食べて成長した蛆などの昆虫の体から毒物を検出することも、或いは昆虫体内に残された遺体の一部からDNAを取り出すことも可能となった。

参考URL: http://ameblo.jp/inugamiakira/entry-11302476280.html

今日本にはどのくらいの法医昆虫学者がいるの?

Q:日本に法昆虫学者はどのくらいいるのですか?
A:私より優秀な法医学者や昆虫学者はたくさんおりますが,「法昆虫学が専門です」と大風呂敷を広げているのは私だけだと思います

一人と言っていいのかは分かりませんが、ほとんどいないというのが現状の様です。

論文検索サイトCiNiiで日本語論文検索すると法医昆虫学に関する論文として11件が該当しました。ひとつの学問領域として11件というのは非常に少ないですね。いかに日本で発展途上の分野なのかが窺い知れます。
興味のある方は以下のリンクで論文を閲覧できます。
豚の腐敗とそれに集る虫の遷移やハエについてをテーマにしたものが多いです。

法医昆虫学を扱った作品

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