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殺菌をうたう石鹸等の多くに含まれる『トリクロサン』- 危険性のため規制強化へ

身の回りの殺菌や抗菌をうたう石鹸やシャンプー、化粧品、プラスチック類などに多く含まれる物質「トリクロサン」が、人体や環境に危険な影響をあたえるおそれがあるとして米国ミネソタ州で使用禁止になりました。すでに環境レベルでの影響が危惧されており、米国全体やEUもこれに続くかもしれません。

更新日: 2015年03月12日

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米国ミネソタ州でトリクロサンの使用を禁止へ

米国ミネソタ州が、州内でのトリクロサンを含む商品の販売を禁止することを決定

ミネソタ州で、2017年1月からトリクロサンを含む衛生商品販売を禁止する法律が施行されることが決定しました。

現状では殺菌石けんの75%がトリクロサンを使っているので、メーカーの対応に時間がかかる

法律の施行まで時間がかかるのは、あまりにトリクロサンを使用した製品が多いため。

2010年よりFDA(アメリカ食品医薬品局)はトリクロサンの安全性について再調査を実施

FDAは2013年には、トリクロサンを使用し殺菌効果等をうたう商品を製造するメーカーに対し、抗菌石鹸の病気予防や感染抑制の効果が、普通の石鹸よりも勝ることを実証するよう要求してきました。

ミネソタ州が先陣を切りましたが、他の州でも同様の法律が成立する可能性も高く、トリクロサンは米国全体としての規制も受けつつあります

おそらく近年中に米国全体で禁止物質に指定されそうです。

EUでも既に安全性の検討が進められていて、2010年から食品と接触するプラスチックに添加する物質としては、当該用途のための認可が必要になっている

トリクロサンとは

物質名: 5-クロロ-2-(2’,4’-ジクロロフェノキシ)フェノール

石鹸、シャンプー、歯磨き等、医薬部外品で殺菌作用をうたっている物に使用されることが多い

日本の場合、トリクロサンは厚生労働省が抗菌効果を認めている物質で、一定の濃度が含まれていれば商品に「殺菌」や「消毒」をうたうことができます。

日本でも薬用石鹸の成分などとして広く使われている

有名な商品も含め、日本でも殺菌効果をうたう多くの商品にトリクロサンが使用されています。
ためしに「成分 トリクロサン」などで検索してみると…実に多くの製品が殺菌・抗菌に有効な成分としてトリクロサンの配合を売りにしていることに驚きます。

トリクロサンは石鹸などの他、化粧品や衣類、食品と接触する様々なプラスチックなどにも広く使用されています

ハンドソープや消臭剤、うがい薬、歯磨き粉、寝具、衣類、カーペット、おもちゃやゴミ袋などの抗菌製品に含まれている可能性が高い物質です。

トリクロサンは脂肪酸合成系の酵素を阻害して細菌や植物の細胞膜を破壊するとされ,40年以上前に抗菌剤として導入されている

当初、病院での細菌感染を防ぐために開発されたトリクロサンは、近年では抗菌・防菌製品の要請の高まりとともにますます家庭用製品で使用される機会が増えてきているようです。

近年、トリクロサンの危険性が問題視されてきた

海外のトリクロサンの危険性を訴えるポスター。

ダイオキシンの発生が懸念されるような低温焼却炉ではトリクロサンがダイオキシン類に転化する可能性が示唆されている

発がん性物質であるダイオキシンに構造がよく似ており、一定の条件下でダイオキシンに変化する危険性があります。

微生物や紫外線によってダイオキシンに分解される危険性が指摘されている

妊娠中の女性へのトリクロサン暴露がエストロゲンの分泌異常を引き起こし、胎児に悪影響を与える可能性がある

2010年にフロリダ大学のMargaret James氏らが発表。

トリクロサンが細胞レベルで筋肉の収縮を妨げ、実験では魚の泳ぎが遅くなり、マウスの筋力の軽減が確認された

筋力機能を低下させるおそれがあることも分かっています。

トリクロサンには「少なくとも研究用動物において、生殖と成長に不可欠なホルモンを破壊し、耐性菌の発達に貢献」する可能性すら指摘されています

殺菌効果があると思われていたものが、かえって菌の耐性獲得に貢献してしまっていたなんて…。

効果もはっきりしないのに抗菌製品を使うというのは、病原体に耐性を獲得させてやるようなもの

抗菌製品に用いられるトリクロサンは、家庭などから下水へ流れ、下水から下水処理場、そして最終的には河川に行き着きます。
トリクロサンは現在、米国で環境や飲用水から検出されることの多い物質の上位10位に入ってしまっているとのこと。

トリクロサンによる環境への影響も懸念されています。
家庭や工場の廃水に混じって川や海、湖に流れ出ると、環境ホルモンとして海生生物に悪影響を及ぼす可能性があります

環境へ流れ出たトリクロサンは、生物濃縮により最終的な捕食者に対しより深刻な影響を与える可能性も指摘されています。

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