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茂木健一郎さん 連続ツイート第1129回「今ここしか、ない」

【毎朝お届け】茂木健一郎の連続ツイート

更新日: 2013年12月31日

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kentasinjyouさん

★ ★ 連続ツイート ★ ★

いな(1)日本では余り流行っていないようだけど、snapchatは画期的なアプリだと思う。写真でも動画でも、相手に送ったら、1秒から10秒の間表示されて、それでキレイに消えてしまう。サーバーにも残らない。アメリカではティーンを中心に大人気だそうだ。

いな(2)facebookが目をつけて、2000億円でsnapchatを買収するという提案をしたが経営側が拒否。googleも3000億円で買収の提案をしたが、やはり拒否。スタンフォード大学の学生たちが作ったベンチャー企業が、アメリカの ITの生態系の中で独自の光を放つ。

いな(3)私もiPhoneにsnapchatをダウンロードしたが、何しろ日本では流行っていないので、写真や動画を送る相手がいない。唯一の相手が、田森佳秀 @Poyo_Fで、仕方がないから彼と時々写真を送り合っている。それで、昨日は、田森からへんな折り紙の写真が送られてきた。

いな(4)何しろ、snapchatはその場で消えてしまうから、「あっ、へんな折り紙だ!」と思っても、後でゆっくり観ようとか、そういうことができない。10、9、8、7、・・・と残り秒数が減っていく中で、必死になってその形を目に焼き付けようとした。そして、写真は、キレイに消えた。

いな(5)snapchatが流行ったのは、大量の情報が蓄積、検索できるbig dataの時代に、敢えて逆を行ったからだろう。プライバシーの心配もない。あっち系の写真を送り合っても、元恋人が逆恨みするレベンジ・ポルノの心配もない。その場で消えて、おしまい。あとは、記憶の中にだけ残る

いな(6)昔、ある種の情報は、基本的にその場で流れて消えるものだった。子どもの頃、私が蝶を好きだと知っている母親が、時々居間から「健一郎、今、蝶やっているよ」とか声をかけてくれる。私が、スクランブルの緊急発進のように居間に直行すると、蝶のニュースの最後の10秒が見れたりした。

いな(7)家庭用ビデオとか、アーカイブとかない時代は、テレビは基本的にその場で見て、消えていくものだった。その頃の映像が、今でも鮮明に残っている。認知や記憶の現象学からすれば、それが本来の姿なのだろう。「今、ここ」しか本当はないことは、big dataの時代でも同じだと思う。

いな(8)例えば、BanksyのExist through the gift shopを私は先日youtubeで見たが、それを「初めて見ている」時間は、あの時にしかなかったわけで、その時のカワセミが鋭く光るような印象は、二度と戻って来ない。アーカイブがあってまた見返せるとしても。

いな(9)「今ここしか、ない」。big dataだとか言って油断している人間の脳にぴしゃりと気合いの冷や水をかけるには、今ここしかないことをもう一度思い返してみることだと思う。一生で、今日、この時は一度しかない。「死を思え」ではなく、「今ここを思え」。snapchatイイよ。

以上、連続ツイート第1129回「今ここしか、ない」でした。

やっぱり、@takapon_jp は、言うことが的確だね。 世界のことが、ちゃんと見えてる。 asahi.com/articles/ASF0T…

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