ヘーゲルの意図はあらゆる矛盾を意のままに操作することにある。一切の科学のみならず、あらゆる合理的論証の終息を意味する立場を擁護するために、ヘーゲルは、「あらゆる事物は即自的には矛盾である」と主張する。彼は合理的論証およびそれとともに科学や知性の進歩を停止させようと欲しているから、矛盾を容認しようとするのである。

出典カール・R・ポパー『開かれた社会とその敵 第二部 予言の大潮 ヘーゲル、マルクスとその余波』(小河原誠・内田詔夫訳、未來社)から引用

ヘーゲルは論理的でないばかりか、論理的な知性も破壊するというレベルでディスっています。そんなヘーゲル全否定のポパーですが、彼は「定められた一方向に発展する」というヘーゲルの一元的な歴史主義(ポパーの用語では歴史法則主義)を一番有害視しているもよう。「即自」は「テーゼ」の言い換えと説明されるヘーゲルの哲学の用語です。「テーゼ(即自)」は、それの矛盾として否定してくる「アンチテーゼ(対自)」を否定(否定の否定)をして、「即自=対自」という「ジンテーゼ」になるという話。

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《大学入学共通テスト倫理》のためのゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル

センター試験の倫理科目のために哲学者を一人ずつ簡単にまとめています。ゲオルク・フリードリヒ・ヘーゲル(1770~1831)。キーワード:「弁証法」「テーゼ(正)、アンチテーゼ(反)、ジンテーゼ(合)」「止揚(アウフヘーベン)」「絶対精神(世界精神)」主著『精神現象学』『法の哲学』『歴史哲学』

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