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知っているようで知らない学芸員の世界

学芸員という言葉はあまり耳にしないと思いますが、博物館で働く人々と言えばピンと来るでしょうか。一般的に見ると特殊な職業と言える学芸員とはどのような職業なのでしょう?

更新日: 2015年01月29日

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xinnobunagaさん

学芸員とは

学芸員は、博物館資料の収集、保管、展示及び調査研究その他これと関連する事業を行う「博物館法」に定められた、博物館におかれる専門的職員です。学芸員補は学芸員の職務を補助する役割を担います。
 学芸員になるための資格は、1.大学・短大で単位を履修することや、2.文部科学省で行う資格認定試験に合格すれば得ることができます。なお、学芸員や学芸員補として活躍するには、博物館(登録博物館)で任用される必要があります。

そもそも博物館とは?

歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等に関する資料を収集し、保管(育成を含む。以下同じ。)し、展示して教育的配慮の下に一般公衆の利用に供し、その教養、調査研究、レクリエーション等に資するために必要な事業を行い、あわせてこれらの資料に関する調査研究をすることを目的とする機関(社会教育法 による公民館及び図書館法 (昭和二十五年法律第百十八号)による図書館を除く。)のうち、地方公共団体、一般社団法人若しくは一般財団法人、宗教法人又は政令で定めるその他の法人(独立行政法人(独立行政法人通則法 (平成十一年法律第百三号)第二条第一項 に規定する独立行政法人をいう。第二十九条において同じ。)を除く。)が設置するもので次章の規定による登録を受けたものをいう。

難しいことが書かれていますが、歴史、芸術、民俗、産業、自然科学などに関する資料を収集し・・・とあります。博物館と聞いて想像するのは歴史博物館や美術館だと思いますが、自然科学を含むということは動物園や水族館、植物園、科学館なども博物館に含まれるということです。

鴨川シーワールド

学芸員は博物館に置かれる専門的職員。よって写真にあるような博物館、美術館から動物園や水族館で働く人々(もちろん飼育員もいれば清掃など管理する人などなどいますので、全員ではありませんが・・・)までが学芸員なのです。展示するものが歴史系なら文書や遺物、動物園なら生き物になる。その違いがあるだけで展示するという行為は同じということですね。

学芸員のお仕事

学芸員は博物館に勤務し、資料の収集や保管、展示、調査研究などを行う。ひと口に博物館と言っても、総合博物館、科学博物館、歴史博物館、美術館、そして動物園、水族館、植物園などさまざまだ。したがって、学芸員が扱う分野も幅広く、勤務先に応じた専門知識が必要である。
 仕事内容は、(1)資料の収集・整理(2)資料の保管・保存(3)資料の展示・活用(4)資料の調査研究(5)教育普及活動など、博物館資料と関連する事業がある。資料は多くの人々の目に触れてこそ価値があるので、博物館の存在価値や質は、学芸員の働きにかかっているとも言える。時には資料の買いつけ、調査、展示物の貸し出し、PR活動なども行う。

学芸員は雑芸員?

博物館では、「もの」に対しての調査・研究、整理・保存・管理、普及・展示・利用対応などの活動のすべてを学芸員がすることと、人手不足で博物館の事務的な雑務などに追われて、日本の学芸員はよく自分たちのことを「雑芸員」などと呼びます。

大都市の博物館や大きい私立の博物館では10人以上学芸員がおり、様々なことを分担して仕事を行うことができます。しかし、地方自治体の博物館などでは学芸員が1人、もしくは0という場合も多々あります。そうなるとその学芸員はすべての仕事を1人でこなさなくてはならず、さらに掃除や事務作業などの雑務などにも追われ、本来の仕事である調査や研究にまで手が回らなくなってしまうということもあるようです。

仕事内容だけでなく、専門分野に関しても雑芸でなければならない。歴史系で言えば考古、古代、中世、近世、近代、民俗、さらには中国史や西洋史など歴史というのは幅広く、一人がそれをすべて万能にこなすことは不可能。いずれかの分野で専門を持っています。自分の専門でない分野を担当しないといけないことも出てくるようです。

