1. まとめトップ

アベノミクスで議論になる「見解」

賛否両論がある安倍政権の看板政策は、本件まとめの更新時点において「好評価」を得ている。壮大な実験だとも言われるが、無策批判が続いた以前の政権よりははるかにマシだろう。それでも、一大実験であることは間違いない。勇気と忍耐をもって、その実態を見つめ続けなければならない

更新日: 2015年01月10日

2 お気に入り 6319 view
お気に入り追加

この記事は私がまとめました

▼アベノミクスをみずから説明(政府見解)

1)大胆な金融政策、
2)機動的な財政政策、
3)民間投資を喚起する成長戦略

この同時展開にて、10年間の平均が名目成長3%、実質成長2%になることを目指す。また三つの好循環を作り出すこともその目標だ。それは持続的成長により、マクロ経済環境が好転し、税収増などによって財政が健全化されるというシナリオだ

安倍政権みずからも発表しているが、同サイトには現時点(2014年11月)までの成果が数値で表現されている。つまり、日本は成長できるという信念のもと、企業の投資と国民の消費を促すために、紙幣を増刷。そのマインドの移行期間に、政府の支出でこれを支え、本当の成長点を模索する。これこそがアベノミスクのシナリオだ。意表を突いた選挙戦術で勝利を手にした以上、このシナリオを完遂することだろう

GDPも株価も怪しい指標だ。なぜなら、平均的な国民の賃金が上がっていない中で、どれだけ上昇したと言われても、豊かさをほとんど実感できないからだ。ただし、就業率・失業率の改善や、訪日旅行客の増加は、間違いなくプラス材料だろう。いずれそれらが、賃金上昇圧力となり、日本経済を成長軌道に乗せてほしいと期待する

過少投資、過剰規制、過当競争の3つの歪みを根本から是正するのが、構造改革プラン。そのために雇用の流動化も進めつつ、女性労働力の活用で少子高齢化に対応。政府も、省庁割りを廃し、戦略分野に政策資源を集中投入させる。ITを推進することで、民間主導のイノベーションを促し、海外の企業も呼び寄せられる立地強化策にまとめあげる。そして日本経済の屋台骨である中小企業の支援策は別途手を打つという、1つの柱、5つの手段だ

黒田東彦総裁は、米国と欧州を中心とする先進国の景気は緩やかに回復していると強調した。ただ、欧州は、経済の活力を吸い取り、日本で過去20年にわたって見られたような長期的減速を引き起こす可能性があるデフレという独自の問題を依然抱えているようだとしている。中国経済について、世界第2位の経済はしっかりした内需の主導で安定した成長を維持しているとも語った。これより先、日銀はマネタリーベース(資金供給量)を年間60兆―70兆円増やすという政策を維持することを決めている

▼アベノミスクに対するメディアの解説

安倍首相は、低迷が続く日本経済という患者は、円高とデフレが原因だと診断した。日銀は、従来の消費者物価1%という目標を改め、「消費者物価が2%」になるまで「強力に緩和を進める」とした。しかし、デフレ脱出を経営者や国民に「期待」させるだけで投資や消費が増えるのか懐疑問だ。どんな道筋で経済が再生するか判らず、そもそも期待だけで経済が活発になるのかも試される。消費者物価が2%を超したのは、古く1992年までさかのぼり、ハードルはかなり高い。パソコンなど値上がりする要素が乏しい物が30%程を占めるので、ここが横ばいだと、他の物を3%上げなければならなくなる

公共事業、大胆な金融緩和、成長戦略の三つを「三本の矢」として次々に実行し、日本経済の足を引っ張る「デフレ」から脱出し、経済成長につなげていく。これがアベノミクスだ。特に金融緩和では、民間銀行に、日銀が刷った大量のお金を持たせる。そのお金を企業や個人に貸し出し、企業はそのお金を使って、工場を建てたり、社員を増やしたりする。個人も住宅などを買ったりする。社会全体で投資や買い物が増える。しかし、成長につながらなかったとき、膨大な借金だけが残るという懸念もあるらしい

日本はこれまで10年以上もの間「デフレ経済」に陥っている。デフレとはモノの値段が下がり続けることなんだけど、この状態が続くと、経済がどんどん縮小して経済が成長しなくなってしまうんだ。だから安倍総理は「デフレを脱したうえで、名目経済成長率年3%を目指す」という政策を打ち立てた。しかし、その結果生じる円安は、株価の上昇とともに、パンなど食品の値上がりや、原油・天然ガスなどの資源価格の上昇も招くため、警戒は必要になる

