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【マスコミによる誤誘導に注意】エドワード・スノーデンはリーク時「公務員」ではなく「民間人」だった。

日本のニュースでは、なぜか「元CIA職員」と呼ばれているエドワード・スノーデン。このせいで、彼はCIAの職員として知りえた情報をリークした、と思ってませんか? そうだとしたら著しい事実誤認、日本のマスコミに誤誘導されています。小さなことかもしれませんが気をつけましょう。

更新日: 2013年12月10日

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この記事は私がまとめました

nofrillsさん

出典kwout.com

英ガーディアン、先日からサイトで読者(コメント投稿登録ユーザー)からの投票を受け付けていた「今年の人」に、大方の予想通り、エドワード・スノーデンが決定した、というお知らせ。

ところで、この方、リーク時は「民間人」だったんです。

"Snowden left the CIA in 09 & began work for Dell, a private contractor, inside an NSA facility..." en.wikipedia.org/wiki/Edward_sn… 政府機関NSA業務請負私営企業勤務

「スノーデンは2009年にCIAを去り、NSAの施設内で民営の業務請負契約企業、Dellのために働き始めた」(直訳)

このとき日本の米軍基地内にいたそうですが、その後、2013年初めまで彼はDellで給与を受け取っていた。このDellでの雇用期間に、2013年にリークした文書類をDLしたと考えられるとのコメントもあります。(実際には、Dellのあとに勤務したBooz Allen Hamilton在籍時にDLしたのではないかと考えられますが。)

つまり、どんなに早く彼がこの大量の文書のリークに取り掛かっていたとしても、CIAはまるっきり関係ないんです。

"At the time of his departure from the US, he'd bn employed by consulting firm Booz Allen Hamilton for less than 3 mths inside the NSA" Ibid

「(情報を持ち出してジャーナリストに渡したあと)米国を出立したときには、スノーデンはNSA内部で3か月弱、コンサル企業Booz Allen Hamiltonによって雇用されていた」

Booz Allen Hamilton社員としてはスノーデンはハワイにいたのですが、2013年5月下旬に休暇を取って出国、そのまま戻らず現在に至る。BAH社は6月10日、彼がリーク元と名乗り出た直後に彼を解雇。

DellであれBooz Allen Hamiltonであれ、「民間企業」です。つまり……

エドワード・スノーデンはリーク時「公務員」ではありませんでした。

つまり、日本のニュースでは、なぜか「元CIA職員」と呼ばれているエドワード・スノーデンですが、今年6月までにガーディアンとワシントン・ポストの記者らにNSAによる監視の実態を暴露したときは、「CIA職員」ではなかったし、「政府機関の職員」、つまり「公務員」ではありませんでした。

また、彼がリークした情報は、CIA職員として知りえた情報ではなく、NSAの仕事をしていて知ったものです。

その点、何度か説明することになったので、そろそろちょっとまとめておきます。。。というのが本ページの主旨。

まずは私のログから……けっこういっぱいあるな(笑)

ところで、日本語圏では、なんでエドワード・スノウデンについて「元CIA職員」って言うんですかね。それって極端なたとえ、安倍晋三氏について「元神戸製鋼社員」というようなもんじゃないっすかね。

スノーデンが名乗り出たのが6月10日、それからほぼ1か月後です。

英語圏でも当初は「元CIA職員」的な扱いも散見されました(ガーディアン自身、最初はそう書いていたかもしれない)。職歴が一番長いし、肩書きがわかりやすい(ネットワーク管理者)のがCIAでのことだったし、情報がよく整理できていない段階では「元CIA職員」と紹介されるのも、まあ、わからなくはなかったのですが、1か月たってもまだ言ってるというのはさすがに不自然で……。うちのおばあちゃんのことを「元乙女」と呼んだりしてたことありますけど、それギャグだし。

単にCIA在籍期間が長かったからか。あるいはCIAの名前を出せば人が反応する・興味を抱くからか(NSAという「横文字」は知られてないから)。でもスノウデンが外部に持ち出したのはCIAの文書じゃないわけで、彼のことを「元CIA職員」と言い募るのは、かなり雑な報道の仕方だと思う。

NSAは、「海外ドラマ」をよく見てる人は知ってるかもしれませんが、一般にはさほど知られていない。CIAといえば猫でもわかる。

この期に及んでスノーデンを「元CIA」と言い張る理由がさっぱりわからないが(NSAのPRISMなどについての暴露は、CIAの所業についての暴露ではない)、今のロシアの反応、やや詳し目>東京新聞:CIA元職員亡命問題 プーチン氏が米批判 tokyo-np.co.jp/article/world/…

……上の連投の1週間後。

キャサリン・ガンの件は「時代的に」ってより、どういう意図なのかはわからないけれど新聞様がスノウデンに関し「元CIA職員」と書くようにNSAという名称への積極的言及をしていない(=その名称がいつまでたっても「馴染みのある」ものにならない)状態では、単に「GCHQ何それ食えるの」かも

