<1998年11月>

バイト先のパチンコ屋に一人の新人が入った。
外見は少し暗そうな男で、特にこれと言って特徴は無かった。
 ※名前を「タケ」(仮名)としておく
口数も少なく、バイトが終っても一緒にどこかに飯を食べに行くということもない。

それが、バイト中に突然話し掛けてきた。
タケ:「よかったら、今度飲みにいきません?」
 私:「(気軽に)いいよ。いつにする?」
タケ:「今度いつお休みですか?」
 私:「木曜が休みだけど。別に休みじゃなくても、バイト終ってから飲みにいけ
   ばいいんじゃない?」
タケ:「いえ。休みのほうがいいんです。ちょっと相談したいことがあって・・・」
 私:「いいよ。じゃあ、木曜ね」

そして、木曜日、待ち合わせの場所に行くと、車が1台止まっていた。
その車の窓が開いて、タケが手を振っている。
タケ:「すいません。どうぞ乗ってください」
 私:「おう、分かった。・・・、あっ!!」
車の中に入るとタケの他にもう一人乗っていた。
タケ:「こちらは先輩です」
 男:「どうもはじめまして。タケがバイト先でいつもお世話になってます」
その男は丸坊主で、どこか怪しい感じがした。 ※名前を「テツ」(仮名)とする

そして三人を乗せた車は動き出した。
どこに向かっているのか全くわからない。
飲み屋街からもどんどん遠ざかっていく。

 私:「(少し不安になって)どこにいくんですか?」
テツ:「大丈夫です、まかしてください」
 私:「(まかせられるか? なんかやばいんじゃない)」

そして、車はあるビルの前で止まった。
周りには民家があるだけで、飲み屋らしきものは見えない。

 私:「ここですか?」
テツ:「(ニヤリと笑いながら)飲みに行くと思った?」
 私:「飲みに行こうって誘われましたから」
テツ:「まあ、正直違うんだよね。いきなりだけど、『宗教』に興味ある?」
 私:「はぁ?」
テツ:「ぼくたちね、○○っていうのを広める活動をしてるんだけど、これはね・・」

この瞬間、「やられた」と思った。
最初から飲みに行く気は全く無く、この○○という宗教におれを勧誘する気だったのだ。

テツ:「ねえ、聞いてる?」
 私:「帰ります」
テツ:「まあまあ、話だけでも聞いてよ」
 私:「(ちょっとキレて)ああ!!おまえ何言ってるの??なあ、おい。帰るからな」
テツ:「(冷静に)いいけど、また今度家に行くよ。住所も知ってるし、バイト先も知っ
    てるし」
 私:「なあ、それって脅してるの?おい、タケ君。なんか言ってよ。バイト先の先輩を
    こういう所に誘っていいと思ってるの?なあ、おい!!」
テツ:「(ここで初めてキレる)おい!!!おまえ、今なんって言った!!なんも知らな
    いで、○○をこういう所って言ったろ!!おい、おい、おい!!」

この後、この車の中で3時間ほど押し問答が繰り広げられた。
「○○という宗教のすばらしいこと」「○○に入ると将来が予知できること」など。

さすがに3時間もすると、少し頭がくらくるしてくる。
(この車が止まっているビルの一室でセミナーが開かれていて、そこにおれをどうしても
 連れていきたいらしい)

警察の事情聴取もこんな感じなのかな?
何十時間も警察に取り調べを受けていると、本当は犯罪を犯してなくても、
「やりました」
って言っちゃう気持ちがよく分かる。

最終的に、開放されたのが7時間後。
テツが最後に言った言葉は「おまえ、根性あるな。がんばれよ」だった。

生まれて初めての「軟禁」。
車の中だから、逃げよう思えば逃げられるので「軟禁」
これがアパートの一室で、鍵を閉められて逃げることができない状況だったら「監禁」

でも、今思うと「いい経験(おいしい経験)」をしたな、って感じです。


<1998年11月現在>
 ・借入先:5件(DCカード、アイフル、アコム、JCB、オリックス)
 ・借入金:131万円(ローン含む)
 ・毎月の支払い:167,000円

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名前:松下一樹(仮名) 生年:1976年生まれ  地元:広島 経歴:中学・高校と学業の成績は常に上位。部活はバスケット。大学は仙台の国立大学。。

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