「アベノミクス」の中心は「大胆な金融緩和」。日銀による金融緩和策でたびたび登場するのが数字の「2」だ。市場のお金の量を来年の末には2倍にする。。物価上昇率を2年で2%にする。そして日銀の長期国債や上場投信の買入額も2年で2倍にするという。その金融緩和は大胆に実行され、そして財政政策でも、震災復興、防災、インフラの老朽化対策といった公共事業を柱に、「約13兆円」の補正予算をまとめた。これは、金融危機後の2009年の経済対策に次ぐ過去2番目の規模になる。成長戦略については、議論が今もって継続している

「円安によって潤っているのは大企業」という批判はあっても、金融緩和をストップさせようとする政党はなかった。貿易赤字での円安はマイナスが多いという批判も正しくない。海外資産を多く持つ日本にとっては、所得収支の黒字が拡大することになる。また、輸出量も、時間の経過とともに増えてくる可能性がある。特に、今回の日銀のサプライズ緩和と、安倍政権の勝利によって、円安の長期化も見えてきた。企業行動が変わってくるかもしれない。ただし、人材不足は今後の最大のネックになるだろう

アベノミクスが始まると同時に、民間消費と政府支出が主導する形でプラス成長に回帰した。消費者物価は下げ止まり、かつ長期金利が反転することはなかった。企業業績の復調(上場企業)が堅調で、株価も見事に反映した。しかし、同レポートでは、証券優遇税制が今年いっぱいで廃止されることに言及し、株価の今後を考える上での下振れ要因になることを指摘している

安倍首相が自らの経済政策を「3本の矢」と呼ぶ理由には、バラバラではなくて、3つの経済政策をポリシー・ミックスとして連携して実施するということに主眼があるからだ。安倍政権は、デフレ脱却と過度な円高を是正していくことを基本方針としている。特に、「2年ほどで2%のインフレ率」を日本銀行がコミットすることによって、人々が値上げ前に買い急ぐのを期待している。また、機動的な財政政策が景気回復のためのスターターになる。そして成長戦略によって生産性上昇に成功すれば、設備投資の収益性がプラスになることを意味する。そして物価水準と賃金が同様に上昇する可能性をもたらす

「安倍政権の目標は、頑張った人が報われる社会。業績が改善している企業においては、報酬の引き上げを行うなどの取り組みをご検討いただきたい」という首相の言葉。まず、賃上げはまだ一部企業に限られており、また、業績がいいからといって賃金はすぐには上がらない。おそらく賃金に反映されるのは3年後になってしまうかもしれない。しかも、「実体の裏付けがない期待感はバブルにつながる」との懸念も根強い。安倍政権の経済政策に水を差さないようにしているシンクタンク等も少なくない。マジックには必ずタネがあり、アベノミクスがもしそうなら、どこかで思わぬ落とし穴があるかもしれない

安倍マジックは成功するか。デフレの脱却、景気の回復、そして財政の建て直し、この三つの課題に対して一括で取り組むアベノミクスの仕組みに迫る総力特集。しかし、ワーストシナリオについても触れている。景気回復に失敗し、給料はダウンするが物価は上がってしまうという状況を招き、そこに財政破綻を避けるための増税と社会保障カットがのしかかるという悪夢のような状況だ。同誌の総力特集でその全貌を理解しておこう

企業の業績が悪化してしまうと、給与も消費も下がってしまう。(悪い)円安が、その引き金を引いてしまう可能性は否定できない。経済の循環が裏目に出てしまうと、財政への負担も(財政支出の増大などによって)重くなる

アベノミクスの「第一の矢」は大企業に恩恵を与えた。円安は輸出企業の利益を大きく押し上げた。そして「第二の矢」である財政刺激策は、建設業界と重工業を後押しした。しかし、安倍政権は同時に、基本給を引き上げるよう財界に求めている。今はまだ、ほとんどの企業が賃上げに応じていない。「我々は社会主義者ではない!」との本音も漏れ聞こえる、根本的な国内対策としては、高齢化と人口減少の問題だが、ここに対してのアベノミクスの対応はまだ緩慢である