……月が変わって8月。

NSAという組織にピントを合わせないような、「エドワード・スノーデン=元CIA職員」という位置づけでは、こういう流れが把握できないでしょ。日本語圏の報道機関、しっかりしてください、マジで。

エドワード・スノーデンまで「元CIA職員」と呼ばれていることに異議を唱えず、それどころかそれを再生産しておいて、「すべて悪いのはCIA」と言い募るお芝居の一員になれたら、どれほど楽に生きられるだろうか。

……8月下旬。

米国中央情報局CIAの職員・スノーデン氏による暴露で、ドイツのメリケル氏ら世界の重要政治家数十人の携帯電話がCIAにより盗聴された事実が判明。スノーデン氏の勇気ある内部告発に熱いエールを送りたい。日本の秘密保護法案を批判する時、この事件を忘れてはならない。

……10月下旬。スノウデンが名乗り出てから4か月以上経過して、ジャーナリストの人が「CIA職員」といい、「CIAにより盗聴された」(甚だしい事実誤認)と述べるという惨状。

@minorucchu エドワード・スノーデンは「CIAの職員」ではありません。暴露時、NSAの業務を請け負っていた企業の社員でした。CIAにも籍があったことはありますが、そのずっと前です。 cc @tomo_nada

ほんと「スノーデンはCIA職員として暴露を行なった」というデマほどしぶといデマはない。マスコミ様がNSAという組織名をなぜか出さず、彼について「元CIA職員」と書き続けることもそのデマに大いに寄与している。

ぶっちゃけ、エドワード・スノーデンのことを日本の新聞・通信社がなぜか「元CIA職員」と書き続けている理由は、「公務員が機密を漏洩した」と誤認させたいからですよね、っていう話。

そして、名乗り出てから半年後。スノーデンはまだ「元CIA職員」と呼ばれている。

▼一応エビデンスということで実例示しておきます。「スノーデン」をキーワードとしたGoogle検索で見つかったものより。

出典kwout.com

2013年11月12日の読売新聞に「エドワード・スノーデン元米中央情報局(CIA)職員」。

出典kwout.com

同14日MSN産経ニュースに「中央情報局(CIA)元職員スノーデン容疑者」。

出典kwout.com

2013年12月4日、「CIA=中央情報局の元職員、エドワード・スノーデン容疑者」。

※時間がもったいないのでテレビ局についてはいちいち書き留めるのをさぼりますが、民放のサイトでも「元CIA」扱いされています。なお、個人的にテレビを持っていないのでテレビ報道の中身は知りません。もしも実際のテレビ報道では「元CIA」扱いをしていないといった事実があれば、コメント欄でご指摘ください。

出典kwout.com

同じく12月4日、「米中央情報局(CIA)元職員、スノーデン容疑者」。

出典kwout.com

2013年12月6日、「米中央情報局(CIA)のスノーデン元職員」。

出典kwout.com

2013年12月4日、「中央情報局(CIA)元職員スノーデン容疑(者)」。

これら、ミスリーディング(誤誘導的)という点では、ほんとに最悪ですね。そんなにCIAのせいにしたいんですか、という感じ。

でもきっと新聞記者の人に聞けば「スポーツ界を引退して焼肉屋を経営している人が犯罪をおかしたときに『元プロスポーツ選手』扱いする例」とかを持ち出してきますよ。

でも焼肉屋さんが「元プロスポーツ選手」扱いされるのは、一般人が「元プロスポーツ選手」としてその人のことを認識してるからですよね。「元CIA職員」はそうではない。(「元CIA」を売りにしてるサスペンス小説家とかもいますけど。)

出典kwout.com

2013年12月4日、「米中央情報局(CIA)元職員のエドワード・スノーデン容疑者」。

ただし毎日は……

出典kwout.com

毎日新聞は、12月6日は「米国家安全保障局(NSA)の元契約職員エドワード・スノーデン容疑者」と表記。

用語が変更されたのか、表記ゆれの許容範囲なのかは私にはわかりません。変更であることを祈ってます。わりとマジで。

出典kwout.com

一方、英語媒体の翻訳記事だと、「元CIA」なんて書いていません。(6月の名乗り出た直後の段階のものだとどうかわかりませんが。)

2013年11月18日付WSJ日本版では「元米国家安全保障局(NSA)契約職員、エドワード・スノーデン容疑者」。

出典kwout.com

同、25日のロイターの翻訳記事では「米国家安全保障局(NSA)の元契約職員エドワード・スノーデン容疑者」。

出典kwout.com

12月4日付のAFPBB (= AFPの翻訳・抄訳)では「米国家安全保障局に勤務していたエドワード・スノーデン容疑者」。

出典kwout.com

MSNエンターテイメントに配信されているシネマトゥデイの記事。「米中央情報局(CIA)および国家安全保障局(NSA)の元局員エドワード・スノーデン」。

※仕事で翻訳業務やってる人、今、胃がシクっとしたでしょ。

(「き、局員? "職員" じゃないの? やだー、こーゆーのって、どこで調べられるの?」→2時間経過、確実なソースなし……)

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