1. まとめトップ

英連続テロ: 老人を殺し宗教施設に爆弾を仕掛けた白人優越主義者に禁錮少なくとも40年の判決

今年4月末、英バーミンガムでモスクでの礼拝から帰宅する途中の高齢者が何者かに襲われ死亡。現場から立ち去る「白人男」について何の手がかりも得られずにいた警察が逮捕した容疑者は、6月から7月にかけて近郊の3軒のモスクに爆発物を仕掛けたウクライナ人。彼は企業研修プログラムのため4月に渡英したばかりでした。

更新日: 2013年11月22日

1 お気に入り 4819 view
お気に入り追加

この記事は私がまとめました

nofrillsさん

2013年4月29日: モハメド・サリームさん刺殺事件

今年4月末、イングランドのバーミンガムで、高齢の男性が刺殺されるという事件があった。被害者はMohammed Saleem Chaudhryさん。……

モハメド・サリーム・チョードリーさんは、名前からわかるようにムスリムだ。その晩、地域のモスクで夜の礼拝を終えて帰宅する途中、家のすぐ近くで襲われた。

数日後には、地元警察は目撃者に呼びかけるビラ/ポスターを配布し、現場を撮影していたCCTV(防犯カメラ)の映像に、男が走って逃げていくのがとらえられていたことを公表していた。

Fazia spoke at her home surrounded by photos of her former bakery worker dad, who moved to the city from Pakistan in his 20s, and as a young man had “George Clooney” looks.

7月19日、容疑者が特定され逮捕される前の記事。既に22人の孫がいたモハメド・サリームさんの娘のファジアさんが、23人目の孫となる女の子を出産し、改めて「事件解決のための情報提供を呼びかけている」(←常套句を使います。あえて)記事。

ファジアさんによると、モハメド・サリームさんは(高齢で引退するまでは)パン屋として生計を立てていて、パキスタンから英国に渡ったのは20代のころ(55~60年前ですね)。若かりし頃はジョージ・クルーニー似のイケメンだったという。

記事についてる写真集(家族のアルバムから提供された写真)を見ると、大勢の孫たちをかわいがり、孫からも敬愛され慕われているおじいちゃん。

ロンドンのウリッチで英兵が刺殺された(そしてすぐに「テロだ」と大騒ぎになった)翌日の5月23日には、ご家族(娘さんたち)が会見で犯人逮捕を訴え、警察は「人種的な動機」による事件であるかもしれないとの見解を示し、また殺害されたモハメドさんの息子にはEDLからの脅迫があったことも伝えられた。

この時点で、「極右テロ」(その多くは、1999年のアドミラル・ダンカン爆弾事件のような、「思想」は抱いているが「組織」という背景のない「一匹狼」の犯行である)という可能性は十分に考えられていたと思う。

※「出典」には細かくハイパーリンクを入れてあります。ソース(元の報道)を見たい方は出典のURLをクリックしてください。

しかし、その「一匹狼」が、犯行時、英国に到着してわずか5日しか経過していないエリート大学院生である、などということは、誰も想定していませんでした。

▼モハメド・サリームさん殺害で逮捕されたのは、企業研修プログラムでバーミンガムに来たばかりのウクライナ人大学院生

Exc new pic of Pavlo Lapshyn in DM. Crt heard 'Ukrainian terrorist bombed mosques &killed Muslim after 5 days in UK' pic.twitter.com/afYMu48aZO

【ご注意】デイリー・メイルの紙面です。(ただし、メイルはこの事件についての調査はけっこうがっつりやってました。調査報道の「きれいなデイリー・メイル」の面が出てた感じ)

この殺人事件で逮捕・起訴されたの(は)、ほかの「テロ事件」(モスクに対する爆弾攻撃、3件)の容疑で逮捕された外国人だった

ウクライナ国立冶金学アカデミーでPhD取得中のPavlo Lapshyn(パヴロ・ラプシン)。

ウクライナ国内の競争を勝ち抜いて、英国のコヴェントリー大学を訪問し(※客員研究員か)、バーミンガムの企業でインターンをするというチャンスをものにして、会社の敷地内にある寮に暮らしていた。
http://nofrills.seesaa.net/article/378479863.html

写真は派遣が決まったときのセレモニー。左から英国大使、アカデミーの偉い人とラプシン。

Details of Ukrainian "star student", accused of murdering 82 yr old and carrying out mosque bombing campaign birminghammail.co.uk/news/local-new…

3Dモデリングとコンピュータ・プログラミングで非常に優秀な学生で、性格は真面目でおとなしい、という人物像。事件のあったバーミンガム地元メディアの記事でどうぞ。

ノルウェーのオスロでカーボムを爆発させ、直後に警官になりすましてウトヤ島に乗り込んで労働党の青年キャンプを襲撃し何十人も銃殺したアンネシュ・ブレイヴィクも、裁判開始後に法廷で(被告に許される範囲で)派手なパフォーマンスをして「頭がおかしい」という印象を与えるまでは、「真面目でおとなしい人と周囲には思われていた」と説明されていたと思います。ラプシンについての描写もこれから変わるのかもしれません。

Oct 21 RT @VikramDodd: Full background; Pavlo Lapshyn, the 'shy, polite' student turned racist terrorist theguardian.com/uk-news/2013/o…

こちらは、裁判の審理がスタートしたときに出された詳しい記事。ガーディアンは、ヴィクラム・ドッド記者がずっとこの件を書いています。

※以下、いちいち書きませんが、URLを紹介しているものは、そのURLをクリックして、リンク先の内容を見てくださいね。それもせずに「説明が足りない」だの「知りたいことが書かれていない」だの言われても、当方としては…… ^^;