そもそもアベノミクスとは、バブル崩壊がもたらしたマイナス要因と全面対決することを宣言した取り組みのことである。湿った薪を乾かすような効果を期待されている。が、しかし、中小にまで恩恵を届けるのは至難の業だ。バブル崩壊後の状況は、企業に未来への過度な悲壮感をもたらし、かつ足元の人件費は抑制の方向に向かってしまった。ゆえに、この企業の行動原理を変えるのは容易ならざることだ

現状では、「第1の矢(大胆な金融政策)」と「第2の矢(機動的な財政政策)」が先に放たれ、先行しているが、供給サイドの「第3の矢(民間投資を喚起する成長戦略)」が的を射ないかぎりは、需要サイドによる景気刺激策はその場限りのものとなる。そこで産業再興プランが議論されている。第一は雇用制度改革、第二はITの社会資本整備、第三はリッチ競争力の強化、第四はグローバル人材の増強、第五は科学技術イノベーションの推進だ。とにかく、国内における設備投資を縮小し、対外直接投資を増大させている企業行動を変える手が必要だ

▼批判が膨らむアベノミスクへの懸念とは?

1980年代のレーガノミクス。アメリカの財政を、大幅な軍事費の増加でボロボロにした政策として記憶されている。これによってアメリカの対外負債が2倍になった。今回の「エコノミスト」誌は、特集「インフレを学ぶ」で、アベノミクスの「無制限の量的緩和」「10兆円の公共投資」「2%のインフレターゲット」に顕在している危機を、いくつかの記事で指摘している。その危機とは、大雑把に言えば、経常収支の赤字が拡大、バラマキ予算による財政危機、そして物価は上がれど不況が継続するスタグフレーション

物価上昇目標と金融緩和で、所得は増えずに石油や食料品などが上がれば、暮らしに大打撃。また、不要不急の大型工事推進を中心にした財政出動は財政危機をより深刻化させる。さらに、「成長戦略」「規制緩和」の名で解雇を自由化すれば、貧困と格差はさらに拡大。こうして「デフレ不況」は逆に、さらに悪化してしまう

日本は輸出依存率がわずか15%しかなく、大部分は輸出とは関係のない内需企業。また、上場企業約3500社のうち、海外売上比率が50%を超える企業は僅か250社程度。しかも、輸出のほぼ半分は円建て決済で、輸入の70%はドル建て。円安になってもマイナスの方が大きくなってしまう。日銀短観を見ても、プラスになったのは大企業製造業のみ。企業数で見れば99.7%、雇用で見ても70%の中小企業ではDIがいまだにマイナス

日本経済が現在直面している問題、つまり人口構造の変化(高齢化)、産業空洞化、サービス産業の生産性の低下、労働人口における女性参加率の低迷、移民政策への抵抗などが、内需の停滞をもたらしており、それが過去20年の経済低迷の要因である。2001年から2006年まで、日本は率先して量的緩和政策を採用し、結局成功していない。しかもアベノミクスが円安という手段を使った経済振興策なので、出発点は良くても、いずれ金融バブルの発生と崩壊をもたらしかねない

経済の歴史や本質から見れば、「アベノミクス」の考え方は明らかに間違っている。本当の景気回復とは、国民生活が豊かになることであり、株価が上昇することではない。アメリカは実質的に失敗している。また、ウォン安政策を取った韓国では、一般国民が15%以上の物価上昇に苦しんでいる。通貨安は92%の国民に弊害をもたらした。金融緩和論者は、自民党の小泉純一郎政権下の円安バブルの時に、なぜ国民の所得が上がらなかったのかをしっかりと学ぶ必要がある

まず物価:今年8月の総合CPIは昨年より0.9%上がっているが、この最大の要因は原発の停止による電気代9%上昇と、円安による光熱費11%上昇。日銀が指標としているコアコアCPI(食料・エネルギーを除いた指数)上昇率は、-0.1%のデフレのまま。次に株価:マネタリーベースが急増したのは、2013年4月の異次元緩和以降だが、これは株価が急上昇した後だ。後者は前者の原因ではない。株高の最大原因は政権交代への期待で市場の「空気」が変わったことで、金融政策ではない。実際、東証の出来高の6割は外国人で、円安による割安感があっただけのこと

1 2