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壮大すぎた黒歴史…非現実の王国に生きたヘンリー・ダーガーの孤独な人生

「いつまでも子供でいたかった…」誰に見せるでもなく、孤独な老人は半世紀以上にわたり、自分だけの空想の物語を描き続けます。アパートの大家によってそれらの“作品”が発見され、世界に驚きを与えた孤高の芸術家ヘンリー・ダーガーと彼が遺した世界一長い小説『非現実の王国で』を紹介します。

更新日: 2014年08月17日

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ヘンリー・ダーガー、その天涯孤独の人生

1892年4月12日 - 1973年4月13日
アメリカ出身。アウトサイダー・アートの代表的な作家。

世界最長の小説「非現実の王国で」の作者

ヘンリー・ダーガーは世界で最も長い小説として知られている「非現実の王国で(In The Realms of the Unreal)」の作者。この小説を彼は誰に見せるでもなく、19歳から81歳まで書き続けました。

親類も友人もなく、雑役夫として働いた病院と教会のミサを行き来するだけの貧しい生活を送った孤高のアウトサイダ-・アーティスト

孤独の中で誰に見せるわけでもなく描き続けた壮大な物語が、彼の死の直前に発見されると、彼の名は瞬く間に世界に広まりました。

「信じられるだろうか。私は多くの子供と違い、
いずれ大人になる日のことを考えるのが嫌で仕方がなかった。
大人になりたくなかった。いつまでも子供のままでいたかった。
今や私は年をとり、脚の不自由な老人だ。なんてことだ!」
                                   ヘンリー・ダーガー

人と全くコミュニケーションを取ろうとせず、話をするときも天気以外の話は絶対にせず、部屋で複数の人間の声色を真似て一人語りして、いつも汚い浮浪者のような格好をした、孤独な変わり者だった

仕事と教会の往復以外、ほとんど自分の部屋の中に閉じこもって出て来ないため、周りからは狂人とも思われていたようです。

ダーガーという名前さえも、それが正確な発音なのか誰も知らない

彼と接した僅かな隣人たちも、彼の姓「Darger」の発音がバラバラ。本当は「ダーガー」なのか、「ダージャー」なのか、今となっては定かではありません。

誰も彼が絵を描いていたことを知らなかった

ただの変わり者の老人と思われていた彼が、自分の部屋の中に“自分だけの王国”を築いていようとは、そのとき誰も思っていませんでした。

死の直前に発見された大量の“作品”

▷ 彼が衰弱し、施設(救貧院)に預けられるようになってからアパートの大家によって“発見”された彼の作品群。

1972年、生涯孤独に暮らしてきた老人の部屋から「非現実の王国で」と名づけられた大量の奇妙な小説とその挿絵群が発見された

アパートの大家は、衰弱し施設に預けられた老人の持ち物を処分しようと、ヘンリー老人以外足を踏み入れた者のいない雑然とした部屋に入ると、大変なものを発見してしまいます。

タイプライターで清書された1万5145ページの戦争物語『非現実の王国で』とそのために描かれた300余点の大判の挿絵だった

そのあまりに壮大な物語に描かれているのは大勢の少女たちでした。
ある時は荒れ狂う空の下で陽気にはしゃぎ、ある時は兵士と戦い、またある時は翼を持った幻想的な生き物に助けられる少女たちの絵でした。

▷ 彼の部屋は大量のスクラップ、切り絵のような美しくコラージュされた紙、拾い集めた新聞で埋め尽くされていた。

老人にはそれが作品という概念はなく、全ての持ち物の焼却処分を大家に頼んでいた

大家のラーナー氏自身がアーティストであった事も幸運で、この誰にも知られていなかった壮大な“芸術作品”はついに日の目を見ることになったのです。

世界一長い小説「非現実の王国で」

出典zuill.us

▷ 彼の死後発見された、壮大すぎる物語「非現実の王国で」

「非現実の王国で」は、彼自身のためだけに書かれた究極の自伝

誰かに見せるためのものではない。富と賞賛を手に入れるためのものでもない。
ただ彼は、自分だけの世界で、自分だけの物語を60年以上という長い年月の間書き続けました。

正式なタイトルは「非現実の王国として知られる地における、ヴィヴィアン・ガールズの物語、子供奴隷の反乱に起因するグランデコ─アンジェリニアン戦争の嵐の物語」

15,000ページ以上におよぶ大作で、読破した人間はほぼ皆無とされています。長過ぎるため、テキスト全文が刊行されたこともありません。

『グランデリニア』とよばれる、子供奴隷制を持つ軍事国家と、『アビエニア』とよばれるカソリック国家との戦争を描き、1万5,145ページに及ぶ物語

人間離れした能力を備えた邪悪なグランデリニアンから子供たちを救うべく立ち上がる7人の無垢なる少女たち「ヴィヴィアン・ガールズ」の壮絶な闘いと功績の物語が綴られています。

『非現実の王国で』には挿絵がついているのですが、その中にいる少女たちには何故か女性にはないものが股間についています

女性と関わったことがないために、彼の描く少女の絵の股間には、ついていてはいけないモノがついていました。

彼は『非現実の王国』の中で、子供の守護者として自分を登場させるなど、物語の中で地位や名誉、賞賛を得ていました

現実の世界での孤独感を、自ら作り上げた物語の中で癒していたのかもしれません。

この偉大なるひきこもりのアウトサイダーは、まさに世界の外側に立ちながら、自らの手になる「非現実の王国」を、いかなる現実よりも大切に育もうとした

他人とまったくコミュニケーションをとることが出来なかった孤独な老人にとって、この物語の世界こそが自分の存在意義だったのだと思います。

世界観に圧倒される。「非現実の王国で」ギャラリー

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