24 April - Lapshyn comes to the UK.

29 April - Mohammed Saleem is murdered in Birmingham.

ラプシンが英国に到着したのは4月24日。モハンメド・サリームさんが殺害されたのは、その5日後だ。

4月29日の夜、サリームさんが刺されたあと、街頭の防犯カメラが現場から走り去る白人の男の姿を撮影していた。警察は映像を公開したが、この男が誰なのかわかる人はいなかった。会社の敷地内の寮でひとり暮らしをしていたラプシンは、その時点で既に、新たな計画へとシフトしていた。爆発物を3つ、徐々に大きさと能力を大きくしながら組み立てた。

▼ラプシンが殺人容疑で逮捕される前に逮捕されていた3件の爆弾攻撃

上記警察発表に詳しいが、ウクライナ人のPavlo Lapshynはモハメドさん殺害で起訴される前に、3件の違法行為で起訴されていた。1件はsection 5 of the Terrorism Act 2006での起訴(2013年4月24日から7月18日の期間において、ボムの材料調達、ボムる標的のリサーチなどを行なった)、2件目はsection 2 of the Explosive Substances Act 1883での起訴(6月21日のモスクに対するボム攻撃)、3件目もsection 2 of the Explosive Substances Act 1883での起訴(7月12日のモスクに対するボム攻撃)。詳細は原文参照。

(引用文の文脈や情報源は、「出典」のURLをクリックしてご確認ください)

▼つまり……(「人間に読めるように」リライトすると)

4月29日(月)、バーミンガムのグリーン・レイン・モスクからの帰りに、82歳のモハメド・サリームさんが何者かに刺殺された。

6月21日(金)にはウォルソール (Walsall) のモスクの建物の外にボムが置かれていたのが発見され、爆発物処理班が対処した。

ラマダン入りした後の7月12日(金)にはティプトン (Tipton) のモスクで爆発があり、ネイルなどがまき散らされた。

7月18日(木)にはウルヴァーハンプトン (Wolverhampton) のモスクで爆発の痕跡が確認された。ウルヴァーハンプトンの爆発物は6月27日の夕方に設置され、翌朝爆発したと警察(対テロ部門)は見ている、とBBC記事にある。

モスクに仕掛けられた爆弾は、徐々に強力なものになってきており、ティプトンのはかなりの殺傷力があったけれども、たまたまこの日は礼拝の時間が1時間変更になっていたために爆発現場に人がおらず、死傷者が出なかったという……。

これらの罪状で起訴されたラプシンは、10月、ロンドンの法廷に立った。

刑事法院は多くの場所に設置されているが、個々が独立した組織なのではなく、全体として単一の裁判所である。したがって、どの法廷で事件を取り扱っても管轄の問題が生じない。

※裁判制度の背景解説についてはこちら↑などご参照のほど。

10月21日、裁判の傍聴のためロンドンのオールド・ベイリーを訪れた被害者、モハメド・サリームさんのご家族・ご親族。

▼そして、法廷で明らかにされた「動機」

After his initial arrest for planting the explosive device outside a mosque in Walsall, he told police: "I would like to increase racial conflict."

When asked why he had targeted the mosque he replied: "Because they are not white - and I am white."

最初に、ウォルソールのモスクの建物の脇に爆発物を置いたとの容疑で逮捕された際、彼は警察に「人種間の紛争をもっと起こしたいのです」と告げた。モスクを標的にした理由について質問されると、「白くないから。僕は白いから」と答えた。

……と、警察の調べに答えていたことが、今回、法廷で明らかにされた。

つまり、この「おとなしくて真面目で優秀な学生」は、white supremacist (白人優越主義者)だったわけです。

それも、何かの組織に所属して活動をしているとか、それ系のサイトで活発に発言をしているとかいった形跡でもあればこんなことにはなっていなかったのかもしれませんが、ラプシンはどこにも所属せず、ただその「思い」というか「思想」を募らせていた。

When police officers asked Lapshyn why he had attacked Mr Saleem, the student said: "I have a racial hatred so I have a motivation, a racial motivation and racial hatred."

サリームさん刺殺の動機について警察が質問すると、ラプシンは「僕には人種に基づいたヘイトがあります。それが動機です。人種的な動機、人種的な憎悪です」と答えた。

ウクライナの極右を研究しているウクライナ人の研究者、Anton Shekhovtsov氏は、ラプシンがロシア語のサイトのソーシャル・メディアのページに、5月21日、過激派のコンテンツ(オクラホマ連邦ビル爆破のティモシー・マクヴェイについてのもの)を掲示したとの事実を指摘。英警察もShekhovtsov氏も、サリームさん殺害まではラプシンと極右集団や極右の文書などとの間に何のリンクも見つからない、と述べている。

1995年4月、米オクラホマシティ連邦ビル爆破事件の実行犯。2001年6月、死刑執行。

http://en.wikipedia.org/wiki/Timothy_mcveigh

※マクヴェイについては、下記のページが有益と思います。2001年に死刑が執行される前にTIMEがおこなったインタビューの抜粋も載っている。
http://www.ethicsdaily.com/news.php?viewStory=15532

『「彼らは白くない。僕は白いから」――バーミンガム連続テロ事件で逮捕されたウクライナ人の裁判開始。』tnfuk [today's news…|nofrills.seesaa.net/article/378367…

※リンク先読んでくださいね。

『英バーミンガム連続テロ被告のウクライナ人エリート学生は「内気で真面目」で、ティモシー・マクヴェイを偶像化していた。』tnfuk [today's news…|nofrills.seesaa.net/article/378479…

※しつこいけど、リンク先読んでくださいね。

1 2 3 4 5 6 7 8