学芸員資格

1)学士の学位を有し、大学で文部科学省令の定める博物館に関する科目の単位を修得したもの。

 なお、文部科学省令の定める博物館に関する科目については、「博物館に関する科目について」を、学芸員資格取得に必要な科目が履修できる大学については、「学芸員開講大学一覧」を参照してください。

2)大学に二年以上在学し、博物館に関する科目の単位を含めて六十二単位以上を修得したもので、三年以上学芸員補の職にあったもの。

3)文部科学大臣が、文部科学省令で定めるところにより、上の二つにあげたものと同等以上の学力及び経験を有すると認めたもの(学芸員資格認定を合格したもの)。

このうち一番取りやすいのは1。学芸員資格が取れる大学でそのコースを履修するというもの。2番に関しては学芸員補(学芸員の補佐のような職)になるのがそもそも難しい。3番に関しては試験が難しい。

学芸員になるには

一番多いのは学芸員の資格を持ったうえで公務員になること。そうすれば博物館を担当する生涯学習課などの課に配属される場合がある。ただあくまでも可能性の話であって必ずなれるとは限らない。また教職員として採用されてから学芸員へと異動するケースも稀にあるため大学時に教員資格をもっていると可能性は広がる(ただ、学芸員資格と教員資格を同時に取得するのは非常に大変)。

私立博物館では試験を実施し採用する場合もある。

最近増えているのは博物館が指定管理として民間に業務が委託されるパターン。この場合非正規となるがその指定管理の委託を受けた企業が募集をかけることもある。
しかし、資格は比較的楽に取れる学芸員であるが、枠が極端に少ないため就職するのは難しく、また非正規での雇用も多いため、なれたとしても苦労することは多い。

経験がものを言う職業であり、中には実務経験5年以上という募集もあるため非正規であっても決してその経験は無駄にはならない。常に向上心を持って仕事に当たる必要もあるだろう。

学芸員を英語で言うとキュレーター

学芸員をあらわす英語表現は一般的にキュレーター(curator)と理解されている場合があるが、これは監督という意味合いであり、外国ではこれを複数置く館では館長の次の地位、1名のみしか置かない館では館長職そのものを指し、大学の教授職に相当する存在になるため、これほどの権限を与えられていない日本の学芸員の英訳としては適切な表現ではない。またその業務は、美術系博物館(美術館)では研究に基づく展覧会の企画、自然史系博物館では学術研究とその成果に基づく指導的業務に限られる場合が多く、日本の学芸員のようなこまごまとした技能業務までを職掌とはしていない。欧米では、日本の学芸員が独りでこなさなければならない諸業務は、museum educator(教育普及担当職員)、exibition designer(展示専門職員)、restorer(修復技術者)、conservator(保存管理者)、registrar(作品登録管理者)など、職務によって分業されている場合が一般的である。

一応キュレーターと訳される学芸員ですが、日本の学芸員は雑芸員ですのでキュレーターとは言えない部分があります。

学芸員資格を持つということ

大学において学芸員の資格を取得するのは難しいことではありません。しかし、学芸員として働くには非常に狭い門となります。
ただ、学芸員の資格というものは単に学芸員になるためだけのものではありません。博物館には様々な人、企業が関わります。ボランティアもいれば、先に挙げた乃村工藝社のように博物館の展示ディスプレイなどを制作する企業、掛け軸など資料を修復する企業、資料の梱包、運搬を行う企業など様々です。そういった企業においても学芸員の資格、知識は生かされます。博物館の仕事に興味のある人、これから資格を得ようとする人、現在資格取得のために勉強している学生、学芸員になれる可能性は高くないかもしれませんが、だからと言って悲観することなく、少し視点を変えてみれば自分の力、知識を生かせる場所は必ずあります。

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